ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。(解説・篠田一士)
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
他の作品にも言えることだが、女主人公はいつも大人である。家庭の不和の中でも自分の役割を全うしようとするが、年幾ばくも無いため至らぬ点にしばし気づかされるものの、そこで拗ねたり開き直るのではなく、ただただかくあろうとする姿勢で困難に立ち向かっていく。病気を理由に家事をしない義母の代わりをし、自分が弟よ...続きを読むり重要視されていないと理解しながらも、父や弟に誠実に接しようとする姿は、現代に生きる自分自身の子供っぽさとは対極だった。拗ねて、怠けがちで、他人のせいについしてしまう自分。 気が利きすぎる主人公は心休まる時は少なかったかもしれないが、人間の尊厳・美しさを見せてくれた。
姉とおとうと、おとうとと義母、姉と娘、父と娘、ひとつひとつの関係性がとてももどかしい。 この物語には器用な人間は登場しない。全ての人間が不器用で、意地悪で、悩んでいる。が、そこに僕はこの小説の愛嬌を感じる。 読み進めながら途中、読むのを辞めたくなる。あまりにも日本文学的な、べったりとした描写、物語。...続きを読む半分くらい読んだところでそれらを全部ペリペリと剥がしたくなってしまうのだ。 だがこの本を読み終えたとき、その煩わしかったもどかしい登場人物やうざったい物語を、抱きしめたくなる。 あまりにも鮮やかで、読者にありありとした風景を想起させる描写は、この小説のあり方をも示しているのかもしれない。 幸田文は、日本文學を語るうえで若干軽視されてる感が否めない。 しかしこの小説を読み終えたとき、僕らは彼女を、芥川や太宰、川端などと並ぶ文豪てあると評価せざるを得ないだろう。
美しい日本語の中に、力強さがある。 どんな不良になっても、弟はやはり弟である。 おとうとを愛するが故にとってしまう行動、そして生まれる哀しみを身にしみて感じた。 ひとはあたたかい。
姉の気苦労が絶えなかった。 家族はバラバラ。無関心な父、キリスト教徒の継母、結核にかかる弟。 そして私がなんとかしなければと必死に家族を思っている主人公の姉。 悲劇的物語と感じる程ではなく、それぞれの関係性、状況が物語の進行と共に良くも悪くも変化します。 作者の幸田文は、文章が流麗で読みやすいもの...続きを読むが多いので他の作品などもおすすめです。
関東大震災(1923年9月1日)前後の東京を舞台に姉と弟の日常が描かれています。女流作家・幸田文はその時代の空気を丁寧にすくい上げています。 昭和のはじまりを知ることができる名著として、また産業革命と共に広まった結核の猛威を垣間見れる作品としてもオススメ。 初出は1956年1月から九ヶ月間に連載...続きを読むされた「おとうと」。私が手にした文集は1959年の活字印刷。旧仮名使いが続出するのでGoogle検索を多用しました。それでも読みやすく、さすがの文学家系でした。 印象に残るのは、主人公の姉は結核を患う弟と喫茶店でアイスクリームを注文する場面です。その直後に写真館で肖像を残そうと姉に提案する罹患者の孤立は、2020年のコロナにも重なる日常でした。
昭和でも大正の香りがする風景のお話。やんちゃな弟に手を焼きながらも愛情を注ぐ姉。継母と姉弟の描写が切なくて時代かなと思いを馳せる。 弟の奔放さにこのお話の展開が…と思っているとこの時代の大病に臥せて終焉。 檸檬に似た感覚を覚えた本で、続けて幸田文を読みたいと思う。 追記 解説は篠田一士 この解説...続きを読むで幸田文が幸田露伴の息女と知った。 成る程、文章を読むごとに景色が広がるはずだ。 益々気に入った。
某所読書会課題図書:碧郎を姉のげんが見守る物語だが、少しやんちゃな弟を病気で活動があまりできない母の代わりをしている感じだ.いろいろな事件が起こるが、男の子がよくやるかっぱらいを契機に不良仲間と付き合う碧郎.げん自身が疑われた万引き事件での彼女の警官に対する態度は素晴らしいと感じた.碧郎がキリスト教...続きを読む系の学校を退学処分になり仏教系の学校に入り、大人らしくなりつつある弟を冷静に見つめるげん.ほどなく弟が結核にかかっていることが分かり、母に代わって看病をするげん.当時満足な治療方法が無かった病気だったので、医師も時間を引き延ばして、何とか生かしておくことしかできず、次第に衰弱していく碧郎.げんの看病で碧郎は満足して旅立ったと感じた.げんの強さが根底に流れるストーリーだと思う.
弟を中心として家族4人の関係を描く。家族とは良いとか悪いとかではなく、とにかくそこにいるもの はじめは少しくどい心理描写に退屈するかとも思ったが、文章自体の歯切れが良いのにも救われ、読むにつれ引きこまれた。ストレートで胸に迫る
中学校の国語の授業で一部分だけ、読んだ記憶があります。その時は、若くして病死する弟という、現代では稀有なストーリーで昔話としてしか捉えていませんでした。 アラフィフになった現在。私にも弟がいます。二人姉弟です。今は、各々の人生を生きる立派なオッサンとオバチャンです。 そんなオッサンの弟がもし亡くなっ...続きを読むたら、やっぱり考えられません。親を亡くすのとは、違うだろうな、中学生の頃とは、全く違う読後感に襲われてました。
久方ぶりに手に取りました。 実話をベースにした話のようですが、家族間の言ってみれば甘えを責めるわけでもなく、ただ淡淡と描き切ってます。いやぁ、文章が上手いことも相まってかもですが、じわじわと真綿で締めてくる感じ。 この間観た映画でもっと評価されるべき作家とのセリフがありましたが、当方ごときも本当にそ...続きを読むう思います。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
おとうと(新潮文庫)
新刊情報をお知らせします。
幸田文
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
駅・栗いくつ
男
回転どあ・東京と大阪と
木(新潮文庫)
季節のかたみ
きもの(新潮文庫)
草の花 現代日本のエッセイ
崩れ
「幸田文」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲おとうと(新潮文庫) ページトップヘ