あらすじ
アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。
ノーベル文学賞受賞!
ハン・ガン作品、どれから読んだらいいかわからない……という方には、個人的には『すべての、白いものたちの』をお勧めしたいです。
詩のように淡く美しく、それでいて強く心をゆさぶる名作です
ーー岸本佐知子
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。
文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。
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Posted by ブクログ
エッセイでありながら、まるで美しい詩のように読まれた。
個人的な記憶が異国の集団記憶と重なり、生と死、そして「いきること」への普遍的な思索へと広がっていく展開が素晴らしい。時折立ち戻って吟味したくなるような表現が、要所に宝石のように散りばめられている。ある日突然、世の中の喧騒から一歩離れて読みたくなる、そんな一冊だ。
Posted by ブクログ
この蒸し暑い梅雨時期に読む感じじゃなかった、ずっと冬だった。
短編というより散文詩のような、白いものと亡き姉にまつわる短い物語が続きます。
原書がどんな感じかわからないけど、訳者の言葉の選び方にいろいろ想像が広がって流し読みできない感じ。じっくり読み返し。
平野啓一郎氏の解説を読んで、さらにまた読み返すことになりました。そういうことだったのかぁ。
冷たくてひたすら静かな雰囲気。図書室で借りたのですが、手元に持っていたくなりました。
Posted by ブクログ
著者が亡き姉に思いを馳せ白いものを挙げていくお話
死者を悼み、静けさの中で白と向き合う
読んでいると美術館を歩いている気持ちになる
夏に韓国に行くからきっとまた読む
Posted by ブクログ
すごいなぁ。なぜ白いものを説明しているだけなのに世界が地球を超えて宇宙に広がっていく感覚があるんだろう。ネットフリックスもSNSも何もいらないくらい世界は美しいものに溢れているしそれだけでエンタメ。そこに生きている私たちも不完全でも美しい。読書しているのに瞑想しているような感覚。これからもずっと読み返したい。
Posted by ブクログ
出会ってしまいました!!
小説という枠組みを越え
詩のようであり、祈りのようでもある
息を呑むほどに美しく静謐な文学世界_
この世界に存在する「白」という
色彩のなかに潜む
儚さや生と死の記憶にそっと触れたとき…
胸の奥にひんやりとした
けれど不思議と温かい一筋の光が
差し込んできたような感覚を覚えました
あまりの美しさにしばらく言葉を失い
幾重にも寄せては返す余韻が広がりました
この作品が紡ぎ出すのは
世界に散らばる「白いもの」をめぐる
かつてないほど純度の高い言葉たち…
生まれてまもなく、たった数時間で
この世界から去ってしまったという
著者の「かつていたはずの姉」の存在や
その失われた命の記憶が
さまざまな「白いもの」の
肌触りや匂い、きらめきを通して
静かに優しくたぐり寄せられていきます…
まるで一編の長い詩を
五感で浴びているかのようで…
ハン・ガンさんの言葉は
傷ついた魂の最も柔らかい部分に
そっと指先で触れて
その悲しみや痛みを丁寧に
そして静かに洗い流してくれたように感じました
その装丁が象徴するように、この作品自体が
世界の不条理や痛みに傷ついたすべての人を
そっと包み込む「おくるみ」のようだと
感じました
生きることの切なさ…死が持つ厳かさ…
それらをこれほどまでに美しく
気高く描かれた文学に出会えたことに
ただただ深い感謝を捧げたいです!!
