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東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。
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Posted by ブクログ
101代続く総理大臣のなかでお世辞にも有名とは言えない人物であり正直いって本書に触れるまで広田弘毅を知らなかったが一読で大ファンになれるほど、細やかな調査と強いリスペクトのもと、グズと言われた男を決して美化することなく書いており「自ら計らわず」の生き方を真似たいと思わせるほど、カッコいい。必読。
戦前から戦後までの日本が描かれていた。 義務教育で学んだ時の印象とは全然違った。 日本も、欧州も。 もちろん、内容はどの立場かによって大きく変わるんだろうなと思う。けれども、広田さんの和平外交は少しでも今の日本を残した理由だと信じたいと思った。 軍の暴走は、誰が悪いとかではなくあの時代の完全に麻痺し...続きを読むた考え方が全てを滅ぼしたんだろうなと思った。 2度と繰り返してはならない。 そう思いながらも、今の政治に不安を覚えたりした。
広田弘毅の事は知らなかったが城山三郎の著書だったので拝読。非常に勉強になったし、広田弘毅の生き方にはリスペクト出来た。 東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元外務官僚、元総理、元外相まで勤めた広田弘毅。 戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に...続きを読むA級戦犯として裁かれ、それを従容として受け入れた広田弘毅の潔い生涯を激動の昭和史と重ねながら克明にたどる。 福岡の石屋の倅として生まれ余りの優秀さゆえに進学。日清、日露戦争で戦争に買ったが外交で負けた日本を見て外交官を目指した。 どんな時も国際情勢を冷静に分析し誠意をもって外交を行う広田は、軍人に負けない強い信念と、粘り強さと、実行力を持つ数少ない人物として、外務省の役人から外務大臣となり総理大臣へ上り詰めた。 常に平和外交を目指して軍部、右傾の世論と冷静に戦い続けた広田だが最終的には太平洋戦争突入を止められなかった。統帥権独立の名の下に軍部は独走し、同じ軍部でも陸軍、海軍が対立。同じ陸軍内でも参謀本部と陸軍省が対立。関東軍の勝手気儘な独走によって事態は修復不能になってしまう。 史実に忠実に描かれた小説で、近代史を理解するのにこれ以上正しく歴史が描かれた小説は少ないと思う良書である。 太平洋戦争、第二次世界大戦について詳しく知らない人でも、飽きずにテンポよく読めるので歴史を知りたい人にもお勧めです。 丁寧な取材により小説化されているので脚色はほとんど無く外務省同期の佐分利貞男の死因を巡る陰謀についても一部、丁寧に描かれているが故に佐分利貞男の遺族より訴えられている。 この裁判は故人に対する名誉毀損が成立するかどうかと一時期大変話題となった。 個人的には、当時としては珍しかったであろう高級官僚であった広田が恋愛結婚を実らせた妻静子との仲にも真実と誠実さが垣間見れた。 静子は広田が巣鴨に収監されたのち、広田を楽にしてあげられる方法が一つあると言い残して思い出の鵠沼の別宅にて自殺している。享年62歳。 東條英機他の軍人A級戦犯達が、13階段に向かう前に万歳三唱を行った事に対して象徴的な皮肉のような冗談を言っている。万歳、万歳を叫び日の丸の旗を押し立てて行った果てに、何があったのか思い知ったはずなのに、ここに至っても、なお万歳と叫ぶのは、漫才ではないのか?
文官で唯一、東京裁判で絞首刑に処された、広田弘毅についての本作。 日本人として必ず読むべき作品だと感じた。 日本の教育って史学を世界史と日本史に分けている上に、理系だと高校以降史学をきちんと学ぶ機会がなかったりするので、日本がどういう風に戦争に向かったのか、きちんと頭で理解出来ていない人が多いので...続きを読むはないか。(大変恥ずかしながら、かくいう私もその一人だし、、、)特に私のような所謂ゆとり世代。 意欲がない人に学べというのは無理があるかもしれないからこそ、義務教育時点できちんと広田弘毅のような人について教えてほしいなあ、、、。
A級戦犯として裁かれ、文官ととして唯一絞首刑となった元首相広田弘毅の話。心打たれるものがあり、日本人なら一度は読んで欲しい作品。
極東裁判で天皇を守るために身を挺して責任を被り、門官で唯一絞首刑となった男の話。 小学生の時に読んで心を打たれた。 もっと世に知られるべき日本の隠れた偉人。
平民宰相である広田弘毅の物語。外務官の広田は平和外交を主として活動するが軍部の暴走により戦争を止めることができなかった。長州の作った憲法により統帥権干犯問題を出され軍部は中国を侵略。極東軍事裁判では自ら証言に立つことなく責任を負い文官で唯一の死刑になる。行政が軍を制御できないとやはり戦争になるのか。...続きを読む広田と同期の吉田も大概な奴だ。紫綬褒章は広田かららしい、文化人にも日が当たるようにしたのだ
1人の男の壮絶な人生の話だった。以前東京裁判のドラマを見た時は裁判官側の視点だったけど、この小説は逆で、何が正しいのかも曖昧になってしまった。 ただ、1人の文官の使命、行動、覚悟を見た時に、心を動かされずにはいられない、ある意味では清々しいしく真っ直ぐな話し。 ただただ感動した。
7人のA級戦犯のうち、ただひとり文官で処刑された広田弘毅の生涯を描いた毎日出版文化賞、吉川英治文学賞受賞作。 広田は福岡の貧しい石屋の子に生まれながら、苦学して外交官の道を選びます。その理由は純粋に日本が外交の力の必要なことを痛感したから。時代は大正、昭和の激動期。本書の前半は幣原喜重郎、松岡洋右、...続きを読む吉田茂といった外務省の一癖も二癖もある人物たちとの対比によって広田の「自ら計らわぬ」という超然とした行き方を浮き彫りにして、広田の人間としての面白さ、魅力を描いていきます。また、満州事変、支那事変の関東軍の暴走を懸命に食い止めようとする広田の外交官としての責任感、平和への希求が冷静に描かれます。 後半は戦犯として裁かれる東京裁判での広田の描写が中心となりますが、前半で広田の協和外交を見てきた読者は広田が被告となったことに驚くはずです。本書は東京裁判が非常に政治的なイベントであり、外交官として「戦争について自分には責任がある。無罪とはいえぬ」と自ら弁護を行わなかった広田の潔さを描き、広田が絞首刑になるまでの過程を淡々と記します。 激動の昭和史を描いた歴史小説ですが、広田と夫人、3男3女との交流も触れられ、小説に奥行きが生まれました。 広田弘毅は本書で悲劇の宰相として知られるようになりました。ただ、実際の広田に関する実際の評価は一定していないと理解しています。それでも、外交官としての広田の生涯を鮮明に描いた作品は本書だけではないでしょうか。とても面白い本であることは間違いなく、一気に読みました。昭和史を手っ取り早く俯瞰したいという方にもお勧めですが、他の本も読む必要はあると思います。
日本が戦争に足を踏み入れないように、外交努力を重ね各国の大使からも信頼を得ていた広田弘毅さんの生涯を綴った作品。広田さんが重ねた努力は軍人の暴走、妨害により悉く潰されてきた。にもかかわらず東京裁判では、その軍人たちと共に処刑される。一切の弁解をしなかった広田弘毅さんの軌跡を学ぶことができる。 東京裁...続きを読む判の歪んだ構図も伝わってくる。 8月は、戦争に関する書籍を手にしたくなる。お勧めの一冊。
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