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本書は、現代の純文学からミステリーまでの11作品を題材に、物語をより深く楽しく味わうコツを、人気小説家がわかりやすく解説。小説を読んだ後、SNSで、作品の感想を書いたり、意見交換ができるようになる1冊です。
「冒頭で、私は、動物行動学者のティンバーゲンによる『四つの質問』を紹介している。これは、文学に限らず、映画にも美術にも通用する問いであり、何かを鑑賞したあと、人とそれについて話をしたり、自分で感想を書いたりする際には有効な着眼点となるだろう」(本書「文庫版によせて」より抜粋)
<本書で解説する作品>
●ポール・オースター『幽霊たち』
●綿矢りさ『蹴りたい背中』
●ミルチャ・エリアーデ『若さなき若さ』
●高橋源一郎『日本文学盛衰史――本当はもっと怖い「半日」』
●古井由吉『辻――「半日の花」』
●伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
●瀬戸内寂聴『髪――「幻」』
●イアン・マキューアン『アムステルダム』
●美嘉『恋空』
●フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』
●平野啓一郎『本心』
PHP新書版に、『罪と罰』『本心』の解説を新規追加し、再編集。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
物語を
メカニズム、発達、機能、進化
の観点から考察してみる。
創造的な誤読を楽しむ。
ケータイ小説「恋空」について、文体の特徴として、形容詞、形容動詞、副詞といった修飾語が極端に少なく、まるでマンガの一コマを思わせるテンポ感、という平野さんの指摘に納得。
物語の中で、主人公がA君について語るとき、A君はそういう設定の人なんだろう、と思い込むことがあるけれど、それは主人公から見た視点のA君であり、そこに主人公という主語を補填する述語も含まれている、ということは新たな気づきであった。
言われてみれば、それは当たり前なんだけれど、創作物を読んでいる、という前提がその感性を鈍らせていたように思う。
Posted by ブクログ
本書は『本の読み方スロー・リーディングの実践』の続編であり実線偏であります。現代の純文学、ミステリーさらにはケータイ小説も含めた計九作品を題材に、予備校の授業のようなイメージで解説してくれます。
本書は芥川賞作家・平野啓一郎氏による読書論・第2弾です。個人的には『本の読み方スロー・リーディングの実践』の小説版であると捕らえております。
この記事を読むために何回か再読しましたが、読みながらイメージしたことは丁度、予備校の現代文の授業風景で、平野氏が黒板で講師をする映像が頭に浮かび、もしかしたら平野氏は小説家としてだけではなく、予備校講師の道を選んだとしても、人並み以上の成功を手にしていたのではなかろうかとさえ、思ってしまいました。
ここで取り上げられている作品は、ポール・オースター『幽霊たち』綿矢りさ『蹴りたい背中』ミルチャ・エリアーデ『若さなき若さ』高橋源一郎『日本文学盛衰史――本当はもっと怖い「半日」』古井由吉『辻――「半日の花」』伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』瀬戸内寂聴『髪――「幻」』イアン・マキューアン『アムステルダム』美嘉『恋空』――の9編で、まさか平野氏が「ケータイ小説」の走りである『恋空』にまで言及しているとは正直思いませんでしたし、今でも驚きを隠せませんでした。
しかし、作家が小説を読み込むということはここまでクオリティの高い知的生産活動になるのかということに、読みながら本当に驚かされました。
『蹴りたい背中』にある『コミュニケーションのとり方』学校小説というジャンルの中に横たわっている『疎外感』。筆者自身が『エンターテイメントに徹した』と言わしめる『ゴールデンスランバー』も筆者が読み解くと「いかにうまく読者を裏切るか」などの技巧的なものから、作品がいかに『読者の声を代弁する』かということについてまでの言及がなされており、「ここまで読み込むのか!」という思いが頭をよぎり、まだまだこれを見習わないとなぁ、と自分の努力不足を恥じ入るばかりでございました。
僕の小説の読み方はただ単に『読んで味わう』『好みによって読む作家の作品を選ぶ』というまことにもってプリミティヴなものであったかを痛感させられてしまい、これをきっかけにして、筆者の境地にたどり着くのが到底無理であると自覚しつつも、この本に記されている読みかたも、今度からは自分の読書の方法のうちに取り入れてみよう、なんて思っています。
そして、繰り返しますが、この本を読んでいると氏の『講義』を1対1で受けたような気分になり、とても有意義な時間でございました。
仮に、平野氏のような現代文の予備校講師がいると、現役時代に小説を読まなかった高校生が、大学に入ると猛然と読書をしたりすることがあったりするので、人や本との出会いというのは本当に大切なものでございます。
※追記
本書は2022年5月11日、PHP新書版に、ドストエフスキーの『罪と罰』と平野氏の『本心』の解説を新規追加し、再編集の上、『小説の読み方 (PHP文芸文庫)』として文庫化されました。
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