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英国の幽霊城ミステリー
今なお 城をさ迷う幽霊たちの物語の中に、 英国の歴史を読み解く鍵がある 英国においては、言ってみれば先住者である幽霊たちを追い出すという発想は一般的ではないようだ。日本のように、視たら祟られる、呪われる、というような話はほとんどなく、英国の幽霊はほとんどの場合、ただそこにいるだけだ。悪さをするわけでもないなら共存しよう、というのが英国人の考えらしい。むしろ、歴史を体現する存在である幽霊に親しみを感じ、価値を見出す向きすらある。(中略) 幽霊を恐れながらも尊重しようという英国人の姿勢からは、幽霊は歴史的事実に基づく存在であり、民衆の共感、同情、尊敬の念によってこの世にとどめられているものであるとする、彼らの幽霊に対する意識が見てとれる。 ――「CASE1 ウィンザー城と25人の幽霊」より抜粋 幽霊は英国の歴史を背負って現れる。 ハットフィールド・ハウスではエリザベス1世が少女の姿で現れる。 彼女が25歳で英国女王に即位する前の日々を過ごした、穏やかな記憶が残る場所だからだ。 エリザベス1世の母アン・ブーリンは、ロンドン塔を首のない姿で徘徊する。 ヘンリー8世がアンと離婚したいがために、彼女に姦淫罪を着せてロンドン塔で斬首したのだ。 男児欲しさに六回結婚し、妻を二度処刑したヘンリー8世は、埋葬されたウィンザー城内で足を引きずりながら歩き回っている。 晩年の彼は足の腫瘍に苦しみ、肥満した身体を引きずって移動したのだ。 幽霊を恐れず、追い出さず、寄り添う民衆の意識が彼らを城にとどめている。 幽霊を幽霊たらしめている背景をひも解くことで、英国の歴史が見えてくる。 ロンドン生まれの小説家・織守きょうや氏が英国の幽霊と城にまつわる歴史と、そこに隠された秘密を紐解いていく。 数多の英国の住宅を訪問し、その魅力を描いてきた山田佳世子氏がイラストで幽霊城を物語る。 英国の歴史の扉を開ける鍵となる一冊。 建築史家の中島智章氏による幽霊城の解説つき。 -
インフルエンサーのママを告発します
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 いくら親でも、わたしの同意なしに写真をのせるのは、まちがってるってことだよね? ダルムのママはインフルエンサー。ダルムが生まれてからのほぼすべて日々が、ママのSNSにのせられている。 インフルエンサーのママをもつばかりに、いつも「ほんとうの自分」でいられないダルム。 しかし、クラスメートのアラの言葉がダルムを変える。 SNSに勝手にだれかの写真をのせることは、なぜいけないのか? 自分がいやだと思ったときにどう行動できるのか? 韓国発、SNSを使うすべての人必読のものがたり。 目次 ママは#インフルエンサー 最初はそうじゃなかった みんなとちがうナム・ダルム 今日のコンセプト へいぼんなユン・アラ だれにも言えないひみつ 消えたぼうし うそのパレード いやだと言う勇気 わたしはわたし! インフルエンサーのママを告発します 善良な影響力 -
禁じられた館
「ストレートで高純度の本格ミステリ。 よくぞ掘り出してくれました。 1930年代のフランスでこんな不可能犯罪ものが書かれていたとは、 ヴィンテージミステリの世界はまだまだ底が知れませんね。」 ――有栖川有栖(作家) 天外消失の謎に名探偵が挑む! フランス産探偵小説の傑作、遂に発掘! 飲食産業で成功を収めた富豪のヴェルディ ナージュが、マルシュノワール館に引っ越 してくる。これまでの所有者には常に災い がつきまとってきた曰く付きの館だ。再三 舞い込む「この館から出ていけ」との脅迫 状。果たして雨の夜、謎の男の来訪を受け た直後、館の主は変わり果てた姿で発見さ れる。どこにも逃げ道のない館から忽然と 姿を消した訪問者。捜査が難航するなか、 探偵トム・モロウが登場し……『黄色い部 屋の謎』以降の歴史的空白を埋めるフラン ス産不可能犯罪小説の傑作、ついに発掘! -
