新潮文庫作品一覧

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  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(新潮文庫)
    完結
    4.2
    全2巻781~880円 (税込)
    高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
  • 一汁一菜でよいという提案(新潮文庫)
    4.3
    日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。あれば漬物を添えましょう。無理のない生活のリズムを作り、心身ともに健康であるために「一汁一菜」という生き方をはじめてみませんか――。料理研究家・土井善晴による根源的かつ画期的な提言は、家庭料理に革命をもたらした。一汁一菜の実践法を紹介しながら、食文化の変遷、日本人の心について考察する。著者撮影の食卓風景も数多く掲載。(解説・養老孟司)
  • 村上春樹 雑文集(新潮文庫)
    4.2
    デビュー小説『風の歌を聴け』新人賞受賞の言葉、伝説のエルサレム賞スピーチ「壁と卵」(日本語全文)、人物論や小説論、心にしみる音楽や人生の話……多岐にわたる文章のすべてに著者書下ろしの序文を付したファン必読の69編! お蔵入りの超短篇小説や結婚式のメッセージはじめ、未収録・未発表の文章が満載。素顔の村上春樹を語る安西水丸・和田誠の愉しい解説対談と挿画付。
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)
    4.2
    失踪した男の調査を依頼された興信所員は、追跡を進めるうちに、手がかりとなるものを次々と失い、大都会という他人だけの砂漠の中で次第に自分を見失っていく。追う者が、追われる者となり……。おのれの地図を焼き捨てて、他人しかいない砂漠の中に歩き出す以外には、もはやどんな出発もありえない、現代の都会人の孤独と不安を鮮明に描いて、読者を強烈な不安に誘う傑作書下ろし長編小説。(解説・ドナルド・キーン)
  • 聖灰の暗号(上)
    4.0
    1~2巻671~715円 (税込)
    歴史学者・須貝彰は、南仏の図書館で世紀の発見をした。異端としてカトリックに憎悪され、十字軍の総攻撃を受けたカタリ派についての古文書を探りあてたのだ。運命的に出会った精神科医クリスチーヌ・サンドルとともに、須貝は、後世に密かに伝えられた“人間の大罪”を追い始める。構想三十年、時代に翻弄された市井の男女を描き続ける作家が全身全霊をこめた、歴史ミステリ。
  • 落日燃ゆ
    4.5
    東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。

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  • 雪国
    3.8
    親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、島村はゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない――。冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、哀しくも美しく描く。ノーベル賞作家の美質が、完全な開花を見せた不朽の名作。
  • 香乱記(一~四)合本版(新潮文庫)
    値引きあり
    -
    悪逆苛烈な始皇帝の圧政下、天下第一の人相見である許負は、斉王の末裔、田氏三兄弟を観て、いずれも王となると予言。末弟の田横には、七星を捜しあてよという言葉を残す。秦の中央集権下では、王は存在しえない。始皇帝の身に何かが起こるのか。田横は、県令と郡監の罠を逃れ、始皇帝の太子・扶蘇より厚遇を得るのだが……。楚漢戦争を新たな視点で描く歴史巨編。 ※当電子版は新潮文庫版『香乱記』一~四巻をまとめた合本版です。
  • からくりからくさ(新潮文庫)
    3.9
    祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
  • ツナグ(新潮文庫)
    4.3
    一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
  • ドンナ ビアンカ
    3.8
    虫けら同然の人生で、初めて落ちた本気の恋。それは俺に心からの幸福と、地獄を招いた――。大手外食企業役員と店長が誘拐された。練馬署強行犯係の魚住久江は、一課時代の腐れ縁・金本らと捜査に召集される。だが身代金受渡しは失敗、切断された体の一部が送りつけられる。やがて捜査線上に浮かんだのは、一人の中国人女性。一課復帰を拒み所轄を生きる女刑事が事件の真相を追う!
