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日本は有史以来、さまざまな国の文化や制度の影響を受けてきたが、その導入にあたっては単なる模倣に終始せず、一つ一つ日本に合った独自の形に同化・発展させてきた。上巻では、古代から中世の歴史の中にその検証を試みる。即ち、かな文字や律令制、鎌倉仏教、武家政治、一揆などの諸相に日本の独自性を丹念に探り、同時に日本人のアイデンティティをも浮き彫りにしていく。“山本日本学”の集大成といえる渾身の力作。
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Posted by ブクログ
日本人の精神が形成されるプロセスを、伊達千広の『大勢三転考』の歴史観に従って記述した本。下巻の「解説」を執筆している谷沢栄一によれば、「この本は、山本七平の、最高傑作である」とのこと。 幕末の紀州藩士・伊達千広が執筆した『大勢三転考』では、江戸時代までの日本の歴史が、「骨(かばね)の代」「職(つか...続きを読むさ)の代」「名の代」の3つに区分されています。これはそれぞれ、「氏族制の時代」「律令制の時代」「幕府制の時代」という意味になります。このような、政治形態の変化に基づいて客観的に歴史を区分し、儒教的な名分論や勧善懲悪といった価値観に基づく判断を加えない歴史観を持ちえたところに、日本の精神の独自性が示されていると著者は考えます。そして、日本の歴史を中国の基準や西欧のによって裁断するのではなく、日本の政治形態に基づく内在的な基準によって把握することが、本書の目標とされています。 なお下巻の最後の章では、「なぜ日本は明治維新に成功したのか」という問いが立てられています。日本がアジアでいち早く近代化に成功したのはなぜか、という問いがしばしば建てられますが、明治以前に飛躍的な近代化を可能にする条件が醸成されていたことに、あまり目が向けられないと著者は述べています。江戸時代までの日本の歴史の中に、近代化を準備した要素を探ることも、本書の主要テーマの一つになっています。
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山本七平
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