ムーミン谷のしあわせレシピ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「気持ちのいいものは、なんだっておなかにもいいのよ」(ムーミンママ) ムーミン谷のやさしさに包まれた、キャラクターたちにちなんだ楽しいメニューが満載。 名言と美しいさし絵入りで、85の北欧料理レシピをどうぞ! ●著者紹介 トーベ・ヤンソン 絵と引用文 画家・作家。1914年8月9日フィンランドの首都ヘルシンキに生まれる。父は彫刻家、母は画家という芸術一家に育ち、15歳のころには、挿絵画家としての仕事をはじめた。ストックホルムとパリで絵を学び、1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。国際アンデルセン大賞、フィンランド国家文学賞受賞。おもな作品に「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)のほか、『少女ソフィアの夏』『彫刻家の娘』などがある。2001年6月逝去。 末延弘子 訳 東海大学文学部北欧文学科卒業。フィンランド国立タンペレ大学フィンランド文学専攻修士課程修了。白百合女子大学非常勤講師。『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』など、フィンランド現代文学、児童書の訳書多数。2007年度フィンランド政府外国人翻訳家賞受賞。 ●主な内容 ムーミンママのロールキャベツ スナフキンのさすらい煮こみ ミムラのむすめのびっくりスープ ムーミンパパ流ヤンソンさんの誘惑 ちびのミイのさかさまこけももケーキ ムーミン谷の地下室のベリージャム など。 -
レヴィンソン&リンク劇場
『刑事コロンボ』『ジェシカおばさんの事件簿』等の推理ドラマで世界を魅了した名コンビが、ミステリー黄金時代に発表した短編小説の数々! 郵便配達人が知った大事件の秘密を描くデビュー作「口笛吹いて働こう」を筆頭に、コロンボの原型となった殺人劇「愛しの死体」など、田舎町からショウビズ界まで、さまざまな舞台で展開される、多彩な犯罪物語や怪談といった、謎と興趣に富んだバラエティあふれる作品を収録。 ※本電子版は、著者との契約により、「幽霊の物語」の1作品が収録されておりません。ご了承ください。 -
超約版 貞観政要
■大河ドラマ主人公「鎌倉殿の13人」執権北条氏、「どうする家康」徳川家康も読んでいた! 有事にこそ「リーダーの真価」が問われる! フビライ、西郷隆盛、明治天皇…世界の名リーダー座右の書・不朽の古典が読みやすい現代語抄訳スタイルで蘇る! 唐2代皇帝・太宗による政治の要諦『貞観政要』。日本でも鎌倉将軍、徳川家康、明治天皇らも参考にし、世界最古・最高のリーダー論として読み継がれている。「組織の力量はリーダーの器以上にはならない」「部下からの厳しい言葉にこそ耳を傾ける」「上司は自らの権限の及ぶ範囲を明確にし、できれば制限しなければならない」太宗が示したリーダーシップの要諦は、時代を超えて通用する組織運営のための普遍の原理である。コロナ後という指針なき混迷の時代に組織の立ち位置を見直し、リーダーとして先を見て率いていくために学ぶ座右の古典。 [目次] 第1章 人の上に立つ者の条件 第2章 強い組織をつくる哲学 第3章 部下を伸ばすリーダーの資質 第4章 上に立つための自分の磨き方 第5章 部下を最大限に生かす法 第6章 有能な人材の見抜き方 第7章 失敗や挫折を乗り越える <原作者略歴> 呉兢 (ごきょう) 670(咸亨1年)~749(天宝8年)。中国唐代の歴史家。?州(河南省開封)の人。長年史館にあり、歴朝『実録』などの編纂に従事。自ら『貞観政要』『国史』などを編纂した。 <訳者略歴> 夏川賀央 (なつかわがお) 1968年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。数社の出版社で編集者として活躍したのち独立。会社経営の傍ら、ビジネス書を中心に執筆活動を行う。古典の現代語訳に『武士道』『茶の本』『風姿花伝』『啓発録』(致知出版社)、著書に『すごい会社のすごい考え方』(講談社プラスα文庫)、『仕事ができる人の「日本史」入門』『仕事ができる人の「アジア史」入門』(きずな出版)等がある。 ※この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『超約版 貞観政要』(2022年4月19日 第1刷)に基づいて制作されました。 ※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。 -
幸いなるハリー
