おとうと(新潮文庫)

おとうと(新潮文庫)

605円 (税込)

3pt

高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。(解説・篠田一士)

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おとうと(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2017年01月27日

    他の作品にも言えることだが、女主人公はいつも大人である。家庭の不和の中でも自分の役割を全うしようとするが、年幾ばくも無いため至らぬ点にしばし気づかされるものの、そこで拗ねたり開き直るのではなく、ただただかくあろうとする姿勢で困難に立ち向かっていく。病気を理由に家事をしない義母の代わりをし、自分が弟よ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2015年04月22日

    姉とおとうと、おとうとと義母、姉と娘、父と娘、ひとつひとつの関係性がとてももどかしい。
    この物語には器用な人間は登場しない。全ての人間が不器用で、意地悪で、悩んでいる。が、そこに僕はこの小説の愛嬌を感じる。
    読み進めながら途中、読むのを辞めたくなる。あまりにも日本文学的な、べったりとした描写、物語。...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2011年12月24日

    美しい日本語の中に、力強さがある。

    どんな不良になっても、弟はやはり弟である。

    おとうとを愛するが故にとってしまう行動、そして生まれる哀しみを身にしみて感じた。

    ひとはあたたかい。

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    Posted by ブクログ 2011年11月03日

    私にとって初めての幸田文本。情景が浮かぶような美しい文章。とても女性らしい細やかな描写。文章そのものがキラキラ輝いている印象。自分と弟に重ね合わせ、胸が詰まった。古い映画も素敵。

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    Posted by ブクログ 2024年03月25日

    中学校の国語の授業で一部分だけ、読んだ記憶があります。その時は、若くして病死する弟という、現代では稀有なストーリーで昔話としてしか捉えていませんでした。
    アラフィフになった現在。私にも弟がいます。二人姉弟です。今は、各々の人生を生きる立派なオッサンとオバチャンです。
    そんなオッサンの弟がもし亡くなっ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年02月25日

    久方ぶりに手に取りました。
    実話をベースにした話のようですが、家族間の言ってみれば甘えを責めるわけでもなく、ただ淡淡と描き切ってます。いやぁ、文章が上手いことも相まってかもですが、じわじわと真綿で締めてくる感じ。
    この間観た映画でもっと評価されるべき作家とのセリフがありましたが、当方ごときも本当にそ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年09月18日

    高校生の頃ぶりに読み返した。

    冒頭の雨の描写から、なんとなくこの姉弟の今後には、暗い影が差し掛かるのでは、と察しがつく。
    でもその中で弟の碧郎は、冒頭で見せる姉を思いやる心を終始持ち続ける。

    ひとつの映画を見ているように、華美なところのない、写実的な文章だと思う。

    げんが両親や弟に対してやるせ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年06月24日

    実話をもとにしたお話。

    父親、クリスチャンの継母、3歳下の弟の面倒を見る姉。
    継母は、弟に興味がないのか?ってかくらい冷たい。

    弟が不良と呼ばれるようになったりしたものの姉と弟の関係は微笑ましい。
    継母はリューマチで家事ができず、17歳の娘に家事をさせる。
    姉と言うより母親だ。
    姉が弟の面倒を見...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年04月29日

     これは、幸田文さんご自身とご家族のことを小説化したと思われる。
     生母が早く亡くなり、文豪の父親(幸田露伴がモデル)と継母とげん(文さんがモデル)と弟の碧朗の四人家族。父と継母の仲は上手くいっておらず、継母と子供たちも折り合いが悪い。継母は何とか母の役目を果たそうと努力はするが、げんと碧朗のことを...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年12月01日

    平松洋子さんが幸田文のことを書かれていた。それで家事や着物について書かれたエッセイを手にしてみたのだが、歯が立たなかった。少し古い言葉が判らなかったのか、僕はこういう凛とした文が駄目なのか、敗北感が残った。

    立ち寄った本屋で見つけた本書。
    何事も蔑ろにしない文章。冒頭の向島の大川の土手の風景。風の...続きを読む

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