誰しも名前は聞いたことはあるが、その内容については意外によく知られていないのではないかと思われる『東方見聞録』。
ヴェニスの商人であるマルコ・ポーロは、同じく商人である父及び叔父に随行する形で東方へ向かった。
その行路は、西アジアから始まり、広大な中央アジアを通って中国に至るというものであった。
...続きを読む当時のアジアは、カーンの統治するモンゴル帝国におおむね服属しており、マルコもまた、フビライ・カーンに17年間仕え、その間に、カーンの宮廷事情や広大な中国領土などを見聞した。
これが本書(第一巻)の概要であるが、その叙述の具体的なこと極まりなく、まさにユーラシア大陸中を冒険しているかのごとき気分に浸れる。
また、各地の風俗、信仰、経済、産物、食糧、貨幣などがつぶさに観察されており、当時の世界を鮮やかに思い浮かべることもできる。
モンゴル帝国を統べたカーンの権力が絶大であったこともよく分かる。