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マネー、外交、政治……このままでは日本は再び敗れる! 戦時中フィリピンで生死を彷徨い捕虜となった評論家・山本七平。戦後三十年、かつての敗因と同じ行動パターンが社会の隅々まで覆っていることを危惧した筆者が、戦争体験を踏まえ冷徹な眼差しで書き綴った日本人への処方箋。北朝鮮の核保有など、国際的緊張の中に放り込まれた日本が生き残るために知らなければならないこと。執筆三十年後にして初めて書籍化された、日本人論の決定版。
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Posted by ブクログ
「失敗の本質」と同様に、第二次大戦での日本の敗因を論じた刺激的なタイトルの本書は、雑誌「野性時代」への連載(1975〜76年)が2004年に書籍化されたものです。 山本七平氏の著作を読むのは「空気の研究」以来ですが、とても読み応えがありました。 本書は、ガソリンの代用としてブタノールを製造する技術...続きを読む者としてフィリピンに派遣された、つまり軍人ではないが戦争に参加した小松真一氏の「虜人日記」をもとに、そこで氏が掲げた敗因21カ条について分析が加えられています。 その主なものを見ただけでも、精兵主義の軍隊なのに精兵はいなかったが米軍は未訓練兵でもできる作戦をやってきた、日本の不合理性と米国の合理性、反省力なき事、思想的に徹底したものがなかった、日本は人命を粗末にし米国は大切にした…等々であり、山本氏は、日本は大東亜を治める力も文化もなかったと結論付けます。 特に印象に残った分析は、日本軍には実数ではない員数主義がはびこっていた、秩序は文化ではなく暴力(恐怖心)により保たれていた、個人の持つ武芸(芸)を絶対化し合理化を怠った、非常識な前提を常識として行動した、というような点ですが、半世紀前のこれらの指摘は、未だにわが国に当てはまる部分も多いのでは、と思わざるを得ませんでした。 読んでおくべき名著だと強く思います。
虜人日記を下敷きにした冷静な歴史の検証。 時制の峻別。その時代の目撃者の証言か後代の記録か。 我々はまだ「自由な思考」「自由な談話」ができないでいるのか。 戦時中の愚かしさと、それが今なお変わらぬことに、二重に戦慄する。 ・予定稿を押し付ける記者となれ合う取材者、世論。これに侵されていない記録と...続きを読むしての虜人日記。 ◯人びとは危機を叫ぶ声を小耳にはさみつつ、有形無形の組織内の組織に要請された日常業務に忙しい。そしてこの無反応を知ったとき、危機を叫ぶ者はますますその声を大にする。しかし声を大きくすればするほど(略)人びとは耳を傾けなくなる。(略)だがそのとき、だれかが、危機を脱する道はこれしかない、と具体的な脱出路を示し、そしてその道は実に狭く(略)全員の過半数は脱出できまい、といえば、次の瞬間(略)一斉に総毛立って、その道へ殺到する。 ◯バジー海峡の「死のベルトコンベア」 →制海権のない海に一坪14人の兵員を満載したボロ船で戦地に送る。戦わず何もせず死ぬ。士気、思考の喪失。 →意図、方法論、組織立ったこともなく場当たり的な対処で結果としてアウシュヴィッツ以上の効率で大量殺人装置となる。 →同一方法、同一方向へとただ繰り返し拡大にのみ終始し、その極限で崩壊。「やるだけのことは、やった」 ◯「員数」という架空の数を実数と仮定しての命令だから、はじめから実行不可能。できぬといえば精神が悪いと怒られるので服従するが、実際問題として命令は実行されていない。 ◯「相手を自分と同じ人間とは認めない」という立場で発言しており、その立場で相手の非を指摘することで自己を絶対化し、正当化している。 →一方で、ゲリラとの会話により交渉している個人もいた。 ◯個人のもつ“芸”であっても、客体化できる“技術”ではない。 ◯「それでは、西南戦争の西郷
当事者ではないからこそ、「あれは昔のこと」精神で済ますのではなく、何故愚かな戦争への突入を止められなかったのか、考え続けないといけない。
大蔵省出身で、陸軍専任嘱託となってフィリピンにわたり、そこで敗戦を迎えた、小松真一が残した「虜人日記」をテキストに日本軍の敗因21ヶ条を1つ1つ検証する労作。その内容は衝撃そのものでありました。 「虜人日記」とは、戦後の民主主義の洗礼をうけておらず、戦後の現実に中立の立場で書かれたものであるとしてい...続きを読むる。 大東亜戦争の日本軍と、西南戦争の敗軍とは驚くほど類似している。そして、西南戦争の教訓を、活かしきれないかったとありました。 衝撃を少し紹介すると、以下のような内容です。 ■暴力と秩序 ・組織の確立している間はまだしも、一度組織が崩れたら収拾がつかなくなるのは当然だ。兵隊たちは寄るとさわると将校の悪口をいう。ただし人格の優れた将校に対しては決して悪口をいわない。世の中は公平だ。 ■自己の絶対化と反日感情 ・日本人は一切の対日協力者を、その生命をも保証せず放り出し、あげくの果ては本多氏のように、その人たちに罵詈雑言を加えている。 ■性悪説 ・日本は余り人命を粗末にするので、終いには上の命令を聞いたら命はないと兵隊が気づいてしまった。 ・人の口に食物をとどけることが、社会機構の基本であって、それが逆転して機構のため食物が途絶すれば、その機構は一瞬で崩壊する ・戦友も殺しその肉まで食べるという様なところまで見せつけられた ・負け戦となり困難な生活が続けばどうしても人間本来の性格をだすようになるものか。 目次 第1章 目撃者の記録 第2章 バシー海峡 第3章 実数と員数 第4章 暴力と秩序 第5章 自己の絶対化と反日感情 第6章 厭戦と対立 第7章 「芸」の絶対化と量 第8章 反省 第9章 生物としての人間 第10章 思想的不徹底 第11章 不合理性と合理性 第12章 自由とは何かを意味するのか あとがきにかえて ISBN:9784047041578 出版社:KADOKAWA 判型:新書 ページ数:320ページ 定価:781円(本体) 発行年月日:2004年03月 発売日:2004年03月10日
本書は「虜人日記」(フィリピンでアルコールの製造に携わって、敗戦を迎えた小松真一氏の記録)と著者自身の体験をもとに、なぜ日本は太平洋戦争に負けたのか、そして、戦後日本にも受け継がれている日本の弱点は何かを論じている。 「虜人日記」に挙げられている敗因は21か条あり、本書は12章構成となっているが、...続きを読むまとめとして挙げられているのは「日本には自由がない」ということである。つまり、「建前」が「現実」を支配しており、皆がおかしいと思っていてもそれを口に出せないことが、戦前戦後の日本を貫く欠点だと述べられている。
日本人の本質をあぶり出した素晴らしい本。歴史の勉強にもなる。 ・やるだけのことはやった。これらの言葉の中には「あらゆる方法を探求し、可能な方法論の全てを試みた」という意味はない。ただ、ある一方法を一方向に、極限まで繰り返し、その繰り返しのための損害の量と、その損害を克服するため、投じ続けた量と、そ...続きを読むれを通す投ずるため払った犠牲に自己満足し、それで力を出し切ったとして自己正当化していると言う事だけであろう。
この本もう何度読み直しただろうか。10年以上も本棚に置いてあり折に触れ読み返している。小松真一著「虜人日記」を紹介しつつ、山本七平氏が解説を加えていく体で構成されているこの本を読めば、日本人というものがどんなものなのか、よくわかる。太平洋戦争末期の状況下における日本人たちの振る舞い。 時折「日本の軍...続きを読む備は実はどこそこの国よりも凄いから、日本人が戦争をしたとして弱くはないのだ」というような物言いを見かけるが、ハード重視ソフト軽視な日本人らしい見方だと思う。この本に示されている「出鱈目な人たち」は、まんま、昨今会社で見るあの人や電車で見掛けるあの人らと、何ら変わらない。今日本が戦争に参戦したとして、どんなことになるのかは、この本を読めば火を見るより明らかだ。 そして戦争に限らず、外交や諸々の政策において、日本のダメさというのは、小松真一氏が敗因二十一ヵ条としてまとめたうちのひとつ「日本文化に普遍性なき為」これが非常に大きいのだと、思わざるを得ない。
今も、戦前と変わらない日本人の思考様式を再発見することができる。 ・いきあたりばったりの思考 ・量だけ増やして同じ方法をやめれない ・ネガティブな事実をニュートラルな言葉に置き換えて、真実か目をそらす気質 ・思想的貴族の、真の貴族の不在。 ・押し着せられた、思考や組織を採用して、うまくいかなないと...続きを読むきにどうにも動けない日本人 ・芸の絶対化。職人礼賛的な思考様式が、結局は、その職人を成立させている前提条件が変わっても、それを認めようとせずに、それを貫きとうし、最後に崩壊するまで続ける ・思想的不徹底さ。。。 書ききれないが、すべてが現代の日本にも通じている。
名著、著者の体験と軍属の化学者の(きわめて客観的な)記録を下に、日本が第二次世界大戦で敗れた理由について、全11章に渡って述べている。戦争と言う極限状態において起きた悲惨な事実から、日本人の本性とそれ故に抱える問題を指摘する。さらに筆者は「日本は反省力なき」故に戦後30年経ても、それらが改善されてい...続きを読むないと続く。戦後70年経った現在はどうであろうか?書の後半で述べられる日本の将来に向けた提言は現代でも一読の価値がある(一読の価値があることが問題であるが、反省力なきゆえ仕方ないのか)
いちいち、つくづく、七平さんの指摘のとおりだと思いました。 以前に太平洋戦争の本を読んだときには、あの戦争は、現在の自分とは無関係の、過去の、主に男の人たちのやったことと思っておりましたが、これを読んで、今の自分の中にあるものと痛感したことが多かったです。 七平さんはこの日本人の特徴は、明治以来続い...続きを読むている、と書いていましたが、私は薩摩藩が関ヶ原で正面突破したときにすでにあらわれていたように思いました。
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日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条
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