ざわついていた心がすーっと凪いでいくような
私にとって生涯忘れることのできない
大切な宝物のような作品になりました♡
Posted by ブクログ
不思議な、心の深い部分に届く詩だと思った。
おくるみ
なんだか不思議な温かいような当惑するような気持ちになった。
彼女
一人の子が成長し、女になって何度となく危機を迎えながら生き延びるという表現に涙が出そうになった。
自分も、まわりは成長を祝ってくれていたのだなと、そして、成人して様々な苦難があったが、乗り越えてここまでこれたなと思うと泣きそうになった。
翼
翼が透き通ってしまうだろう、蝶が蝶でないものになるのだろうが、なんとも言えない気持ち
白い骨
最後、不思議に安堵するのだったを、読んだら、気持ちがホッと和らいだ。
下の歯
規則正しい息の音にしばらく耳を傾けてながら
ということろが心が解ける感覚があった。
自分はこうやって見守られてきたんだろうなと思った。
Posted by ブクログ
詩のような形をした、悲しくて冷たくて優しくて美しい小説。
私自身が過去に見たことのある景色が描写されていて、涙しながら読んだ。私のための小説だった。本当に出会えてよかった。作中に描かれた、決して自分では見たことのない景色も、まるで私の過去に存在したような気がしてくる、そんな愛しい1冊だった。
生も死も表すたくさんの美しい白色を見せてもらった。
掲載されたモノクロ写真も美しく、美術館のようだった。そしてこの美しく繊細な言葉たちを美しい日本語に翻訳した斎藤真理子さんも本当に素晴らしい。『すべての、白いものたちの』としたタイトルも見事すぎて唸ってしまった。
この先の人生でも、何度も読み返したい大切な1冊となった。
Posted by ブクログ
あらゆる白いものに、生と死、私とあなたがいる。あらゆる白いものが、あなたの指に冷たく触れ、目をくらませ、鼻腔を広げ、傷口に入り、あなたは祈っている。あなた自身と全ての死者のために。
匿名
美しい世界
白をテーマにして次々に繰り出される白い世界。
失ったものを抱えながら白い世界に吸い込まれていくような感覚。
何よりもこれが翻訳された作品とはまったく感じずに本の世界に入り込むことができました。
Posted by ブクログ
白いものをめぐる短い文章の連なりが、生と死、喪失、祈りへと静かにつながっていく。はっきりとした物語ではないのに、一つひとつの言葉が胸の奥に沈み、読み終えてもしばらく余韻が消えなかった。多くを語らないからこそ、読む人自身の記憶や感情が入り込む余白がある。
Posted by ブクログ
はっきりした言葉が書かれているわけではないけれど、読み始めから終わりまで、ずっと白い、冷たい、部屋の中にいる気持ちになる。
作者自身もずっとこのような気持ちだったのだろうか。自分が生まれなかったかもしれないとか、姉と比べてしまうこととか。
私は姉の立場なので余りピンとこないが、お姉ちゃんがいることが羨ましくもあったり(実際にいたのだから)、想像することもあるのかと思う。
22歳で一人で出産したと言っていた。私と同じような歳で、そんな壮絶な出来事を味わっていることに自分の弱さを感じる。私の悩みがちっぽけに思えた。息を吸って、吐いて、好きなことをして、本を読んで、人と話せること。それだけで十分生きていける。
Posted by ブクログ
ハン・ガンさんの二冊目。
まず、タイトルに惹きつけられた。
真っ白な「ハヤン」でなく、生と死の寂しさをたたえた白い色「ヒン」の物語。散文詩の研ぎ澄まされた言葉の中に著者の痛みを感じた。
1 私
2 彼女
3 すべての、白いものたちの
おくるみ、産着、タルトック、霧・・と白いものたちの65の短編が綴られる。
「産着」は哀しみと痛みを感じる一編。
人里離れた官舎に住んでいた父と母。
たった一人で赤ん坊を産んだ母の「しなないで しなないでおねがい。」悲痛な叫びが聞こえてきた。
選び抜かれた言葉で情景が紡がれる。
たとえば「波」の一編。
遠くから走ってくる冬の海が迫り、高くそそり立った瞬間に真っ白に砕け散る波の様子がありありと見えた。
「はるかな海の静かな海流は無数の魚たちの鱗のよう。数千、数万もの波頭が輝きひらめき、身を翻す」…やはり詩人だと思う。
主人公の私の生を、彼女(生まれて2時間で亡くなった姉)に託す二章では、歩んだであろう彼女の人生が綴られていく。
