無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
スガシカオ論は卓越した日本文化批判になっている。Jポップの歌詞とマスメディアの使う文体を同一に並べ、それらは内輪だけで通用する制度言語であり、互いに馴れ合い、もたれあっている、という洞察は、日頃からメディアの紋切り型論調にイライラさせられてきた者にとって、まさに我が意を得たりである。その一方で、こんな優しい眼差しで音楽と向かい合う姿も見せる。「思うのだけれど、クラシック音楽を聴く喜びのひとつは、自分なりのいくつかの名曲を持ち、自分なりの何人かの名演奏家を持つことにあるのではないだろうか。」小澤征爾との対談も素晴らしかったが、これも音楽評論として秀逸である。偏見と感情論、ただの印象に終始する大家と呼ばれるクラシック評論家たちと、なんという違いだろう。
Posted by ブクログ
◯なによりも巻末の参考文献が気になった。おそらくほとんどのアーティストについて、参考文献を記載している。
◯その中でも、ブライアン・ウィルソン、スタン・ゲッツ、ウディー・ガスリーあたりは伝記的で読み応えがあって面白い。また、伝記的である点は、時代からその音楽性を読み説こうとする試みにも思える。もちろん、小説家ならではの分析・観察、表現力や観察力も相まっての読み応えだと思う。
◯しかし多分一人だけ参考文献がないアーティストがいた。スガシカオである。
◯時代はまさに同時代であるので、そのあたりは自然体で書けたのかもしれないし、参考文献とするものがなかったのかもしれない。その分、主に詩の解釈に比重が置かれている印象である。
◯私はシカオちゃんが大好きであるが、著者との解釈とは方向性は同じでも、感じ方が違うので、なんとなく違和感を感じた。日本のポップスがリズムのある歌謡曲に聞こえるというあたりは、ややひねくれたというかイキリすら感じるのは私だけだろうか。
◯最近の人たちでも新しい音楽を作り出そうとしている人は多いので、日本の音楽もどんどん聞いてほしい。私はリズムのある歌謡曲は大好きである。歌謡曲生まれ歌謡曲育ちと自負している。
◯ただ、著者はジャンル問わずとにかく音楽が真摯に好きなんだなと改めて思った。
Posted by ブクログ
この本は音楽について書かれたエッセイを集めた一冊だ。
その冒頭の一遍はビーチ・ボーイズ、特にバンドのリーダーであった
ブライアン・ウィルソンについて書いてある文章だ。
ブライアン・ウィルソンという人は矛盾とミスマッチを抱えている。
彼自身が作り上げたビーチ・ボーイズは
アメリカのイノセンスを象徴するようなバンドだった。
「太陽の光、海、元気な男の子と可愛い女の子の笑顔、サーフィン、オープンカー」
彼ら自身がアルバムジャケットでサーフィンを抱えてニコニコしている。
ところがブライアンは海に行くことはなかった。
泳げなかったそうだ。
だけれどもファンに求められるまま
太陽の光に照らされる海を唄いつづけなくてはならなかった。
ビーチ・ボーイズという「お金」を生むバンドのマネージャー
はブライアンの父親が務めた。
父親は常にブライアンの仕事を監視しコントロールした。
父親はかって成功できなかった作曲家であった。
ブライアンは素晴らしい楽曲を作り続けた。
しかし父親が作曲家としてのブライアンを
認めることはずっとなかったという。
時は流れアメリカはヴェトナム戦争の泥沼にはまる。
アメリカのイノセンスを象徴していたビーチ・ボーイズは
次第に世間から忘れ去られていった。
ジミ・ヘンドリックスは言った。
「今時、誰がビーチ・ボーイズなんて聴くんだ?」
ブライアンの父親はビーチ・ボーイズの
「金銭的な価値」はもう失くなったと判断した。
だから1969年にブライアンの作った楽曲の権利の一切を売り払ってしまった。
そのことに深く傷ついたブライアンはドラッグに溺れることになる。
それからブライアンはビーチ・ボーイズの中で
次第に後ろに引き下がるようになった。
他のメンバーたちが主導権をめぐって争った。
彼らは実の兄弟であり、従兄弟たちでもある。
ビーチ・ボーイズはいつの間にか懐メロバンドになった。
そこにさらにドラッグの深みにはまったブライアンの
いる場所はもうなくなっていた。
春樹さんはこのエッセイの中でスコット・フィッツジェラルドの
言葉を引用している。
「アメリカに第2章はない」
ドラッグに溺れ才能を無駄にしたブライアンに第2章はないかと
誰もが思っていた。
しかし華々しくはないがブライアンは静かに第2章を始めていた。
時は流れかってのビーチ・ボーイズたちの何人かは
もう亡くなっていた。
だけど生き残ったブライアンは静かに第2章を唄い始めていた。
そのブライアンの様子をワイキキで観た春樹さんの文章がとても良い。
まさに透明感ある水のようでありながら人肌くらいの暖かみのある文章だ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