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地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。
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Posted by ブクログ 2018年12月24日
沢野家の長男、崇が中心となってはいますが、数多くいる登場人物のそれぞれの心の陰影が細かく描き分けられた群像劇風に仕立てられています。
難解というほどではないが、ほどよく読み応えのある文章で、読んでいて心地よかったです。
神戸連続児童殺傷事件や秋葉原通り魔事件を受けて、そのような犯罪を犯す人物の心理や...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年02月21日
『その苦しみを優しい寛大さと喜びもを以て耐えている姿にはね、生まれてくるこの子にとってだけじゃなくて、僕らすべての生を生きられるに値すると感じさせるような慰めがあると僕は思う。』
『この世界に3キロほどの重みを持って、最早、否定出来ないような事実として放り出される前にはね、やっぱり、母親という一個...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年12月20日
ネット社会の到来以前には感じることはなかったであろう違和感。よく知っているはずの人物が、自分以外の人と接するときに見せる意外な一面。他人の日記を盗み見るのとはまた違った感覚。
我々は身近な人のことをどこまで知っているのか。あるいは本当に知っていると言えるのか。
地の文の視点は目まぐるしく変わり、すべ...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年08月20日
「決壊(上巻)」
きっかけは、日常にあり。
ある日に見つかるバラバラの遺体が発見された。被害者は沢野良介。平凡な家庭を営む会社員だ。事件当夜、彼は兄・崇と大阪で会っていたはずだった。
と言う文言が表紙に載ってしまっている。おかげで被害者は分かってしまうし、犯人も何と無く兄じゃないかと推測して...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年08月04日
「利己的な欲望の中で、人間は他者と交わりながら生きている。それはどうやったって否定出来ないよ。『自然は人類を苦痛と快楽という、二人の主権者のもとに置いてきた。』ー吐き気のするようなベンサムの宣言だが、これは俺にとって頭痛の種だよ。一人の人間と向かい合うことを考える時にはね、何を言って否定してみても、...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年06月15日
圧倒的な知識量で描かれる渾身の現代ミステリ。
まだ事件の起きない上巻では家族、友人、恋人に対して抱く微かな「不信感」や、自分以外が他者であるがゆえの「心のズレ」を感じる違和感を巧みに書いている。
人間関係を上辺では体裁良く保っていても、日常的に心の奥底に感じている上記のような空虚感は誰でも抱いた...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年05月19日
小難しい文章を書くイメージの平野さんだったが、というか過去に読んだ初期2作とは文体が違ったので、読み始めてすぐに過去に読んだ作品よりも読みやすくてこれは楽しめるかもと思い、なんてことない話が続く前半の時点でぐいぐい引き込まれていった。
上巻を半分ほど読んだあたりで、世界が広がっていく感覚というか、長...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年02月06日
順風満帆と思える生活の中で自殺願望を抱く兄、妻子がいながら満たされず疑念を抱く弟、隠居生活でうつ状態に陥る父、周りから浮いてしまっている中学生、そこに<悪魔>が忍び寄り、決壊が始まる。
***
一回読んだだけでは理解できていなかった、崇の内省的な苦悶や哲学的な思索の数々が、<悪魔>の登場後に改めて浮...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年09月10日
主人公のイメージが平野啓一郎にそのままあてはまるので、そのつもりで読み進めてみる。
実際に主人公の行動や考えには、たぶんに著者の思想も含まれているんだと思われる。
知的で冷静な主人公が、事件に巻き込まれ、壊れていくまで。
人身事故で電車が止まることに慣れすぎているように、他者の深い闇を想像するこ...続きを読む