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希望を捨てずに生きのびた少年の勇気の物語。 1943年10月、イタリアの首都ローマのユダヤ人居住区。12歳の少年エマヌエーレは、ナチスドイツ軍がユダヤ人を連行する混乱の中、その場から逃げだし路面電車の中に身をかくした。 停留所を一つ、また一つと乗り越し、息をひそめて市内を揺られていく。 見つかったら、強制連行されてしまうのだ。 これは、ナチスによるユダヤ人強制連行から逃れ生きのびた少年の実話を元にした希望と勇気の物語だ。
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Posted by ブクログ
12歳のユダヤ人の少年の体験をもとにした児童書。 「何としても生き延びて欲しい……」 そんな母の切なる願いと、路面電車の車掌さんたちの善意が少年の命を救う。 ユダヤ人の彼を匿うということは、本当の意味で命を懸けた人助けであり、誰にでも出来ることじゃない。 とっさに少年を救うために行動した人たちは称...続きを読む賛に値すると思う。 『小さなことでもいい。ひとりひとりが自分にできることをするべきなんだ。』 少年の心には、きっとあの日の車掌さんの言葉がずっと心に在り続けていたのだろうと思います。 どんな時も他者を思いやり、自分に出来ることをする。誰もがそんな風に行動できたら、きっと世界は今よりもよくなるのにな…… “今日死ぬかもしれない”と、毎日思いながら生きている少年の恐怖体験。生きるか死ぬかの局面にあって、感じたり考えたことが描かれていました。 『たまには戦争のことなんて忘れて楽しみたい。人生のすばらしさを満喫したい』 少年時代はなかったというエマヌエーレ少年のささやかな願いが胸に刺さる。 戦争の理不尽さや恐怖ともに歴史の新たな側面も知りました。 いまだに戦争がなくならない世界。 知ることは、同じ過ちを繰り返さないためにも次の世代へ語り継ぐためにも大切だと思う。 児童書だと読むハードルが下がるので、読みやすくていいなと思いました。
不条理な事ばかりで憎しみと恐怖が渦巻き、重苦しく辛い日々を生きる中で親切な人もいたことに少しでも希望を感じた。 悲しくても人生は続き、それでも生きていかねばならない。「お願いだから人生を悲劇で終わらせないで」という母の言葉が胸に響いた。
実在の人物から著者が長い時間をかけて話をきき、子ども向けに書いた物語。ホロコーストものだけど、舞台がイタリアで、オーストリアやドイツとはまたずいぶん状況が違っていたのだということがわかる。 エマヌエーレ少年が乗りこんで2日半ぐるぐる回った路面電車の運転手さんがなんともやさしくて救われる。ユダヤ人をか...続きを読むくまったら自分にも累が及ぶかもしれないのに、マフラーを貸し、お弁当をわけ、トイレ休憩もさせてくれて。まっとうな大人がいるっていうことが、子どもにとってどれだけありがたいか、児童書を読むとたびたび感じる。 第二次世界大戦は「日独伊三国同盟」ってすごく単純化したものを教わっていたけど、そんなに簡単じゃないんだね。1943年に当時のイタリア政権は連合軍に無条件降伏してナチスドイツに宣戦布告。ドイツは激怒して北イタリアを占領、クーデターで排除されていたムッソリーニを助け出し、北イタリアでファシスト政権を樹立。イタリアは北と南に分かれて内戦のような状態になったと(あとがきより)。よくぞ戦後、朝鮮半島やベルリンのように分割されなかったねー。ここらへんぜんぜん知らなかったな。 ちなみに歴史物のときは、あとがきを先に読んだりする。そのほうが理解しやすいので。本書は著者あとがきと訳者あとがきが手厚くてありがたかった。
ナチスによるユダヤ人迫害を生き延びた少年の実話をもとにした児童文学。イタリアにおけるナチスのユダヤ人迫害のことがよくわかる。
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命をつないだ路面電車
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テア・ランノ
関口英子
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