黒人のベビーシッター、エミラが、休みの日のパーティの夜に急遽ベビーシッターの要請で子供を預かって近くのマーケットへ連れて行った際、「白人の子供を連れた、派手な身なりの黒人」として警備員にしつこく追及されるところから話は始まります。
その事件を中心に彼女の周囲の人間関係に変化が現れ、主人公の「もう私の
...続きを読むことはほっといて!」という切なる願いも裏腹に、様々な事件が起きる話です。
簡単に言うと「善意の差別」と言えばわかりやすいでしょうか?
静かに暮らしたいだけのエミラに対し優しさを向けながらも、「かわいそうな黒人を私が助けてやってる」という型に当てはめた考え方で接する、当事者不在の「善行」が、たびたびエミラを辟易させることになります。
いっぱいいっぱいになったエミラはついに・・・
差別というのは、暴力を受けたり、搾取されたりするだけではない。
黒人大統領も当選する現代では見えにくくなってしまった、現代ならではの「黒人の生きづらさ」が描かれていて、大変興味深い本です。