山本七平の一覧
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ユーザーレビュー
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大蔵省出身で、陸軍専任嘱託となってフィリピンにわたり、そこで敗戦を迎えた、小松真一が残した「虜人日記」をテキストに日本軍の敗因21ヶ条を1つ1つ検証する労作。その内容は衝撃そのものでありました。
「虜人日記」とは、戦後の民主主義の洗礼をうけておらず、戦後の現実に中立の立場で書かれたものであるとしてい
...続きを読むる。
大東亜戦争の日本軍と、西南戦争の敗軍とは驚くほど類似している。そして、西南戦争の教訓を、活かしきれないかったとありました。
衝撃を少し紹介すると、以下のような内容です。
■暴力と秩序
・組織の確立している間はまだしも、一度組織が崩れたら収拾がつかなくなるのは当然だ。兵隊たちは寄るとさわると将校の悪口をいう。ただし人格の優れた将校に対しては決して悪口をいわない。世の中は公平だ。
■自己の絶対化と反日感情
・日本人は一切の対日協力者を、その生命をも保証せず放り出し、あげくの果ては本多氏のように、その人たちに罵詈雑言を加えている。
■性悪説
・日本は余り人命を粗末にするので、終いには上の命令を聞いたら命はないと兵隊が気づいてしまった。
・人の口に食物をとどけることが、社会機構の基本であって、それが逆転して機構のため食物が途絶すれば、その機構は一瞬で崩壊する
・戦友も殺しその肉まで食べるという様なところまで見せつけられた
・負け戦となり困難な生活が続けばどうしても人間本来の性格をだすようになるものか。
目次
第1章 目撃者の記録
第2章 バシー海峡
第3章 実数と員数
第4章 暴力と秩序
第5章 自己の絶対化と反日感情
第6章 厭戦と対立
第7章 「芸」の絶対化と量
第8章 反省
第9章 生物としての人間
第10章 思想的不徹底
第11章 不合理性と合理性
第12章 自由とは何かを意味するのか
あとがきにかえて
ISBN:9784047041578
出版社:KADOKAWA
判型:新書
ページ数:320ページ
定価:781円(本体)
発行年月日:2004年03月
発売日:2004年03月10日
Posted by ブクログ
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「思考すること」と「自分の軸」の大切さ。
生きていく上で、「空気を読む」ことは重要ではあるものの、同時に嫌気がさすこともある。職場では特に、空気を読む機会が多く、その空気に屈する機会も多々ある。言いたい意見も空気を読んで発言しないとか、そもそも自由に言えるような空気じゃないとか、そんな空気を何度も
...続きを読む味わった。そもそも空気ってなんだろうと思い、この本を読んでみた。
空気とは
・感情移入の絶対感
・こうあるべきであるという絶対感
によって生まれる。
感情移入の絶対感とは、例えば上司が「俺がいいと思うからお前らもそう思うよな」とか「こんなのできて当たり前だよな」といった個人の感覚によるものを出してしまうことによって発生する空気
こうあるべきである空気とは、みんながやってるんだからやるべきとか、社会人はこうあるべき、この階級ならこうあるべき、といったような同調圧力のような空気である。
そして、そういった空気は狭い人間関係の場所に特に発生しやすい。
空気に対抗するのは「水」であり、抗えないような空気にたいして、最もらしい反対意見を述べてみたりすることだ。まさに「水を差す」といった言葉はそのままである。しかし、その水は
「状況倫理」という、あの空気間ではああするしか無かったといったような圧倒的な空気感によって淘汰されることも多々ある。
更には、その「水」がさらなる空気や同調圧力を生むことにもなる。
そういった空気に対抗するためには
思考して、常に自分の軸を持ち根本に立ち返る事が重要である。
そうすることで空気に流されることもなく、自分をはっきりと主張する事が可能になる
Posted by ブクログ
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これは日本文化論として、大事な分析だと思う。空気は確実に存在し、時間が立つと雲散霧消してしまう。海や空、米軍の強さを知りぬいた海軍エリートがなぜ戦艦大和をして、沖縄特攻に向かわせたか。
コロナ禍の日本でもこの「空気」が未だに続いている。
Posted by ブクログ
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よく「空気が読めないやつ」、とか「そういう空気だった」、とかいう「空気」について、わかりやすい例を上げながら解説されていて面白かった。とはいえ「水」のあたりからだんだん頭がついていけなくなってしまったので、手元に置いてときたま何度も読みたい。
Posted by ブクログ
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「空気」の研究
タイトル通り,「空気」について解いた本.
「空気」に翻弄される人と,それに「はてな?」と手厳しく詰める筆者のやりとりには痛快さを感じる.
「空気」は支配力を持った「判断の基準」であり,その内容が表現されることは避けられ,破った場合はその人を村八分に追いやる.そしてその力は理論的
...続きを読む検討,資料,データをも覆す超能力的で,宗教性を帯びた概念であると説明される.
”人間は理論的判断基準と空気的判断基準というダブルスタンダードの中で生きている”ことを胸に刻んでおけば,理屈で話が通らない場面があっても「ああこの人は空気的判断基準モードなんだな」と割り切れてストレスが減らせそう.
“ものごとの解決は,対象の相対化によって,対象から自己を自由にすることだと知っている人間のことだろう.”
明示的啓蒙主義は臨在感的把握,物神論が「ある」のに「ないこと」「野蛮なこと」と誤った位置付けをしたため,その反動を受けることになった.また,それ自身も教育勅語や御真影といった新たな物神に抗えなかった.
