【感想・ネタバレ】すべての、白いものたちののレビュー

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Posted by ブクログ

韓国の作家ハン・ガンによる散文詩的な装いの小説。乳児のころに亡くなった姉について過去・現在、韓国、ポーランド・ワルシャワを巡って、白を題材に詩的な文章が綴られる。
詩を読んでいるような感覚なので、何が書かれていたかは頭に残りにくいのだけれど、小説を読むという体験のひとつの姿がここにあるという感じ。
韓国には文学的な可能性もあるということを感じさせる作家。光州事件を舞台にした作品が代表作のようなので、手に取ってみたいと思う。

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2024年03月26日

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ネタバレ

韓国の作家、ハン・ガンの作品。
白いものにまつわる65の詩のような、短編のような章で構成されている。だけど全体を通して大きなストーリーがある、そんな作品。

この作品に出会えて、本当に良かった。
一つ一つが綺麗で美しい文体で綴られ、なんてことのない風景の描写に、胸が締め付けられる。
白いものについて語られているからこそ、その語りの中で示される色彩や、感情までもがより鮮やかに見える。
非常に短い章もあるのだが、その余白すら、作品全体の雰囲気と相まって、一体どこまで計算されているのだろうと思う。

もう何度も、繰り返し繰り返し読むだろうなぁと予感する作品。大ファンになりました。

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2023年12月18日

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読書会の課題本として採択。小説のようなものを想像し開いたが、詩と散文の中間のような構成及び文体であった。言葉選びやテーマ、情景描写等好みに合致しており、個人的に非常に評価している一冊。そのせいもあってか重い題材を扱う割に心地良く読むことができた。

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2023年10月04日

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神経質で潔癖なまでの真っ白さや繊細さがあると同時に、どこかエッジがきいたスタイリッシュさや退廃的な雰囲気もある、自分が思う最近の韓国文化のイメージそのものでした。

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2023年07月02日

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わからない、という苦痛とどう向き合い、それでも逃げずに読むところに、どのような味が出てくるのか、という本でもあった。白という色が、あらゆるものの根源のように、生命を表象しながら、しかし同時に死を包括するような印象を受けた。それは、生を肯定するでもなく、死を否定するでもなく、生死というものが自然な大きな流れの中に位置づけられているような感覚。
「生き延びた古い柱や壁が、その上に積まれた新しい壁や柱とふしぎな形で抱き合っているーそんな形で生きてきた人」

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2023年06月19日

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みぞおちのあたりにずん…と留まりつづける、重くて静かで、あまりにも体の内側に直接に作用するような言葉がたくさんあり、ほんとに苦しかった。苦しかったんだけど、でもこの先いつか読み直し、読みつづけたいなとも思う。

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2023年04月18日

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おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり、つき、こめ……。「白いもの」たちへ捧げる静謐な祈りの言葉。紡がれる美しい文章が織り成す物語は壮大なひとつの詩でもある。哀切で儚い65の物語。ゆっくりと静かな夜に読みたくなる。素晴らしい本でした。

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2023年02月26日

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忘れられない傑作である。儚く美しく、そして抉る作品。散文詩のあつまりのかのようだが、確かに小説である。しかし、そのひとつひとつの詩も美しく、それらを読み進めゆくことで見えてくる世界、そして器としてのわたし、そして決意。読んでいる最中は、さまざまな感情が複雑に絡み合うけれど、この作品は不思議な静謐さに満ちている。読み手という器があり、そしてこの作品は完成する。みなさんは、どのような物語を掬い上げるか。ぜひ、読んで欲しい。

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2023年02月24日

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単行本も買ってたが、積んでしまっていたので、改めて文庫を購入。何だか凄いものを読んでいるけど、どう表現していいのか分からない。詩を読んでいるみたいでいながら、ストーリーが紡がれていて、分かるのに分からない。文庫巻末の訳者の斎藤氏の言葉に首肯。手元本、がまた一冊増えて幸せ。

