作品一覧

  • 本に読まれて
    4.2
    1巻880円 (税込)
    言葉がほとんど絵画のような種類の慰めを持ってきてくれる、画家がくれるような休息を書物からもらうことがある――。 本をこよなく愛した著者が、最後に遺した読書日記。バロウズ、タブッキ、ブローデル、ヴェイユ、池澤夏樹など、読む歓びを教えてくれる極上の本とめぐりあえる一冊。
  • ヴェネツィアの宿
    4.4
    1巻719円 (税込)
    ヴェネツィアのフェニーチェ劇場からオペラアリアが聴こえた夜に亡き父を思い出す表題作、フランスに留学した時に同室だったドイツ人の友人と30年ぶりに再会する「カティアが歩いた道」。人生の途上に現われて、また消えていった人々と織りなした様々なエピソードを美しい名文で綴る、どこか懐かしい物語12篇。
  • コルシア書店の仲間たち
    3.9
    1巻580円 (税込)
    かつてミラノに、懐かしくも奇妙な一軒の本屋があった。そこに出入りするのもまた、懐かしくも奇妙な人びとだった。女流文学賞受賞の筆者が流麗に描くイタリアの人と町。(解説・松山巖) ※この電子書籍は1995年11月に刊行された文春文庫を底本としています。
  • なぜ古典を読むのか
    3.7
    1巻1,320円 (税込)
    卓越した文学案内人カルヴィーノによる最高の世界文学ガイド。ホメロス、スタンダール、ディケンズ、トルストイ、ヘミングウェイ、ボルヘス等の古典的名作を斬新な切り口で紹介。須賀敦子の名訳で。
  • 島とクジラと女をめぐる断片
    4.5
    1巻814円 (税込)
    居酒屋の歌い手がある美しい女性の記憶を語る「ピム港の女」のほか、クジラと捕鯨手の関係や歴史的考察、ユーモラスなスケッチなど、夢とうつつの間を漂う<島々>の物語。
  • 須賀敦子
    4.0
    1巻2,860円 (税込)
    イタリアでの記憶を円熟させ、深い眼差しでエッセーを遺した須賀敦子。六〇年代ミラノ・コルシア書店に集う、理想の共同体を夢見る人々の情景を温かい眼差しで描いた『コルシア書店の仲間たち』と、珠玉の各作品集から、「遠い霧の匂い」「ガッティの背中」「マリ・ルイーズ Marie Louise 」「カティアが歩いた道」「オリエント・エクスプレス」「雨のなかを走る男たち」「スパッカ・ナポリ」など。また須賀が魅せられたマルグリット・ユルスナール、ナタリア・ギンズブルグ、ウンベルト・サバの三人をめぐるエッセーと訳詩を厳選。豊かな教養に裏打ちされ、温かくも静謐な筆致で描いた傑作集。 解説=池澤夏樹 月報=長野まゆみ、福岡伸一
  • 霧のむこうに住みたい
    4.1
    1巻715円 (税込)
    愛するイタリアのなつかしい家族、友人たち、思い出の風景。静かにつづられるかけがえのない記憶の数かず。須賀敦子の希有な人生が凝縮され、その文体の魅力が遺憾なく発揮された、美しい作品集。
  • 塩一トンの読書
    3.8
    1巻770円 (税込)
    「一トンの塩」をいっしょに舐めるうちにかけがえのない友人となった書物たち。本を読むことは生きることと同じという須賀は、また当代無比の書評家だった。好きな本と作家をめぐる極上の読書日記。
  • ユルスナールの靴
    4.1
    1巻891円 (税込)
    デビュー後十年を待たずに惜しまれつつ逝った筆者の最後の著作。二十世紀フランスを代表する文学者ユルスナールの軌跡に、自らを重ねて、文学と人生の光と影を鮮やかに綴る長篇作品。
  • 遠い朝の本たち
    4.1
    1巻660円 (税込)
    人生が深いよろこびと数々の翳りに満ちたものだということを、まだ知らなかった遠い朝、「私」を魅了した数々の本たち。それは私の肉体の一部となり、精神の羅針盤となった――。一人の少女が大人になっていく過程で出会い、愛しんだ文学作品の数々を、記憶の中のひとをめぐるエピソードや、失われた日本の風景を織り交ぜて描く。病床の著者が最期まで推敲を加えた一冊。

