ハン・ガンのレビュー一覧

  • 別れを告げない

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    原著は2021年発行。日本語訳は白水社から2024年4月に刊行。架蔵本は2025年12月刊の第17刷。訳者は斎藤真理子。
     
     偏頭痛と胃痙攣に苦しみ、自らの遺書を書くために生きていると感じていた作家・キョンハのもとに、しばらく連絡を取り合っていなかった友人・インソンからの連絡が届く。故郷の済州島で小さな木工所を営んでいた彼女は、作業中に誤って2本の指を切断、何とか接合手術には成功したが、入院中は3分に一度、神経を殺さないため、接合した指を腐らさないために指を針で刺し続ける必要がある。彼女を見舞ったキョンハは、インソンのたっての頼みで、彼女が家に残してきた小さなインコ「アマ」が生きているかを確

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    2026年07月04日
  • 光と糸

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    彼女の問いは、世界の片隅の誰かやわたしと同じで、彼女が言うように、言語が糸となり、そんなわたしたちをつなぐ。
    世界の、何もかもが異なる誰かとも、確実につながっているのだと実感するとき、まさに他者は自分の鏡であり、あなたはわたしで、わたしはあなたなのだとも理解する。
    それはどれほど心強いことだろうか。

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    2026年06月21日
  • 別れを告げない

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    忘れたくない読書になった。
    人間が人間でなくなること。
    どんなにかすかでも生命は生命であること。
    私たちの想いや存在は決して理屈でわかるだけのものでないこと。
    至高の愛の物語だし、鎮魂の物語だし、人の本質にどう触れるかという物語だし、死に限りなく近づく物語だった。
    最後の炎の表現は希望の明かりの例えのように思えた。

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    2026年06月18日
  • すべての、白いものたちの

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    白という色について、詩集のようにさまざま描かれています。韓国の本なのに、やたらと心にスッと入ってくる。また、読み返したい本です。

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    2026年06月14日
  • すべての、白いものたちの

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    すごいなぁ。なぜ白いものを説明しているだけなのに世界が地球を超えて宇宙に広がっていく感覚があるんだろう。ネットフリックスもSNSも何もいらないくらい世界は美しいものに溢れているしそれだけでエンタメ。そこに生きている私たちも不完全でも美しい。読書しているのに瞑想しているような感覚。これからもずっと読み返したい。

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    2026年06月11日
  • すべての、白いものたちの

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    出会ってしまいました!!

    小説という枠組みを越え
    詩のようであり、祈りのようでもある
    息を呑むほどに美しく静謐な文学世界_

     

    この世界に存在する「白」という
    色彩のなかに潜む
    儚さや生と死の記憶にそっと触れたとき…
    胸の奥にひんやりとした
    けれど不思議と温かい一筋の光が
    差し込んできたような感覚を覚えました

    あまりの美しさにしばらく言葉を失い
    幾重にも寄せては返す余韻が広がりました

     

    この作品が紡ぎ出すのは
    世界に散らばる「白いもの」をめぐる
    かつてないほど純度の高い言葉たち…

    生まれてまもなく、たった数時間で
    この世界から去ってしまったという
    著者の「かつていたはずの姉」の

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    2026年06月07日
  • 光と糸

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    訳者あとがきに取り上げられていた、静かにしていたい、という言葉が響いた。光は届いているし、糸も繋がっている。

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    2026年06月06日
  • すべての、白いものたちの

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    具体的な何かというより、言葉にしてない、できない感情を、少し心地よく震わせてくれる感覚をもらえる気がします。

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    2026年04月27日
  • 別れを告げない

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    【人間が一番恐ろしい】
    そもそもこの、済州島四・三事件のことを知らなかったから、まずネットで調べてから読んだ。独裁政治が人間に何をさせ、何を奪うのか。
    戦争や権力の暴力というか圧力によって、人間が少しずつ崩れていくこともすごく恐ろしかった。
    人が人を殺すのが戦争。それを正当化するのが独裁者。
    国家の暴力によってどこにでもいる普通の人が少しずつ壊れていくことが怖くて悲しかった。
    それと同時に、人は圧力の中で簡単に沈黙してしまうんだな、という不安というか恐怖のようなものも強く感じた。
    だからこそ、独裁や暴力は絶対に繰り返してはいけないし、過去の悲劇を忘れずに考え続けることが大切だと思った。
    『別れ