老い、病、性のきらめき、言えなかった秘密、後戻りのできない人生の選択。 「世界最高の短篇作家」による珠玉の10作品。 人生には完璧な絶望も、澄みきった希望もない。 パールマンの短篇集にちりばめられた無言の種は、あなたのなかで芽吹いて、やがてぞっとするほど優雅な花を咲かせるだろう。 ――松家仁之(作家) 愛おしさ、愚かしさ、優しさ、酷たらしさ、善意と悪意、救済と断罪etc. 人間のすべてを知り尽くした作家、それがイーディス・パールマンだ。 ――豊崎由美(書評家) なにかを諦める。苦く、みじめで哀しい一瞬――それらひとつひとつを柔らかい布で磨きあげ、息を呑むほど美しい宝石に変えてしまう。人生の粋を極めた短篇集。 ――倉本さおり(書評家) 本書は、原書Honeydewのうち『蜜のように甘く』(亜紀書房、2020年刊行)に未収録の10篇を訳出した日本オリジナル版です。 【目次】 ■ 介護生活 ■ 救済 ■ フィッシュウォーター ■ 金の白鳥 ■ 行き止まり ■ 斧が忘れても木は忘れない ■ 静観 ■ 花束 ■ 坊や ■ 幸いなるハリー -
汚れなき子
米アマゾン2760レビューの超ヒット作! 真夜中、ひと組の母娘が救急車で病院に搬送された。母親は自動車事故に遭い、重傷を負っていた。母親といっしょにいた少女は幸い無傷だった。母親が救命処置を受けている間、少女は看護師に身元を聞かれるが、少女は母親の名前がレナであること以外は何も明かさない。看護師が電話番号をたずねると少女は言った。 「うちには電話ないの」 「じゃあ、住所だけでも? 住んでる通りの名前、わからない? 誰かを向かわせて、パパを連れてくることができるかも」 そう看護師が言うと、少女はゆっくりと首を振って囁いた。 「私たち、見つかっちゃいけないんだよ」 その後、少女が語ったのは、事故の夜、少女の母親がうっかり父親を殺そうとしたこと。小さな弟がひとり今も〈小屋〉に取り残されていること。そして〈小屋〉での奇妙な暮らしぶりだった――。 物語はこの少女の視点の他に、事故に遭った母親の視点と、もうひとり、行方不明の娘を探す父親の視点の三つで描かれていくのだが、やがて少女と母親の語りから、二人がともにどこか異様なことに読む者は気づき始める。 この作品に捜査機関は登場するが、彼らはあくまでも脇役である。やがて結末近くになってようやく事件の全貌が見えるのだが‥‥。 デビュー作にして見事なページターナー! 2020年、ドイツ推理作家協会賞(正称:フリードリヒ・グラウザー賞)最終候補作! ドイツ・アマゾンのレビュー1690超、★平均4.5! 米国アマゾンのレビュー2760超(2020年10月発売、半年累計)、★平均4.5! 今後ドイツのスリラー界を担う最右翼新人作家の作品を、満を持して紹介する。 (底本 2021年6月発行作品) -
私、幸いなことに死にませんでした
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この電子書籍は紙版書籍のページデザインで制作した固定レイアウトです。 生きることも、死ぬことも難しい。それでも生きることにした。 不安とさよならして「幸せ」と感じられるまで、治療と生活のありのままを描く不安障害克服記コミックエッセイ。 想像のなかでは、何でもできるような気がしていた。でも実際は、人前に出ると固まってしまい、うまく話せない。あえて明るく振る舞おうとしてみても、ひとりになると反動で落ち込んでしまう。 長い間「社交不安障害」を抱えていた著者は、初めは不安障害と知らず、みんなと同じように振る舞えない自分を憎み、責めてばかりいた。ひとりでいるときでさえ思いっきり泣けない。死にたくないけど、生きたくもない。その理由を見つけようと始めたカウンセリングや治療の過程で、「あなただけじゃない」と語りかけてくるさまざまな作品に出会えたことで力づけられ、回復へ向かっていく。 すこしずつ不安から離れて幸せにとどまる方法をつかみかけてきた今、他の誰かの力になれればと、ためらいながらも著者は自身の過去を語る。不安に押しつぶされ、悲しみに暮れて憂鬱に過ごすのではなく、自らを幸せにするために努力する、心の成長の記録である。 -
おばあちゃん、青い自転車で世界に出逢う
あなたの宝物にそっと気づかせてくれる物語。 《今の世界に、この物語が現れたことには間違いなく大きな意味がある。悲しみ、辛さ、不条理を潜り抜けた人間はやがて太陽のように光り輝き、優しさの化身となる。そんなマルおばあちゃんに出会えた喜びに、涙が何度も溢れ落ちた。》――漫画家・随筆家 ヤマザキマリさん メキシコのオアハカで手作り菓子「アルファホール」を売りながら、つましく暮らしている天涯孤独のマルおばあちゃん、90歳。ある日、遙か昔に家を出てしまった息子がすでにこの世にいないこと、そして彼には一人息子がいたことを知る。マルおばあちゃんは、自分の「人生の環」を閉じるべく、おんぼろの青い自転車でまだ見ぬ孫に会うために、450キロの旅に出る……。 マルおばあちゃんの叡智に溢れる言葉と無欲で自由な生き方が、「知らないうちにあなたの手のなかにあった宝物」にそっと気づかせてくれる。人生に迷える人に贈る、スペインから来た哲学小説。 -
