【感想・ネタバレ】ぼくはあと何回、満月を見るだろうのレビュー

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Posted by ブクログ

自伝『音楽は自由にする』の続編。
2009年以降の活動を振り返り、自身の語りからは2023年1月17日の71歳の誕生日にリリースされたアルバム『12』の話を最後に、聞き手の鈴木正文氏によるあとがきでは、坂本龍一氏が亡くなる少し前のエピソードも書かれている。
亡くなるほんの数日前まで精力的に仕事をこなされていて、頭が下がる思いがした。
楽曲の制作活動だけでなく、震災復興関連、脱原発や環境問題、明治神宮外苑地区の再開発問題など、活動の幅の広さ。ガンの闘病→療養を余儀なくされながらもなおこんなに活動できるなんて、凄すぎる。
本当に濃密すぎる71年の生涯だなと思う。
まだどこかで、いろんな活動を変わらず続けていらっしゃるのでは、と時々思ってしまう。
数々の素晴らしい作品たちをありがとうございました。

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2024年03月31日

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『音楽は自由にする』と『skmt 坂本龍一とは誰か』を読んだあとに本書を読んだ。会って話したことは一度もないが、この本には坂本龍一が宿っている。読者一人ひとりに時間と空間を超えて語りかけるようとする坂本龍一がいた。読み終えると悲しみや感情ではなく、感謝と尊敬の念が溢れた。

「Ars longa, vita brevis」

ある日を境に何度も何度も目にしたこの言葉が、あの日と同じように突然目に飛び込んできたとき、胸にぽっかりと穴が空いたような不思議な感覚に陥った。どうして?まだ早すぎる——そんなことをまた思った。残されたものがあまりに多い。そして、追悼は終わることはない。

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2024年03月31日

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 坂本龍一 死後1年が経とうとしている。坂本の業績、「音楽は自由にする」2009年の以降亡くなる月の3月8日までを口述筆記したエッセイ。優しい語り口で書いているが、反戦、反原発の姿勢で音楽、芸術を縦横に表現し語っている。常に新しい音を模索して僕たちに提示している。発表した作品の制作過程など詳らかに教えてくれている。彼の業績は音楽だけでも多方面にわたり映画音楽でも実際に深く鑑賞して作り上げていることが書かれている。子供の時から多くの映画を見て映画に傾倒している。父の影響でと書いているが読書量も半端でなく博識で、人間に寄り添うダイバーシティ(多様性)を尊重するリベラルな芸術家であることがわかる。
 私たちに寄り添い語り掛けるような控えめな口調ながら、安保法案や神宮外苑の伐採には最後までノーを発信した人でした。本人はもっと生きたかった、もっと表現したかったであろうことが伝わる本でした。
 編集者の鈴木正文氏のあとがきは、熱いタッチで書かれていて、本当に神様は残念なことをしてくれたと思わせる追悼文でした。

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2024年03月16日

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音楽は自由にする
その言葉が集約している感じがした。
坂本龍一氏の考え方や生き様が知れ素晴らしい本であった。

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2024年02月12日

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2023年3月28日に亡くなられた音楽家・坂本龍一さんが口述筆記によって書かれた自伝です。2009年に発刊された『音楽は自由にする』の続きに位置づけられる、最晩年の活動の様子を知ることができる一冊です。

江戸時代の貴族は月を愛でて酒を嗜んでいたそうなんだ、と本書序盤で坂本さんが述べています。音楽って不愉快な思いを忘れていられる、ともある。本書の題名の『あと何回、満月を見るだろう』とそれらの発言を、僕は重ねてしまいましたね。「ぼくはあと何回、素晴らしい音楽を得ることができるだろう」みたいにだって、ちょっと強引かもしれないけれど、読めてしまうじゃないですか。