  • ねじまき鳥クロニクル―第1部 泥棒かささぎ編―(新潮文庫)
    完結
    3.9
    全3巻737~1,045円 (税込)
    「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より)
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)
    3.5
    東京都中野区で、若い女性の遺体が相次いで発見された。二人とも射殺だった。フリーの事件記者の木部美智子は、かねてから追っていた企業恐喝事件と、この連続殺人事件の間に意外なつながりがあることに気がつく。やがて、第三の殺人を予告する脅迫状が届き、事件は大きく動き出す……。貧困の連鎖と崩壊した家族、目をそむけたくなる社会の暗部を、周到な仕掛けでえぐり出す傑作ノワール。(解説・大森望)
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)
    4.1
    地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた元カメラマン「モグラ」。[生きのびるための切符]を手に入れた三人の男女とモグラとの奇妙な共同生活が始まった。だが、洞窟に侵入者が現れた時、モグラの計画は崩れ始める。その上、便器に片足を吸い込まれ、身動きがとれなくなってしまったモグラは――。核時代の方舟に乗ることができる者は、誰なのか。現代文学の金字塔。(解説・J・W・カーペンター)
  • 乱鴉の島(新潮文庫)
    3.9
    犯罪社会学者の火村英生は、友人の有栖川有栖と旅に出て、手違いで目的地と違う島に送られる。人気もなく、無数の鴉が舞い飛ぶ暗鬱なその島に隠棲する、高名な老詩人。彼の別荘に集まりくる謎めいた人々。島を覆う死の気配。不可思議な連続殺人。孤島という異界に潜む恐るべき「魔」に、火村の精緻なロジックとアクロバティックな推理が迫る。本格ミステリの醍醐味溢れる力作長編。(解説・村上貴史)
  • アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)
    3.6
    心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女――。絶望に溺れて掴んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な五編。(解説・朝井リョウ)
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)
    4.0
    会社を首にされ、生きたまま自分の「死体」を売ってロボットにされてしまった機械技師が、人間を酷使する機械を発明して人間に復讐する「R62号の発明」、冬眠器の故障で80万年後に目を覚ました男の行動を通して現代を諷刺した先駆的SF作品「鉛の卵」、ほか「変形の記録」「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」など、昭和30年前後の、思想的、方法的冒険にみちた作品12編を収録する。(解説・渡辺広士)
  • 王妃マリー・アントワネット(上)
    3.9
    1~2巻781円 (税込)
    美しいブロンドの髪とあどけない瞳を持つ14歳の少女が、オーストリアからフランス皇太子妃として迎えられた。少女はやがて、ヴェルサイユに咲いた華麗な花と呼ばれ、フランス最後の王妃として断頭台に消える運命にある……。フランス革命を背景に、悲劇の王妃の数奇な生涯を、貧しい少女マルグリット、サド侯爵、フェルセン、ミラボーなど多彩な人物を配して綴る、壮大な歴史ロマン。
  • ラッシュライフ
    4.1
    泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

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  • オー!ファーザー
    4.1
    父親が四人いる!? 高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件──。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。
  • 羊たちの沈黙(上)(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻693~737円 (税込)
    獲物の皮を剥ぐことから“バッファロウ・ビル”と呼ばれる連続女性誘拐殺人犯が跳梁する。要員不足に悩まされるFBIが白羽の矢を立てたのは訓練生クラリス・スターリング。彼女は捜査に助言を得るべく、患者を次々に殺害して精神異常犯罪者用病院に拘禁されている医学博士ハンニバル・レクターと対面するが――。1980年代末からサスペンス/スリラーの潮流を支配する“悪の金字塔”!
  • 母性(新潮文庫)
    4.3
    女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語(ミステリー)。(解説・間室道子)
  • 老人と海
    3.8
    キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく……。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
  • 星の王子さま
    4.3
    砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった……。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後七十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。
  • 騎士団長殺し(第1部~第2部)合本版(新潮文庫)
    4.5
    1巻2,508円 (税込)
