斎藤真理子の作品一覧
「斎藤真理子」の「すべての、白いものたちの」「隣の国の人々と出会う」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「斎藤真理子」の「すべての、白いものたちの」「隣の国の人々と出会う」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
「わたし」が生まれる前に亡くなり会うことのなかった「オンニ(姉)」に捧げるとても繊細で美しい抒情的な作品でした。文頭に韓国で喪の色である白にまつわるものを呪文のように羅列して、それらの言葉でよみがえる記憶の断章が綴られる。「おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり、つき、こめ、なみ、はくもくれん、しろいとり、しろくわらう、はくし、しろいいぬ、寿衣」 生まれた時に包まれた産着とおくるみは数時間後、母親の「しなないでおねがい」の祈りもむなしく寿衣と柩になり、火をつけられ煙となり亡き姉に届けられる。姉、兄、母親の喪失の記憶が白いものにより再生される心象風景がモノクロのトーキーを見ているように語られる。
Posted by ブクログ
短文で構成された、詩のような、随筆のような、また短編小説のような、生と死の恢復の物語。
産着、雪、灰、おくるみ、骨、塩、氷、月、波...
あらゆる白いものたち。
白いものについて読み、白いものを思い浮かべる。
生後すぐに亡くなった姉の死と自らの生。
ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、
朝鮮半島の記憶の交差。
静かな雪のように、悲しみや祈りが降り積もるようだった。
この本の感想を言語化することはとても難しいのだけど、静かで儚く美しいことばに圧倒され、独特の世界に引き込まれる。
読み終えたあと、巻末にある著書のことばと訳者の補足文を読むと、もう一度最初から読み返したくなる。何度も読み
Posted by ブクログ
SNSでみかけたこの本に添えられていた言葉がとても素敵だった。雪の日にそんなきっかけで手に取った本を改めて開いたのは快晴で暖かい日の午後で、そんなタイミングもちょっと良いなと思った。
冬に雪、私と彼女、命と死。静かに深くなっていく美しい文章、なめらかな翻訳。そこには寂しさや哀しさに寒さがあるのだけど、少しづつ体温のようなぬくもりも感じていた。白いものたちの小さい話。小説。
移動中に幾つも付箋を立てる。落ち着いて何回も読み返したいセンテンス。ああ、これはずっと読み続ける本になるかもしれないし、もしかしたら冬が来るたびに開くことになるのかもしれない。とそんなことも思っ
Posted by ブクログ
『すべての、白いものたちの』の「白い」は、韓国語ではヒンという言葉だそうです。ヒンとは生と死の寂しさを、こもごもたたえた白さです。
表紙の赤ん坊用の白い肌着のようなものが表すように、この本にはハン・ガンさんの生後二時間で亡くなった姉への思いが根底に流れているように思えました。しんしんと雪が降り、真っ白におおわれた場所の冷たさを味わうような感じがしました。白いものの表現は、姉への思いだけではなく、ワルシャワでの戦争がもたらした破壊や、人の死への鎮魂の思いも感じました。また、姉の存在と自分の存在意義の意味を考えているようにも思えました。
うまく表現できないけれど、感覚に訴えるものがありました。