ある葬儀屋の告白
アメリカで話題独占!「葬儀屋」ブログを書籍化した 異色のベストセラー、ついに日本上陸! 今を生きるすべての人に贈る再生の物語。 「死は生の正常な一部である」 「死を健全に理解すれば、そこには美が見出される」 ・生後すぐの赤ん坊 ・がんと闘病していた少女 ・大好きだった祖父 ・薬物中毒の男 ・アルコール依存症の男 ・ダウン症の中年女性 ・排除されていたレズビアン ・余命二日で自ら電話をかけてきた男 ...ありとあらゆる形の死に接した、葬儀屋の六代目。 苦しみながらも、大切な人を失った人々に寄り添い続けていくうちに、 彼は死に希望と美しさを見出す。 死は、弱さを受け入れる強さをくれる。 米タイム誌が「必読の書!」と太鼓判。 原書である 『Confessions of a Funeral Director:How the Business of Death Saved My Life』 はAmazon.comで4.6/5.0の高評価(6月6日時点で189人がレビュー)を得ている。 翻訳は『死ぬ瞬間』(エリザベス キューブラー・ロス)を訳した法政大学教授の鈴木晶氏。 タイム(ネット版) 「ある葬儀屋の告白」というブログは示唆に富み、幅広いテーマを扱い、時には不遜だ。筆者は死を扱うビジネスの深層に踏み込んでいる。読者は、死についてだけでなく、人生について学ぶことができる。 ワシントン・ポスト 著者は有名ブロガーとして知られる。彼は葬儀屋という地味で堅い職業を定義し直し、人生における究極の関心事についての会話を誘う。 -
文学効能事典
本書は、体や心の具合が悪いと感じたときに開いて、その対処法を知るために参考にしてほしい。 といっても、いわゆる健康本や医学解説書とはちがう。どこがちがうかというと、まず、取り上げている症状や悩みの種類がバラエティに富んでいる。体の痛みも心の痛みも区別することなく取り上げているので、この本を開けば、「腰が痛いとき」や「歯が痛いとき」と同様に、「恋人と別れたとき」の対処法もみつかる。また「ホームシックのとき」や「飛行機がこわいとき」など、ストレスを感じやすい状況も取り上げているし、「結婚相手をまちがえたとき」や「職を失ったとき」など、人生の深刻な危機も心身の不調をもたらす悩みとして取り上げている。さらに「二日酔いのとき」や「ユーモアがわからないとき」などのささいな症状や悩みも、ケアの必要な疾患とみなしている。 そしてもう一つちがうのは、ここがいちばん肝心なのだが、症状の改善のためにすすめる「薬」が、薬局ではなく書店や図書館にある点だ。場合によっては、ネットショップから手持ちの端末にダウンロードすることもできる。つまり治療に使うのは「本」なのだ。 取り揃えている「薬」は、ヘミングウェイ、トルストイ、メルヴィルはもちろん、古くは2世紀の作家アープレーイユスの『黄金の驢馬』から、現代の強壮剤ともいうべきジョナサン・フランゼンの作品まで、2000年に及ぶ文学史のなかから、最高の優れた知性にあふれ、もっとも心身の回復効果が期待できる小説を集めた。 読者の皆さんは普通の薬と同じように、処方された本は最後まで読み切り、いま以上の健康と、幸福と、より多くの知恵を手に入れてほしい。自分なりの処方箋をもっておくのもいいかもしれない。 -
深い穴に落ちてしまった
北には山脈が横たわり、海ほどもある湖をぐるりと囲んでいる森。そのまん中に穴がひとつ、口をあけている。ある日、大きな兄と小さな弟がその穴に落ちてしまった。深さおよそ7メートルの穴からどうしても出られず、何か月も木の根や虫を食べて極限状況を生きのびようとする。外界から遮断された世界で、弟は現実と怪奇と幻想が渾然一体となっためくるめく映像を見はじめる……。どうして兄弟の名前と年齢が明かされないのか。なぜ章番号が素数のみなのか。文章に織り交ぜられた不思議な暗号が示すものとは。著者によって綿密に構成され、さまざまな寓意に彩られた物語は、読後、驚愕とともに力強い感動をもたらす。暗黒時代を生きる大人のための寓話。 -
レモンケーキの独特なさびしさ
