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ストレーガ賞W受賞の傑作ヒューマンドラマ。
遠くへ去った親友。傷を抱えた娘。あのときなぜ私は…。
語り手の後悔とレジリエンスの物語に心揺さぶられた。
――中島京子さん(作家)
奪われた尊厳を、私たちの手に取り戻す。
襲いかかる不条理に対し、女性たちが自分らしく息ができる場所を探していく、静かで峻烈な抵抗の物語。
――辻愛沙子さん(株式会社arca CEO | Creative Director)
こんな物語に出くわすから読書はやめられないのだ。
この一作から世界文学の広さと大きさを思い知り、胸が震えた。
――間室道子さん(書評家、代官山 蔦屋書店 文学コンシェルジュ)
イタリア文学賞の最高峰ストレーガ賞+同賞ヤング部門賞W受賞!
ルチアは故郷の山間の町に暮らしている。夫は単身赴任で家を出たままで、老父が暮らす近所の実家を時々訪れる日々。都市封鎖でミラノの大学から戻ってきた娘は部屋に引き籠もったままだ。ある日、ルチアは父親から土地を継げと持ちかけられる。その土地はかつて、今も町に影を落とす忌まわしい事件が起きた場所だった。ルチアは封印していた記憶と向き合うことに――。
すべての人間の弱さを力強く描いた、感動の人生賛歌。
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Posted by ブクログ
主人公の娘は田舎を嫌がって都会の大学に行ったものの、卒業しないで戻って引きこもる。
主人公の親友は何かあって出て行って、音信不通。
娘に起きた事件と、親友に起きた事件は全く異なっているものの、女性であるが故に引き受けさせられる危険である。
無邪気に過ごしていても、女性であるためレイプや暴力の犠牲になる危険に、本当は常に晒されている。それに気がつき、世界に恐怖を感じて深く傷つく。
被害者でありながら、出かけるきっかけを作った自分を責め、他の被害者が犠牲になる間に逃げた自分を責め、でも主人公が一緒にいなかったことに、親友は安堵していた。村から出て行った気持ちが痛々しい。
娘にはそれほどの事件は起きていないが、娘に向ける主人公の心理は共感できる。「私が手に入れた場所にすら到達できない娘を受け入れられずにいる」「娘を重荷に感じる一方で、彼女がたまらなく愛しい」母が娘に向ける視線であり、コロナ時代の若者に対する、昔の世代の視線である。この視線は秀逸。父、主人公、娘の3世代の関係も、描写がすごくいい。
Posted by ブクログ
母と娘、そして過去の選択にまつわる「後悔」と「受容」を静かに描いた物語。
コロナが広がり、町がロックダウンされる時、ミラノに憧れて故郷を離れた娘アマンダが突然実家に戻り、部屋に閉じこもるところから物語は始まる。主人公は母ルチア。理学療法士として働き、老いた父の世話、趣味のコーラスと、忙しく日常を回しながらも、娘に漂う異変に心をすり減らしていく。夫とは離婚の危機にある。
なぜ娘は大学に戻らないのか。何が起きたのか。でも、ルチアはそれを直接尋ねることができない。
娘とのことは、やがて彼女自身の過去と重なっていく。十代の頃、親友ドラリーチェとの間に起きた出来事。あの日、もし違う選択をしていたら──。封じ込めてきた記憶が、娘の沈黙によって呼び起こされていく。
物語は現在とあの事件の時を往復しながら進む。印象的なのは「問題が完全には解決しない」点。娘との関係も、親友との過去も、明確な答えは与えられない。それでも不思議と、読後には温かい余韻が残りました。
この小説を読んで感じたのは、後悔は「諦め」ではないということ。後悔、それは過去を変えられないと知った後も、なお誰かを大切に思い続けている証なのかもしれない。大切に想っている。だから、人生はやり直せない、でも関係は紡ぎ直せる。
Posted by ブクログ
私はイタリアに行ったことはないけれど、頭の中で出来上がったイタリアの田舎の自然は美しかったし、パニーレや、イタリアの車、ナポリの方言など、物語の構成要素によって、イタリアに浸ることが出来た。住居の共有スペースにある中庭で友達とご飯だなんて、本当に素敵!
文章も美しく、心が満たされた。訳者さんも素晴らしいと思う。
“それから数週間というもの、アマンダは寝てばかりだった。昼に眠る娘と夜に眠る私。さながら梟と雲雀だ。おなじ空間で交代に暮らし、ときには衝突もした。
正午近くなると、私は娘を起こさなければという衝動に駆られた。彼女の部屋の前まで行っては、まるで家じゅうの汚れがそこの廊下に集中しているとでもいうかのように、執拗に掃除機をかけた。そんなことをしても無駄だとわかっていたが、フルパワーの掃除機の騒音が、眠っている彼女に、瞼や部屋の外には春の光が、生命があふれていることを思い出させてくれるかもしれないと思ったからだ。“
終わり方も良かったな。
続きが気になって、すぐ読み終わった。
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