【感想・ネタバレ】「カッコいい」とは何かのレビュー

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Posted by ブクログ 2021年04月14日

「カッコいい」という感覚を言語化することの奥深さを知った。

感覚的なイケてる、ヤバい、スゴいといった言葉にも共通する「理屈抜きの形容詞」をどのように明らかにするかということは、自分の美学を確認することに違いない。

自分にとってのカッコいいとは何か、を突き詰めることは自分探しと言える。

単なるル...続きを読むッキズムと言い切れない。
カウンターカルチャーとしての反骨精神、感情をコントロールできる人、家族や身近な人をまもれる人、卓越した職人技を持っている人、、などなどもカッコいい。

かわいいは目下に使う。
カッコいいにはリスペクトを含む。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年09月06日

いやあ、平野啓一郎の洞察は深いなあ。そして難しいテーマも簡潔に整理されていて、それでいて何度でも読み直したい。まさにクール。この新書自体が「カッコいい」な。印象に残ったのは、カッコいい人は、カッコいい名言を残しているということ。しびれるような経験を言語化することができて初めて物語に内包されて体感され...続きを読むるということ。カッコいいを語るにも知性が必要なんだなあ。

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Posted by ブクログ 2020年02月02日

この軽薄そうなタイトルに対してこのボリューム。
新書というのは‘掲げたテーマを簡潔に読者に語る’というのをそのスタイルとしたのだと思っていたのに…。だからこの本を手に取った時は『何考えてんだ?』と呟いてしまった。
 著者の平野啓一郎氏も悪いと思ったのか「第10章にはまず目を通し、肝となる第3章、4章...続きを読むを読んでもらえれば…」と多方面の歴史をひもときながら解説するうちに、参考文献の量が多くなったことを詫びている。
 でも、この本の厚さに負けて、第10章だけを読んだ人は、全く面白さがわからなかったことだろうし、その後に肝となる第3章、4章を読んでもやっぱり、平野氏の「カッコいい」に対する熱量は伝わらなかったのではないだろうか。まるで、教科書を読んで、その後にかなり詳しい参考書を読んだくらいの感覚だろう。
 
 私は平野氏のように多趣味ではないので、こんなに多方面から「カッコいい」を見つめることはできない。だから、知らない音楽やファッション、エンタメなどのカタカナをググりながら、彼の連れて行く多方面の「カッコいい」が紹介されている477ページに付き合った。
 そして、こんなにもの分量の言葉を積み重ねないと、しっくりと「カッコいい」が伝えられたと感じられなかっのか。という思いにもなった。
 それは平野氏の言っている『「カッコいい」は体感で「しびれ」をともなうもの』で、言葉で説明べきるものではないということの証でもあることを語ってもいる。

 今日のお昼、DVD で『ボヘミアンラプソディ』を観たのだけど、昔、フレディ・マーキュリーの歌を初めて聴いたときにまさに『しびれ』が体を走ったのを思い出した。

 まさに「カッコいい」とはこういうことなんだと、当時一緒にレコードを聴いていた友人に、言葉も無しに伝えられた気がした。

 そう、人は少なからずこの「カッコいい」によって人生の幾つかの選択肢を選んできているのだ。
言葉の重量は感じないが、電光石火、人に瞬間にして決意と行動を、もしかしたら転向を促すかもしれないものすごい力を生み出す「雄叫び」だったのだ。

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Posted by ブクログ 2019年10月31日

平野先生のカッコよさについての思考をひたすら追っていく本。かなり長めで読み応えがあります。最終章に議論のまとめがあり、正直大変助かりました。

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Posted by ブクログ 2019年09月21日

相も変わらず流れるような、しかし決して感情に押し流されない文体と執拗なまでの深堀りが気持ち良い。「本の読み方」も小説やエッセイ、ましてその辺の新書にあるような似非学術とは解離している、新しい文芸ジャンルだった。本書はさらにそれを確立した感がある。
かなり難解な思考も繰り返し別方向から例示されるため、...続きを読む結果かなり近いところまで理解できた(気にさせられる)。
もちろん芸人とは全く違う次元で評論がエンターテイメントになりうる、面白いのだということを知らしめた。なかなか出来ることじゃない。
それまで抑制の利いた、「クールな」理論展開を繰り広げてきたが、第6章「Atlantic Crossing!」ではロック愛のゆえ、感情が所々漏れ出してしまっている。小説作品にも通ずる平野啓一郎を愛すべき一面が垣間見れる。