小説の中の母の叫びで、映画『光州5・18』を思い出した。
最後に結婚式の集合写真が徐々に白黒となり消えていくシーン。「死なないで」「私たちを忘れないで」の声が今も耳から離れない。この小説の写真もすべて白黒で、読むうちに彼女がこれを書きたかった思いに触れた気がした。
斎藤真理子さんの素晴らしい訳で、この本を読めたことにも感謝したい。
Posted by ブクログ
著者の生に関する人々。両親、姉、弟、自身との関係について。生後すぐに亡くなった姉についての物語が描かれています。姉が生まれたときの両親、その死に対しての両親。異国の地を歩きながら、姉がその地で生きた場合について思いを巡らせ、そして姉が生きていたら自分は生まれていなかっただろう不思議ともいえる確率について考え、読者もまた考えさせられるものがあります。それらを考えるのに、白いものにまつわる話から、一つ一つの話を結びつけていって、その独特の解へと辿り着くようになっています。エッセイのようにバラバラに感じる文章になっているので取っ付きにくいのかと読み始めると、ちゃんと全てがつながっていて、そしてそれぞれの伏線がちゃんと丁寧に回収されていって、この表現難しい感覚を読者と共有できるようになっています。気持ちや想いや感傷などを伝える方法に、こんなやり方があったのかと驚かされるものがありました。
Posted by ブクログ
2026/04/16 - 2026/04/17
柔らかな綿でキュッと心を締め付けられるような苦しさと、まだ誰も踏み入れていない新雪のような静謐さがずっと交互にやってきて、ページを進める手を止めることができなかった。
ハン・ガンの本はこれが初めてで、正直、このご時世にノーベル賞を獲った人が女性であり、アジア人であった、ということが読むきっかけだった。受賞で話題になった際に、すぐに購入したが、「韓国文学について知ってからのほうがいい」などの情報が多く、勝手に億劫になり、今まで読んでいなかった。
しかし、読んでみたら、私にはとてもすんなり、まるで水が染み込むように心の中に文章や物語が溶けていった。
特に、二章の「もしも」は私にとって違和感や不明瞭がなく「ああ、あなたはお姉さんなのね」と理解できた。
ハン・ガンの繊細でやさしい文章は、世界の残酷さと、それでも美しく愛おしいということを読者に自覚させてくれる。生を自分ごとにしてくれる、そんな文章である。
p103-l8
ある記憶は決して、時間によって損なわれることがない。苦痛もそうだ。苦痛がすべてを染め上げて何もかも損なってしまうというのは、ほんとうではない。
この文章もそうだ。ハッとさせられるほどの現実の苦しさと、それでいてその中に確かに光る何かを教えてくれる。
最後の章は、涙を流しながら読むことになった。
別の本のあとがきで翻訳者の斎藤が、彼女の作品を「陽だまりとと血だまり」と書き記していたが、私がこの本で感じた苦しみと希望は、この表現にとても近い。
著者の他の作品も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
初めてハン・ガン氏の本を読みました。綺麗な文章と静謐な世界に引き込まれていきました。姉と兄を亡くし、母の悲しみを背負って生きている主人公。その母も亡くし、孤独感と優しさが淡々と語られる文章の中から伝わって切なくなりました。他の作品も読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
決して読むのが難しい本では無い。ただ、小説というには詩的すぎるし、詩というには小説的で、何かまだ名前のついていないジャンルの文学を読んでいる不思議な感覚。そして、だからこそ新しいのだと思いました。それは作者のレンズ(といえば良いのか分からないが)のピントもそうで、具体的とも抽象的とも言えない、ぼんやりとした写真のような描写が続く。そしてそのボケ感というのが景色に対しても心情に対しても効いていて、結果、テーマとも接着しているという妙技。読み終わって思わずははぁと唸ってしまいました。
Posted by ブクログ
まっしろな「ハヤン」ではなく生と死の寂しさをたたえる「ヒン」を題材として、生後2時間で亡くなった姉の死と私の生について描かれた本。