坂本さんは2014年に中咽頭ガンが見つかり、それから闘病生活に入られていますが、その放射線治療のつらさが綴られています。7週間に及ぶ放射線治療の5週間目には、あまりのつらさのため坂本さんが涙ながらに「もう止めてくれないか」とドクターに懇願したことが明らかにされていました。ガンは中途半端に叩くと勢いを増し、逆襲してくるので駄目だと言われて、残りの治療も続けたそうですが、口腔内はただれ、治療が終わってからもふつうの食事がしばらくとれなかったようです。しかしながら、その5年後にはガンが寛解とみなされるほどまでに回復します。

そういった苦しい時期でも、『レヴェナント』をはじめ、数多くの映画音楽のオファーを受けられていますし、高谷史郎さんらとのインスタレーションなどやコンサートを多数されている。音楽そして芸術を仕事として、ガン治療と療養期以外は仕事から離れることなく、人生を太く駆け抜けられた印象を持ちます。闘病中も、体調が思わしくない時期でも、旺盛に仕事に向かわれている。また、「人はパンのみに生きるにあらず」などというキリストの言葉が引用されている箇所もあり、物質的な面だけじゃなくて精神的な面も同じくらい大切だ、とする坂本さんの感覚がくっきりと知れるところもありました。

そんななか、本書では坂本さんの昔話もあるのです。若い頃(70年代)、麻雀がしたくなると、いっしょにいる大貫妙子さんに加えて、電話で山下達郎さんに「来ない?」と連絡。すると、達郎さんは実家のパン屋から軽トラを運転してすぐにやってくる。さらに伊藤銀次さんも呼んで、ひたすら雀卓を囲んでいた、と。三徹もザラだったそうです。

芸大の授業はサボっていましたが、、腹が減ると大学に行って学食の前にクモの巣を張り、知った顔をみつけたら「ちょっと食わせてくれない?」とたかってた、ともあります。かつ丼が90円の時代だったそうです。(世の中で否定されがちな、人生のこういうゴロツキみたいなところを、もちろんその苦味込みでですが、僕はもう少し肯定したいほうです)

そういう部分も含めて、坂本さんには、「はぐれガキ大将」という感じがします。そういうふうに見える一面がある。ガキ大将的に傍若無人で腕力でものを言わせるような猪突猛進なところがありますが、大勢を囲って支配的になってのし上がろうとするのにはちょっと不器用に過ぎるようにも見えるのでした。だから、「はぐれガキ大将」なのです。

傍若無人さでいえば、たとえばポルトガルで観光案内してもらっていたとき、坂本さんは観光が嫌いで、あげく渋滞に巻き込まれてしまい「I hate sightseeing!」と言い放って車を降りて歩いて帰ったそうなんです。ガイドを務めていた人が、坂本さんが帰国するときに空港でワインを一瓶、お詫びの品として贈るのですが、坂本さんはそれを、手を滑らせて床に割ってしまう。しょうがないところはあるんですが、こういうふうに他人の気持ちを踏みにじってしまうようなふるまいが他にもあり、坂本さん自身悔いていました。

こういうのもあります↓
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若い頃には、多摩美術大学で東野芳明さんの持っていた授業にゲストとして呼ばれたものの、当日の朝まで飲んでいて八王子まで行くのが面倒くさくなり、ドタキャンしてしまったほどのひどい人間ですからね。(p163)
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ただ、こういうことを隠さず本書では言ってしまっています。老年になって、じぶんそのものを以前よりも公に対してさらけだしているように感じられます。まあ、もともと虚栄的ではないように見受けられる方ですが。

あと書いておくべきは、MRプロジェクト(p234あたりです)。VRより上位の技術で、坂本さんの演奏がデジタルで記録されていて、坂本さんがいなくても、同じ演奏を再現できる技術です。このデータが残されている限り、音楽家・坂本さんのパフォーマンスは永遠に残ります。

巻末、本書の坂本さんの話の聞き役だった鈴木正文さんによる「著者に代わってのあとがき」では、坂本さんの最後の数か月についての様子が綴られています。とくにその後半部分などは、涙無くして読めなかった。