「種明かしをするわけにはいかないので、ここではただ、この本を書いているあいだ、感じやすい(sensitiveである)とはどういうことかについてたくさん考えていた、とだけいっておきましょう」――エイミー・ベンダー 9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキを一切れ食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。 以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまち分かる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなく――中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて――ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。 やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結び付ける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。 生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。 -
わが闘争
世の趨勢につれ、亡霊のように消えては現れるヒトラー・ブーム。この無気味な現象は、いったい何を意味し、何を志向しているのか。その謎を解く鍵を秘めた本書、『わが闘争』。それは、独裁者ヒトラーの出現を許した混迷の政治風土と酷似する現代において、予想外の意味をもってわれわれに迫ってくる。ヒトラーが本書で語るその恐るべき政治哲学、魔術に近い巧妙な政治技術は、現代政治の虚構を見抜く有力な手掛かりとして、今なお多くの示唆を放っている。戦争体験のない世代が増えている現代において、若者はもちろんのこと、全国民にとって、批判的必読の書といえよう。ヒトラーが、世界制覇の戦略と思想とを自ら語った、世界史上稀有の政治的遺書を電子書籍で。 -
名探偵オーウェン・バーンズシリーズ
各年末ミステリランキングにランクインした傑作! ・『2019本格ミステリ・ベスト10』 第2位 ・『このミステリーがすごい!2019年版』 第6位 ・「週刊文春ミステリーベスト10 2018」 第8位 ・カバーイラストはポール・アルテ氏自身の筆によるもの(日本語版だけ、日本の皆様だけのために)。 ・作品に出た怪事件のもとになったのは、アルテ氏自身の実体験。氏本人が撮った、その体験をした場所の写真をスケッチ風にした絵を本書の最後に収録。 ・ミステリ作家・芦辺拓氏による解説を収録。 ロンドンのどこかに、霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」があるという。 そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時にそのまま裏通りに呑み込まれ、行方知らずとなる――単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフ・ティアニーは、まさにたった今、自分は「あやかしの裏通り」から逃げ帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフは、そこで「奇妙な殺人」を目撃したと言い……。謎が謎を呼ぶ怪事件に、名探偵オーウェンが挑む! -
メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ
北村紗衣さん推薦! SF/現代ホラーの産みの母の人生 『フランケンシュタイン』はメアリ・シェリーが十代で執筆した代表作だが、人口に膾炙している怪物の視覚的イメージが先行しているからか、この物語が誕生した伝記的な背景は、この有名すぎる作品ほどは知られていない。 メアリ・シェリーの作家人生は、彼女の両親である急進派思想家のウィリアム・ゴドウィンとフェミニズムの先駆者と呼ばれるメアリ・ウルストンクラフトの出会いから宿命づけられていたといえる。 本書で綴られるメアリ・シェリーの伝記的な情報は、『フランケンシュタイン』の思想のバックボーンと彼女が生み出したほかの小説や旅行記とどのようなつながりがあるかを理解するうえで、不可欠なものである。 メアリが実人生で体験する苦しみ――産褥熱による母の死、流産、夫パーシー・シェリーの死、生き残った一人息子をめぐる義父との協議など――と『フランケンシュタイン』以降のメアリ・シェリーの思想と行動も瑞々しい筆致で描かれている。 女性作家として、あるいはシングルマザーとして直面した問題意識がいかに形成され、作品として結実したか、余すことなく論じた記念碑的名著! [目次] 謝辞 第1章 遺産 第2章 ゴシックの叛逆 第3章 『フランケンシュタイン』 第4章 初期の女性の語り手──『フランス、スイス、ドイツ、オランダの一地域をめぐる六週間の旅行記』、『マチルダ』(一八一七~一八二一年) 第5章 『ヴァルパーガ』、『最後のひとり』、『パーキン・ウォーベックの運命』、そして新たな『フランケンシュタイン』(一八二一~一八三一年) 第6章 最後の仕事、一八三五~一八四四年 訳者解説 読書案内 図版一覧 訳注 -