「空気」に高速さえされた新聞記者と,著者のやりとり
’日本の道徳は現に自分が行なっていることの規範を言葉にすることを禁じており,それを口にすれば,たとえそれが真実でも”口にしたということが不道徳行為”と見なされる.’
”彼は,何やらわからぬ「空気」に,自らの意思決定を拘束されている.彼を支配しているのは,今までの議論の結果出てきた結論ではなく,その「空気」なるものであって,人が空気から逃れられないごとく,彼はそれから自由になれない.従って,彼が結論を採用する場合も,それは理論的結果としてではなく,「空気」に適合しているからである.採否は「空気」が決める”
「あの時の社会全般の空気では…」「会議のあの時の空気から言って…」->最終的決定者が人間ではなく,空気になっていることを示す言い訳
P19
太平洋戦争における大日本帝国の選択の誤りにも「空気」があったと主張
従って彼はそれが「空気の決定であることを,了解した」のであり,そうならば,何を言っても無駄,従って「それならば何をかいわんをや」とならざるを得ない
”日本には「抗空気罪」という罪があり,これに反すると最も軽くて「村八分」刑に処せられるからであって,これは軍人・非軍人,戦前・戦後に無関係のように思われる”
P23
空気を認識して移行すること自体にも多大なエネルギーを消費
”「空気」とはなんであろうか.それは絶対的支配力を持つ「判断の基準」であり,それに対抗する者を異端として「抗空気罪」で社会的に葬るほどの力を持つ超能力”
”だが通常この基準は口にされない.それは当然であり,理論の積み重ねで説明することができないから「空気」と呼ばれている”
”理論的判断基準と,空気的判断の基準という,一種の二重基準の元に生きているわけである”
p32
物神論ー>「クルマ」のようなものがあたかも人のように良し悪しを語られる
ー>「クルマ」は当然反論しない
→★反抗しないモノを悪者にするのが「空気」を作る方法の一つ
それに加担する科学者は実際は物神論的宗教家
”物神化と物神の反論なき一方的糾弾による空気醸成の過程”
p34
イスラエルの遺跡発掘事例 髑髏に触れ体調を崩す日本人,ケロッとしているユダヤ人
”物質からなんらかの心理的・宗教的影響を受ける.言いかえれば物質の背後に何かが臨在していると感じ,知らず知らずのうちにその何かの影響を受ける状態”
モノへの感情移入.
p38
明示的啓蒙はモノへの感情移入の否定.
なぜ感情移入するのかという探究はしなかった.その結果,ものへの感情移入を無視,否定する立場をとった.それが多くの人にとっての”科学”と写った.否定された側はさらに反発し,ものへの感情移入を強めるー>反ワクチンその他似非科学や陰謀論への信仰につながるな
「空気」はどこから生まれる?ある事物とそれを認識する人,その人が抱く”臨在感的把握”
”この把握が成り立つためには感情移入を絶対化して,それを感情移入だと考えない状態にならねばならない”
ひよこにお湯を飲まして殺してしまう,赤ん坊が入った保育器にカイロを入れて赤ん坊を死なせてしまう.→問題は科学的啓蒙ではなく,行動に至った”感情移入の絶対化”
”記者たちは,イ病の悲惨な状態を臨在感的に捉え,そう捉えることによって,この日さんをカドミウム金属棒に「乗り移らせ」(すなわち感情移入し)乗り移らせたことによって,その金属帽という物質の背後に悲惨を臨在させ,その臨在感的把握を絶対化することによって.その金属棒に逆に支配されたわけである”
P50
西南戦争ー>文明開花後の明治武士だけでなく農民も兵士にー>「心理的参加」が必要
→官軍・賊軍,プロパガンダ=空気の醸成ー>西郷軍を「悪」そのものに概念化
”科学的に関係ないことを持ち出すな」などということは,「遺影は物質で無関係だ」という言葉同様,その言葉を口にしたものが超法規的に処断されてしまうだけのことである”
→「なぜ真実は人を変えられないのか」とい
う本があったなあ.ファクトを言うだけじゃダメ.ということ
西洋・アラビアでは一神教の世界→一部宗教では「偶像崇拝」の禁止.モノから臨在感的把握を受けること=被造物の支配を受ける=神への冒涜
神以外の全ては絶対視されてはならず,相対的に見られる.
一っぽう日本ではアニミズム. 絶対化されるものを多数抱える.(絶対視される対象は時代とともの移り変わる.「経済成長」→「公害対策」→「資源」etc…
“「天皇制」とは何かを短く定義すれば,「偶像的対象への臨在感的把握に基づく感情移入によって生ずる空気的支配体制」となろう.天皇制とは空気の支配なのである”
共産党:民衆の赤いホステス
"あの状況がそうさせた"→人間を平等に扱うための下駄としての情況倫理、伸縮する定規→その原点は通常人を超えた人や物=神格性
神格性への批判=不敬罪
多数の学生と一教師→一の存在
父(君)と子(臣)の相互隠蔽。
p154
カドミウムへの判断と"カドミウム"への判断は、全く別の判断と考える。p171
p173
"虚構の中に真実を求める社会"
"日本における拘束の原理の解明"
p180
水を差す自由
現人神と進化論の共存
→アタマを切り替える 194
「教皇はそう言う、だが聖書はこう言う」がプロテスタント=改革者の立場 聖書は絶対的真理
Posted by ブクログ
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