僕は小学校高学年の頃から坂本さんの音楽に傾倒していたので、武道館でのオペラ上演『LIFE』を含め、何度か坂本さんのコンサートには足を伸ばしてきました。CDは100枚以上買いましたし。坂本さんは亡くなられましたが、彼の音楽、思想、価値観、パーソナリティなどに、これからも僕は反抗を感じたり、共感したりしながら、たぶんずっと彼と格闘を続ける、といように影響を受け続けるのだろうと思います。

坂本さん、ありがとうございました。
あらためて、黙祷を捧げます。

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2024年02月02日

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YMOは好きで良く聴いたりソロも各々聴いたりしてたんだけど、個人としてどういう人なのかはたまに見るネットニュースみたいなのでしか知らず(あと年末のコントぐらい笑)初めて坂本さんを少し知ったな、という気持ち。本当に賢い人は柔らかい頭を持ってる人なのではないかな、と思った。個人的にイニャリトゥの映画が好きなので、エピソードが面白かった。し、大変だっただろうな笑。ユーモアがあってお洒落で未来を見ている人。芸術は生き続ける。

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2024年01月21日

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「YMO」を初めてテレビで見たときは、衝撃的だった。
CMソングの「君に、胸キュン。」はむすっとした顔の首振りダンス?

「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」などの、
映画音楽でしか、知識があまりなかった。

ニューヨークでの911を体験して、
東日本大震災で、チャリティーコンサートや、
被災地の子供達への音楽活動支援。

吉永小百合さんとの、平和への活動、
森林保全の「more trees」の設立。

「自分に有名性があるなら、むしろそれを積極的に利用したほうがいい。」
海外で活動しているからこそ、日本の閉鎖的な考えから脱して、たくさんの世界的リーダーたちと支援活動が可能になったと思う。

この本を通して、改めて、坂本龍一さんの偉大さを知った。

癌との闘病をつづけながら、最後の最後まで音楽と人と関わったすごい方。

「芸術は永く、人生は短し」
最後の言葉が、ジンと胸に響いた。

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2024年01月06日

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教授、、、ずっと敬愛しています。
最後まで音楽を人間を探求し続けていたんですね。
もっともっと生きて私の指針になっていて欲しかったです、、、

でも大貫妙子さんとのことは知りたくなかったなぁ。彼女の曲の歌詞が全部教授の事を歌ってるように思える、、、

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2023年12月28日

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前著『音楽は自由にする』は坂本龍一さんの57歳までの記録であり、この『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』はそれ以降2014年に中咽頭ガンが発覚されてからの記録です。

『音楽は自由にする』は私が少女期にファンだった頃の昔懐かしい坂本さんがいましたが、この『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』は私のあまりにも知らなかった晩年の坂本さんでした。

2014年に中咽頭ガンを発覚。
2020年6月にニューヨークで直腸ガンと診断され、何もしなければ余命半年といわれ、肺にも転移し絶望的だったそうで、手術は20時間かかり終わりの見えない闘病生活が始まったそうです。

しかし、その間の坂本さんの活動は世界的で目を見張るものがたくさんありました。

東日本大震災からは原発に反対し環境問題に取り組まれます。その頃の記録に
「人間ごときが努力して音楽や表現物を作っても、果たして何の意味があるんだろうという無力感に襲われた」と残されています。

世界的な活動をして世界のサカモトになってもこんな根源的ともいえる悩みがあるのですね。

芸大の客員教授をされたこと。
辺野古基地の問題にもかかわられコロナ禍においてはオンラインコンサートをされています、。
数々の映画音楽を始めとする音楽活動ももちろんされています。

病気になられてからもとても充実した人生だったのですね。
プライベートでは再々婚なさっているようですが、新しいパートナーのことはパートナーとしか書かれておらず、息子さんやお孫さんにも恵まれていたのですね。

でも、もっと生きてもっと坂本さんの新しい活動をもっともっと続けて欲しかったと思います。
心よりご冥福をお祈りします。


この手記のタイトルが『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』というのもぎりぎりの悲しみを誘う一歩手前のラインで詩情があってとても坂本さんの最期の作品として素敵だと思いました。

