光と糸

光と糸

小説・文芸
2,200円 (税込)

11pt

世界は、なぜこれほど暴力的で、同時に、なぜこれほど美しいのか? 著者自身が構成を編み上げた、ノーベル文学賞受賞後初の作品がついに刊行。光へ向かう生命の力への大いなる祈り。


「最初から最後まで光のある本にしたかった」
――ハン・ガン

「人間性の陽溜まりと血溜まりと。その二つが常に隣り合っていて、どちらかへ行こうとしたらもう一つも絶対に通らなくてはいけない。ハン・ガンの小説にはそんなところがある」
――斎藤真理子


ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」全文、創作についてのエッセイ、5編の詩、光を求めて枝葉を伸ばす植物をめぐる庭の日記、そして著者自身による写真を、著者自らが編んだ、ハン・ガン自身によるハン・ガン。


過去が現在を助けることはできるか?
死者が生者を救うことはできるのか?
――本文より

*****

目 次

光と糸
いちばん暗い夜にも
本が出たあと
小さな茶碗

コートと私
北向きの部屋
(苦痛に関する瞑想)
声(たち)
とても小さな雪のひとひら

北向きの庭
庭の日記
もっと生き抜いたあとで

訳者あとがき

*****

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光と糸 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    目を覆いたくなるほどの人の暴力性と闘い続けているハンガンさん。分量からいくと暴力よりは稀に違いないだろう人間の優しさや美しさは、小さ過ぎて鼻息で簡単に吹き飛ぶからこそ、強く強く信じて、美しい人の存在を守っているんだと感じた。
    人の暴力性を諦めるほうが、傷付かず、合理的で、コストもかからないだろうに、ハンガンさんは簡単なほうを選ばない、信念の人なんだと思う。
    庭の観察記録からも人柄が想像されて、温かい気持ちになれた。

    0
    2026年10月10日

    Posted by ブクログ

    「世界はは何故これほど暴力的で苦痛に満ちている?それと同時に、何故世界はこれほど美しいのか?」や、人間が内包する暴力性と愛のような真逆の二面性について考え続けているところが忍耐強くてすごい人だと思う。私は人間の醜い部分に絶望して己が同じ人間という生き物である事実に疲れてしまい、考えることを放棄しているから。
    考え続けた人の何かしらの結晶として生み出された作品はこんな形をしているのかと、過去に読んだ物語たちを想った。

    ハン・ガンが二十代の頃に思い浮かべていた2つの問いに胸を突かれた。
    「現在が過去を助けることはできるか?生者が死者を救うことはできるのか?」
    助けるや救うの定義が曖昧だが、直感で「できない」と瞬時に思った。過去は変えられないし死者はもういない。事実に報いる努力はできても、それは助けること救うことにはならないという諦めが私の中にはある。これはもはや私の価値観のようになりつつあって、だからハン・ガンの問いかけそのものがその価値観をひっくり返すような、こんなふうに真剣に切実に考える人がいるんだと衝撃だった。
    以前『少年が来る』を読んだ時、めちゃくちゃ泣いた。トンホを助けてあげたかった。彼に生きていて欲しかった。トンホを含めた過去の悲惨な出来事の犠牲者について思いを馳せてさらに胸が痛かった。死んでしまった人たち、過ぎ去ってしまった時間はあんまりにも遠くて膨大で、無力感に押しつぶされる。しかしハン・ガンのこの問いかけは、助けたかったどうにかしたかったと叫んで過去に伸ばしかけたものの諦めから引っ込めてしまった私の手を握ってくれているような気がする。もしくは私が諦めて手を伸ばせなかったところに、ずっと手を伸ばし続けている人の幻想が見える。

    『別れを告げない』がまだ読めていない。途中で止まってしまっている。近いうちに最後まで読み切りたいと思う。

    0
    2026年09月03日

    Posted by ブクログ

    小説かと思ったら散文集だった、エッセイ、寄稿文、講演録、詩、庭日記etc. 内省的だけどひとりよがりではない淡泊なトーンがとても良い。わたしやっぱりハンガン好きかも