ユーザーレビュー

  • 霧のむこうに住みたい

    Posted by ブクログ

    本書は、「単行本にこれまで未収録だったエッセイを中心にまとめた一冊」である。
    「霧のむこうに住みたい」というロマンチックなタイトルにどうしようもなく魅かれる。だが、うっとりしてばかりはいられない。というのは、私の心の中に、なるべく触れずにおきたい、何か不穏な想いを呼び覚ますような気もする。ハッキリ言ってしまうと、須賀さんが「あちらの世界」に行くことを望んでいるのではないか、という予感である。
    「霧のむこうに住みたい」の末尾にこう書いてある。

    <・・・ふりかえると、霧の流れるむこうに石造りの小屋がぽつんと残されている。自分が死んだとき、こんな風景のなかにひとり立っているかもしれない。ふと、そん

    0
    2025年10月25日
  • 遠い朝の本たち

    Posted by ブクログ

    最初の章は「しげちゃんの昇天」。しげちゃんは小学以来の同級生、中学では本読み友達になった。その時のことが綴られている。大学卒業後しげちゃんは信仰の道(修道院)へ、敦子は大学院に進み、その後留学。そして35年が経ち、ふたりは再会することになるのだが。
    最後の章は「赤い表紙の小さな本」。ある日見つけたのは、半世紀もまえのBirthday Book、家族や友人の誕生日が記された赤い本。3月のページにあったのは、少女時代にだれよりも影響を受けた親友「しいべ」のサインと敦子へのひとこと。そのしいべの思い出が綴られている。しいべの本名は重子。すなわち、しげちゃんのこと。
    この2つの章に、サンドイッチよろし

    0
    2025年10月10日
  • 遠い朝の本たち

    Posted by ブクログ

    育った土地、生きてきた時代も違えば読み耽った本もあまり一致しないのに、この本を読んでいる間ずっと懐かしい気持ちで満たされていた。人生についてなにもわかっていなかったはずの子供心には、何かに夢中になっていた記憶とか、すごいものみつけた!という静かな興奮とか不思議とかが殊更にきらめいて焼きつくからなのかもしれない。小さな狭い世界に芽生えたささやかな幸せの感触が思い出されて懐かしくなったのかも。遠い朝。遠くなってしまった。

    0
    2025年09月29日
  • ヴェネツィアの宿

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    目次
    ・ヴェネツィアの宿
    ・夏の終わり
    ・寄宿学校
    ・カラが咲く庭
    ・夜半のうた声
    ・大聖堂まで
    ・レーニ街の家
    ・白い方丈
    ・カティアが歩いた道
    ・旅のむこう
    ・アスフォデロの野をわたって
    ・オリエント・エクスプレス

    須賀敦子は14歳の時「たしかに自分はふたりいる」「見ている自分と、それを思い出す自分と」と思ったのだそうだ。
    若いころ彼女の文章を読んだとき、社会のしがらみから離れて自分の来し方を考えるような年になったら、こんな文章を書けるようになりたい、と思った。
    しかし今、そんな年齢になってみれば、私にはそんな才能もなければ、振り返ってみれば転換点だったと思えるような経験もなかったのであ

    0
    2025年09月27日
  • ヴェネツィアの宿

    Posted by ブクログ

    須賀敦子さんの本としては2冊目。
    1冊目の時はイタリアの地名に慣れなかったが、今回、
    冒頭の章、「ヴェネツィアの宿」を読んだ時点で既に引き込まれた。
    ヴェネツィアの波音、静かな夜、霧立ち込める雰囲気、そして何より夏の雰囲気、まるで自分がそこにいて外を歩く人たちの感想や足音を聞いているかのような感覚になった。

    また、2日かけてフランス人の中30キロ歩いて大聖堂の中に入れないなど報われない話もおそらく人生の数年を「消費」してしまったであろう報われない環境も隔てなく書いていてよかった。あとがきでは、「うかうかと人生を費やしてしまう」ことを許さない人であったとあるが、模索して選んだ環境の先に時間を費

    0
    2025年08月03日

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