斎藤真理子の作品一覧
「斎藤真理子」の「隣の国の人々と出会う」「すべての、白いものたちの」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
「斎藤真理子」の「隣の国の人々と出会う」「すべての、白いものたちの」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
自分が辿る前にその道にあったはずのもの、今はもうなくなってしまったものがもしそこにずっとあったとしたら、自分はその道を辿ることはなかっただろうか。
過去にあった破壊や死と「その延長線上に現在が/自分がある」という事実をどうやったら受け入れられるだろうと昔は考えていた。現実は「そう」なのだから「そうだった」のだから受け入れるしかなく、受け入れないことは自身の否定につながり先がないことに気づいた時に私は深く考えないようにしてその葛藤を認識しないようにぼかした。確かに痛みがあったのに。それを誤魔化した後ろめたさが私にはあった。
その後ろめたさを救ってもらえた気がする。あの葛藤を小説に昇華するとこ
Posted by ブクログ
「わたし」が生まれる前に亡くなり会うことのなかった「オンニ(姉)」に捧げるとても繊細で美しい抒情的な作品でした。文頭に韓国で喪の色である白にまつわるものを呪文のように羅列して、それらの言葉でよみがえる記憶の断章が綴られる。「おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり、つき、こめ、なみ、はくもくれん、しろいとり、しろくわらう、はくし、しろいいぬ、寿衣」 生まれた時に包まれた産着とおくるみは数時間後、母親の「しなないでおねがい」の祈りもむなしく寿衣と柩になり、火をつけられ煙となり亡き姉に届けられる。姉、兄、母親の喪失の記憶が白いものにより再生される心象風景がモノクロのトーキーを見ているように語られる。
Posted by ブクログ
短文で構成された、詩のような、随筆のような、また短編小説のような、生と死の恢復の物語。
産着、雪、灰、おくるみ、骨、塩、氷、月、波...
あらゆる白いものたち。
白いものについて読み、白いものを思い浮かべる。
生後すぐに亡くなった姉の死と自らの生。
ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、
朝鮮半島の記憶の交差。
静かな雪のように、悲しみや祈りが降り積もるようだった。
この本の感想を言語化することはとても難しいのだけど、静かで儚く美しいことばに圧倒され、独特の世界に引き込まれる。
読み終えたあと、巻末にある著書のことばと訳者の補足文を読むと、もう一度最初から読み返したくなる。何度も読み