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嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。小説と格闘する中で生まれた、目からウロコの人間観! (講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
「本当の自分」という、実体のない不可侵の塊を探すのをやめさせてくれる本だった。一貫したたった一つの「個人(インディビジュアル)」として生きるのではなく、対する相手や環境ごとに生まれる複数の「分人(ディビジュアル)」のネットワークとして自分を捉える。この視点は、真面目に生きようとするほど息苦しさを感...続きを読むじる現代において、非常に実用的な思考ツールになる。 ●「一貫性」の呪縛からの解放 世間では「裏表のない人」が美徳とされるが、本書は相手によって態度やキャラクターが変わることを「不誠実な嘘」とは呼ばない。親といる自分、職場の自分、趣味の仲間といる自分。そのどれもが「本物の自分」であるという肯定は、素直に腑に落ちる。 私自身、結婚して子供が生まれたことで、家庭内での分人が占める割合が大きくなった。その「足場」が強固になった結果、皮肉なことに外部の人間関係に対して「自分の気持ちに正直に」割り切れるようになった感覚がある。すべての場所で同じ顔(一貫性)を強要されないことで、かえって精神的な安定が得られるというのは、分人論が示す「構成比率(ポートフォリオ)」の妙だと言える。 ●他者を必要とする「分人」への疑念と整理 論理として納得しつつも、実生活に引き写した際に生じた二つの疑問についても、自分なりに整理がついた。 1.承認欲求への依存について 「他者がいて初めて分人が作られる」のなら、他者の評価に支配されないかという懸念があった。しかし、実際には特定の分人に依存せず、複数の心地よい分人に分散投資しておくことで、一つの関係性での否定が全人格の否定にならないという「守り」の側面が強い。家族という大きな分人があるからこそ、他者からの承認を過剰に求めずに済むという現在の状況が、その証左だろう。 2.一人きりのときの自分について 誰とも接していない「自分オンリー」の時間は、無(ゼロ)ではなく、過去の他者の残響や、向き合っている対象(本、映画、食事)との間に生じる分人の時間である。例えばNotebookLMなどのAIと対話する時間は、客観的な「他者」を鏡にしながら、自分自身の内省を深めるための特殊な分人が立ち上がっている状態といえる。一人の時間もまた、純粋な孤立ではなく、世界や自己との「対話」によって構成されている。 ●印象的なエッセンス 1.個人から分人へ: 分けられない「一」ではなく、状況ごとの「多」として生きる。 2.個性の正体: 固有の核があるのではなく、分人の構成比率がその人の個性となる。 3.環境による調整: 嫌な自分がいるなら、その原因となる分人を物理的に減らすという戦略。 ●まとめ 「本当の自分がわからない」「あの人といるときの自分が嫌いだ」と、内面に原因を求めてループしてしまうとき、視点を「関係性」へと外に連れ出してくれる一冊。自分を一つの塊と見なさず、環境ごとに最適化されるネットワークとして眺めることで、変化していく自分を静かに受け入れられるようになる。
文学作品を味わうためのマスターキー。 自己認識や対人関係のヒントとしては元より、氏の小説をはじめ文学全般を読む上で鍵となる一冊。汎用的な副読本としても常備したい。 「分人」の視点を通して文学作品にふれると、物語はより広く「読みしろ」を開放し、豊かな問いを読者に投げかけてくるかもしれない。
比較的手広く読書してきた積りでしたが、平野啓一郎という作家や、分人という概念を、この新書を読むまで全然知りませんでした。2012年に刊行されて、すごく話題になったらしいのに、全くアンテナに引っ掛からなかった。不甲斐ないです。 『ドーン』や『空白を満たしなさい』を早速読もうと思う。 20年以上付き合い...続きを読むのあったグループとの関係を断とうと思っていた矢先に、この本を読見ました。不快な思いを抱いたまま、人間関係の縛りでダラダラ続けるのは、あまりに不合理だと理解できて、スッキリしました。
自分の中に分人は果たしていくついるだろうか。 幼い頃から感じていた違和感がこの本を読むことで腑に落ちた。各場面で性格は変わらないしろ振る舞いは変わるので、気疲れする原因が突き止められた気がする。色々な面があるけど自分は一つ。 愛の章は取り分け響いた。他者を愛することで自分も愛せる。自分の中の分人が...続きを読むどんどん大きくなっている。それで全てを埋め尽くさないようにしないといけないけど難しい問題だと思う。
著者は、すべての人間は空気を読んで所謂「キャラ」を演じ分けているのではなく、接する他者との数だけ「分人」が存在すると本作。 唸りながらの読書体験でした。平野啓一郎さんの著書を、実はあまり読めていないので、これから読んでいきたいと思いました。
