モラヴィアのレビュー一覧

  • 同調者

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    ネタバレ

    『軽蔑』『薔薇とハナムグリ』『視る男』『豹女』の次に読む。

    面白かった。
    むかし、映画化したのもわかる。映画化しそうなストーリーだから。ただ、映画とは異なるところもあるようだ。(映画は観てない)

    自分が異常ではないかと悩み、普通であることを確かめる人生。
    しかし、それは、結局のところ、リーノを殺していようがいまいが、同じ人生を歩んでしまうとわかる。純真さは誰だって失われる。

    リーナとの関係が強引すぎる。
    マルチェッロのやり方ってほとんどセクハラなんだけど。冷たくされて嫌がられてるのに、よくこんな行動できるなぁと。
    ジュリアの愛人時代の体験もひどい。脅しとレイプである。


    [プロローグ]

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    2025年04月01日
  • 同調者

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    イタリアの作家モラヴィアの長編。日本ではベルナルド・ベルトルッチの『暗殺の森』の原作といった方がああ、という方は多いのではないだろうか。
    映画とは若干の異動はあるものの、骨格は同じでムッソリーニ政権下のイタリアにおいて秘密警察だったマルチェッロを主人公とした小説。
    人と異なることを恐れて政権に同調すること、普通であることを求めてファシストとなったマルチェッロが亡命活動家の暗殺命令を受けてからのフランス・パリへの紀行、イタリアへの帰国、ファシズム政権の崩壊に至る中での彼の心の動き、変わらなさを主人公の内面を反映したような第三者の視点から描く。
    淡々とした筆致でサスペンス的な展開もあるのでどんどん

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    2024年02月28日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    どれも面白かった。ふざけてる感じの作風なんだが、読み終わるとゾッとする。当時の政治的軋轢により、自由な表現ができなかった苦肉の環境がこのように素晴らしいおどけ狂気な作品を誕生させることになったとは。明らかに変なのに、これが流行とか言われると、どうしても手に入れずにはおられなくなる女。舗装された道を歩けばいいのに、そんな自然に逆らった物など!と山道を歩いて遭難するような意固地な男など。明らかにおかしいのに、いとも簡単にその波に呑まれて流されてゆく人間の愚かさに、現代においても色あせずパンチをくらわしてくる。

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    2019年02月03日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    短編集。表題のバラとハナムグリは、一族でタブーとされることを嗜好する若い虫が、親にも打ち明けられず、隠そうとする話。それほど凝った作品でもなく、どこかにありそうな話。
    面白いのは「怠け者の夢」。仕事中も自分が主役のアクション妄想に耽って、仕事には真剣味がない(でも、入れ込まないので仕事ができる)。優秀な部下の査定を手を抜くので、その人は出世が遅れる。
    好きな女性の前で、彼女と結婚し子供まで持っていることを夢想しながら、その夢想に夢中になっているので本人には生返事をしていて、現実には恋が実らない。が、実は本人は幸せなのではないか。
    これはオタクの理想では?部下の取り扱い以外は現実に仕事ができて、

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    2025年03月26日
  • 同調者

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     原著1951年発表。
     私が高校生の頃、アルベルト・モラヴィアの作品がハヤカワ文庫NVで何冊もラインナップされていたが、今は全部絶版で、邦訳は光文社古典新訳文庫の2冊以外は古書で入手するしかないようだ。1990年に物故するまでは20世紀の巨匠として賞賛されていたのに、死後は本国イタリアにおいてすらほとんど忘れられている作家。
     本作もなかなかに重厚な小説である。人間の心の機微にぐっと入ってゆく描写は緻密で見事。描写がそのように濃厚であるため、ストーリーは波乱のある「面白い」話なのに、ゆっくりとずっしりとした時間が流れてゆくような小説「時間」が呈示される。そのため多忙な情報化社会の現在から見る

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    2024年10月14日
  • 同調者

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    4K版「暗殺の森」が公開された。残念ながら劇場へは足を運べないが、原作を読み返したうえで改めてDVDを鑑賞することにした
    >>>>>>>
    マルチェッロは少年の頃から自分のなかに潜む異常性に恐れ慄いていた。そして13歳の時に決定的な出来事が起きる。彼に性的な興味を抱き誘いをかけてきた男を銃で撃ち殺したのだ。以降、周りと同化することで普通になれると固く信じ、そうなるよう努めながら大人へと成長したマルチェッロにとって、当時のイタリアを席巻していたファシスト党の政治要員として働くのはある意味必然だった。そんな彼に向けて、党の上層部よりひとつの指令が下される
    &

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    2023年11月19日
  • 同調者

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    幼少期に殺人を犯してしまい「普通」であることに取り憑かれた男の話。
    サイコパスな人になり暗殺任務をこなす話みたいな頭で読んだのですが、そうではなかった。

    見知らぬ男から性的な悪戯を受けそうになり殺してしまったことをきっかけに人生の全てを「普通」になろうと意識をして全てを決めるようになったマルチェッロ

    「真の愛を求めている」のに、婚約者からの愛には応えずただ冷静に分析し続ける。婚約者の愛を肯定したり打ち消したり波があるまま暗殺対象の調査任務も新婚旅行の裏で進めていく。
    やっと救いを見つけたかと思いきや、旅行中の暗殺対象の妻への恋…彼女に一目惚れだった人物を重ねて嫌悪されながらも「愛して欲しい

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    2023年06月28日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    ネタバレ

    題名に惹かれて(ハナムグリは私を含めガーデナーの天敵…)手に取りました。

    『薔薇とハナムグリ』の主人公は気高く薔薇以外のものに向かう。
    どれも大人向けのおとぎ話のよう、と読み終えて解説に進むと
    とっても深い意味を持つ作品たちでした。この著者の他の作品も読んでみたいです。

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    2015年11月12日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    著者の作品は昔からけっこう好きで、ほとんど読んできたつもりだったけど、こんなフザけた短編をたくさん書いていたとは知らなんだ。
    それでも官能は随所に感じられる。
    そこはモラヴィア。

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    2024年10月21日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    おそろしい比喩と暗喩に満ちた短編たち。
    国家の敵でボタンを作ったり、薔薇を好むはずがキャベツを好んで嫌悪されたり…
    解決しようもない問題に満ちたこの世界に生きていることを突きつけられる気がする。
    蛸のように夢でも希望を信じて生きているかしら。

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    2015年08月12日
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~

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    皮肉めいたものの見方はしているけれども、刺々しさは控え目にしている気がする。結婚出来ない空想家の日常「怠け者の夢」、欲に目が眩むと大事なタイミングを見逃す「パパーロ」、取り敢えず逃げて下さい「清麗閣」、『夢幻諸島から』を思い出した「夢に生きる島」、評論家の懺悔「いまわのきわ」、『きつねとぶどう』な「ショーウィンドウのなかの幸せ」、大爆笑した蛸の死生観「蛸の言い分」、さて、今年の春の流行は?「春物ラインナップ」などイタリア文学はまだまだ金脈が沢山ありそう…とここまで来て最後に強烈な「記念碑」で掉尾を飾る。ある男の記念碑が立てられるまでの経緯に鳥肌が立った。解説にある退廃した中産階級を書いたものよ

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    2015年07月21日