「カッコいい」とは何か

「カッコいい」とは何か

1,100円 (税込)

5pt

本書は、「カッコいい」男、「カッコいい」女になるための具体的な指南書ではない。そうではなく、「カッコいい」という概念は、そもそも何なのかを知ることを目的としている。

「カッコいい」は、民主主義と資本主義とが組み合わされた世界で、動員と消費に巨大な力を発揮してきた。端的に言って、「カッコいい」とは何かがわからなければ、私たちは、20世紀後半の文化現象を理解することが出来ないのである。

誰もが、「カッコいい」とはどういうことなのかを、自明なほどによく知っている。
ところが、複数の人間で、それじゃあ何が、また誰が「カッコいい」のかと議論し出すと、容易には合意に至らず、時にはケンカにさえなってしまう。

一体、「カッコいい」とは、何なのか?

私は子供の頃から、いつ誰に教えられたというわけでもなく、「カッコいい」存在に憧れてきたし、その体験は、私の人格形成に多大な影響を及ぼしている。にも拘らず、このそもそもの問いに真正面から答えてくれる本には、残念ながら、これまで出会ったことがない。

そのことが、「私とは何か?」というアイデンティティを巡る問いに、一つの大きな穴を空けている。

更に、自分の問題として気になるというだけでなく、21世紀を迎えた私たちの社会は、この「カッコいい」という20世紀後半を支配した価値を明確に言語化できておらず、その可能性と問題が見極められていないが故に、一種の混乱と停滞に陥っているように見えるのである。

そんなわけで、私は、一見単純で、わかりきったことのようでありながら、極めて複雑なこの概念のために、本書を執筆することにした。これは、現代という時代を生きる人間を考える上でも、不可避の仕事と思われた。なぜなら、凡そ、「カッコいい」という価値観と無関係に生きている人間は、今日、一人もいないからである。

「カッコいい」について考えることは、即ち、いかに生きるべきかを考えることである。

――「はじめに」より

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  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内文学
  • 出版社
    コルク
  • 掲載誌・レーベル
    コルク
  • ページ数
    477ページ
  • 電子版発売日
    2019年07月16日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    4MB

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「カッコいい」とは何か のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    “ビュフォンが『人間の博物誌』(一七四九年)を書いて以来、「男らしさ」は、”生物学”に基盤を得て、自然主義的に主張されるようになる。男女の性的二形性ーつまり、男女は解剖学的、生物学的に違うという事実ーから、その差異は社会的な存在論にまで拡張され、結局のところ、男性の優位を根拠づけようとする思想が、一

    0
    2025年03月30日

    Posted by ブクログ

    我々はカッコ良さに呪われている。どこまでもかっこ良さを求めている。カッコ良さにこだわらないカッコ良さ。さらにはカッコ良さに素直に開くカッコ良さ。しかしながら、これらは他人をそのように思うだけで、「自分」は絶対にカッコよくなれないという構造。この構造が呪いだ。
    結局、カッコ良さは納得感ではないか。同じ

    0
    2024年07月18日

    Posted by ブクログ

    「カッコいい」という感覚を言語化することの奥深さを知った。

    感覚的なイケてる、ヤバい、スゴいといった言葉にも共通する「理屈抜きの形容詞」をどのように明らかにするかということは、自分の美学を確認することに違いない。

    自分にとってのカッコいいとは何か、を突き詰めることは自分探しと言える。

    単なるル

    0
    2021年04月14日

    Posted by ブクログ

    この軽薄そうなタイトルに対してこのボリューム。
    新書というのは‘掲げたテーマを簡潔に読者に語る’というのをそのスタイルとしたのだと思っていたのに…。だからこの本を手に取った時は『何考えてんだ?』と呟いてしまった。
     著者の平野啓一郎氏も悪いと思ったのか「第10章にはまず目を通し、肝となる第3章、4章

    0
    2020年02月02日

    Posted by ブクログ

    つまるところ、体感、痺れるような体感があることが必要なんだとか。カッコいいとはということを調べてここまで色々なテーマがあることに驚いた。
    自分の場合は、自分もやっていること、たとえば野球とかで、とても自分には成し得ないようなことをやってのけるヤツはカッコいいし、世間が何を言おうともブレない奴もカッコ

    0
    2025年01月15日

    Posted by ブクログ

    想像していたより遥かに重厚で濃厚な内容だった。正直一読しただけでは自分の中で理解や解釈が及んでいないところも多い。多面的多角的な考察や検証はすごいんだけど、特にファッションの話とかは背景知識や関心が不足している部分が少なくなく、感覚的な理解が及んでいないという感じ。まぁそれはそれで仕方ないかもしれな

    0
    2024年07月10日

    Posted by ブクログ

    大学の一般教養1年分ぐらいの量・質とがある新書でした。第10章の要約を読むだけでも十分に価値があると思います。一見サブカル好き人間が飛びつきそうなテーマを、かの平野啓一郎が多方面から徹底的に掘り下げているところも面白かったです。

    0
    2022年08月20日

    Posted by ブクログ

    自分には少し難しいと感じたものを読み返してみたら、案外スラスラ読めた。それに、それそれ!って思うことばかりが書かれていて、自分が感じていたことを言語化してくれている本だと思った。

    0
    2022年09月28日

    Posted by ブクログ

    「カッコいい」という現代的な美意識について、美学や社会学などの観点から考察をおこなうとともに、ジャズやロック、ファッション、文学についての著者自身の意見を交えながらの議論がなされています。

    著者は、アメリカにおける「クール」の概念やヨーロッパにおける「ダンディ」の概念などをたどり、「カッコいい」と

    0
    2020年09月14日

    Posted by ブクログ

    文化を本格的に分析する本って、あまり読めていませんでした。
    この本はとても面白かった。
    丁寧で、論理的で、読み応え、納得感がとてもあります。

    「かっこいい」っていう感覚って、常に大切にしたいと思うんですけど、
    そのかっこよさって、いったい何なのか。
    それを考える基盤を与えてくださったかなと思います

    0
    2020年06月09日

「カッコいい」とは何か の詳細情報

  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内文学
  • 出版社
    コルク
  • 掲載誌・レーベル
    コルク
  • ページ数
    477ページ
  • 電子版発売日
    2019年07月16日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    4MB

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  • 【閲覧できる環境】
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