斎藤真理子の作品一覧
「斎藤真理子」の「「なむ」の来歴」「82年生まれ、キム・ジヨン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「斎藤真理子」の「「なむ」の来歴」「82年生まれ、キム・ジヨン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
「お姉ちゃんの長女病」が心に残った。
全編を通して出てくる家族という呪いに力尽き果てた姉が印象的だった。
姉にはどうしても大好きな家族が必要だったけど、必死に守ってきたその家族は姉のことを搾取することしか考えていなかった。
本当に誰も正しく愛する術を学ばなかったし、持たなかったんだなと思う。
著者の素直な言葉から、これまでつけられた無数の傷から回復しようともがく思いがよく伝わってきた。愛すべき友人たちがどんどん失われていく箇所も壮絶だった。
著者の人生に穏やかな日が1日でも多く訪れてくれることを願ってしまうような、祈ってしまうような本だった。
Posted by ブクログ
色褪せて錆びた傷だらけの白いドア、塗り
重ねた白いペンキ、しんしんと降る雪。雪の
ように真っ白なおくるみ、白いきれで縫われ
た産着、タルトックのように真っ白な赤ん坊。
「私」は、「白いもの」について書くことだ
けを決めて、祖国から遠く離れた都市に滞在
する。理解できない言葉が飛び交う街で、孤
独が深まるにつれて思いもよらない記憶が生
々しく蘇り、自らの内面へと逃げ込んでいく。
私が踏みしめているその街は、七十年前に
作り直された街だった。ナチスによって完璧
に破壊され、瓦礫の砂に包まれた白い街に、
二時間だけ生きた姉の姿を重ねる。夜明けの
霧の中で、姉である「彼女」に私の生を差し
出し、