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2023年08月25日

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亡くなったあと親族の方が、人の3倍は生きたんじゃないかな、とおっしゃった言葉が心にストンと落ちました。ずっとそばに置いてまた読み返したい本です。

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2023年07月30日

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教授が天に召されてから数ヶ月経った。
尊敬する人が死に向かっていく姿を追体験することはとても辛いことで、
ひとつひとつ心の整理をしながらページをめくった。

残してくれた音は永遠に残り、自分は一生聴き続けるのだろう。

あなたの音に出会えて良かったです。

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2023年07月24日

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「著者に代わってのあとがき」に書かれているように、確かに人の3倍は生きておられる濃密な71年だったんだろう。凡人には想像できない才能とバイタリティー。
本を読みながら音楽を聴くことはあまりしないのだが、本書に上げられている坂本龍一本人やその他の曲を読みながら聴いた。豊かな時間だった。静かな時間だった
闘病生活が大変だったことが書いてあるのに、印象としては最後までスタイリュッシュで端正。そのことは良かったと思う。

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2024年02月28日

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ネタバレ

生前は情報量が多過ぎる気がして敬遠していたけど気にはなっていた。なぜ闘病しながら活動家のようなことを続けてやっているのか…この本でほんの少しだけ、彼の言い分のようなものを知れた気がする。去る準備ができることを幸せだと思うこともあるだろうけど、やはりもう少し時間があれば…ファンですらないのに、そんなことを思った。
それにしてもさまざまな知識が語られるので、周りの人も博学なのか?自分の周りにはこんな話す人はいないので、新鮮。多方面に関係団体や人物が出てくるので、ノートに書き出したくなる。読み終えて、そういえばと思ったが、パートナーと大貫妙子さんの話はあるけど、矢野顕子さん方面の話はなく、お孫さんのはなしくらいしかなかった気がする。最後はなんだか突然終わったような感じだったが、あとがきを読むことで、ひとまず納得して本を閉じることができたように思う。

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2024年02月16日

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ほとんど一面しか知らなかった坂本龍一。音楽に関することだろうけれどとても様々なことをしていたということに驚きました。ご自分の命が尽きる直前まで現役であり続けた…尊敬です。

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2024年02月16日

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 昨年の3月に71歳で亡くなった坂本龍一氏(以下、「教授」とする)が、闘病中の2022年2月から10月にかけて、編集者の鈴木正文氏を相手に2009年以降の歩みを口述した本書。YMOで一世を風靡しながら、奇しくも高橋幸宏氏に続いて教授までもが逝ってしまうとは。教授の人生観や音楽に対する姿勢などが盛りだくさんに記されており、あっという間にページが進んだ。「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」という書題も心惹かれる。それにしても最近ミュージシャンの訃報が続いているのは寂しい限りである。

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2024年01月20日

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2023年3月に亡くなった音楽家の生涯は本職の活動の枠を超えて様々な活動に携わる。そこには社会問題や次世代への憂慮も内包されていて、日常からの不安を打破したい苦悶が伝わってくる。本書は既に出版された「音楽は自由にする」以降の日々が記されている。転移するガンとの関わり、スタイルにとらわれない音楽表現の推移、そして飽きることなき読書体験、教授の本心に少しでも触れることで私たちは何を考えていくべきか、それぞれが行動に移す機会を与えてくれる。まさか。

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2024年01月15日

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戦場のメリークリスマスをピアノの発表会で演奏したことがあり、坂本龍一さんのことは小学生の頃から知っていた。しかし、坂本さんの本当の素晴らしさや魅力をこの本を読んで更に実感した。

坂本さんはピアニストという枠に収まらず、震災や戦争、環境問題など政治経済的な課題にも積極的に触れ、自ら活動を起こしたり既存の活動を支援していることを初めて知った。ニュースの部分的な切り取りではなく、坂本さんがどのように考え、どんな経緯でこのような活動に参加したのか。そして、その活動や発言の後、何を考えたのか。そこまで深掘りされていたため大変興味深い内容になっていた。

