ハン・ガンのレビュー一覧

  • 私の女の実

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    ハン・ガンの作品には暴力や喪失や孤独が描かれている。人が目を背けたくなることや忘れたいことを突き付けてくる。一方でそれが癒しや励ましになる。

    それは桜庭一樹さんの帯文−傘をさしていないハン・ガンは今日もまた誰かの傍で共に雨に濡れている−に尽きると思う。

    血や痣や人間の生理的な描写も鮮やかに描きながら、時に夢のような抽象的なイメージを詩のように抒情的に描き出していく文体は美しく素晴らしい。

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    2026年08月23日
  • ギリシャ語の時間

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    ネタバレ

    ひとひらの雪片が地に降りる前に雨となり、泥濘みを生じる。
    雪の美しさは、-イデアは、雨や泥濘みとなって失われたのか?

    この問いへの答えとして、僕らは自ずと円環の摂理を見いだすだろう。
    絶対的な美や善、光と理想だけで作られた世界と、理想の影にすぎない現実の世界、というプラトンが説くような二元論とは違う、東洋的な感覚。それは韓国でも日本でも同じく、なじみ深い感覚なのだろう。
    消滅と薄暮の中にある世界。それは絶望でも欠落でもなく、儚くともあるがままの生だ。
    人生は理想に向かって前に進む訳ではない。ひとときの煌めきと、繰り返す苦しみの連続だ。
    だがそれは何度でも新しく生まれる世界とも言えるだろう。

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    2026年08月16日
  • 光と糸

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    小説かと思ったら散文集だった、エッセイ、寄稿文、講演録、詩、庭日記etc. 内省的だけどひとりよがりではない淡泊なトーンがとても良い。わたしやっぱりハンガン好きかも

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    2026年08月16日
  • すべての、白いものたちの

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     こんな小説もあるんだなと思った。
    しろいものを集めて、それを基調として、独自の静謐な世界を創り出すことに成功している。
     生死の交わるところに生があるということ。
     この小説の独自性は卓越していると感じたし、他のハン・ガン作品も読んでみたいと感じさせられた。
     韓国の作品を読むのは、少年の頃に読んだ「ネギを植えた人」以来だったが、文学性の高い素晴らしい作品だった。

     韓国では、死者に着せる装束を寿衣と呼ぶというのが、印象に残ったが、国語辞典を調べたら、普通に載っていた。スルメをアタリメというのと同じ発想なのだろうか。

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    2026年08月10日
  • すべての、白いものたちの

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    エッセイでありながら、まるで美しい詩のように読まれた。

    個人的な記憶が異国の集団記憶と重なり、生と死、そして「いきること」への普遍的な思索へと広がっていく展開が素晴らしい。時折立ち戻って吟味したくなるような表現が、要所に宝石のように散りばめられている。ある日突然、世の中の喧騒から一歩離れて読みたくなる、そんな一冊だ。

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    2026年07月22日
  • すべての、白いものたちの

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    この蒸し暑い梅雨時期に読む感じじゃなかった、ずっと冬だった。
    短編というより散文詩のような、白いものと亡き姉にまつわる短い物語が続きます。

    原書がどんな感じかわからないけど、訳者の言葉の選び方にいろいろ想像が広がって流し読みできない感じ。じっくり読み返し。
    平野啓一郎氏の解説を読んで、さらにまた読み返すことになりました。そういうことだったのかぁ。

    冷たくてひたすら静かな雰囲気。図書室で借りたのですが、手元に持っていたくなりました。

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    2026年07月18日
  • すべての、白いものたちの

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    著者が亡き姉に思いを馳せ白いものを挙げていくお話

    死者を悼み、静けさの中で白と向き合う
    読んでいると美術館を歩いている気持ちになる

    夏に韓国に行くからきっとまた読む

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    2026年07月15日
  • 別れを告げない

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    原著は2021年発行。日本語訳は白水社から2024年4月に刊行。架蔵本は2025年12月刊の第17刷。訳者は斎藤真理子。
     
     偏頭痛と胃痙攣に苦しみ、自らの遺書を書くために生きていると感じていた作家・キョンハのもとに、しばらく連絡を取り合っていなかった友人・インソンからの連絡が届く。故郷の済州島で小さな木工所を営んでいた彼女は、作業中に誤って2本の指を切断、何とか接合手術には成功したが、入院中は3分に一度、神経を殺さないため、接合した指を腐らさないために指を針で刺し続ける必要がある。彼女を見舞ったキョンハは、インソンのたっての頼みで、彼女が家に残してきた小さなインコ「アマ」が生きているかを確

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    2026年07月04日
  • 光と糸

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    彼女の問いは、世界の片隅の誰かやわたしと同じで、彼女が言うように、言語が糸となり、そんなわたしたちをつなぐ。
    世界の、何もかもが異なる誰かとも、確実につながっているのだと実感するとき、まさに他者は自分の鏡であり、あなたはわたしで、わたしはあなたなのだとも理解する。
    それはどれほど心強いことだろうか。