    0
    2026年08月16日

    Posted by ブクログ

    彼女の問いは、世界の片隅の誰かやわたしと同じで、彼女が言うように、言語が糸となり、そんなわたしたちをつなぐ。
    世界の、何もかもが異なる誰かとも、確実につながっているのだと実感するとき、まさに他者は自分の鏡であり、あなたはわたしで、わたしはあなたなのだとも理解する。
    それはどれほど心強いことだろうか。

    0
    2026年06月21日

    Posted by ブクログ

    訳者あとがきに取り上げられていた、静かにしていたい、という言葉が響いた。光は届いているし、糸も繋がっている。

    0
    2026年06月06日

    Posted by ブクログ

    淡々とした語り口のエッセイみたいな詩集みたいな、画集のような。
    とても作者さんの人となりを感じさせてくれる素敵な本でした。
    とくに、「本が出たあと」と「庭の日記」がとても好き。
    読みやすいからとかではなくハン.ガンさんの生き方が垣間見られて。
    世界のなかで叫びたいこと、この方にはまだまだあるでしょう。今後も手に取ってみたい作家さんでした。

    0
    2026年02月20日

    Posted by ブクログ

    〜世界はなぜこれほど暴力的で苦痛に満ちている?
    と同時に、世界はなぜこれほど美しいのか?〜

    人間の暴力性に真っ向から向き合って、文章で戦うハンガンさん。
    世界が平和と反対方向に向かっているような気がしてならない今、読めてよかった。
    最初の方は2024年にノーベル文学賞を受賞したときの講演の全文。
    彼女がこれまで世に出した書籍がどういうプロセスで書かれたのかがわかって、またいろんな本を再読したくなった。
    中盤はエッセイ、そして後半は日記。
    庭木にアブラムシやハダニがついて、殺虫剤を噴霧したら全部枯れてしまったり、何匹もいたはずの虫が消えていて悲しんだり、花が咲いて喜んだり、花が咲かずに残念がったり、病気が他の木に移らないように鉢を門の外に出していたら、清掃課の人に持っていかれちゃったり。
    ほぼというかすべて庭木の話だったけど、『小さな生態系の伝染病と防疫と駆除を体験した』というハンガンさんがなんか可愛らしく思えた。

    0
    2026年02月09日

    Posted by ブクログ

    散文短編であるかのようだが ひと繋がりの作品でもあるように感じた 人が人を虐殺する恐ろしく血生臭い事件を掘り下げ自分も血を流しながら書いていながらも 世界はなんて美しいのだろうと感じてしまう そして日が当たらない北向きの小さな庭に鏡で光を当てその成長を見守る ハンガンという人にどんどん引き込まれてしまう

    0
    2026年01月31日

    Posted by ブクログ

    8歳にしてあれほど胸を打つ詩を書けるとは。
    本の出版前に、ネット記事で偶然出会ったこの詩を、紙の本の上で眺められることが純粋に嬉しい。

    近頃はディストピア小説の話かと疑うほど、悲惨なニュースを目にすることの多い世の中だが、せめて平和を求める皆さんと金の糸で繋がっていたい。

    0
    2026年01月16日

    Posted by ブクログ

    ハン・ガンの言葉は、純度の高い結晶のような透明感があるように感じる。文学に誠実に向き合い、文学、言葉の力を信じ、人間への信頼を模索し、人間の二面性について考え続けてきた、ハン・ガンの誠実さをこの一冊を通して感じることができる。
    暴力によって、人間の尊厳が破壊されてきた歴史を描きながら、同時に、「愛とは」という問いを絶えず読者にも語りかけてきた。
    私は、ハンガンの文学を通して、愛を与えられてきたんだとこの一冊を通して思った。ハンガンの誠実さ、人と人が繋がることができることを信じる強さ、文学によってそれを実現しようとする力を、ハンガンは文学を通して伝えてくれるように感じる。
    「北向きの庭」「庭日記」では植物へのまなざしにもあたたかさを感じる。
    斎藤真理子さんの「あとがき」もハン・ガンの作家性の解説と、文学と世界と私たちのつながりについて言及されていて、胸にささった。

    0
    2026年01月07日

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