    一枚の絵が、秘密の扉を開ける――妻と別離し、小田原の海を望む小暗い森の山荘に暮らす36歳の孤独な画家。緑濃い谷の向かいに住む謎めいた白髪の紳士が現れ、主人公に奇妙な出来事が起こり始める。雑木林の中の祠、不思議な鈴の音、古いレコードそして「騎士団長」……想像力と暗喩が織りなす村上春樹の世界へ! ※当電子版は新潮文庫版『騎士団長殺し』第1部~第2部の全4冊をまとめた合本版です。
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)
    4.2
    ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく「水中都市」、コモン君が、見馴れぬ植物になる話「デンドロカカリヤ」。安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原型となった「闖入者」や「飢えた皮膚」など、寓意とユーモアあふれる文体の内に人間存在の不安感を浮び上がらせた初期短編11編を収録。(解説・ドナルド・キーン)
  • 八月の銀の雪(新潮文庫)
    4.0
    憂鬱な不採用通知、幼い娘を抱える母子家庭、契約社員の葛藤……。うまく喋れなくても否定されても、僕は耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。磁場を見ているハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルに吹き続ける偏西風の永遠に。表題作の他「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の五編。(解説・橋本麻里)
  • 同時代ゲーム
    4.3
    海に向って追放された武士の集団が、川を遡って、四国の山奥に《村=国=家=小宇宙》を創建し、長い〈自由時代〉のあと、大日本帝国と全面戦争に突入した!? 壊す人、アポ爺、ペリ爺、オシコメ、シリメ、「木から降りん人」等々、奇体な人物を操り出しながら、父=神主の息子〈僕〉が双生児の妹に向けて語る、一族の神話と歴史。得意な作家的想像力が構築した、現代文学の収穫1000枚。
  • 旧約聖書を知っていますか
    4.2
    「旧約聖書」を読んだことがありますか? 天地創造を扱う創世記あたりはともかく、面倒なレビ記申命記付近で挫折という方に福音です! 預言書を競馬になぞらえ、ヨブ記をミュージカルに仕立て、全体の構成をするめにたとえ――あらゆる意味での西欧の原点「旧約聖書」の世界を、枝葉末節は切り捨て、エッセンスのみを抽出して解説した、阿刀田式古典ダイジェストの決定版。

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  • デス・ストランディング(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    死者が生者を呑み込み、絶滅に至らしめる謎の現象「デス・ストランディング」によって、国家は崩壊し、人々は分断され孤立して生きていた。死の世界から帰還する能力を持つ伝説の配達人、サム・ポーター・ブリッジズは、育ての母である合衆国最後の大統領・ブリジットから、都市や人々を繋ぎアメリカを再建する任務を託される。ゲーム『DEATH STRANDING』完全ノベライズ! ※当電子版は新潮文庫版『デス・ストランディング』上下巻をまとめた合本版です。
  • 豆の上で眠る(新潮文庫)
    3.8
    小学校一年生の時、結衣子(ゆいこ)の二歳上の姉・万佑子(まゆこ)が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微(かす)かな違和感を抱き続けている。――お姉ちゃん、あなたは本物なの? 辿り着いた真実に足元から頽(くずお)れる衝撃の姉妹ミステリー。(解説・宇田川拓也)
  • おとうと(新潮文庫)
    3.9
    1巻605円 (税込)
    高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。(解説・篠田一士)
  • 新三河物語(上中下)合本版(新潮文庫)
    値引きあり
    -
    永禄3年(1560年)、織田信長の急襲に遭って、今川義元は桶狭間に斃れた。義元に頤使されていた松平元康(家康)は父祖の地、西三河は岡崎城に戻り、悲願の独立を果たす。だが息継ぐ間もなく、一向一揆が勃発。血縁者が敵味方に分かれ、相争う国力消耗の未曾有の事態から家康を救ったのは大久保忠俊(常源)だった。忠俊率いる大久保一党の決死の進退が深く胸を打つ戦国歴史小説の巨編。 ※当電子版は新潮文庫版『新三河物語』上中下巻をまとめた合本版です。
  • 陽だまりの彼女(新潮文庫)
    4.1
    幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで──その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさも、すべてつまった完全無欠の恋愛小説。
  • オーデュボンの祈り
    4.1
    コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか? 伊坂幸太郎、伝説のデビュー作見参!
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)
    4.0
    誰からも愛された弟には、誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟、希望(のぞむ)。行方を追う兄の誠実(まさみ)は、関係者の語る姿を通し弟の持つ複数の顔を知る。本当の希望(のぞむ)はどこにいるのか。記憶を辿るうち、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うこととなる――。痛みを抱えたまま大人になった兄弟が、それぞれの「希望(きぼう)」を探す優しいエールに満ちた物語。文庫化にあたり、書下ろし短篇を収録。(解説・山中真理)
  • 婚活1000本ノック(新潮文庫)
    4.1
    1巻693円 (税込)
