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Posted by ブクログ
着心地重視の主人公に完全にシンクロしながら読みました。肌触りがいいとその日1日気持ちよく過ごせるのすごくわかる。
おばあさんの生活の知恵、特に着物の含蓄にうなずきまくりました。木綿、毛織、銘仙、絹、いつどの素材を着るか何故その着物なのか全部理に適ってる。縮緬のお布団ってそんなに寝心地いいのかな、寝てみたい。
少し昔の小説なので読んでてエーッてなるとこいっぱいあるし震災描写は悲しくなりましたけど、当時の文化や流行とか着物を生活品として作る人や着る人の考えることに触れられてよい読書時間になりました。自伝も入っててリアリティ色も強め。
終わりが唐突なのは連載が止まったためだそうで、続き読んでみたかったです。なんとなく想像はできますけどね…。
Posted by ブクログ
主人公の子供時代から結婚するまでの人生の歩みを、着るもの、身につけるもののエピソードをふんだんにちりばめて書かれた小説です。
きかん気が強く、気に入らないことは絶対に受け付けない性質の主人公の子供時代から物語が始まります。姉たちにはからかわれ、親にも持て余されがちな主人公。そして、そんな主人公にじっと寄り添い、気を回す祖母が物語の中心です。
登場人物が魅力的で、癇気の強い主人公、人間の良くできた祖母、どこか対照的な二人の姉、女学校でのふたりの友人、そして父の愛人など、皆それぞれの強さと考え方を持って生きていました。どの女性の半生でも物語が書けると思えるほどです。
ただし、男性の登場人物は父を除いて詳しく描かれていません。兄は途中まで完全に存在を忘れていましたし、夫となる人も人となりを想像するには材料が少ない、といった感じでした。
主人公が初めて自分で着物の生地を選びだす場面や、姉の結婚式に駆けつける場面、「もう着られないお気に入りの服で箪笥をいっぱいにしたい」と話し合う場面などが心に残っています。
人に何かあげるとき、病みついた家族を看るときなど、物事を角を立てずに進めていく祖母の知恵には、読みながら主人公と同じようにハッとさせられました。
この話は幸田文の自伝的小説だそうです。元は雑誌連載されていたもので筆者の存命中には書籍化されず、続きの構想があったようだと解説に書かれていました。
結婚式を挙げた日の夜でこの物語は終わってしまいます。しかし、決して幸せな結婚生活を予感させる文章ではなく、時代から考えても金融恐慌を経て、開戦、東京大空襲、敗戦と、決して先行き明るくはありません。その中で主人公や周りの人、特に二人の姉がどう生き抜いていったのか、読んでみたかった。続編がないことが本当に悔しく思われます。
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