木(新潮文庫)

木(新潮文庫)

小説・文芸
605円 (税込)

3pt

樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産。父露伴のそんな思いから著者は樹木を感じる大人へと成長した。その木の来し方、行く末に思いを馳せる著者の透徹した眼は、木々の存在の向こうに、人間の業や生死の淵源まで見通す。倒木に着床発芽するえぞ松の倒木更新、娘に買ってやらなかった鉢植えの藤、様相を一変させる縄紋杉の風格……。北は北海道、南は屋久島まで、生命の手触りを写す名随筆。(解説・佐伯一麦)

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

木(新潮文庫) のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    木を見て人の生き方を思い、それを文章に変えて表現するその才能が素晴らしい。

    私はよく山に行く。山に行くと、木を見て、触ったりもする。

    「これは◎◎だ」などと木や草花の名を言えたらカッコいいかなという下心で、ポケット図鑑片手に山を歩いて、勉強している。

    そもそも、木というもの自体が好きだ。

    人の一生なんかでは追いつかないほど長い間そこにあるということが、なぜだか惹きつけられる。

    ゆっくりじっくり時間をかけて育ち、虫や気候条件、場所などの環境に耐えて生き残った木々が山にあり、それを見て癒されたり、材として活用したり。

    人間の長い長い歴史の側には必ず木の存在があり、人はそれを節度を持って使うことで、繁栄してきた。

    建築にしろ道具にしろ、木がなければ人の生活は成り立たない。

    そのはずなのに、森林や木はなんだか縁の遠いもののようになってしまっていると感じる。

    私は日本の木の家具雑貨のインテリアブランドを運営しているが、その立ち上げの理由の一つは、「国産材のことをもっと知ってほしい」というものだ。

    意外と、身近にある森林のことを知らないよだ。

    まだまだ勉強中で、先をいく方々のお話を伺うと、本当に木の世界は奥深いなと痛感する。

    この本の中に、法隆寺の宮大工である西岡棟梁のエピソードがある。

    「木は生きている」と西岡棟梁は言い、それは立木の時も、材になってからもそうだと言う。

    長い時間かけて育った木を、有り難く大切に使い、長く使われるものを作る。そして山にまた木を植えて未来につなぐ。

    言葉にすれば簡単だが、多くの人間と商流が絡み合い、一筋縄にはいかない課題だ。その課題の解決に、多くの人が尽力している。

    私もその課題の解決のために多くの人が積み上げてきたものに、石の一つでも置けるような人間でありたい。

    0
    2026年09月08日

    Posted by ブクログ

    映画『PERFECT DAYS』で登場した一冊。何気なく読み始めてみたらとんでもない良書に出会ってしまって、嬉しい。
    花や木など植物、自然に真摯に向き合うことはこのことだと感じさせられた。そんな情景描写や自然への愛を語る著者の文章や文体に引き込まれ、これから植物や自然の見方や価値観を刺激する読書体験だった。
    それぞれの木をじっくり観察したいし、その木にまつわるストーリーを想像し感じたい。そして1回きりではなく、1本の木を四季を通して様々な角度・姿で観察しないと本当の理解はできないのかと感じさせられる。
    同時に自然からの学びは、人生にも通ずるところがあるのだろう。
    著者の文章や心や人となりが心地よかった。何度も読み直したい1冊になった。
    7000年の屋久杉、ぜひともリアルで見てみたい。

    0
    2026年08月01日

    Posted by ブクログ

    木に纏わる15のエッセイ。
    えぞ松、藤、ひのき、杉、やなぎ、桜、松・楠・杉、ポプラ、幼い樹、老樹、生きている樹、材として生きている樹・・・

    木に寄り添い、木を訪ね、木を学ぶ。
    幸田文はこの時70代だ。すごいバイタリティだと思う。
    木の中に流れる水の音が聴こえてくるような、深い一冊だった。
    これから木を見る目が変わるなあ。

    0
    2026年07月29日

    Posted by ブクログ

    某百貨店に催し物を見に行った帰りに店内の書店に立ち寄ったら、真っ先に木漏れ日の表紙が目に飛び込んできて即購入した。

    幸田文は好きな作家だし、何より数年前に観た映画『PERFECT DAYS』で役所広司演ずる掃除夫が読んでいた本として忘れられない。いつか読みたいと思っていた。
    ある本を読む日というのはこんなふうに訪れるんだと思った。 

    木について15篇のエッセイで構成されている。

    1つ目の「エゾマツ」の倒れた樹木の上に芽吹く倒木更新のことから最後の「ポプラ」の不運な境遇まで、
    節度ある擬人化で、樹木についてだけでなく人の一生についても考えさせられた。

    日頃知ることのない職人さんたちの叡智にも深く静かに感動した。

    杉の章では、確かに3000年も生きる生物ってそうはないと改めて思ったし、他の樹木にしても長い年月を生き抜く樹木の知恵というか苦闘が木肌や幹、根の張り具合に出るところも、当然と言えば当然だけれど面白かった。

    作者の年齢60代後半から80代に書かれており、気になる木があれば全国各地を訪れていた著者の意欲的な様子にも感心した。

    170ページ足らずの厚さの本だが読み応えあり
    端正で品格のある文章に心が洗われた。


    0
    2026年07月23日

    Posted by ブクログ

    <poka>
    屋久島の話がよかったです。
    <だいこんまる>
    NHK「神様の木に会う~にっぽん巨樹の旅~」もよく見ています。

    0
    2026年06月07日

    Posted by ブクログ

    私は仕事柄、動いているものを自分は動かずに見ることよりも、動かないものを自分が動いて見ることの方が得意なようで、スマホのスクロールは大変に目が疲れる。疲れるどころか、毎年の健康診断の度に視力が落ち続けている現実を、落ち続けている視力のせいにして、見ないようにしている