    これは実話であり、登場するすべての人物・団体は実在する――。南綾子31歳、独身、売れない小説家。冬の夜、かつて「クソ男・オブ・ザ・イヤー」を授与した山田が現れ、わたしに婚活を命じる。遊び相手に殺されて幽霊となった山田は、わたしの婚活成功を頼みに成仏を狙うらしい。お料理合コン、お見合いパーティ、漁師の嫁募集。奮起しては絶望する綾子だったが。熾烈で切実な婚活小説!(解説・豊島ミホ)
  • 欺す衆生(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,155円 (税込)
    戦後最大の詐欺集団、横田商事。その崩壊を目撃した隠岐隆は同じく元社員の因幡充に勧誘され、嫌々ながら再び悪事に手を染める。次第に才能を開花させる隠岐。さらには二人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが加わってきた。口舌で大金を奪い取ることに憑かれた男たち。原野商法から海外ファンドにまで沸騰してゆく遊戯の果てに見えるのは光明か地獄か。山田風太郎賞受賞の犯罪巨編。(解説・酒井貞蔵)
  • 決壊(上)
    4.0
    1~2巻693~737円 (税込)
    地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。

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  • 死者の奢り・飼育
    4.0
    死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。
  • ボトルネック
    3.8
    亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
  • 最後の伝令
    4.0
    肝硬変末期、全身が衰弱しつつある窓際会社員の体内で情報細胞の最後の旅が始まった。行く先々で様々な情報を蓄えつつ、めざすは延髄末端の十二番街。臓器という都市の混乱を緊迫した筆致で描く表題作ほか、現実と虚構の融合を語る「瀕死の舞台」。桜の木が切々と陳述する「樹木法廷に立つ」等、SF回帰と熱狂的に迎えられ、“死”をめぐる文学的野心作とも激賞された傑作14編。
  • 新版 貧困旅行記
    4.1
    日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい――やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える……。主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。
  • いとみち(新潮文庫)
    4.2
    1~3巻693~737円 (税込)
    相馬いと。青森の高校に通う16歳。人見知りを直すため、思い切ってはじめたアルバイトは、なんとメイドカフェ。津軽訛りのせいで挨拶も上手に言えず、ドジばかりのいとだったが、シングルマザーの幸子やお調子者の智美ら先輩に鍛えられ、少しずつ前進していく。なのに! メイドカフェに閉店の危機が~~。初々しさ炸裂、誰もが応援したくなる最高にキュートなヒロインの登場です。
  • 移動祝祭日
    4.0
    1920年代、パリ。未来の文豪はささやかなアパートメントとカフェを往き来し、執筆に励んでいた。創作の苦楽、副業との訣別、“ロスト・ジェネレーション”と呼ばれる友人たちとの交遊と軋轢、そして愛する妻の失態によって被った打撃。30年余りを経て回想する青春の日々は、痛ましくも麗しい――。死後に発表され、世界中で論議の渦を巻き起こした事実上の遺作、満を持して新訳で復活。
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)
    4.0
    ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに括り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した……。坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ――果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは? 急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!(解説・ドナルド・キーン)
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)
    4.0
    自分の部屋に見ず知らずの死体を発見した男が、死体を消そうとして逆に死体に追いつめられてゆく『無関係な死』、試合中のボクサーの意識の流れを、映画的手法で作品化した『時の崖』、ほかに『誘惑者』『使者』『透視図法』『なわ』『人魚伝』など。常に前衛的主題と取り組み、未知の小説世界を構築せんとする著者が、長編「砂の女」「他人の顔」と並行して書き上げた野心作10編を収録する。(解説・清水徹)
  • 笑う月(新潮文庫)
    3.8
    笑う月が追いかけてくる。直径1メートル半ほどの、オレンジ色の満月が、ただふわふわと追いかけてくる。夢のなかで周期的に訪れるこの笑う月は、ぼくにとって恐怖の極限のイメージなのだ――。交錯するユーモアとイロニー、鋭い洞察。夢という〈意識下でつづっている創作ノート〉は、安部文学生成の秘密を明かしてくれる。表題作ほか著者が生け捕りにした夢のスナップショット全17編。
  • AI監獄ウイグル(新潮文庫)
    -
    中国新疆ウイグル自治区には、ホロコースト以来、史上最大規模の少数民族の強制収容所が作られた。収容されるのは、AIに将来犯罪者になると「予想」された無実の人たち。数百万台の監視カメラ、身分証のスキャン、SNSからのデータ収集……テクノロジーを駆使した監視網が、ウイグル人への弾圧を強めていく。そしてその先に待つのは――。丹念な取材で隠された真実に迫る衝撃のノンフィクション。(解説・阿古智子)
  • 音楽は自由にする(新潮文庫)
    4.3