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Posted by ブクログ 2019年08月26日

本屋で見かけて即購入を決めた本。タイトルの通り「カッコいい」という言葉やそれが表す概念について丁寧に考察した本です。語源についても「格好いい」と「カッコいい」との意味の違いというところから、他の似た概念を表す言葉を日本語、他の言語も含めて考察「重ねています。言葉の使われ方や表すものを理解する上では当...続きを読む然文化や社会の歴史についても考えることが必要ですが、なかなか自分でそこまで調べることはできないので、なるほど!と感動しながら読み進めました。非常に面白かった。

私自身、「カッコいい」生き方をしたい、というのが職業選択やキャリアにも通じている発想なので、自分のことを内省しながら読むことができたのも楽しかったです。

いくつか考えを深めたいと感じた点も。

◆若者の新たな「カッコいい」は成り立ち得るか、という指摘
「カッコいい」という言葉は、20世紀後半の高度経済成長の消費経済の中で一気に普及してきた言葉であり、その言葉や文化の担い手は古い文化に対抗する新しい世代だった。人口構成がピラミッド型であった時代はそれで良いが、釣鐘型となった今、若者の新たな「カッコいい」は古い世代に取って代わることができないのではないか。もしそうだとしたらそれは社会的に何を意味するのか、という話。


◆社会貢献や社会課題解決への参加が「カッコいい」という考え方について
個人的にこの点について考えたくて読んだという部分も大きいのですが、「ノブレスオブリージュ」の視点からの考察しか触れられていなかったのは少し残念だった。

ミレニアル世代以降の世代の社会貢献意欲、社会課題解決志向の強さはよく指摘されますが、この世代的な志向特性の背景にあるのは「ノブレスオブリージュ」的な発想とは少しずれるところもあると感じる。むしろ上述の上の世代との対決、という文脈で捉えて得るものではないか。

「カッコいい」には「マネしたい」と思わせる同化・模倣願望を引き立てる力があり、だからこそしばしば政治利用される可能性が常に存在する。この点に私たちは自覚的であらねばならない。

だとした時に、NPOやソーシャルビジネスの担い手がその活動への参加や寄付の呼びかけを行う時に「カッコいい」を活用することにどういう意味があるのか。

本文では「倫理性を問い続けること」と軽く触れられていたが、この点について担い手自身が自覚的であり続ける必要がある。

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Posted by ブクログ 2022年08月20日

大学の一般教養1年分ぐらいの量・質とがある新書でした。第10章の要約を読むだけでも十分に価値があると思います。一見サブカル好き人間が飛びつきそうなテーマを、かの平野啓一郎が多方面から徹底的に掘り下げているところも面白かったです。

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Posted by ブクログ 2022年09月28日

自分には少し難しいと感じたものを読み返してみたら、案外スラスラ読めた。それに、それそれ!って思うことばかりが書かれていて、自分が感じていたことを言語化してくれている本だと思った。

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Posted by ブクログ 2020年09月14日

「カッコいい」という現代的な美意識について、美学や社会学などの観点から考察をおこなうとともに、ジャズやロック、ファッション、文学についての著者自身の意見を交えながらの議論がなされています。

著者は、アメリカにおける「クール」の概念やヨーロッパにおける「ダンディ」の概念などをたどり、「カッコいい」と...続きを読むいう美意識にかんする概念史的な検討をおこない、さらに1960年代以降の日本で「カッコいい」ということばがどのように用いられてきたのかを明らかにしています。そのうえで著者は、「カッコいい」とは民主主義と資本主義のなかではぐくまれてきた美意識であるとしながらも、つねにあたらしい「カッコよさ」を提示することで駆動してきた消費社会のありかたそのものが「ダサい」ものになりつつあるのではないかという現代の問題を提示しています。

