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Posted by ブクログ
短編集。表題のバラとハナムグリは、一族でタブーとされることを嗜好する若い虫が、親にも打ち明けられず、隠そうとする話。それほど凝った作品でもなく、どこかにありそうな話。
面白いのは「怠け者の夢」。仕事中も自分が主役のアクション妄想に耽って、仕事には真剣味がない(でも、入れ込まないので仕事ができる)。優秀な部下の査定を手を抜くので、その人は出世が遅れる。
好きな女性の前で、彼女と結婚し子供まで持っていることを夢想しながら、その夢想に夢中になっているので本人には生返事をしていて、現実には恋が実らない。が、実は本人は幸せなのではないか。
これはオタクの理想では?部下の取り扱い以外は現実に仕事ができて、精神的には万能感にあふれた妄想や、推しとの恋愛妄想の世界に生きている。
現実には恋も手に入れず怠け者という表現をされているものの、これは理想だというオタクの人は多いのではないか。イタリア人の著者の国籍や時代と、現在の日本の差を感じて面白い。
清麗閣(現実に起きていることから目を背けて、事態の悪化を見過ごしてしまう)、月の特派員(明らかにナチスドイツ)など、第二次世界大戦のヨーロッパを思わせる話も多い。
読みやすく、面白い。
Posted by ブクログ
皮肉めいたものの見方はしているけれども、刺々しさは控え目にしている気がする。結婚出来ない空想家の日常「怠け者の夢」、欲に目が眩むと大事なタイミングを見逃す「パパーロ」、取り敢えず逃げて下さい「清麗閣」、『夢幻諸島から』を思い出した「夢に生きる島」、評論家の懺悔「いまわのきわ」、『きつねとぶどう』な「ショーウィンドウのなかの幸せ」、大爆笑した蛸の死生観「蛸の言い分」、さて、今年の春の流行は?「春物ラインナップ」などイタリア文学はまだまだ金脈が沢山ありそう…とここまで来て最後に強烈な「記念碑」で掉尾を飾る。ある男の記念碑が立てられるまでの経緯に鳥肌が立った。解説にある退廃した中産階級を書いたものよりも、「蛸の言い分」のような喜劇タッチの話をもっと読んでみたい。
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