    「あまり気が進まないけれど」と前置きしつつ、日本が誇る世界的音楽家は語り始めた。伝説的な編集者である父の記憶。ピアノとの出合い。幼稚園での初めての作曲。高校での学生運動。YMOの狂騒。『ラストエンペラー』での苦闘と栄光。同時多発テロの衝撃。そして辿りついた新しい音楽――。華やかさと裏腹の激動の半生と、いつも響いていた音楽への想いを自らの言葉で克明に語った初の自伝。
  • スカラムーシュ・ムーン(新潮文庫)【電子特典付き】
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    新型インフルエンザ騒動で激震した浪速の街を、新たな危機が襲う。今度は「ワクチン戦争」が勃発しようとしていた――霞が関の陰謀を察知した異端の医師・彦根新吾は、ワクチン製造に必要な鶏卵を求めて加賀へ飛び、さらに資金調達のために欧州へと旅立つ。果たして、彦根が挑む大勝負は功を奏するのか? 浪速の、そして日本の医療の危機を救えるのか。メディカル・エンタメの最高傑作! ※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
  • 全世界史(上下)合本版(新潮文庫)
    値引きあり
    -
    複雑きわまる世界史も、たったひとつの歴史=全世界史として読めばもっとわかる、もっと面白い。歴史書一万冊を読んできた著者ならではの切り口で文字の誕生から混迷の現代までを縦横無尽に語る。古代オリエントからローマ、中国、イスラム、モンゴルの歴史がひとつに融合することで日本史の見え方も一新する。現代社会を見る目が変わる、世界史教科書の新・定番。 ※当電子版は新潮文庫版『全世界史』上下巻をまとめた合本版です。
  • 警官の条件
    4.1
    警部に昇任し、組織犯罪対策部第一課の係長に抜擢された、安城和也。彼は自らのチームを指揮し、覚醒剤の新たな流通ルートを解明しようと奮闘していたが、過程で重大な失策を犯してしまう。重苦しいムードに包まれる警視庁に、あの男が帰ってきた。かつて、“悪徳警官”として石もて追われたはずの、加賀谷仁が! 警察小説の頂点に燦然と輝く『警官の血』──白熱と慟哭の、第二章。
  • デミアン
    4.1
    ラテン語学校に通う10歳の私、シンクレールは、不良少年ににらまれまいとして言った心にもない嘘によって、不幸な事件を招いてしまう。私をその苦境から救ってくれた友人のデミアンは、明るく正しい父母の世界とは別の、私自身が漠然と憧れていた第二の暗い世界をより印象づけた。主人公シンクレールが、明暗二つの世界を揺れ動きながら、真の自己を求めていく過程を描く。
  • あと少し、もう少し
    4.4
    陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。
  • サキの忘れ物(新潮文庫)
    3.7
    自分には何にも夢中になれるものがない――。高校をやめて病院併設の喫茶店でアルバイト中の千春は、常連の女性が置き忘れた本を手にする。「サキ」という外国人の男性が書いた短篇集。これまでに一度も本を読み通したことがない千春だったが、その日からゆっくりと人生が動き始める。深く心に染み入る表題作から、謎めいた旅行案内、読者が主役のゲームブックまで、かがやきに満ちた全九編。(解説・都甲幸治)
  • 日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―(新潮文庫)
    4.5
    お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。(解説・柳家小三治)
  • 螻蛄―シリーズ疫病神―
    4.1
    信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタントの二宮とイケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、怪しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運は? 人気シリーズ「疫病神」第2弾。
  • ハンニバル・ライジング(上)(新潮文庫)
    3.4
    1941年、リトアニア。ナチスは乾坤一擲のバルバロッサ作戦を開始し、レクター一家も居城から狩猟ロッジへと避難する。彼らは3年半生き延びたものの、優勢に転じたソ連軍とドイツ軍の戦闘に巻き込まれて両親は死亡。残された12歳のハンニバルと妹ミーシャの哀しみも癒えぬその夜、ロッジを襲ったのは飢えた対独協力者の一味だった……。ついに明かされる、稀代の怪物の生成過程!
  • ギリシア人の物語1―民主政のはじまり―(新潮文庫)
    4.5
    1~4巻825~1,320円 (税込)
    古代ギリシアで民主政はいかにして生まれ、いかに有効活用され、見事に機能したのか? なぜ現代まで脈々と続く哲学や科学、芸術の起源となることができたのか? そこには数少ない市民で強大な帝国ペルシアと対峙しなければならない、苛酷な状況があった――。ギリシア人なくしてローマ人なし。「ローマ人の物語」以前の世界を描き、現代の民主主義の意義までを問う著者最後の歴史長編全四巻。
  • パルムの僧院(上)
    3.8
    1~2巻605~737円 (税込)
    イタリアの大貴族デル・ドンゴ家の次男ファブリスは“幸福の追求”に生命を賭ける情熱的な青年である。ナポレオンを崇敬してウァテルローの戦場に駆けつけ、恋のために殺人を犯して投獄され、獄中で牢獄の長官の娘クレリア・コンチと激しい恋におちる……。小公国の専制君主制度とその裏に展開される政治的陰謀を克明に描き、痛烈な諷刺的批判を加えるリアリズム文学の傑作である。
  • オルタネート(新潮文庫)
    4.3
    高校生限定のSNSアプリ「オルタネート」が必須の現代。料理コンテストでの失敗に悩む調理部部長の蓉(いるる)は、再びの挑戦を決断。高校を辞め居場所を探す尚志(なおし)は、音楽家らのシェアハウスに潜り込む。オルタネートを信奉する凪津(なづ)は、アプリが導く運命の相手を探す。そして文化祭の初日、三人それぞれに起こる奇跡――。10代の過酷さと煌めきを鮮やかに切り取る、青春小説の新たなマスターピース。(解説・重松清)
  • この気持ちもいつか忘れる(新潮文庫)
    3.7