また著者は、「カッコいい」という美意識の核心に「戦慄」や「しびれる」といった生理的興奮があることに留意しつつも、そうした生理的な反応と倫理的価値観との接点に生じる問題を指摘しています。こうした著者の議論の方法は、「カッコいい」という美意識に内在的な立場からの分析であるというよりも、カルチュラル・スタディーズのような社会学的な考察に近いといえるように思います。小説家である著者には、そうした分析にページを割くよりも、著者自身の感性にもとづいた議論を手掛けてほしかったと、個人的には感じました。

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Posted by ブクログ 2020年06月09日

文化を本格的に分析する本って、あまり読めていませんでした。
この本はとても面白かった。
丁寧で、論理的で、読み応え、納得感がとてもあります。

「かっこいい」っていう感覚って、常に大切にしたいと思うんですけど、
そのかっこよさって、いったい何なのか。
それを考える基盤を与えてくださったかなと思います...続きを読む

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Posted by ブクログ 2020年05月10日

筆者は、「かっこいい」を「しびれるような生理的興奮をもたらし、強い所有願望、同化・模倣願望をかりたてるもの」と定義している。この本を読む数ヶ月前、あるロックバントの初ライヴに行って、まさに「しびれる」ような体験をしたばかりだったので、どんどん読み進めた。音楽、ファッション、文学、宗教、政治、経済など...続きを読む、いろいろな視点から分析している。章によっては、多少、文章が冗長に感じられるところもあったが、それ以上に、考えさせられることが多かった。かっこいいを考えることで、自分の生き方、美意識を問い直してみたい人におすすめです。

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Posted by ブクログ 2020年02月19日

カッコいいとは何か。
この本を読めば分かると思ったら、かえって分からなくなった。
そんな本だと思う。
でも、わかる本がいい本だとも思わない。

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Posted by ブクログ 2020年02月13日

タイトル通り「カッコイイとは何か」について考察した本。カッコイイは巷で特に若い人達の間で使われるが、その語源、定義は曖昧で、何をもってカッコイイというのかは、人それぞれである。
著者は古今東西のカッコイイ事例を取り上げ、思想、歴史、芸術、ファッション等様々な観点で考察している。著者の定義によると主に...続きを読む3つの分類がある。
・1 見た目のカッコよさ
・2 一見平凡だが、本質的に優れている。そのギャップがカッコいい
・3 優れた本質が矛盾なく外観に現れ、存在自体がカッコいい
自分もこの分類は間違っていないと思う。自分の周辺にもそれぞれの定義で思い当たる事例があった。人生で出会った友人知人、テレビや映画、小説の登場人物等々、読んでいて「カッコイイ」人物が思い出される。
「カッコイイ」という言葉がこんなに奥深いものだとは知らなかった。テーマの選び方は良いと思う。著者の考察は、過去から現代まで幅広く網羅しているけれど、思想的なところはやや理解しにくい部分もあり、またファッションや音楽等で提示されているカッコイイ事例がマニアック過ぎて、知らないものも多かった。
確かに大変面白かったけれど、新書で500ページは多少間延びした感じがあり、これだけのページを使うほどのテーマなのかなとも思った。

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Posted by ブクログ 2019年10月13日

どうしてだ、デクスター。このスーツだってキマってるだろ、高かったんだぜ

マイルス、違うね。ヒップとは言えないな。値段なんて関係ないんだ、わかるだろ、ジム。ヒップかどうかだけが問題で、お前が着ているものときたら、ヒップなんて代物じゃないね