イーストレップス連続殺人
“ありそうもないこと”を具象化した グロテスクな犯人像に脳のざわめきが止まらない。 犯罪小説とフーダニットの区分を帳消しにする早すぎた傑作。 ――法月綸太郎氏(作家) 風光明媚なノーフォーク海岸沿いの保養地イーストレップスで、老婦人が友人宅を訪れた帰りにこめかみを刺されて殺害される。 続けて第二、第三の殺人が同様の手口で繰り返され、街は謎の殺人鬼「イーストレップスの悪魔」の影におびえることに。 地元警察はついに有力な容疑者を確保するに至るのだが……。 意を凝らしたミスディレクションと巧妙なレッドへリング、白熱の裁判シーン、フーダニットとしての完成度。 映画『白い恐怖』原作者による、本格ミステリー黄金期の知られざる傑作を本邦初訳!(解説・塚田よしと) 探偵小説オールタイムベスト10のひとつ。 ――ヴィンセント・スタリット(作家、シャーロック・ホームズ研究者) 鮮やかで独創的な連続殺人犯(シリアル・キラー)のフーダニット。 素晴らしい海辺の舞台設定と巧妙なツイスト。 ――マーティン・エドワーズ(作家・評論家) -
イスタンブル、イスタンブル
美しき街への痛切な愛を謳う傑作トルコ文学。 イスタンブルの地下牢獄の一室に、学生のデミルタイ、温厚なドクター、気難しい床屋のカモが閉じ込められていた。苛烈な拷問を待つあいだ、彼らは互いに物語をして時を過ごす。そこに激しい拷問を受けたばかりの老人キュヘイランが加わる。彼は幼い頃から父が影絵で物語ってくれたイスタンブルに憧れていた。彼らはまるで疫病を避けて家に閉じこもり物語をし合った『デカメロン』のように物語り合い、空想の世界でお茶を飲み、煙草を味わう。やがて彼らの過去が少しずつ明らかになり、と同時にそれぞれがまた拷問へと連れだされていく…。 2018年EBRD(欧州復興開発銀行)文学賞受賞。東西が溶け合う美しい街と、その地下で彼らを襲う残酷な現実――クルド系トルコ人の作家がイスタンブルへの痛切な愛を謳う傑作トルコ文学。 (底本 2023年9月発売作品) -
エリザベス女王の事件簿
容疑者は50名!90歳の英国女王、奇怪なピアニスト殺人事件に挑む! 英国で10万部突破、18カ国で翻訳 ウィンザー城で若い男の遺体がクロゼットから発見される。晩餐会に呼ばれたロシア人ピアニストで、遺体はあられもない姿だった。事件について城では箝口令が敷かれ、警察とMI5はロシアのスパイによるものと見なし捜査するが、容疑者が50名もいて難航する。でも大丈夫。城には秘密の名探偵がいるのだ。その名もエリザベス2世。御年90歳。世界最高齢の女王が華麗に事件を解決する!英国で10万部突破、18カ国で翻訳。解説・大矢博子 【絶賛の声】 今年出版された犯罪小説の中で、もっとも愛らしい作品。『ザ・クラウン』と『ミス・マープル』を掛け合わせたら、この魅力的なホワイダニットにしあがるだろう(ルース・ウェア) 優しく愉快で、控えめながら説得力があり、全くもって魅力的。英国王室の神秘性に探知性を加えている(アマンダ・クレイグ) 抜け目なく賢明で好奇心旺盛な女王陛下の姿である(ガーディアン紙) 本物のディテールが満載で、ストーリーはスマートかつねじれていて、そして全体が素晴らしく、奇妙なほど説得力がある。絶対的な完成度(イザベル・ブルーム) プロットはよく考え抜かれ、見事に観察されている。今年読んだミステリーの中で最高の一冊だ(フレッシュフィクション) この本のすべてを愛している…。女王陛下が王冠の下に他の事件も隠し持っていますように。『木曜殺人クラブ』は面白かった。『ウィンザー城の殺人』はもっと面白い(TheBookbag.co.jp) エリザベス2世を探偵役とする楽しいシリーズ。ベネットが描く、温厚で賢く、機知に富んだ女王とその王室生活は魅力的だ(パブリッシャーズ・ウィークリー誌) -
ペイント