近親の人にも初めは報告をしなかったというガンの発見、そして闘病生活。自身の死が近いことを感じ、坂本さんという偉大な日本人がこのように手記を残してくださったことは大変光栄なことだ。

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2023年12月06日

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坂本龍一の深い執着と音楽、自然との絆が印象的でした。彼の自然への尊敬と音楽に感謝。この読書体験を通じて、新しい視点での世界との出会いを感じることができました。

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2023年09月24日

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本書を読んで実感したのは、坂本龍一という音楽家が最後の瞬間までロゴスの人であった、ということだった。

自らの死期を悟った人間がこうまで理性的に振る舞えるのだろうか、と感じ、最近の音楽家の訃報を聞くにつれ、自らも実は死というものがそう遠い場所にあるわけではない、とも感じる。

率直にいって2000年代の彼の作品にはあまり好きなものがないのだが、2010年代、特に2017年に発表された『async』のあまりの素晴らしさに打ちのめされ、それ以降の作品の充実ぶりには都度驚かされていた。そうした創作の裏側にある細かいエピソードや、さまざまな若手ミュージシャンたちとの交流などによって、残された作品をさらに理解することができそう。

2024年3月からは坂本龍一、高谷史郎(ダムタイプ)によるシアターピースの最新作「TIME」の日本初演が行われる。まだまだこうして教授の作品に触れる機会があることを喜びたい。

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2023年09月22日

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世界に名を成した芸術家の生活とは、どういうものか、垣間見る事が出来た。赤裸々に語られる言葉は、正直過ぎて。その折々に作られた曲をYouTubeで聴きながら読書出来る贅沢。CD買いたくなった。

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2023年09月03日

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音楽を理論化するなんて、凡人な私には全く判らず、ただそれだけで尊敬していました。教養があり哲学的で社会活動をもしながら、多彩な芸術を理解し、表現者として稀な彼が、亡くなったこと。社会の多大な損失と思わざるを得ません。
聞き取りによる文章は、最後まで静謐感が漂い、静かに読み…聞き取りました。
言葉を残してくださり、感謝します。
大好き大貫妙子さんとのアルバム、聴き直します。

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2023年08月25日

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前作「音楽は自由にする」以降の自叙伝パート2。この期間で教授の音楽を追いかけることはなかったが、言うまでもなく稀有な才能を持つピアニストでありベストコンポーザーの一人でずっとリスペクトしてきた。亡くなってすぐに「KYLYN LIVE」や初期YMOの音源を聞いた。戦メリのテーマばかり有名になってしまったが、後の「ラスト・エンペラー」や「」シェルタリング・スカイ」の原型ともいうべき「The End of Asia」「Tong Poo(東風)」の斬新さと鮮烈なイメージは全く色褪せない。大貫妙子の話も出てきたが、教授プロデュースの「カーナバル」は隠れた名曲(と勝手に思っている)で、中学生の時に聞いてこれも大好きだった。YMOのアルバムやライブ盤で、サンディや矢野顕子のハイトーンボーカルが使われているいるが、これが大貫妙子だったらどうだっただろうと想像すると楽しい(公私混同になるから避けたのかもしれん。でもその後で矢野顕子とくっついちゃったら、これも公私混同だけど)。個人の思い出話だったが、本当に惜しい天才を亡くし残念極まりない。

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2023年08月23日

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「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」…もう、このタイトルが切ない。でも、表紙の裏の、月とピアノと本人の写真がとても静かで美しく、もちろんまだやりたいことはたくさんあっただろうけれど、やりきった満足感、音楽家坂本龍一として最後まで曲を作り続けることができた誇りを感じた。

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2023年08月04日

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教授という印象が強いですが、晩年の活動は、おまり表舞台にでてこられなかったので、本書を綴りながら、改めて面白い方だったなぁっと感慨深かったですね。

