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肝硬変末期、全身が衰弱しつつある窓際会社員の体内で情報細胞の最後の旅が始まった。行く先々で様々な情報を蓄えつつ、めざすは延髄末端の十二番街。臓器という都市の混乱を緊迫した筆致で描く表題作ほか、現実と虚構の融合を語る「瀕死の舞台」。桜の木が切々と陳述する「樹木法廷に立つ」等、SF回帰と熱狂的に迎えられ、“死”をめぐる文学的野心作とも激賞された傑作14編。
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Posted by ブクログ
随分昔読んだものを再読。やはり良かった。特に巧いなあと感じたのは『九死虫』『あのふたり様子が変』、感覚的に好きなのが『禽獣』『瀕死の舞台』。
内容は 筒井さんの短編14編。 どれもこれも設定が大好きなのだけど 読んでると暇になってくる話もいつものごとくしばしば。 中でも、 両親を亡くした子が書いた手紙の『北極王』や 樹木が法定の証言台に立つ『樹木 法廷に立つ』や いじめで飛び降り自殺した少年がウロウロする『二度死んだ少年の記録』 などもお...続きを読むもしろいけれど 特に、 肝硬変で死んでしまう体内の細胞たちの会話『最後の伝令』と 8回生きて9回死ぬ虫による『九死虫』がとても良い。
短編など十四作品を収録しています。 「九死虫」は、八回死んでは再生し、九回目の死でこの世界から完全に存在を消失する虫の物語。古来多くの哲人たちが思索をつづけてきた「死」が、たった一度きりの人生という条件をすこし変更するだけで、異なる相貌を見せることに興味をおぼえました。 「公衆排尿協会」は、トイ...続きを読むレがつかえなくなったために、せまりくる尿意に耐えながら右往左往する男の物語。バカバカしいですが、読んでいてなんとなくこちらも切羽詰まった気持ちにさせられてしまいます。 表題作の「最後の伝令」は、不摂生がたたって死がせまっている人間の身体のなかで起こっているできごとを、さまざまな器官の擬人化によって表現した物語です。 「瀕死の舞台」は、八十歳を越える名優の中原伊助が老衰の死を直前にして、寝たきり老人の役で舞台に出演する話。まさに「舞台のうえで死ぬ」ことを実現した、幸せな男の最期というべき内容です。
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