    毎日が退屈だ。楽しいことなんて何もない。授業を受けるだけの日日を過ごす男子高校生のカヤは、16歳の誕生日を前に謎の少女チカと出会う。美しい目を光らせ不思議なことを話すチカ。彼女は異世界の住人らしいのだが、二つの世界では奇妙なシンクロが起きていた。そして、チカとの出会いを重ねるうちカヤの心にはある変化が起き……ひりつく思いと切なさに胸を締め付けられる傑作恋愛長編。(解説・菅波栄純)
  • 刺青・秘密
    3.9
    肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全7編を収める。

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  • 老人と海(新潮文庫)
    4.1
    八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが――。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。
  • 少女葬(新潮文庫)
    3.9
    一人の少女が壮絶なリンチの果てに殺害された。その死体画像を見つめるのは、彼女と共に生活したことのあるかつての家出少女だった。劣悪なシェアハウスでの生活、芽生えたはずの友情、そして別離。なぜ、心優しいあの少女はここまで酷く死ななければならなかったのか? 些細なきっかけで醜悪な貧困ビジネスへ巻き込まれ、運命を歪められた少女たちの友情と抗いを描く衝撃作。『FEED』改題。(解説・大矢博子)
  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)
    4.2
    人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。(解説・日野剛広)
  • 殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―
    4.4
    5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか? なぜ「足利事件」だけが“解決済み”なのか? 執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す――。新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。
  • 華麗なる一族(上)
    4.2
    1~3巻825~902円 (税込)
    業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。

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  • アルマジロの手―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)
    3.0
    彼は「手が……アルマジロの手が」というばかりだったのです――。不気味な緊張感を孕む怪奇な作品「アルマジロの手」、美しい姫君に恋をした狸の哀切「心中狸」、むさぼり喰らう快楽にとり憑かれた男の無上の幸福「月と鮟鱇男」の他、「海亀祭の夜」「蓮根ボーイ」「鰻池のナルシス」、そして甘美な爛熟世界に堕ちた男を描く傑作「魔楽」を収録。官能の深みと生の哀しみを短編に昇華させた七編。(解説・鵜飼哲夫)
  • 破船
    4.3
    1巻528円 (税込)
    二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習“お船様”が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。

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  • 太陽の塔(新潮文庫)
    3.9
    私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
  • ヘッセ詩集
    3.8
    ひたすら詩人になりたいと願い、苦難の道のりをひとり歩み続けたドイツ最大の抒情詩人ヘッセ。仮借ない自己探求の賜物である淡々とし飄々とした風格は、われわれ日本人の心に深く共鳴するものを備えている。18歳のころの処女詩集より70余歳の晩年に及ぶ彼の全詩集から、その各期にわたる代表作をすべて抜萃し、ノーベル賞に輝く彼の小説に勝るとも劣らぬヘッセの詩境を紹介する。
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)
    4.6
    ノンちゃん雲に乗る、クマのプーさん、ピーター・ラビットなど作家・翻訳者・編集者として幾多の名作を世に送り出し、溢れる才能のすべてを「子ども時代の幸福」に捧げた101年の生涯。200時間に及ぶインタビューや書簡、綿密な取材をもとに、戦前戦中の活動や私生活にも迫る。子どもの本で人々を勇気づけ、児童文学の星座で強い光をはなつ石井桃子の稀有な人生を描いた、初の本格評伝。(解説・川本三郎) ※当電子版には、新潮文庫版に掲載の写真の一部は収録しておりません。ご了承ください。
  • 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(上)―(新潮文庫)
    完結
    3.8
    全4巻605~693円 (税込)
    一枚の絵が、秘密の扉を開ける――妻と別離し、小田原の海を望む小暗い森の山荘に暮らす36歳の孤独な画家。緑濃い谷の向かいに住む謎めいた白髪の紳士が現れ、主人公に奇妙な出来事が起こり始める。雑木林の中の祠、不思議な鈴の音、古いレコードそして「騎士団長」……想像力と暗喩が織りなす村上春樹の世界へ!
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)
    3.9
