坂本龍一の一覧
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ユーザーレビュー
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坂本龍一もYMOもその音楽はほとんど知らないから彼が語ることの大部分はわからない。だが一人の人間としての坂本龍一の人生の豊かさは存分に感じられた。
人間が自然にかける負荷と、自然が許容できる限界とが折り合わなくなるとき、当然敗者になるのは人間です。困るのは人間で、自然は困らない。
環境問題についての
...続きを読む彼の言は正鵠をいている。こころせよ人間! ありがとう、坂本さん。
Posted by ブクログ
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知的で孤独、旺盛な探求心と反骨心。教授の作る音楽と同じくらい教授の人柄や言動に共感をもっていて、それこそ教授が読んでいる思想書などを真似して読んだりもしたものだが、本書を読んで教授のパーソナリティの核が幼少期の頃の坂本少年に既に見られて納得。一人っ子で、さらに越境通学などもあって周囲に友だちがいなく
...続きを読む、いつも一人遊びばかりしていたという環境のせいもあるのだろうが、子どもの頃から、自分が何者なのか、物事の有り様がどうしてそうなっているのだろうか、と自分にも周囲にも常に疑問を持ち、「知りたい」という欲求の強い元々の性質の所以なのだろう。自分が教授に共感していたのも突き詰めれば、彼が「知りたい人」だったという部分のように思う。そしてその音楽人生が、最初からどこか目的地を目指すものではなく、私的な作品の制作や受注仕事などを通じてさまざまな人たちと関わっていく過程で「なんだそれは?」とか「そっちも面白そうだぞ」と成り行きまかせであったことも、結局はその坂本少年の心のままだったのだと思う。教授の作品の和声やシンセの音色には、どこかポエテイックで孤独や寂寥感を感じるものがあるなぁと前々から思っていたのだがそれも坂本少年の原風景だったのだろう。そういった音楽家個人の核というべき性質はちゃんと作品に反映するものなのだな、とも思った。
Posted by ブクログ
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1960年代生まれの我が青春のYMO。同級生達は、アイドルと横浜銀蝿全盛期を謳歌し、同級生の一部はオフコースの小田和正に陶酔し、一部の変人扱いされた少数派のYMOフリークが私だった。生まれた頃から労働歌とうたごえの中で育ったにもかかわらず、なぜか電子音楽のYMOに引き込まれた私。自家用車では今時珍
...続きを読むしいCD6連奏のカーオーディオで常時YMOのライブ音楽が流れていたのだから、自分の3人の子供たちも口ずさむ事になっても不思議ではない。
今年の1月11日にYMOの高橋幸宏が逝去し、感傷に浸る最中の3月28日に坂本龍一の訃報に触れ、青春期がバックラッシュして意気消沈。坂本龍一氏は音楽だけでなく、環境や原発問題など、政治課題にも積極的に関わり、その発言が多くの国民に影響を与えた。
本書は、2009年に発刊され、坂本龍一氏の逝去を期に文庫化され、発売日直前の書店の平積みから発見した出会いは必然か。坂本龍一の生い立ち、音楽への向き合いと造詣、社会に対する尖った関わりや行動力は、YMOの中でも屈折した表出を悔恨したことを赤裸々に綴っている。細野晴臣、高橋幸宏、矢野顕子、渡辺香津美、松武秀樹など、YMO初期のツアー・メンバーの才能や実績は、理論派の坂本龍一とは違う険しい山道を登頂した芸術集団ならではの才能を評価する。坂本龍一のクラッシックへの造詣と作曲家としての修業と知識の蓄積。読書や映画への深い向き合い、そして遊び呆ける私生活までもが、坂本龍一を巨匠へと誘った所以だろう。音楽家、役者、映画音楽家、社会活動家としての坂本龍一が自分史語りを読みながら、故人を偲ぶ読書となった。なお、本書は各章毎に、丁寧な語句説明が行われており、時代背景や何に刺激を受けたのかなど、さらに坂本龍一を時代背景から見る上でも楽しい書籍となっている。
Posted by ブクログ
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坂本龍一『音楽は自由にする』新潮文庫。
2023年3月28日に、71歳で亡くなった坂本龍一の自伝。
「芸術は長く、人生は短し」 とは、坂本龍一が好んだ古代ギリシアの医学者ヒポクラテスの「箴言」の一節である。物事を極めるためには人生が如何に短いのか、短い人生で物事を極めるためには相応の努力が必要な
...続きを読むのだろう。
本作では、坂本龍一が音楽の世界に入る切っ掛けとなった幼少期の体験から様々な音楽家に傾倒していく過程や東京芸術大学の大学院を卒業し、YMO結成から世界的な音楽家として活躍するまでが語られる。
読んでみると現代の若者と比べ、中学、高校時代の坂本龍一は、遥かに大人の思考を持っていたように感じる。今から40年前、50年前の中学生や高校生はそれが当たり前だったように思う。ゲームもスマホも無い時代には自らの経験や見聞、読書などで知識を得て、深く考えることが普通だった。それ所以、当時の若者たちは大人の思考を身に付けたのだろう。
YMOがブームになったのは自分が高校生の頃である。お洒落に敏感な同級生たちは一様にモミアゲを剃り落としたテクノカットを真似ていた。当時の自分はWeather Reportを始めとするフュージョンやジャズを好んで聴いていたので、YMOには余り興味は無かった。
自分にとって坂本龍一の音楽で馴染みがあるのは『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』に代表される映画音楽である。
本体価格1,000円
★★★★★
Posted by ブクログ
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読み終えたのでメモします。癌で亡くなられて、その追悼で本屋さんに文庫本が積んであったので手にしました。
坂本さんの演奏を聴いての感想、ピアノ曲についての感想はありますが、それは別の所で書くべきかなと思います。この本を読んでの感想ということですが、私には余り新しい情報で印象に残った、というものはない
...続きを読むのですが、改めて思いを馳せてみた、という感じです。有名な方でインタビュー等もメディアで取り上げられてきたので、
まず、周りに流されずに、本質的なものにアプローチする行動力があったのかなと思います。いろいろな仕事に誘われた、ということが、随所に語られています。誘われても、そのプロジェクトに飛び込んでついていく行動力がすごかったのだと、改めて思いました。そして、その中でやはり「本質的なもの、すごい良いもの」を見抜く力はあったのだと思います。
誘われてライブに出るようになり、映画音楽を作り有名いなられた経緯が書かれています。誘われたり、自分で売り込んだりと、常に動きのある生活をされていました。本を読んでいると、常に新しい仕事を行っていたことが綴られているのですがが、自分から見るといつも戦メリを演奏会で弾いて、カーボンフットプリントや反原発などの発言をしている人、というイメージでした。が、それは20世紀にたくさんの仕事をして大家になられた後の活動だったなと改めて思いました。非常に常識的な発言だけれども押しつけがましくないところが良い印象。
自分に対して、自分をよく自覚できていて説明できる人だと思いました。歴史や文化を語りますが、内容が本質的で面白いです。仕事ができ、経済的にも成功しているように見えますが、音楽の内容は置いておいてチャーミングで魅力にある方だったのだなと改めて思いました。過去を語る時、後付けの知識で偉そうに話す人が多いですが(特に戦争については)、この本ではそういう感じはなく、遠慮も傲慢さもなく適切な口調で最初から最後まで語られていました。
Posted by ブクログ
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