「君たちは、親を選べる子どもなんだよ」 「アーモンド」に続く「チャンビ青少年文学賞」受賞作。 韓国で30万部。ブレイディみかこ氏推薦。 「子どもに親を選ぶことができたら。人類の究極の「IF」に挑んだティーン小説。 大人こそ読んでこころの準備をしておいたほうがいい」 事情により子どもを育てられなくなった親が、子どもを預ける「NCセンター」が設立された近未来。そこでは子どもが親を選ぶ面接「ペイント(ペアレントインタビュー)」が行われている。そんなNCセンターに在籍する17歳の少年ジェヌが、この物語の主人公。 20歳のセンター退所期限までに親をみつけなれば、センター出身という経歴がIDカードに刻まれる。過去にNCセンター出身者による犯罪が行われたことで、社会にはNCセンター出身者への偏見が存在し、その経歴が刻まれないよう、子どもたちは必死にペイントを続けている。 しかし、ペイントにやってくる親候補の多くは、養子縁組することで受け取れる福利厚生が目的。親候補たちのとりつくろった笑顔と、透けて見える本音を、ジェヌは瞬時に見抜いてしまう。 NCセンターの退所期限を3年後に控えたジェヌは、ペイントをしながら、親や家族という存在について思索し、自分の進む道をつかもうとする。 ■韓国作家の推薦文 『ペイント』は、11歳の娘が先にひったくるようにして持っていった本だ。ものすごく面白い、と本から手を離せなくなっている娘の姿に、正直心がチクリとした。 娘が学校にいっている隙にこっそり読みはじめた。読んでいるあいだじゅう、いい母親になりたいのにどうしていいかわからない私のそばへ、かつての自分がやってきて座っていた。親の関心や理解を求めていた幼い頃の私、そして、絶対に親元を離れると誓っていた20代の私が。いつのまにか母親になった私は、娘とともに『ペイント』のなかの「親を選ぶ子供たち」「親になろうとする大人たち」そして「かれらを手助けするセンターの大人たち」がそれぞれどんな想いだったか、ひとしきり語り合った。その語り合いが遠い未来まで続くであろうことを、私は知っている。 ――小説家 チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』 【目次】 ジェヌ、301です 父母面接を始めます いったいどんなヤツ紹介されたんだよ? IDカードの番号 大人だからって、みんなが大人っぽい必要ありますか お前は、自分の思い通りに生きると思ってんだろうな 自分のためだ、自分のため あの噂、聞いた? 待ってるからね、友達 Parents' Children 最後に聞いてもいいですか? 日本の読者のみなさんへ 訳者あとがき -
ファットガールをめぐる13の物語
人が自分の体を生きることの居心地のわるさを描き出した、注目の作家モナ・アワドのデビュー作。 宇宙はわたしたちに冷たい。理由はわかっている。 インディーズ音楽とファッションをこよなく愛す主人公のエリザベス。特別な人生は望んでおらず、ただ普通にしあわせになりたいだけ。けれど高校でも大学でも、バイトをしても派遣社員となっても、結婚しても離婚しても、太っていても痩せていても、体のサイズへの意識が途絶えることはない。自分と同じ失敗をさせまいとする母親、友だちのメル、音楽を介してつながったトム、職場の女性たち……。彼らとの関係のなかで、傷つけ、傷つけられ、他者と自分を愛する方法を探してもがく。 【目次】 宇宙にさからう時 最大のファン 全身写真 そんなことなら わたしの嫌いなあの子 それって欲張り 母にとってのセクシーな人 Fit4U あの子はなんでもしてくれる フォン・ファステンバーグとわたし カリビアン・セラピー アディション・エル 海のむこう 謝辞 訳者解説 【著者】 モナ・アワド 1978年カナダのモントリオール生まれ、ボストン在住。ブラウン大学、エディンバラ大学、デンヴァー大学で創作と英文学を学ぶ。現在はシラキューズ大学で創作を教えている。デビュー作品集『ファットガールをめぐる13の物語』に続くポップでキュートな怪作Bunny(2019年、未邦訳)は、The Ladies of Horror Fictionベスト作品賞受賞。2021年8月に第3作All's Well が刊行予定。 加藤有佳織 慶應義塾大学文学部准教授。アメリカやカナダの文学、世界各地のカッパ(的な存在)に関心がある。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)、翻訳にトミー・オレンジ『ゼアゼア』(五月書房新社、2020年)。 日野原慶 大東文化大学にてアメリカ文学を教えている。「身体」「自然」「環境」「廃棄」「排泄」などに関心があり、それらにつながる現代のアメリカ小説や、ノンフィクション作品(とくに自然や環境をテーマにしたネイチャーライティングや、病や体をテーマにしたエッセイなど)を研究している。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)。 -