分人という概念をもっと早くに知っておけば、これまでの人間関係の悩みのいくつかは解消されていただろう。 相手との関係性の産物として分人が生まれ、個性は各分人によって構成されると筆者は述べている。(この概念を言語化できる筆者さすがです!) ある特定の人物に対する分人に嫌悪していたいとしても、好きな人に...続きを読む対する分人の構成比を増やすことで、自分を守っていきたいたなですね。
『わからない』 20代後半〜30代前半。結婚して子供が出来た。 幸せな気持ちの一方、20代前半に友人達と築いてきた自分と別人になった気がした。 「結婚して変わった」「つまらない」冗談まじりの言葉に笑ってごまかす自分が嫌になった。自分が分からなくなった。 20代も後半になって自分を見失ったことがショ...続きを読むックだった。 本当の自分という幻想を取りはらうのに少し時間がかかった。 その時々で出会う人や環境との分人(それぞれの自分)の集合体が自分、その比率によって変わっていくのが当たり前。その時々の自分を認めていきたい。そう思った。 『私とは何か「個人」から「分人」へ』 平野啓一郎 を読んで。
知人に勧められて読むことになったが、そのときは「分人」は「出会う人によって変わる個性」のように説明を聞いていた。言葉として理解はしていたが、読んでみてまっと分人とは何かが実感を持って理解できた。自分が思っていることや違和感を単語一つで解消してくれた。さらに、「人は環境によって作られる」よりも性善説的...続きを読むな考え方で個人的には背中を押された気分になった。 流石小説家、物語でも読むかのように読みやすく分かりやすかった。平野啓一郎さんの小説もいくつか紹介されており、彼の作品は正直読んだことないが読みたいと思った。
まさに「本当の自分とは何か」とか「ペルソナの切り替えが自分は苦手だなぁ」とか思っていた最中に知人が貸してくれた本。 分人という概念はきっと今後の私の人生において大事なものになると思う。 そして印象的だったのが「恋」と「愛」の話。私はどちらかというと谷崎潤一郎の「恋は性欲」「愛は母性」という考えに共感...続きを読むした。彼の本を読んだことがなかったので、これを読んでいなければ出会えなかった考え。 他にも随所に他の作家の小説やエッセイを挙げており、ぜひ読んでみたいなと思わされる。 個人ではなく分人。私は分人を大切にしたい。
個人よりも細分化された自分(=分人) その分人の集合体が私個人。 色んな面(分人、私)があるものだ。 幼馴染に対しての振る舞い、目上の方へ、親兄弟へ、たまに会う親戚、大学で出会った人へ、同僚として知り合った人へ、好きな人へ、信用してる人へ、苦手な人へ、深く関わりたくない人へ、 その人を目の前にした...続きを読む時の こちらの心の開き具合はバラバラ。嫌な自分だって出てくるというもの。 嫌な相手だっているのだから笑 違う自分で接していて当たり前じゃないか。 全く違う真逆の自分になるのも自然なことではないか。 また、3歳の自分と10歳の自分と30歳の自分では立場も責任も、考え方も人生経験も社交能力も、 何もかも違う。3歳から知ってくれてる相手と、29歳のときに知り合った相手では歴史も信用も何もかも違うから話す内容も心許せる度も違うから接し方も自ずと変わる。 でもどれも自分。矛盾しない。 ある意味、みんな百面相じゃないか。 悪い意味じゃなくて、肯定的な意味で皆そもそも百面相。 自分の中の多面性を気に病む必要は、と思った。 それでいいと達観の視座をくれる一冊。 あの時のあの顔(や振る舞い)も自分(分人)。これも自分(分人)。過去の私も自分(分人)。ちぐはぐでも。その時の自分も自分だし、今の自分も自分。 私はこの人の前ではこんな顔、こんな振る舞い、と目の前の相手によって差があるのはごくごく自然な事で、 色んな内面を擁している自分。 本の中に、SNSでのその人の姿と、実際の日常の姿って違うよね、と。WEB上では凄いキレ者なのに、リアルは物静かな人物として暮らしている、合わせて一人の人間。 WEB上のその人(分人)・リアル生活のその人(分人)、どっちもその人 みたいな箇所があって わかる〜〜〜!となった!笑 有吉佐和子さんの「悪女について」という小説がある。 亡き悪女・富小路公子について 生前に関わった27人へのインタビュー形式で物語が展開していく。(実母、夫、元夫、息子、義母や幼馴染、公子の息子の父親は自分であるとする3人の男!笑 担当医、親友、など関わりの深い登場人物たち) 「公子さんはこんな人でしたよ」「彼女とはこんな事があって」「とても素晴らしい人」と絶賛する声もあれば 「あの女は。女としては恥ずかしいほどの悪徳の持ち主でした」と言うふうに憎悪する声も。 全て一人の富小路公子なのですが。 平野さんの本を読んで 富小路公子の事を思い出しました。
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私とは何か 「個人」から「分人」へ
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平野啓一郎
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