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新直木賞作家、驚異のデビュー作 選考委員も絶賛した松本清張賞受賞作。 戦を厭いながらも、戦でしか生きられない島津の侍大将。 被差別民ながら、儒学を修めたいと願う朝鮮国の青年。 自国を愛し「誠を尽くす」ことを信条に任務につく琉球の官人。 秀吉の朝鮮出兵により侵略に揺れる東アジアを、日本、朝鮮、琉球の三つの視点から描く。 松本清張賞選考委員会でも絶賛された歴史エンターテインメント。 解説・川田未穂 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
物語は、薩摩の島津家が豊後の大友家との争いを制して九州全土を傘下に収めようかというような時期から起こる。九州での戦乱は豊臣秀吉の「鎮西入り」で収束する。そして朝鮮出兵の凄惨な戦いが在り、豊臣秀吉が薨去して収束する。やがて関ヶ原合戦を経て徳川家康が天下を取るが、薩摩の島津家は琉球国へ侵攻する。そういう...続きを読む1580年代後半から1600年代頃が物語の背景だ。 そして物語は、1580年代後半から1600年代頃を各々の地で生きている3人の主要視点人物を据えている。 1人は薩摩に在る。島津家の重臣ということになる、樺山家の次男で大野家に婿養子に入った経過が在る大野七郎久高である。 もう1人は朝鮮国に在る。被差別身分に生まれたが、小さな出会いを契機に儒学を学ぶことになる若者の明鐘(めいしょう)である。 更に1人は琉球国に在る。外交や通商のために、情報収集を行う役目に就く王府の官人ということになる若者の真市(まいち)である。 打ち続く戦乱という時代に「人と禽獣とを分かつのは何か?」と3人の主人公は各々に模索し、行き当たるのは「礼」という概念である。 若年の頃は書物に親しんだ他方で、武功を競い続けた侍大将の久高。被差別身分に生まれた不条理の中で、人として在りたいと学ぶ明鐘。古くから大切にされている価値を大切にしながら、方々の現実に向き合おうとする感の真市。そんな3人が“時代”の中で邂逅することとなる。 表紙イラストの「守禮之邦」の額が掲げられた門へ至るまでの物語ということになってしまうかもしれないが、壮大な舞台背景であり、凄絶な戦いが活写され、3人の主要視点人物達が各々に気付き、変わる様の物語は非常に興味深い。
3人の主人公の「芯」に沿った行動に心を打たれました。島津の主人公はその「芯」を探す旅だったのかなと。何であれ自分の判断の基準になる核を持っていないと、場当たり的な判断になってしまうから、個人としての魅力は薄まってしまうなと感じました。 信念に殉じる姿はかっこいいですね。自分もこれだ!というものを見つ...続きを読むけたいです。
日本の歴史の中でも有数の愚行である朝鮮出兵を薩摩、朝鮮、琉球それぞれの視点から描いた作品。 有名な武将の物語ではなく、朝鮮や琉球の身分の低い人たちが儒教の礼をもって戦を語るところに清々しさを感じる 薩摩が武勇の国から卑怯な国に成り下がったきっかけが家久だったのか。
章立てがコンパクトであり、小さな話のまとまりで読み切りやすい。これは現代的な読み手への工夫か。ややあらすじの先を読みやすい印象
守礼之邦。理想を掲げた国づくりがその通りにいかないのは、いつの世も同じと改めて思わされた。久高の男気、明鐘の生きる力に魅了されたが、この物語は真市たち琉球の人々が主人公だと思った。
清々しいエンディングだった。 それぞれの生を必死に生きた3人の心の共鳴を感じた。 著者はこれが初作で2作目が直木賞を取った「熱源」と知って驚き、その才能の今後を楽しみに感じた。
熱源で川越さんのファンになり読んでみた。 琉球王国、朝鮮、日本の歴史が重なり、 それぞれの視点から自国に対する思いや攻める国に対する怒りが伝わってくる。 漢語がでてきて難しい部分もあり、読み進めるのにちょっと苦労はしたものの、それぞれの視点が交互に入ってくるため面白く読み進められた。 礼を知るこ...続きを読むとが人であり、日本は禽獣。礼をテーマに戦を読んだのは初めてだったと思う。
薩摩と朝鮮と琉球。この三者を礼という儒教視点からこう描くことができるのかと感嘆した。確かに侵略される朝鮮や琉球王朝から見れば、薩摩を含めた倭(日本)の武士はただの禽獣。実力主義の戦国時代から武断の江戸時代への変遷を知っているとこの視点は非常に示唆的で興味深い。 琉球の謝名親方の言葉、戦に敗けても国...続きを読むは亡びぬ。国が亡ぶのは民が国を厭うた時だという言葉は非常に印象的。高橋克彦氏の『炎立つ』での藤原泰衡の、民が忘れぬ限り蝦夷は滅びないといった言葉を思い出した。歴史が過去から紡がれるものだということを改めて思い出された。
「熱源」で直木賞をとった作者の第一作ということで手にとった。面白い。参考文献18冊を元にして史実を交えながら、想像上の人物を加えて、戦いの場面、種々の人物が相対する緊迫する場面等、楽しく読めた。主人公は、武士道を求める島津の家老武士と、朝鮮の若き儒学者と、明国に冊封を受けて貿易で生きる礼の国の沖縄の...続きを読む密偵。時代は秀吉の朝鮮出兵時。3者の異なった生き様が面白かった。孟子のことば『人は覇の力ではなく王の徳に服す』、および『天地に参たり(天地と並び立つ崇高な人としての存在)』という問いかけは、答えがあるような無いような、余韻を持った終わり方だった。
「熱源」の著者である川越宗一氏のデビュー作。戦国~江戸時代にかけて、豊臣秀吉の朝鮮出兵を島津、朝鮮、琉球それぞれの場所で生まれ育った三人の視点で描いた歴史小説。 朝鮮人からの視点での文禄、慶長の役を描くというのがまず斬新だし、薩摩の島津と琉球王国の関係も非常に興味深かった。 島津家家臣の樺山久高、朝...続きを読む鮮の名もなき白丁である明鍾、琉球の官人である真市、同時代を生きた3人の人生が交錯するラストが痺れる。
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