小さな心の同好会
——私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう? 2019年、韓国文壇最高峰「李箱文学賞」を受賞したユン・イヒョン、待望の最新作品集。 社会から軽んじられてきた主婦たち、いつのまにか生じた溝にゆれるLGBTカップル、社内での性暴力を告発した女性……。 すこしの誤解やすれ違いから愛する人や大切な仲間を一瞬にして失う痛み……私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう? やり場のない怒りや悲しみにひとすじの温かな眼差しを向け、〈共にあること〉を模索した十一の物語。 私に似た誰かが、あなたに似た誰かといつか出会う想像をする。 異なる、よく知らないという理由で彼らがお互いを憎み、永遠に背を向けることがないようにと願う気持ちから、私が過ごしてきたある時間を束ねた。 この壊れて粉々になった言葉、まだ答えを知らない問いかけが対話のはじまりになってくれたらうれしい。——著者「あとがき」より 【目次】 ■ 小さな心の同好会 ■ スンヘとミオ ■ 四十三 ■ ピクルス ■ 善き隣人 ■ 疑うドラゴン——ハジュラフ1 ■ ドラゴンナイトの資格——ハジュラフ2 ■ ニンフたち ■ これが私たちの愛なんだってば ■ スア ■ 歴史 ■ あとがき ■ 訳者あとがき -
新訳 地下室の記録
地下室に住む中年男の告白を通じて、人間存在の矛盾と不条理に根ざした生の哲学を描く。ドストエフスキー全作品を解く鍵と評される“永遠の青春の書”をロシア文学者・亀山郁夫氏による名訳で。「この小説がドストエフスキー文学の原点です」――亀山郁夫。「地下室」とは、言い換えるなら、青春時代を生きるだれもが一度はくぐりぬけなくてはならない“戦場”である……ドストエフスキーはこの人物を通して、ある一つの真実を語りかけようとした。すなわち、この“戦場”を戦いぬくことなく、遠い将来、一個の自立した人間として大きな成熟を手にすることはできないということを。この『記録』にこめられているのは、おそらく若いドストエフスキーが身をもって経験した躓きの記憶だが、その痛々しい記憶の彼方に輝いているものこそ、人間の真実、あるいは人間の生命という聖なるオーラなのである。(「まえがきにかえて」より) -
無名祭祀
H・P・ラヴクラフトの熱心な愛読者であり、とりわけ「クトゥルーの呼び声」に魅せられて自らも神話創造に参入したロバート・E・ハワードによるクトゥルー神話作品のほぼ全てを網羅する、21作品600ページを収録。 キンメリアのコナンが活躍した“ハイボリア時代”と『無名祭祀書』を結びつけるミッシング・リンクともいうべき無名の小説断片や、格闘ゲームでおなじみの”シュマ・ゴラス”の出典である「黄金髑髏の呪い」など、商業未訳作品を複数収録していることに加え、既訳のある作品についてもクトゥルー神話研究家・森瀬繚が語彙のひとつひとつを徹底的に監修。 ----------- 収録作品: アーカム(詩)/無名の断片(断章)/影の王国/黄金髑髏の呪い(断章)/バル=サゴスの神々/暗黒の民/大地の妖蛆/妖蛆の谷/スカル=フェイス/夜の末裔/黒の碑/屋根の上の怪物/憑かれた指輪/われ埋葬にあたわず/墓所に棲みつくもの/黒熊は噛む/例の屋敷(断章)/翡翠の神(断章)/アッシュルバニパルの炎/蹄のあるもの/庭園への扉(断章) ----------- -
ベスト版 たんぽぽのお酒
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 今なお色褪せない、少年ファンタジーの名作が待望の復刊。 輝く夏の陽ざしのなか、12歳の少年ダグラスはそよ風にのって走る。その多感な心にきざまれる数々の不思議な事件と黄金の夢……。夏のはじめに仕込んだタンポポのお酒一壜一壜にこめられた、少年の愛と孤独と夢と成長の物語。巨匠ブラッドベリが贈る、少年ファンタジーの永遠の名作。 【山崎ナオコーラ氏、推薦!】 ファンタジーは日常にある。 散歩の道に、家事の途中に、黄金色の夏に……。 子どもと大人で、一緒に読みたい!
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