    うしろ姿が美しい男に恋をし、銀色のダンベルをもらう。掌大の小さな人を救うため、銀座で猫と死闘。きれいな魂の匂いをかぎ、夜には天罰を科す儀式に勤しむ。精神年齢の外見で暮らし、一晩中ワルツを踊っては、味の安定しないお茶を飲む。きっちり半分まで食べ進めて交換する駅弁、日曜日のお昼のそうめん。恋でも恋じゃなくても、大切な誰かを思う熱情がそっと心に染み渡る、18編の物語。※本書の解説は紙の本にのみ収録されています。電子書籍版には収録がございませんのでご注意ください。
  • 義烈千秋 天狗党西へ
    4.6
    開国から十年。貿易の激化で北関東の民は困窮していた。水戸藩士・藤田小四郎は、幕政を正し外敵を掃おうと各地に書状を放つ。集まったのは貧しくも真摯に国を想う、若き志士たち。一同は筑波山で挙兵するが、幕府の討伐軍が迫り来る。内部分裂、強大な追手、峻烈な山越え。犠牲を払いながらも、一橋慶喜に志を訴えるべく京を目指し――。理想に燃えた男たちの歩みに涙する、歴史長編。
  • 雑司ヶ谷R.I.P.(新潮文庫)
    4.2
    “雑司ヶ谷の妖怪”こと、泰幸会教祖・大河内泰が死んだ。享年102。葬儀に参列するため中国から帰国した俺を待っていたのは、ババアが書き残した謎の遺書。教祖のイスと莫大な財産は俺の父親に譲るというが、親父ならとっくに死んでいる。ババアの魂胆は何か? 初代教祖の戦前戦後の過去と、二代目就任をめぐる抗争劇の現代が交錯する、衝撃の問題作「雑司ヶ谷」シリーズ第二弾。
  • 量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突―(新潮文庫)
    4.6
    1900年、放射線の不可思議な現象を説明するため、M・プランクは「量子」という概念を考案した。その後、天才たちはこれを武器にニュートン力学を覆して、新しい世界像を提示し続ける。量子力学の解釈をめぐるアインシュタインとボーアの論争を軸に、ハイゼンベルク、ド・ブロイ、シュレーディンガーなどの人間ドラマも交え、物理学百年の流れを追った白熱の科学ノンフィクション。(解説・竹内薫)
  • 数学者たちの楽園―「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち―(新潮文庫)
    3.6
    アメリカの超人気アニメ『ザ・シンプソンズ』は、ハーバード大学の数学者たちがシナリオを書き、超難解な「数学トリビア」がちりばめられていたこと、ご存じですか? 番組の熱狂的ファンである著者が、シンプソンズ一家が繰り広げるドタバタ風刺アニメに隠された数学の魅力とサブカル的ディテールを語り尽くす。アメリカの知性あふれる笑いと毒の粋を発掘する異色の科学ノンフィクション。(解説・竹内薫)
  • 嘘 Love Lies(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,045円 (税込)
    幼い頃に養父を亡くし、母親の愛人から日常的に暴力を受けていた刀根秀俊に、十四歳のとき初めて気の置けない存在ができた。同じクラスの美月、陽菜乃、亮介だ。四人で過ごすかけがえのない時間は、しかし、ある事件で一変する。それから二十年。秀俊は暴力の連鎖から抜け出せず、彼を思う美月、そして陽菜乃と亮介もまた、秘密と後悔にもがいていた。絶望の果てに辿り着く、究極の愛の物語!(解説・馳星周)
  • 風が強く吹いている(新潮文庫)
    4.7
    箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。(解説・最相葉月)
  • ボヴァリー夫人
    3.9
    娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、徹底した推敲を施した原文の息づかいそのままに日本語に再現した決定版新訳。
  • 人間をお休みしてヤギになってみた結果(新潮文庫)
    4.0
    仕事はパッとしないし、彼女に怒られるしで、ダメダメな日々を送る僕。いっそヤギにでもなって人間に特有の「悩む」ことから解放されることはできないだろうか……というわけで本気(まじ)でやってみました。四足歩行の研究のためにヤギを解剖し、草から栄養をとる装置を開発。医者に止められても脳の刺激実験を繰り返し――。イグノーベル賞を受賞した抱腹絶倒のサイエンス・ドキュメント。
  • 一死、大罪を謝す─陸軍大臣阿南惟幾─
    -
    昭和二十年八月十五日朝、劇的な自決を遂げた陸相・阿南惟幾。帝国陸軍の典型的軍人として平凡な道を歩んでいた彼は、突然、その生涯最後の四カ月、歴史の表舞台に引き出された。巨大な組織の統率者として敗戦へ向う過程で、彼は何を考え、何を為そうとしたのか。――一切を語らず自決した軍人・阿南惟幾の行動を緻密にたどり、歴史の事実として捉えた、帝国陸軍の擡頭と崩壊の日。
  • 沙林 偽りの王国(上)(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻825円 (税込)
    1995年3月20日月曜日の朝。東京の地下鉄は突然、阿鼻叫喚に包まれた。複数路線での同時テロ。車内では正体不明の液体が異臭を放ち、通路で地上で人々は次々と倒れた。毒物はサリン。その治療法を熟知していたのは九州大学医学部だった。九大チームは、前年の松本サリン事件でいち早く毒物を特定、捜査方針に大きな疑問を呈していたのだ……。医師で作家の著者にしか描けないオウムの全貌。
  • 守教(上)(新潮文庫)
    4.5
    1~2巻825~880円 (税込)
    九州の筑後領高橋村。この小さな村の大庄屋と百姓たちは、キリスト教の信仰を守るため命を捧げた。戦国期から明治まで三百年。実りの秋も雪の日も、祈り信じ教えに涙する日々。「貧しい者に奉仕するのは、神に奉仕するのと同じ」イエズスの言葉は村人の胸に沁み通り、恩寵となり、生きる力となった。宣教師たちは諸国を歩き、信仰は広がると思われたが、信長の横死を機に逆風が吹き始める。
  • パラサイト・イヴ
    3.7
    事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。Eve1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめる――。空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。