あとがきを読むまでわからなかった。第2章に出てきた「彼女」は、第1章にでてきた「私」の生を受けて歩いている姉の姿だと。
感性が研ぎ澄まされないと理解しにくく、殺伐とした通勤電車の中で読むには難しい本。それでもソウルやワルシャワの街の風景や生活が綺麗だと思った。
詩のような
Posted by ブクログ
2026/45
「白」のお話
おくるみの話が生命を感じられて好き
私は2月生まれなので、生まれた時の季節を感じられるのも良い
あなたは大切な人であり、あなたは清潔な眠りに守られるべきで、あなたが生きてることは恥ではない(p85)
「흰(ヒン)」ってなんだろう?と思ったけど、生と死の寂しさの色について書いていたのね
余白が印象的で、無音の中で読みたくなる作品でした
Posted by ブクログ
エッセイのように感じた
ずっと冷たい冬の中の世界
亡くなったひとへの記憶と白いものたちへの繋がり
こういうのってずっと記憶に残るんだろうな
ハン・ガンさん初めて読んだけど言葉選びが好きだった(訳によるのかもだけれど)
Posted by ブクログ
色々な白いものについて集めたエッセイというか、詩というか…。とても静かで、きれいで、厳かな言葉たち。生まれてすぐに死んでしまった姉のことがこの人の中ではとても大きな影響があったのだろうなと思う。
Posted by ブクログ
すべてを知らなくても、知ろうとしなくても、僕らは想像することができるから、見ただけではわからないことも、何かしらの手がかりをもとに、ほんのすこしでも想い描くことができたなら、他人行儀な目の前の光景だって、きっとこの手の中に包み込んでみたくなるような、主体性を持った“僕の世界”になるのだろう。
手ごたえや確信がなくても、たとえば一日中、雨音が止まなくても、いずれ雨雲の端が現れて、何事もなかったかのような空が顔を出すだろう。憂鬱な雨降りの最中にも、空の色を想像してみたら、ほんのすこしでも軽い気持ちがしてきそうな、そんな気にもなるかもしれない。気持ちが変われば、何かがもっと、変わるかもしれない。
僕らは、そんなふうにして、生きることや、世界との関わりを見つめることができる。逃げたいときには逃げるだろうし、直視できない物事だって、見て見ぬふりして上手いこと避けることだって、できるようになってゆく。
重さや軽さを語り出したら、きりがないかもしれないけれど、それぞれ大事なものは、内に秘めてる。そんなことすら、想像を介して理解の助けになるだろう。
白いものには、白いものなりのグラデーションがあるのだろう。白は、ただ白いだけじゃないのだから。白色にもいろんな“白”があって、そんな“白”の存在も、知らないよりは、知っていたほうがいいかもしれない。
せっかく覗き込んだ世界なのだから。
Posted by ブクログ
感性が芸術すぎて言葉が頭に入ってこず、Audibleで読み聞かせしてもらいながらページを目で追った
悲しかったかも
結構悲しかったかも
悲しい話が頭に入ってこないのかも、わたし、現実逃避民だから
Posted by ブクログ
小説?詩?エッセイ?
ジャンルがよくわからないけど、ストーリーよりも詩的な美しい言葉を噛み締めるような特別感があった。
でも詩のようなわかりにくさがあるので、好みはわかれそう。
私は内容的にはあまりピンと来なくて、audibleで2回聴き直したけど、やっぱり内容は響かなかった。
だけど言葉の心地よさは感じられる不思議な本。
Posted by ブクログ
まだ成熟しききっていない韓国文学で、「韓国人」アイデンティティを萌芽させた第一人者として著者がいるのかもしれない。だからノーベル賞を受賞したのかなと思ったり、、まだこの作品しか読んでないから分かんないけど^_^
正直、他ノーベル受賞者の作品を読んだときのような世界観の壮大さや思想哲学に触れた感覚は受けない。けれど古代から中国という大国の影響を受け続け、日本に支配され、k-popで世界に繰り出す歴史を歩む、まさに「これから」を創り上げている国に生まれた作家なのだという印象。(ちなみに作品内容は全く関係ない)
急遽いくことになった韓国旅行で、ずっと読みたかったハンガンデビューできて嬉しかったなー
文庫本が良かったからこれにしたけど、次は菜食主義者を読みたい。私も一冊読んだだけで作者のこと語っちゃ駄目だね♪