作品一覧

  • 同調者
    4.4
    1巻1,606円 (税込)
    マルチェッロが殺人を犯したのは13歳のとき。以来、日常生活のなかでは「正常」であろうと努め、果てはファシズム政権下のイタリアにて政治警察の一員に。人並みな結婚を目前にある暗殺計画に関わることになるが、任務中に思わぬ欲望が芽生えて……。映画『暗殺の森』原作としても知られる、20世紀最大の小説家の一人による円熟期の代表作。
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~
    3.7
    1巻1,056円 (税込)
    官能的な寓話「薔薇とハナムグリ」、眠り続けるモグラの怪物の夢に操られる島民の混乱を描く「夢に生きる島」。ほかに「部屋に生えた木」「ワニ」「疫病」「蛸の言い分」など、シュルで風刺のきいた世界が堪能できる20世紀を代表する作家モラヴィアの傑作短篇15作。「読まねば恥辱」級の面白さ!

ユーザーレビュー

  • 同調者

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『軽蔑』『薔薇とハナムグリ』『視る男』『豹女』の次に読む。

    面白かった。
    むかし、映画化したのもわかる。映画化しそうなストーリーだから。ただ、映画とは異なるところもあるようだ。(映画は観てない)

    自分が異常ではないかと悩み、普通であることを確かめる人生。
    しかし、それは、結局のところ、リーノを殺していようがいまいが、同じ人生を歩んでしまうとわかる。純真さは誰だって失われる。

    リーナとの関係が強引すぎる。
    マルチェッロのやり方ってほとんどセクハラなんだけど。冷たくされて嫌がられてるのに、よくこんな行動できるなぁと。
    ジュリアの愛人時代の体験もひどい。脅しとレイプである。


    [プロローグ]

    0
    2025年04月01日
  • 同調者

    Posted by ブクログ

    イタリアの作家モラヴィアの長編。日本ではベルナルド・ベルトルッチの『暗殺の森』の原作といった方がああ、という方は多いのではないだろうか。
    映画とは若干の異動はあるものの、骨格は同じでムッソリーニ政権下のイタリアにおいて秘密警察だったマルチェッロを主人公とした小説。
    人と異なることを恐れて政権に同調すること、普通であることを求めてファシストとなったマルチェッロが亡命活動家の暗殺命令を受けてからのフランス・パリへの紀行、イタリアへの帰国、ファシズム政権の崩壊に至る中での彼の心の動き、変わらなさを主人公の内面を反映したような第三者の視点から描く。
    淡々とした筆致でサスペンス的な展開もあるのでどんどん

    0
    2024年02月28日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

    Posted by ブクログ

    どれも面白かった。ふざけてる感じの作風なんだが、読み終わるとゾッとする。当時の政治的軋轢により、自由な表現ができなかった苦肉の環境がこのように素晴らしいおどけ狂気な作品を誕生させることになったとは。明らかに変なのに、これが流行とか言われると、どうしても手に入れずにはおられなくなる女。舗装された道を歩けばいいのに、そんな自然に逆らった物など!と山道を歩いて遭難するような意固地な男など。明らかにおかしいのに、いとも簡単にその波に呑まれて流されてゆく人間の愚かさに、現代においても色あせずパンチをくらわしてくる。

    0
    2019年02月03日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

    Posted by ブクログ

    短編集。表題のバラとハナムグリは、一族でタブーとされることを嗜好する若い虫が、親にも打ち明けられず、隠そうとする話。それほど凝った作品でもなく、どこかにありそうな話。
    面白いのは「怠け者の夢」。仕事中も自分が主役のアクション妄想に耽って、仕事には真剣味がない(でも、入れ込まないので仕事ができる)。優秀な部下の査定を手を抜くので、その人は出世が遅れる。
    好きな女性の前で、彼女と結婚し子供まで持っていることを夢想しながら、その夢想に夢中になっているので本人には生返事をしていて、現実には恋が実らない。が、実は本人は幸せなのではないか。
    これはオタクの理想では?部下の取り扱い以外は現実に仕事ができて、

    0
    2025年03月26日
  • 同調者

    Posted by ブクログ

     原著1951年発表。
     私が高校生の頃、アルベルト・モラヴィアの作品がハヤカワ文庫NVで何冊もラインナップされていたが、今は全部絶版で、邦訳は光文社古典新訳文庫の2冊以外は古書で入手するしかないようだ。1990年に物故するまでは20世紀の巨匠として賞賛されていたのに、死後は本国イタリアにおいてすらほとんど忘れられている作家。
     本作もなかなかに重厚な小説である。人間の心の機微にぐっと入ってゆく描写は緻密で見事。描写がそのように濃厚であるため、ストーリーは波乱のある「面白い」話なのに、ゆっくりとずっしりとした時間が流れてゆくような小説「時間」が呈示される。そのため多忙な情報化社会の現在から見る

    0
    2024年10月14日

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