13歳の時、育ての親から生みの親の元へ返された主人公わたしは、恵まれた一人娘の暮しから子だくさんの貧困家庭へ。なぜ戻されたのか理由も分からない。
これはつらい話だ…と覚悟して読み始めた。
けれど語られる文体は淡々と静かだ。
新たな暮らしに順応していく日々を描きながら、時々押さえられない感情が溢れだ
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「生みの親と育ての親、二人の生きた母親を持ちながら、わたしは孤児だった」と感じる孤独は身を切るようだろう。語りが静かだからこそ、心が揺さぶられる。
妹のアドリアーナの存在が大きい。装画がわたしとアドリアーナの二人が画かれているところからも分かる。貧困の中で逞しく育った妹の強さも要領の良さも、わたしに対する純粋な愛も救いとなった。
わたしは大人の事情に翻弄され、つらい目に遭いながらも、ひねくれずに自分の足で歩んでいく芯の強さを持っている。
その後どう生きたかを知りたいと思っていたら、続編があるらしい。
日本での出版をお願いします。
イタリアで映画化も決まっているそうだ。