    四方が山に囲まれた那須育ちの私は、よく「目が疲れたら遠くの緑を見なさい」と、母にも祖母にも言われた。幸田文の文章は、遠くの緑のように、おかしくなった眼を整えてくれる

    0
    2026年02月23日

    Posted by ブクログ

    文庫本の1冊としてはとても薄い、にもかかわらず、内容は濃かった
    著者の好奇心と行動力がすごい
    言及されているのは50年以上前の風景なので、今では全然違っていることも多そうだけど、それを差し引いても読み応えがあった
    機会を見て、また何度か読み直したい

    欲を言うなら、専門家の解説があったらもっと理解が深まったように思う
    ただ、エッセイ集であることを考えるとそれがありなのかどうかよくわからないので(個人的にはありだが)、手元で検索しながら不明を補うことにする

    新潮文庫の100冊2025

    0
    2025年09月21日

    Posted by ブクログ

    2-3年前から登山を好きになった自分にとっては、木や山をもっとちゃんと見たいと思わされる本だった。

    が、良かったのはそこじゃない。

    なにより、幸田文の書く文章である。根が土中にそれを張るように、思ったこと感じたこと、あとは彼女の轍がつらつらと放り込まれ、生き生きとしていると感じた。「イカれた」といったぶっきらぼうだが下品ではない表現を時たま見ると、愛らしさでたまらない。

    草木山に対する、背伸びもしなければちぢこまるわけでもない彼女のあっけらかんとした境地に、なんだか救われる。

    読書をはじめてから、「出会えて良かった」と初めて心から思える本でした。

    0
    2025年07月23日

    Posted by ブクログ

    薄い本からは想像出来ないほどの清々しさがあった。
    幸田文の「木」をタイトルとした15のエッセイだ。
    著者の「おとうと」を読み終わり、積読しているこの本を引っ張り出してきた。幸田文のワールドにどっぷり浸かって、なんていい文章を書くんだろうと心地よさでいっぱいだ。

    木についてのエッセイは長年コツコツと積み重ねた様子がある。文量は少ないがどの作品もしっかりと主張があるし学びが多い。

    解説は佐伯一麦、こちらもこの本と著者について語ってくださる。解説から読んで欲しい…そんな一冊でもある。

    0
    2025年02月24日

    Posted by ブクログ

    いやこの表紙じゃないんだけどね、わたしの持ってるのは。。
    『PERFECT DAYS』で平山さんが求めてたのと同じやつ(わたしも彼と同じく古本屋で100円で購入)。その表紙のほうが全然かっこいい。

    その昔、幸田文を見つけては買っていた時期があり、買ったものの読んでいなかった作品。上記映画に出てきてびっくりして読んでみた。

    いや面白い。幸田文さんは率直だ。素直だ。そのような姿勢で、感じたことをそのままあぶり出すかのような文章が素晴らしく魅力的だと思う。

    たとえば、「杉」のこんな文章。
    「本当のことを打明ければ、私はおびえていた。おびえているから考えることもなみを外れるし、並外れを考えるから、またそれにおびえる。この杉は、なにか我々のいまだ知らぬものに、移行しつつあるのではなかろうか、などと平常を外れたことを思ったりして、だいぶイカレていたのだが、同行皆さんの厚い好意の手前、感じたままのあしざまはいえない遠慮があり、その遠慮で、イカレをかくした。」

    その文章の魅力を、巻末の「解説」で佐伯一麦さんがサマセット・モームの文章を引用し、実に的確に語っておられる。
    モームいわく、良い文章とは、育ちがよく、礼儀を尊重し、生真面目すぎもせず、つねに適度であり、『熱狂』を非難の眼で見なければならない、という。
    そして幸田文さんの文章はまさにこれに当てはまると。
    実に同感です。

    -----
    なお「木のきもの」を読み、樹皮に興味がわいてきた。

    「木は着物をきている、と思いあててからもう何年になるだろう。北海道へえぞ松を見に行ったとき、針葉樹林を走りのぼるジープの上で当惑したことは、どれがえぞ松だか、みな一様にしかみえず、見分けができないことだった。仕方がないので、目的地へついてから、教えを乞うた。あなたは梢の葉っぱばかり見るから、わからなくなっちゃう。幹の色、木の肌の様子も見てごらんといわれた。つまり、高いところにある葉や花にだけ、うつつを抜かすな、目の高さにある最も見やすい元のほうを見逃すな、ということである。そのときに、これは木の装いであり、樹皮をきものとして見立てれば、おぼえの手掛かりになると知った。」

    「木は着物をきている」という発想が面白くて、ジョギングの最中、樹皮ばかり見るようになった。もともと桜が樹皮だけでわかる唯一の木だったけど(子どものころ桜の木に登ってたから)、楠を覚えて、そしたら他の場所でも「あ、楠だ!」とわかるようになり、楽しい(字を覚えた子どものよう)。
    先日はジュゴンの肌みたいだなぁと思って興味をもっていた木が、「ヤマモモ」だと知る。
    わたしは葉っぱを見ずに樹皮ばかり見ているので、葉にも目を広げつつ、少しずつ木の種類をわかるようになっていきたい。

    0
    2024年04月20日

木(新潮文庫) の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

新潮文庫 の最新刊

無料で読める エッセイ・紀行

エッセイ・紀行 ランキング

幸田文 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す