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Posted by ブクログ 2019年09月02日

なかなか読み応えのある『カッコいい論』で、近代史やロックミュージック等、自分も興味のある内容から話が展開されているため、読みやすかった。本題とは別に、なんとなくわかっていたような気になっていたモッズやヒップ、ダンディズム等の由来についての解説も勉強になった。

理想的な自己・生き方の投影が、痺れるよ...続きを読むうな体感をもってなされることであり、表面的に見た目の恰好が良いこと以上に、深い背景があることに驚かされた。また、それが悪行へ政治利用される場合もあるという気づきを促してくれるのも、良い内容だと思いました。

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Posted by ブクログ 2019年08月31日

カッコいいを、服装、音楽、思想なんかの観点から考える。海外での岩倉具視の着物を着こなし方や、西洋に対するコンプレックス。ロックが反体制的なものとしてひとに受け入れられたり。
戦争や政治の道具として、民衆へのアピールとして使われたり。絶対的にカッコいいものはなく、時代やその時のトレンドに左右されるもの...続きを読むで、陳腐化するばダサいになる。道理があってまわりのひとも幸せにする生き方がわたしはカッコいいと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年08月30日

 今日でも私たちは、ルーヴル美術館でドラクロワの≪サルダナパールの死≫の前に立ったり、ブルーノ・マーズがコンサートで≪Just the Way You Are≫を歌い出したり、ワールドカップでメッシがスーパーゴールを決めた瞬間などには、激しく「戦慄」し、「しびれる」ような生理的興奮を味わう。何かスゴ...続きを読むいものを目にした時には、「うわっ、鳥肌が立った!」と、その証拠に服の袖を捲って、わざわざ見せてくれる人までいる。
 ドラクロワは、美を端的に、「戦慄」をもたらす感動の対象と捉えていた。「戦慄」があれば、つまり、それは美なのだという彼の確信は、それだけ、芸術家としての自らの感受性に自負を抱いていたからだろう。この時代、美に対して崇高という概念は、このような「戦慄」的な体験を指していたが、ドラクロワは飽くまで、美に接した時の輝かしい喜びの根底にある「戦慄」について語っている。

 生理的興奮自体は、私たちの身体に基本的条件として備わっている。その上で、その反応と状況を関連づけながら、私たちは何を感じ取ったのかを自覚する。
 イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは、それを「経験する自己」と「物語る自己」と二分して呼んでいる。
 鳥肌が立ったのは、なぜだったのか? 美しいという感動だったのか、スゴいという衝撃だったのか、気持ち悪いという嫌悪感だったのか? その意味づけには、ジェームズ=ランゲ説のような一対一の対応関係があるわけではなく、常に環境の解釈次第で、しばしば誤解とも言うべき混乱が生じる。

 しかし、美の場合と同様に、個々の「経験する自己」の生理的興奮は、実は、「カッコいい」という言葉に一元管理されるべきものではなく、「物語る自己」は、もっと違った情動と解釈すべきだったのかもしれない。
 イギリスのHR/HMの一源流であるブラック・サバスというバンドは、当初は別の名前だったが、デビュー前にホラー映画『ブラック・サバス』(一九六四年、マリオ・バーヴァ監督)を見て、人に恐怖感を与えるロックという斬新なコンセプトを思いついた、という有名な逸話がある。
 実際、≪ブラック・サバス≫(一九七〇年)という、バンド名と同名の曲は、暗く虚ろな不協和音と重低音のリフ、サタンに追われる恐怖を綴った歌詞が一体となって、何とも言えない、ゾッとするような雰囲気を醸し出している。
 ブラック・サバスは大ブレイクしたが、しかし、なぜ恐い音楽が、「カッコいい」と熱烈に支持されるのかは、合理的には理解し辛いところがある。
 この時、「経験する自己」の生理的反応は、一種の不安や恐怖だったのかもしれない。つまり、「吊り橋効果」で、観客を緊張させ、ドキドキさせていたのである。しかし、当の観客は、ライヴが終わったあと、他のキャッチ―な曲やライヴハウスという環境、そもそもロックを聴いているという前提、メンバーのルックス、周囲の熱狂などから、その生理的興奮を「カッコいい」音楽を聴いたからだと解釈し、あるいは彼らのファンになったからだと理解したのかもしれない。

