無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
他の作品にも言えることだが、女主人公はいつも大人である。家庭の不和の中でも自分の役割を全うしようとするが、年幾ばくも無いため至らぬ点にしばし気づかされるものの、そこで拗ねたり開き直るのではなく、ただただかくあろうとする姿勢で困難に立ち向かっていく。病気を理由に家事をしない義母の代わりをし、自分が弟より重要視されていないと理解しながらも、父や弟に誠実に接しようとする姿は、現代に生きる自分自身の子供っぽさとは対極だった。拗ねて、怠けがちで、他人のせいについしてしまう自分。
気が利きすぎる主人公は心休まる時は少なかったかもしれないが、人間の尊厳・美しさを見せてくれた。
Posted by ブクログ
姉とおとうと、おとうとと義母、姉と娘、父と娘、ひとつひとつの関係性がとてももどかしい。
この物語には器用な人間は登場しない。全ての人間が不器用で、意地悪で、悩んでいる。が、そこに僕はこの小説の愛嬌を感じる。
読み進めながら途中、読むのを辞めたくなる。あまりにも日本文学的な、べったりとした描写、物語。半分くらい読んだところでそれらを全部ペリペリと剥がしたくなってしまうのだ。
だがこの本を読み終えたとき、その煩わしかったもどかしい登場人物やうざったい物語を、抱きしめたくなる。
あまりにも鮮やかで、読者にありありとした風景を想起させる描写は、この小説のあり方をも示しているのかもしれない。
幸田文は、日本文學を語るうえで若干軽視されてる感が否めない。
しかしこの小説を読み終えたとき、僕らは彼女を、芥川や太宰、川端などと並ぶ文豪てあると評価せざるを得ないだろう。
Posted by ブクログ
すごい小説だと思いました。。
姉と弟、その関係性から来る、父と継母(実母は死去)の愛情の差、そして、弟の当時治らなかった不治の病、結核にかかった弟を看病する姉。
最初は暗いだけの小説かと思ってました。
でも違いました。なんというのだろう。。死と隣り合わせの現実の中で神様を見た感じ。とでも言ったら良いのだろうか。。
内容は暗いんです。でも、同時に優しくもあり美しくもあるんです。姉が弟に見せる家族愛、弟が姉に見せる家族愛、辛く苦しく悲しい話です。でも、読み終わった時に、とてつもなくすごい小説を読んでしまったと言う感じです。私の弟も一時期やさぐれていた時期があったので、姉の気持ちがよく分かりました。それもあったのかもしれません。。
読む前は、悲しい話で、読みにくいんだろうなと思ってたのですが、読み終わった後、一つの命の人生を追体験したかのような、神様に出会ったかのような安らかな気持ちになりました。
一言で言うなら、神様に出会った小説でした。
Posted by ブクログ
関東大震災(1923年9月1日)前後の東京を舞台に姉と弟の日常が描かれています。女流作家・幸田文はその時代の空気を丁寧にすくい上げています。
昭和のはじまりを知ることができる名著として、また産業革命と共に広まった結核の猛威を垣間見れる作品としてもオススメ。
初出は1956年1月から九ヶ月間に連載された「おとうと」。私が手にした文集は1959年の活字印刷。旧仮名使いが続出するのでGoogle検索を多用しました。それでも読みやすく、さすがの文学家系でした。
印象に残るのは、主人公の姉は結核を患う弟と喫茶店でアイスクリームを注文する場面です。その直後に写真館で肖像を残そうと姉に提案する罹患者の孤立は、2020年のコロナにも重なる日常でした。
Posted by ブクログ
某所読書会課題図書:碧郎を姉のげんが見守る物語だが、少しやんちゃな弟を病気で活動があまりできない母の代わりをしている感じだ.いろいろな事件が起こるが、男の子がよくやるかっぱらいを契機に不良仲間と付き合う碧郎.げん自身が疑われた万引き事件での彼女の警官に対する態度は素晴らしいと感じた.碧郎がキリスト教系の学校を退学処分になり仏教系の学校に入り、大人らしくなりつつある弟を冷静に見つめるげん.ほどなく弟が結核にかかっていることが分かり、母に代わって看病をするげん.当時満足な治療方法が無かった病気だったので、医師も時間を引き延ばして、何とか生かしておくことしかできず、次第に衰弱していく碧郎.げんの看病で碧郎は満足して旅立ったと感じた.げんの強さが根底に流れるストーリーだと思う.
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。