ハン・ガンの作品一覧
「ハン・ガン」の「別れを告げない」「私の女の実」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ハン・ガン」の「別れを告げない」「私の女の実」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
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Posted by ブクログ
さみしさが、読むほどに募る。
吐き出すことのできない、行き場のないさみしさ。
いっそあなたには、鳥になりたいと、遠くへ飛んでゆきたいと願ってくれと思う。
だがあなたは立ち去ることを選ばずに、静かに閉じてゆく。
その眼差しは自らの内へ、選んだことと選べなかったことの境目へと向けられる。
残されるのは沈黙だけだ。
ままならぬ、と独りごちる。
母親との関係、夫との関係、冷たい都市に満ちる閉塞感だけではない。
自分自身の心が、自分にとってままならない。
それでも、今ここにあるのは閉じ切った哀しみではない。
彼女たちの頑なさの内側に秘められたしなやかさ、自らを見つめる眼差しの確かさは、かりそめの地に根を下ろしながらも遠い光へ向かって枝葉を伸ばす若木なのだ。
暗闇と光へーその両方に向かって、身体を引き裂くようにして伸びてゆく。
本書は、遠く離れた地でそれぞれの孤独に生きるものにとって、密やかに、だが確かにつながっている、同じ時代を生きていると感じさせてくれる。
僕らは孤独な木ではない。
たとえ、言葉にする術を持たずとも、ささやかな葉ずれはきっと、あなたに、僕に届く。
ーーー
“木々が見ている方向はいつも、陽のあたる方だ。運動場のあの木は明るい場所で育ったおかげで円く堂々と枝を伸ばしたが、日陰に立つ木々の枝は例外なく切実に曲がっている。ある木は光の中で生まれ、ある木は日陰で生まれるのか。
だがいずれにしても、その葉は等しく青く輝く。
その葉は日差しに向かってまっすぐに伸びていく。“
ー「赤い花の中で」より
Posted by ブクログ
「世界はは何故これほど暴力的で苦痛に満ちている?それと同時に、何故世界はこれほど美しいのか?」や、人間が内包する暴力性と愛のような真逆の二面性について考え続けているところが忍耐強くてすごい人だと思う。私は人間の醜い部分に絶望して己が同じ人間という生き物である事実に疲れてしまい、考えることを放棄しているから。
考え続けた人の何かしらの結晶として生み出された作品はこんな形をしているのかと、過去に読んだ物語たちを想った。
ハン・ガンが二十代の頃に思い浮かべていた2つの問いに胸を突かれた。
「現在が過去を助けることはできるか?生者が死者を救うことはできるのか?」
助けるや救うの定義が曖昧だが、直感で「できない」と瞬時に思った。過去は変えられないし死者はもういない。事実に報いる努力はできても、それは助けること救うことにはならないという諦めが私の中にはある。これはもはや私の価値観のようになりつつあって、だからハン・ガンの問いかけそのものがその価値観をひっくり返すような、こんなふうに真剣に切実に考える人がいるんだと衝撃だった。
以前『少年が来る』を読んだ時、めちゃくちゃ泣いた。トンホを助けてあげたかった。彼に生きていて欲しかった。トンホを含めた過去の悲惨な出来事の犠牲者について思いを馳せてさらに胸が痛かった。死んでしまった人たち、過ぎ去ってしまった時間はあんまりにも遠くて膨大で、無力感に押しつぶされる。しかしハン・ガンのこの問いかけは、助けたかったどうにかしたかったと叫んで過去に伸ばしかけたものの諦めから引っ込めてしまった私の手を握ってくれているような気がする。もしくは私が諦めて手を伸ばせなかったところに、ずっと手を伸ばし続けている人の幻想が見える。
『別れを告げない』がまだ読めていない。途中で止まってしまっている。近いうちに最後まで読み切りたいと思う。