捨てない生きかた
マガジンハウス新書 001
著:五木寛之
断捨離と対極にある考え、それは、捨てないという精神です
いやむしろ捨てられないという考え、記憶、そして、語り継ぐのは、ヒトであり、モノであると、筆者はいっています。
モノとは、記憶を呼び覚ます装置である、それを「依代」(よりしろ)と呼
...続きを読むんでいます。「憑代」(よりしろ)とも書きます
捨て去ることの難しさ、記憶とは遺産、捨てようとしても捨てられない、身体に刻まれた、肉体的な記憶です
最後に筆者はこう結んでいます。とても、いい言葉だと思いました。
人は裸で生まれてきて、ゴミに囲まれて死んでいく そういうものではないでしょうか。
記憶という自分が生きてきた証、また時代という歴史の記憶させ呼び出してくれるモノたちに囲まれて過ごす人生は、とても豊かなもののように思います
私たちの後半生は、芳醇な回想の時代であり、黄金の時代なのです
気になったのは、以下です
・多くを入手して、多くを捨てる という方法は、決して持続可能なライフスタイルではありません
・モノに囲まれる生活が孤独を癒す
・記録ではなく、記憶を大切に
・Together Alone という言葉があります。 和して同ぜず という意味です
・生きている限り、執着は消えない
・相手を尊重しながらも自分を捨てず、お互いの人格を大事として距離をおく
・ぼくがモノを捨てないのは、そのガラクタたちを自分の所有物とは思っていないからです
ガラクタとぼくとは対等な友人関係です
ほくは、ガラクタたちと友だちとして、付き合っています
・人生の四つの季節 青春、朱夏、白秋、玄冬
・人生百年時代の生き方を登山として考えることもできるでしょう
下山にこそ、登山の、つまり人生の本質があるように気がしています
・昨日が見えないものには、明日も見えない
・昭和の歌を、現代の万葉集に
歌というのは、とても強力な依代だと思います
昭和の歌を集め直して、万葉集のようにして残しておいてはどうかと考えています
※五木寛之氏は、有名な作詞家でもある
・手本と見本の違いが面白い
手本は優れた立派なもの、見本と言うのはどれを選ぶかのサンプルです
・人づき合いは、浅く、そして、長く
・ガラクタにあふれた部屋こそ自分の城
人生には、ひとりぼっちになることが必ずあります
今まで所属していた組織や人間関係から離れる、強烈に孤独を感じてします
そういう状況が訪れたとき、気がついたら自分には何ものないというのは寂しいものです
しかし、モノにあふれた部屋にいればだいじょうぶです
ガラクタという強い家族、強い味方がいるという感じがするからです
・捨てることの難しさを知った親鸞
すべて捨て去ったつもりでいたけれども、じつは、心のなかには、それがしっかりと残っている
簡単なことではないな、と納得して「なるほどこういうことか」と言ったのだ
・親鸞は弟子一人ももたず候
同じ信仰をともにする仲間としての付き合いはあるけれども、弟子師匠と言うことは一切なし、親鸞はそういったのです
・記憶の遺産、捨てようとも捨てられない、身体に刻まれた、肉体的な記憶です
・日本のいたるところで、時代の記憶がどんどん消えつつあるように思います
記憶を捨て去っていけば、フラットで平板、平面的で薄っぺらになっていくばかりです
実際、日本の町というものは、どんどんそうなっていっているような気がします
・歴史の中には、隠そうとされるもの、忘却が望まれるものが、必ず含まれています
モノとして何かのかたちが残っていれば、それを依代にして、記憶は蘇り、物語として語られていきます
・過去を振り返ってこそ、文明は成熟する
成長の時期には、邪魔なものは、捨てればいい。成熟するためには、いろんなものを抱え込んでいたほうがいい
・語り継ぐのはヒトであり、モノである
目次
まえがき 「捨てない生きかた」も悪くない
第1章 モノやヒトとの距離感
第2章 人生百年時代は「ガラクタ」とともに生きる
第3章 私流・捨てない生活
第4章 捨てることの難しさ
第5章 失われつつある、町の記憶
第6章 この国が捨ててきたもの
あとがき 人生百年時代は「豊かな回想の時代」であり、「黄金の時代」
ISBN:9784838775019
出版社:マガジンハウス
判型:新書
ページ数:200ページ
定価:909円(本体)
発行年月日:2022年01月
発売日:2022年01月27日第1刷