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CFプロデューサー峰井透は、オーディションで知り合った新人シンガー水科杏子とともに、他人の気配を強く感じる奇妙な一夜をホテルで過ごした……。その数日後、女優の宮森陽子は峰井を誘い出し、杏子との密会が情報機関にファイルされたことを彼に告げた。そして、宮森自身、また超大物女優原江知子さえも、情報ファイルの刻印をうたれた者たちであった。峰井は陰に、プライベートの情報操作により、人々を不安と絶望に陥れる謎の人物・岸矢吾郎の存在を知り、愛と自由を求め敢然と立ちむかっていった――。激しく加速度を増した情報社会における現代人の恐怖と苦悩を描いた衝撃の現未来小説の誕生。
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Posted by ブクログ
中学生のころ、『青春の門』を少し読んで、読みやすすぎると感じてそっと閉じた。生意気な年頃だった。難解な文体にこそ文学的価値があると思い込んでいた。
あれから何十年。読みやすい文章を書くことが、どれほど難しいか。読書歴を積み重ねてようやくわかってきた。五木寛之の文体は変わっていない。変わったのは、こちらの目のほうだ。
CFプロデューサーを主人公に据えた本作は、情報を操る闇の組織が絡んでくると、しだいにオカルトめいた様相を帯びてくる。かつての自分なら荒唐無稽と笑い飛ばしたかもしれない。だが今は笑えない。ネット社会とAIが情報流通を根底から変えつつある現在、この物語はもはや寓話ではなく、現実の輪郭に触れている。
主人公が情報戦争から「降りる」ことを選んでエンディングを迎えるとき、清々しさと薄ら寒さが同時に来た。降りられる個人と、降りることのできない世界。その非対称に、しばらく考え込んだ。
450ページ、一気読み。リーダビリティは正義。
角川文庫 446ページ
『海を見ていたジョニー』は中学の頃でもハマった記憶がある。
もう一度読んでみよう。
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