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Posted by ブクログ
物語は、薩摩の島津家が豊後の大友家との争いを制して九州全土を傘下に収めようかというような時期から起こる。九州での戦乱は豊臣秀吉の「鎮西入り」で収束する。そして朝鮮出兵の凄惨な戦いが在り、豊臣秀吉が薨去して収束する。やがて関ヶ原合戦を経て徳川家康が天下を取るが、薩摩の島津家は琉球国へ侵攻する。そういう1580年代後半から1600年代頃が物語の背景だ。
そして物語は、1580年代後半から1600年代頃を各々の地で生きている3人の主要視点人物を据えている。
1人は薩摩に在る。島津家の重臣ということになる、樺山家の次男で大野家に婿養子に入った経過が在る大野七郎久高である。
もう1人は朝鮮国に在る。被差別身分に生まれたが、小さな出会いを契機に儒学を学ぶことになる若者の明鐘(めいしょう)である。
更に1人は琉球国に在る。外交や通商のために、情報収集を行う役目に就く王府の官人ということになる若者の真市(まいち)である。
打ち続く戦乱という時代に「人と禽獣とを分かつのは何か?」と3人の主人公は各々に模索し、行き当たるのは「礼」という概念である。
若年の頃は書物に親しんだ他方で、武功を競い続けた侍大将の久高。被差別身分に生まれた不条理の中で、人として在りたいと学ぶ明鐘。古くから大切にされている価値を大切にしながら、方々の現実に向き合おうとする感の真市。そんな3人が“時代”の中で邂逅することとなる。
表紙イラストの「守禮之邦」の額が掲げられた門へ至るまでの物語ということになってしまうかもしれないが、壮大な舞台背景であり、凄絶な戦いが活写され、3人の主要視点人物達が各々に気付き、変わる様の物語は非常に興味深い。
Posted by ブクログ
「熱源」で直木賞をとった作者の第一作ということで手にとった。面白い。参考文献18冊を元にして史実を交えながら、想像上の人物を加えて、戦いの場面、種々の人物が相対する緊迫する場面等、楽しく読めた。主人公は、武士道を求める島津の家老武士と、朝鮮の若き儒学者と、明国に冊封を受けて貿易で生きる礼の国の沖縄の密偵。時代は秀吉の朝鮮出兵時。3者の異なった生き様が面白かった。孟子のことば『人は覇の力ではなく王の徳に服す』、および『天地に参たり(天地と並び立つ崇高な人としての存在)』という問いかけは、答えがあるような無いような、余韻を持った終わり方だった。
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