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2023年02月20日

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すごすぎてなにを書けばいいのかわからない。読んでいるあいだ、薄暗い雪景色のような静謐さに絶えず体が満たされていた。それはひとえにあまりにも洗練された文章(訳文がすばらしいしきっと原文もすばらしいに相違ない)のなせるところだろうと思う。白いものには無数のイメージが重ねあわされて、厳粛さや脆さ、寂しさ、残虐さ、清廉さ、様ざまの印象が圧倒的な静けさに飲みこまれながらも同時にそれを形成してゆく。そういうなかに、生まれて二時間で亡くなった姉との(間接的な)交流が立ちあらわれる。白いものたちは、生と死をも包みこむ。それはあたりを覆う霧のように無限のひろがりをもつようでもあれば、蝶や、雪の一片一片のようにものすごく小さな世界の細部に宿るようでもある。そこにはあるものが生じて消滅してゆくことの厳然さがある。そうしてそのなかでひとはひとりの人間が生まれて死にゆくこの事実を、個々人の確たる実感として引きうけねばならないことを悟るのだ。それはこの世に生まれ(得)たすべてのものへの祈りとなる。

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2023年02月13日

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読み終えて、作者のあとがきと解説を読んで「ああ、そういうことか、そうなのか」と思う。読み切れていなかったものが心の中にそっと置かれているよう。また、もう一度読み直そうと思う。

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2024年04月29日

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冷たくて寒くて静かで、突き刺すように鋭い。静謐さのなかに佇む「白いもの」。散文的な文章がゆえに心に沁みやすく穏やかにすすむ恢復の物語。

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2023年07月13日

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余韻の残る美しい小説。
詩集のようでいて、そこには恢復の物語がある。静寂がひろがり、言葉は少なだが余白や時折挟まれる写真、全てが訴えてくる。白は特別な色だなと思う。何ものも受け付けない強さと全て包み込む柔らかさがある。

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2023年04月08日

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産まれてわずか2時間で死んだ女の子。
対峙するのすら辛く息苦しいほどの喪失感を”白いものたち”を通して恢復してゆく。
なんとか救われてほしいと願いながら読んでいましたが、読後感はとても爽やかだったのでどうやら救われたようです。

途中、「わたし」がいったい誰なのかふと分からなくなる。母親なのか亡くなった女の子の妹なのか?それとも・・・。
平野啓一郎氏の解説を読んで、ぼんやりした輪郭がくっきり浮かび上がってきます。
小説というか連作短編か散文に近い。今までにない読書体験でした。

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2023年03月25日

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詩的なモノクロ映画を見ているような雰囲気でした。
著者の実体験が基になっていて、痛みを乗り越える方法を模索しているのかな、と読んでいました。

ガーゼや雪など、この本に出てくる白いものたちは、背景が暗いほど際立ち、著者の抱える痛みが強いほど、背景と対象物のコントラストがはっきりと現れるように感じました。
表現が魅力的で、どんな風に文章が誕生するのだろうと思います。

誕生は白く、死は黒い、というイメージを、読みながら感じていました。
戦争や災害などで一度破壊されてしまった場所が、建物など新たな体を得て生きていくことは、それまであった体の痕跡を抱きしめるように、また新しい服を着ていくことなのかな、と思いました。
そのような街は、白さと黒さが入り交じったように感じるかもしれません。

ろうそくが何本も燃えて風に揺れて、手向けた誰かの、手向けられた誰かの魂が浄化される時間が流れているような感覚です。

最後の解説で、著者の意図していた事が分かり、また読めば違った気持ちで読めるだろうなと思いました。



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2024年03月30日

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翻訳文学試食会 で『菜食主義者』が紹介されていたハン・ガン氏の本作が、妻の本棚にあったため拝借。

私が幼少の頃、母が私の兄か姉を流産していたことを、聞かされていた。毎朝仏壇にお参りするとき、見たこともない兄か姉に話しかけていた。中学生時分に、ふとその位牌に書かれた命日を見たことがあった。なんとなく考えてみたら、兄か姉と私の存在は、両立しないことに気づいた。ここに今生きていることの、偶然の重なり合いに、背筋がもぞもぞした。

この作品でも、ハン・ガン氏が、生まれて数時間で死んだ姉を自分に重ねて語ることがあり、そのもぞもぞを久しぶりに感じながら、読み進めた。

#河出文庫 #ハン・ガン #翻訳文学試食会 #翻訳小説 #齋藤真理子

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

表紙にある、흔の意味が解決した。
最後の論評を読まなければ、少し理解しにくい内容の本だと思う。
言葉が少ない分、描写や表現が記憶に残りやすい。

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2023年12月28日

Posted by ブクログ

せかせか、ガチャガチャと生活してる中で読み始めると、静謐でしんとした文面を咀嚼しきれません。
時間をおいて丁寧に読み返したいです。

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2023年06月08日

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