Posted by ブクログ
2018年01月11日
佐々木譲得意の長編警察小説。発表された当時は酒井法子の麻薬所持、逃走事件が起こっていたらしい。そんな実話を挿入しつつ、麻薬捜査と警官殺人事件解決に挑む警察官たちの行動を描く。
ストーリーの中心となる警官は2人。部下も上司も持たず、単独捜査で実績を残してきたベテランの加賀谷警部と殉職警官を父に持つ若...続きを読む手エリートの安城警部。
裏社会を憎み、チームプレーで捜査に挑む安城は、裏社会に片足を突っ込み、自身も逮捕歴のある加賀谷のやり方を反面教師としていた。互いに相容れることのない対照的な2人だが、警官の条件を満たすため、任務を忠実に果たそうとする点は同じ。
直接対決することはない2人だが、警察組織は彼らを比較し、その対立を煽る。そんな激しいプレッシャーを意識する安城に対して、加賀谷はひょうひょうと裏社会のコネを利用して事件の真相に近づこうとする。
ミステリー小説ではなく、安城警部を主人公とする警官の青春小説として読むべき作品。警察に勤めるって大変だ。