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    2026年06月21日
  • 別れを告げない

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    忘れたくない読書になった。
    人間が人間でなくなること。
    どんなにかすかでも生命は生命であること。
    私たちの想いや存在は決して理屈でわかるだけのものでないこと。
    至高の愛の物語だし、鎮魂の物語だし、人の本質にどう触れるかという物語だし、死に限りなく近づく物語だった。
    最後の炎の表現は希望の明かりの例えのように思えた。

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    2026年06月18日
  • すべての、白いものたちの

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    白という色について、詩集のようにさまざま描かれています。韓国の本なのに、やたらと心にスッと入ってくる。また、読み返したい本です。

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    2026年06月14日
  • すべての、白いものたちの

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    すごいなぁ。なぜ白いものを説明しているだけなのに世界が地球を超えて宇宙に広がっていく感覚があるんだろう。ネットフリックスもSNSも何もいらないくらい世界は美しいものに溢れているしそれだけでエンタメ。そこに生きている私たちも不完全でも美しい。読書しているのに瞑想しているような感覚。これからもずっと読み返したい。

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    2026年06月11日
  • すべての、白いものたちの

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    出会ってしまいました!!

    小説という枠組みを越え
    詩のようであり、祈りのようでもある
    息を呑むほどに美しく静謐な文学世界_

     

    この世界に存在する「白」という
    色彩のなかに潜む
    儚さや生と死の記憶にそっと触れたとき…
    胸の奥にひんやりとした
    けれど不思議と温かい一筋の光が
    差し込んできたような感覚を覚えました

    あまりの美しさにしばらく言葉を失い
    幾重にも寄せては返す余韻が広がりました

     

    この作品が紡ぎ出すのは
    世界に散らばる「白いもの」をめぐる
    かつてないほど純度の高い言葉たち…

    生まれてまもなく、たった数時間で
    この世界から去ってしまったという
    著者の「かつていたはずの姉」の

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    2026年06月07日
  • 光と糸

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    訳者あとがきに取り上げられていた、静かにしていたい、という言葉が響いた。光は届いているし、糸も繋がっている。

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    2026年06月06日
  • すべての、白いものたちの

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    具体的な何かというより、言葉にしてない、できない感情を、少し心地よく震わせてくれる感覚をもらえる気がします。

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    2026年04月27日
  • 別れを告げない

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    【人間が一番恐ろしい】
    そもそもこの、済州島四・三事件のことを知らなかったから、まずネットで調べてから読んだ。独裁政治が人間に何をさせ、何を奪うのか。
    戦争や権力の暴力というか圧力によって、人間が少しずつ崩れていくこともすごく恐ろしかった。
    人が人を殺すのが戦争。それを正当化するのが独裁者。
    国家の暴力によってどこにでもいる普通の人が少しずつ壊れていくことが怖くて悲しかった。
    それと同時に、人は圧力の中で簡単に沈黙してしまうんだな、という不安というか恐怖のようなものも強く感じた。
    だからこそ、独裁や暴力は絶対に繰り返してはいけないし、過去の悲劇を忘れずに考え続けることが大切だと思った。
    『別れ

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    2026年04月26日
  • 回復する人間

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    翻訳らしい短編集。何となくアーウィンショーを思い出した。一貫して痛みを伴う回復がテーマ。中でも「エウロパ」は印象的だった。主人公はトランスジェンダーの男性とライブハウスで歌うイナ。2人の夜の散歩の場面は秀逸。「火とかげ」は映画を観ているようだった。主人公は事故により両手とも効かなくなった画家。そして疲れきって絶望しているその夫。ある時友人の子供が飼っているトカゲがその両手を千切られてもまた生えてくる事を知る。
    主人公が少しずつ希望を取り戻し生きていこうと決意してまた絵筆を取る過程が美しい。
    全ての言葉が一遍の詩のような何とも言えない透明感に満ち溢れた一冊。

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    2026年04月01日
  • 回復する人間

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    初ハンガンはとてもよかった特に表題作。動物の死が頻繁に出てくるのはキツいけど韓国作家何人か読んだ中で初めていいと思ったかも。他のもちょっとずつ読んでいきたい

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    2026年03月22日
  • 別れを告げない

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    今年読んだ中で一番濃い読書体験になりました
    現実の世界から、異世界に誘われ、彷徨いました
    全ての音も、姿も消される恐怖を越えた無の雪世界。
    そこから、青い海、真っ赤な血に塗られた砂浜、全てを消し去った波。
    銃口とマッチの火など、最後までモチーフを繋げることで、人の思いを灯影している。
    記憶が繋ぐ凄惨な歴史がそこにはあり、消そうとしても消せない形とならない記憶がある。
    一文一文が詩的でした。
    とても曖昧な表現が続き、分かりにくいところもあったけど、それは作者の意図であるようですが、もう一度読んだらより深く心に入ってくるかもしれないです

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    2026年02月28日
  • 光と糸

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    淡々とした語り口のエッセイみたいな詩集みたいな、画集のような。
    とても作者さんの人となりを感じさせてくれる素敵な本でした。
    とくに、「本が出たあと」と「庭の日記」がとても好き。
    読みやすいからとかではなくハン.ガンさんの生き方が垣間見られて。
    世界のなかで叫びたいこと、この方にはまだまだあるでしょう。今後も手に取ってみたい作家さんでした。

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    2026年02月20日