「カッコいい」存在は、これまで見てきた通り、「しびれる」ような興奮をもたらしてくれるが、その生理的反応自体に倫理性はない。「経験する自己」を反省的に、批評的に言語化するのは「物語る自己」だが、その際に、例えばファッションとしてナチスの制服を「カッコいい」と感じた鳥肌を、ナチスそのものを「カッコいい」と感じていると錯誤する可能性は常にある。

 ミルトンのサタンは、この後に生まれた“美しき反逆者”像の最も洗練されたものであり、今日でも、小説であれ、漫画であれ、映画であれ、魅力的なアンチヒーローを描きたい人は、『失楽園』を丹念に読むことによって、圧倒的なキャラクターを造形することが可能だろう。
 その特徴は、絶対的な権力への反抗、強い自尊心、出自の高貴さ、敗残・淪落の孤独と影、情熱、、要望の美しさ・立派さ、決してあきらめることなく挑戦し続ける不屈の意志、人望、リーダーシップ、比類ない言葉、クールさ、聡明さ、……と、今日的な「カッコいい」の内容としても、その多くが同意されるものである。

「カッコいい」人とは、社会全体で共有されるべき理想像が失われた時代に、個人がそれぞれに見出した模範的存在である。
 言い換えるならば、「カッコいい」人を探すというのは、「自分探し」である。誰を「カッコいい」と思うかこそが私たち一人一人の個性となる。

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Posted by ブクログ 2023年03月08日

筆者の博識と分析力には、常々、感嘆の念を禁じ得ない。カッコいい!という表現を考察した文章だが、、非常にレベルの高い内容で、読み応えがあった。

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Posted by ブクログ 2022年11月22日

平野啓一郎さんの本で小説以外は初読。
最後は主観でしかないはずの「カッコいい」についてトコトン考察する本。

最後の方で、クールジャパンといって、国がカッコよさを煽る姿勢自体が「カッコ悪い」とぶった斬る。

ビートルマニアの自分としては、『アトランティック•クロッシング』(大西洋横断)の章が一番おも...続きを読むしろかった。

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Posted by ブクログ 2022年10月10日

感想
人類が持つ共同体の規範を遵守する傾向。それが感情と結びつき生じるカッコいい。法律や不文律の成熟で多様化した価値観。今後も枝分かれ続ける。

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Posted by ブクログ 2022年11月09日

カッコいいとは何か。歴史、世界的な視野、定義、表面的なことと実質的なこと、政治利用に至るまで幅広く網羅して漏れてるものが何もなさそう。

ぎっちり詰まって400ぺーじ強。なかなか濃かった。これで1000円ならすごく安く感じる。

同姓同名かと思ったらある男(小説)の作家さんか!!すごいな!!笑
知識...続きを読む量と分析能力と情報をまとめる力凄まじいな…

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Posted by ブクログ 2022年03月06日

「カッコいい」をその語源、語感、語用の変遷から、類語から掘り下げて考察。クール、男らしさ、ヒップ。しびれる感覚。ここまで、こだわって論が展開されると、どうも著者と対話したくなり、自らの思考がノイズとなる。これは私の悪い癖であるが…。

例えば、「カッコいい」とは、そのタイミングの価値観に基づく妄念。...続きを読むつまり思い込みであり、一年前のデザイナーシャツが時代遅れでカッコ悪くなる事もあり得る。更に、他者から承認を期待した相対的な物であり、絶対的価値観ではない。自覚する自己を引き上げ、投影する自己における理想の姿こそが、自らのカッコ良さであり、言い換えるなら、承認欲求の期待だ。自己がそれを成し得ない場合、他者に投影する理想と、他者の実際の一致を見て、カッコ良さを感じる。パンクスを馬鹿にする少年は、伝説のパンクロッカーを間近に見ても、しびれはしない。体感主義の根源には、必ず自己の価値観がある。

