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Posted by ブクログ
詩の素晴らしさに出逢わせてもらい星5。
この本を通して教えてもらったこと。↓
詩においては“美しい”とは、そのものの(あるものや事柄)について良さを表さない。台無しにする言葉でもある。
“美しい”と言う一言はかけがえのなさを表せる。唯一無二のそのものの様子やあらゆるどんな比喩を失うほどの完璧さを表すのだけれど。それ故にディテールや本来持つ個性を表現しないが故に大切な物を同時に失わせてる。
そこにこの言葉の素晴らしさと残酷さと完璧さが表現できる。とても深い想いを巡らせられている言葉だと感じました。
光に彩色色彩が。その様な表現の様。
ですが、私は“美しい”を知っています。
とても大切な存在です。
冒頭より作者の渾身とも感じられる比喩に溺れる。
次第にその流れは変化して、心地よいゆったりとした流れに落ち着いていく。
流れに身を任せスリリングさも穏やかさも、時折ある子供の純粋さや穏やかさをアクセントに癒されながら、登場人物の心境やそれぞれの視点を交えつつ、時に静寂の会話が2人を包んでいく様はとても引き込まれました。
綴られた折り重なる言葉達の豊富な豊かさから、そこにギリシャ語の時間の時の流れを彷彿とさせているかの様。きっと作者はそのギリシャ語の素晴らしさを体系的にも感じさせることを目的なのかもしれない。そう私は感じることができました。
ギリシャ語について興味を抱くこともできたし、もう一度知見を持って再読したいと思いました。
Posted by ブクログ
話すことができない女性と、視力を失いつつある男性。二人はギリシャ語教室で、生徒と教師として出会う。
二人は身体的な喪失だけでなく、それぞれの人生で大切な人を失った痛みも抱えている。
ボルヘスやギリシャ哲学に詳しければ、この作品の構造やモチーフをもっと深く読み解けたのだろう。例えば古典ギリシャ語の「中動態」は、二人と彼らを取り巻く世界との関係性を考える上で重要な鍵になっているように思えた。残念ながら私にはそこまでの知識はなく、その奥行きを十分に味わい切れたとは言えない。まるでアトリビュートを知らずに西洋絵画を鑑賞しているような、もどかしさも残った。
最終章の番号は「0」。そこには、喪失を抱えたまま新たな始まりへ向かう地点が示されているように感じた。
詩のような静けさを湛えた文章は、二人が向き合ってきた痛みをいっそう際立たせる。とりわけ、女性が言葉と和解できない苦しみ、そのために子どもと引き離されてしまった悲しみには胸が痛んだ。
しかし、この作品は単に傷を抱えた人々を描くだけの救いのない物語ではない。0章には、失われたものを抱えながらも再び歩み始めようとする、かすかな恢復の兆しが描かれているように思えた。
Posted by ブクログ
本作のテーマは「言葉」。わたしたちは何気なく言葉を発したり文字を打ったりするが、言葉というものの重みがずっしりと感じられた。
物語は視力を失いつつある古典ギリシャ語の先生と、言葉を失ってしまった受講生の女性が軸になる。人生で傷ついた人たちが、冷たい雨が降りしきる中、そっと肩を寄せ合うような様子が浮かぶ。ハッピーエンドではない。ただバッドエンドでもない。わからないもの、わかりあえないもの、わかりたくないものが曖昧かつ混沌に混じり合うこの世界を包み、読者に提示している。
前編を通して静かな詩のような文章で構成されており、訳者の斎藤真理子さんの力も相まって、プロットをを一字一句しっかりと味わいたい気持ちにさせてくれた。
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