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日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい――やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える……。主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。
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Posted by ブクログ
読みやすさ ★★★★★ 面白さ ★★★★★ ためになった度 ★★★ 何度も読んだ、自分にとってバイブルのような本の一つ。つげさんは、ご自身では文章を書くのは苦手と言っているが、なかなか味わい深い文を書く。p250の家畜小屋のくだりが特に好きだ。
千葉県の大原や、上野原の旧甲州街道、東京都の深部など観光にとってマイナーな場所のマイナーな宿を綴った一風風変わりなC級旅行記。
巻頭に昭和45年当時の鄙びた山村、漁村、温泉宿の写真が載せられるが、もはや探しても見られなくなった絶滅風景か。ここ写る子どもたちは、そうか、ちょうど自分と同じくらいの年齢なわけだ。かつて、未舗装路に並ぶ掘っ立ては我がまちにもあったが、ここまで寂れて侘しい風景は記憶にあるような、ないような。わずかばか...続きを読むりの我が深山幽谷の旅では、著者の望む趣きもないのだけれど、仲間と泊した九州の安宿、がっかり民宿ほど想い出深く語りぐさになっている。旅人は訪れた地域の風情や風習をけがしてはならず、寄らせていただく気分が大切だが、迎える側も外貨稼ぎで俗化したサービスに努め、旅人が観光客と呼ばれ、お客様気分になった時点で、ここに載せられる旅は失われたんだろう。
「失踪」に憧れ、 全国を広範囲でうろうろしているはずなのに、 何故か 『日常』から逃れられないつげさん。 彼が描く異世界に何故か既視感を覚えてしまうのは そういうとこが原因か??
ファンレターを頼りに、会ったこともない女性と結婚するため九州に旅立つという蒸発シーンからスタート。 相変わらずのショボくれ感と、厭世的な貧しさがジワジワと滲み出る文章がたまらなく心地よい。
全編、何ともまったりとした侘びしさ。いや、でも暗くはないのだ。 それは著者が、自分で自分を面白がってしまうようなユーモア性を隠し持ち、淡々としながらもどこか魅力的な文章を書くせいなのかもしれない。 知る人ぞ知る山奥の鉱泉で出会う不便で粗末な作りの宿屋や、陰々滅々として絶望的な景色の中にこそ、著者は心...続きを読むの底から幸福感を得るようだ。 大自然を目の前にして、自分自身がケシつぶのようなちっぽけな存在であることを実感する旅。自由とは自分からの自由にほかならない。 つげ義春の旅は、まさに”自分なくしの旅”なのだろう。 また奥さんや子供と一緒に、所謂名所や観光地などにも出かけている。(鎌倉随歩) 中でも、鎌倉の長谷寺で十一面観音に会った時の文章に激しく共感する。 ── 薄暗い本堂の正面には、そこだけライトに照らされて、金色に輝く巨大な観音像が立っていた。私は子どもと冗談を云ったりしながらそこへ入っていきなり出会って虚(きょ)を衝(つ)かれ、思わず息をのんだ。その観音像が生身の生きた仏像がそこにいるのかと錯覚を起こしそうになったのだった。ふつう神や仏は目に見えないもので、だからそんなものは存在しないと頭から否定したり、半信半疑だったりするわけだが、そこにある高さ九メートルの見上げるばかりの彫像は、物凄いリアリティで仏の存在をしめしているかのようであった。私は何故かしらうろたえてしまった。 ── ありがとう。こんな紀行文に出会えて、よかったです。
数ヶ月ぶりに出会う良本!すごいおもしろい! マンガ家が書いたエッセイなのに、つげ義春なのに、こんなにおもしろいとは予想できなかった。 殿堂入りです。
ちょうどインドのラダックを真冬に旅している時に読んでいた本。寒さと貧困さが身に沁みてなかなか読み進まなかったが、ネパールでまったり過ごしていた時に読んだらとても痛快だった。なによりも昭和のしなびた温泉街の写真が貴重だった。原風景は、今やほとんど残ってない。
淡々とした良い文章で、ほのぼの。金銭的には「貧困」でも時間的にはとっても「贅沢」!電車に揺られながら読みたい一冊。
つげ義春『新版 貧困旅行記』新潮文庫。 社会に縛られることを好まず、それでいてあり得ない妄想を抱く臆病で小心者の著者が昭和の時代に主に温泉地を巡った貧乏旅行記。 多数のレトロな写真と共に様々な所を訪れた旅行の顛末が味わい深い文章で綴られる。 漫画や小説を書くということは自身の身と心を削る大変な...続きを読む仕事なのだろうか。昔の漫画家や小説家には突然失踪したり、蒸発したりという例が、まま有ってように思う。 昭和の旅行と言ったら鄙びた温泉。東京ネズミーランドもリゾート地も無い時代で、海外旅行も庶民には高嶺の花。そんな時代に鉄道やバスを使って誰も知り合いの居ない土地に行き、ゆっくり過ぎる時間を過ごすのもまた格別。 本体価格590円(古本100円) ★★★★
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