音楽は歴史となり、明日に繋がっていくんですね♪

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2024年04月18日

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坂本龍一さんが音楽に何を載せようと奮起したのか、そして人生を通して音楽から何を学んだか。
その断片をこの本から読み取れた気がする。
あくまで断片でしかないが。
自分の死を感じた人が世の中に何か残してやろうと奮起することに強く心を打たれた。
歳を取ると自分が成長できる天井みたいなものが見えてきて、、
自分の場合はそこでこう思うんだと思う。
成長することこそが自分の生きがいだったのに、それができなくなった今、命を繋ぐ理由が見当たらない。
歳をとっていく過程で自分の外側に自分を評価してくれる人がいないと、いつかそういった自殺衝動みたいなものに駆られてしまう気がしてならない。
坂本龍一さんからはそんな弱気な感情が一切感じられなかった。最後の最後まで創作活動に励み、そして自分の技術がどこかで人の役に立つのではないかと最後まで模索し、その模索を形にしていた。
自分という存在を自分の中でも、そして他人の中でもここまで上げてあげられる人もそういないと思う。
自分もいつか、病床の上でそう考えたい。
自分の創作物を必要としている人がいる。
自分のできることがまだある。
死を手前にしてもなお、自分に活動をやめる理由は見当たらない。

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2024年01月21日

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教授、と高橋幸宏氏に揶揄されるだけの知識人だ。
読書を愛し、知識人との会話を楽しむ。
そして音に対する飽くなき探究心、思うままに音楽活動をし、社会貢献し、日本、世界の未来を危惧する。世界を旅して各地に友人がいる、素晴らしい人だというのは独特な文章からも、話す内容からも熟考される方なのもよくわかった。

ただ、読みにくい…
坂本龍一を知ろう、と思い手に取った、ど素人には知らないことだらけだった。

亡くなった後、家族が人の3倍生きたよね、と。
享年71歳、210年は生きたそうだ…
世界で活躍された方だが、日本人として誇るべき大切な人を亡くしたんだな、と改めて思う…



バベルの監督、ベルナルド・ベルトルッチ、大島渚を師と。

大貫妙子との思い出

NY の和食レストラン、Kajitsu の室内音楽を勝手に変更

オーロラ、太陽から飛んできた粒子の「風」が、地球の大気にぶつかることで生じる現象

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2024年01月12日

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坂本龍一という人が晩年何を考え生きてきたのか、その断片に触れられる本。膨大な読書量、世界を股にかける交友関係。何にも囚われずシンプルに自由に生きているようで、繊細さや危うさも垣間見える…好きなものに常に真心で向き合おうとした実直さも感じて、だからこそきっと彼は真のアーティストだったのだなあと思った。
死の足音は怖かっただろうけれども、最期まできっと彼は自由に生きたのだ。

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2023年12月06日

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坂本龍一が涙なくして聴くことができなかったという、ウクライナキーウに住む20歳のヴァイオリスト、イリア・ボンダレンコの「Piece for Illia」に心打たれた。偉大なる芸術家、どれだけ頭のいい人なのだろうと思うが、垣間見る優しさや正直さが親近感を与えてくれた。死に向き合って残した功績に祈りを捧げたい。

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2023年11月13日

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晩年の坂本龍一さんの手記。ほんとに記録が多いけど、最終章の未来に遺すもの と、解説は様々な想いが読み取れて心に沁みた。最後の最後まで原発には反対し続けていた坂本龍一さん。もう一度彼の作品を聴き直してみたいと思う。

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2023年10月09日

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新しい音楽を最後まで希求し、社会が少しでも良くなるならと活動する。そういう強い思いが自分にあるのか、と思いました。余生という言葉とは無縁な一生だったでしょう。優れた才能を持たない人間にも、本のタイトルのようにつぶやくことは許されるでしょうか。一日一日を大事にしていけたらと思います。



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2023年09月16日

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