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  • リカーシブル
    4.1
    越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷に越してきた少女は、弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始める。だが、町では高速道路の誘致運動を巡る暗闘と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出していた。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ……。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。
  • 輪舞曲(新潮文庫)
    3.4
    私、四十になったら死ぬの。松井須磨子の後を継ぐと目された女優、伊澤蘭奢が、口癖の通り早逝した。そして集まった四人の男。愛人兼パトロンである実業家の内藤、蘭奢が人妻だった頃からの恋人、徳川夢声、サロンに出入りする帝大生の福田、そして生き別れの息子、佐喜雄。彼らそれぞれが見た蘭奢の姿が、一人の女の像を結び始める――。男たちを幻惑しながらもひとすじに生きたある女優の肖像。
  • 孤高の人(上下)合本版(新潮文庫)
    値引きあり
    4.7
    1巻1,031円 (税込)
    昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。 ※当電子版は新潮文庫版『孤高の人』上下巻をまとめた合本版です。
  • 洪水はわが魂に及び(上)
    5.0
    1~2巻627円 (税込)
    50種の野鳥の声を識別する知恵遅れの幼児ジンと共に、武蔵野台地の核避難所跡に立て籠り、「樹木の魂」「鯨の魂」と交感する大木勇魚(いさな)。世界の終末に臨んでなお救済を求めず、自らの破滅に向って突き進む「自由航海団」の若者たち……。世代を異にする両者の対立・協同のうちに、明日なき人類の嘆きと怒り、畏れと祈りをパセティックに描いて、野間文芸賞を得た渾身の純文学巨編。
  • 雄気堂々(上下)合本版(新潮文庫)
    値引きあり
    -
    1巻1,016円 (税込)
    近代日本最大の経済人渋沢栄一のダイナミックな人間形成の劇を、幕末維新の激動の中に描く雄大な伝記文学。武州血洗島の一農夫に生れた栄一は、尊皇攘夷の運動に身を投じて異人居留地の横浜焼打ちを企てるが、中止に終った後、思いがけない機縁から、打倒の相手であった一橋家につかえ、一橋慶喜の弟の随員としてフランスに行き、その地で大政奉還を迎えることになる。 ※当電子版は新潮文庫版『雄気堂々』上下巻をまとめた合本版です。
  • 優駿(上下)合本版(新潮文庫)
    値引きあり
    -
    1巻1,001円 (税込)
    生れる仔馬が牡馬でありますように。風の申し子のように速く、嵐みたいに烈しく、名馬の天命をたずさえて生れますように……。若者の祈りに応(こた)えて、北海道の小さな牧場に、一頭のサラブレッドが誕生した。オラシオン(祈り)と名づけられた仔馬は、緑と光の原野のなかで育ち、順調に競走馬への道を歩みはじめるが、それと共に、登場人物ひとりひとりの宿命的な劇(ドラマ)が、幕を開けた――。 ※当電子版は新潮文庫版『優駿』上下巻をまとめた合本版です。
  • ぎょらん(新潮文庫)
    4.2
    人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。(解説・壇蜜)
  • 鉄の楽園(新潮文庫)
    4.0
    1巻935円 (税込)
    東南アジアの新興国・R国に、日本が世界に誇る鉄道インフラを売り込め! 四葉商事の相川翔平は、受注競争で中国に負け続きの現状を打破すべく、秘策を練っていた。同じ目標を持つ経産省の官僚、竹内美絵子は、日本の人材レベルの高さに目をつけ、斬新なアイデアを打ち出す。中国に勝つための鍵は、R国の次期首相に立候補したキャサリンだった――。日本再生を予見する、希望溢れる企業小説。(解説・村上貴史)
  • 黒い画集
    4.2
    安全と出世を願って平凡に生きる男の生活に影がさしはじめる。“密通”ともいうべき、後ろ暗く絶対に知られてはならない女関係。どこにでもあり、誰もが容易に経験しうる日常生活の中にひそむ深淵の恐ろしさを描いて絶讃された連作短篇集。部下のOLとの情事をかくしおおすために、殺人容疑を受けた知人のアリバイを否定し続けた男の破局を描いた「証言」など7篇を収める。

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  • セラピスト
    4.0
    『絶対音感』『星新一』の著者が選んだ次なるテーマは、〈心の病〉だった――。河合隼雄の箱庭療法を試み、中井久夫から絵画療法を受け、自らもカウンセリングを学んだ。心の治療のあり方に迫り、セラピストとクライエントの関係性を読み解く。そして五年間の取材ののち、〈私〉の心もまた、病を抱えていることに気づき……。現代を生きるすべての人に響く、傑作ドキュメンタリー。文庫版特別書き下ろし「回復の先に道をつくる」を収録!
  • 風神の手(新潮文庫)
    3.9
    1巻1,045円 (税込)
    あの日、風が吹かなければ、私は生まれてこなかった――。藤下歩実は母の奈津実とともに遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた。病を抱えた母の撮影のために。そこに飾られた一枚の写真を目にして、母はひどく動揺した様子を見せる。小学五年生の男子二人組、入院中の高齢女性。川沿いの町に暮らす人々が発した幾重もの嘘が、思いもよらぬ場所へと流れ込み……。奇跡の本当の意味を知るミステリ。(解説・香山二三郎)
  • イノセント・デイズ(新潮文庫)
    4.2
    田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。

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