思春期の頃は、デザイナーファッションに憧れたが、今はブランド物でかためたオバさん、オジさんを田舎臭く見てしまうようになった。枯れた、という事ではなく、洗練、あるいは超越したのだと思いたい。

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Posted by ブクログ 2020年12月12日

あまり馴染みのない分野なのでついていけないところもあったけど、カッコいいを軸に文化やファッションの歴史などに触れることができて良かった。

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Posted by ブクログ 2020年06月14日

「カッコいい」の定義付けを、世界的視野と歴史的視野に基づいて紐解く。

「カッコいい」が時代ごとにどう定義され、背景に何があり、その背景の変遷を受けどう変化してきたかという論の進展には迫力があったが、良くも悪しくも気圧される論であるが故に、今の私たちにとっての「カッコいい」に辿り着くまでにややくたび...続きを読むれてしまった感があった。

この文章において、平野氏が「あるまいか。」という結びを多用している印象があり、そのことも私にとってはくたびれてしまう原因となったのではあるまいか。

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Posted by ブクログ 2020年04月25日

 SNSでの時事コメントやメディア上での時評では(ろくな文化人の少ないこの世代では例外的に)至極真っ当な平野啓一郎だが、肝心の書くもの(小説・評論)が個人的にはつまらないことが多い。本書も西欧中心主義的な思想系譜認識や、生理的な「体感」を「カッコよさ」受容の本質とするアクロバットな力技に恣意性を感じ...続きを読むるが、その博覧強記による「情報量」自体が勉強になるため、読んで面白いことは面白かった。生まれてこの方「カッコよさ」とは無縁で、「カッコいい」「カッコ悪い」という価値判断自体の暴力性に対し、幼児の頃から嫌悪感を持ち続けている者としては、どうあっても「カッコよさ」という概念は肯定できず、(一応言及はされているが)差別や暴力の観点から「強者のイデオロギー」としてより徹底した脱構築を望みたい(「カッコいい」女性が「名誉男性」化している問題など)。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月22日

つまりその、ついていけなかったわけで。古代から現代までに通じるあれこれを平野さんの博識で語る。カッコいいのはシビれる感じなんだって。

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Posted by ブクログ 2019年12月14日

難しい部分は斜め読み。
「カッコいい」が現代語辞典に登場するのは1990年代で、一般的な言葉として普及したのは、1960年代だそうである。

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Posted by ブクログ 2019年11月10日

不発。著者とテーマの組み合わせが「カッコいい」と思い、期待しましたが、なんか惜しい感じ。確かに著者が「小説以外では、この十年来、私が最も書きたかった本」というだけあって、古今東西の文献から「カッコいい」の成立を見出して行こうという意欲はビンビンに溢れていて、新書にしてはめちゃ分厚い本になっています。...続きを読む「カッコいい」まわりのあらゆる論点も網羅されている感じで、また組み立ている論旨を明確なのですが、それでもなんか「入り口」辺でぐるぐるしている印象でした。これは本書でも言及される「真=善=美」が概念なのに対して、「カッコいい」が「しびれるような」「体感」であるという推論が、「カッコいい」について語ることを難しくしているのかな、と思いました。と、いうことで極めて冷静になろうとしている平野啓一郎が、実は自分は「何をカッコいいと思ってきたか?」という部分が一番イキイキしているような気がしました。でも、AIが進行し、人間の存在は「体感」で価値づけられる時代が来たら、「カッコいい」はとても重要なテーマとして、さらに語られなくては、とも思っています。

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Posted by ブクログ 2019年10月04日

ラジオで紹介されていて読んでみた本。著者が感じる”カッコいい”について深く考察されており、かなりのボリュームの1冊。カッコいいをここまで分析できることに関心させられた。

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Posted by ブクログ 2019年12月19日

「かっこいい」という概念についての考察。平野さん的なかっこいい論。なかなかボリュームのある内容でとても興味深かった。

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