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    2026年04月26日
  • すべての、白いものたちの

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    不思議な、心の深い部分に届く詩だと思った。

    おくるみ
    なんだか不思議な温かいような当惑するような気持ちになった。

    彼女
    一人の子が成長し、女になって何度となく危機を迎えながら生き延びるという表現に涙が出そうになった。
    自分も、まわりは成長を祝ってくれていたのだなと、そして、成人して様々な苦難があったが、乗り越えてここまでこれたなと思うと泣きそうになった。


    翼が透き通ってしまうだろう、蝶が蝶でないものになるのだろうが、なんとも言えない気持ち

    白い骨
    最後、不思議に安堵するのだったを、読んだら、気持ちがホッと和らいだ。

    下の歯
    規則正しい息の音にしばらく耳を傾けてながら
    ということろ

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    2026年04月25日
  • すべての、白いものたちの

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    詩のような形をした、悲しくて冷たくて優しくて美しい小説。
    私自身が過去に見たことのある景色が描写されていて、涙しながら読んだ。私のための小説だった。本当に出会えてよかった。作中に描かれた、決して自分では見たことのない景色も、まるで私の過去に存在したような気がしてくる、そんな愛しい1冊だった。
    生も死も表すたくさんの美しい白色を見せてもらった。

    掲載されたモノクロ写真も美しく、美術館のようだった。そしてこの美しく繊細な言葉たちを美しい日本語に翻訳した斎藤真理子さんも本当に素晴らしい。『すべての、白いものたちの』としたタイトルも見事すぎて唸ってしまった。

    この先の人生でも、何度も読み返したい大

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    2026年04月23日
  • すべての、白いものたちの

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    あらゆる白いものに、生と死、私とあなたがいる。あらゆる白いものが、あなたの指に冷たく触れ、目をくらませ、鼻腔を広げ、傷口に入り、あなたは祈っている。あなた自身と全ての死者のために。

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    2026年04月08日
  • 回復する人間

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    翻訳らしい短編集。何となくアーウィンショーを思い出した。一貫して痛みを伴う回復がテーマ。中でも「エウロパ」は印象的だった。主人公はトランスジェンダーの男性とライブハウスで歌うイナ。2人の夜の散歩の場面は秀逸。「火とかげ」は映画を観ているようだった。主人公は事故により両手とも効かなくなった画家。そして疲れきって絶望しているその夫。ある時友人の子供が飼っているトカゲがその両手を千切られてもまた生えてくる事を知る。
    主人公が少しずつ希望を取り戻し生きていこうと決意してまた絵筆を取る過程が美しい。
    全ての言葉が一遍の詩のような何とも言えない透明感に満ち溢れた一冊。

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    2026年04月01日
  • すべての、白いものたちの

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    美しい写真を見ているような気持ちで読んでいた。作者の文章もさることながら、こんなに美しいことばで訳す翻訳者がいてこその、この作品だと思う。読めないけれど、原文でも読んでみたい気持ち。

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    2026年03月29日
  • すべての、白いものたちの

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    やっと読むことができたこの作品。
    読む前から決めていたことは、静寂の中で一人で読むということ。
    すっかり春になってしまったけれど、寒い雪の日だったら尚、良かったなと思う。
    散文詩のような短い文章に加えて写真もあるので、文章のボリュームは少ない。それなのに読者に色々なことを考えさせ、想像させる力はすごい。
    感覚的に受け止めたものを言葉にするのがとても難しくて、なかなか感想を書く手が進まないので困ってしまうけれど…
    今、感じているのは、「白」が決して無色ではないのだということ。「白」という色が持つ圧倒的な力を感じて、それに包まれている気分になっている。

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    2026年03月27日
  • 回復する人間

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    初ハンガンはとてもよかった特に表題作。動物の死が頻繁に出てくるのはキツいけど韓国作家何人か読んだ中で初めていいと思ったかも。他のもちょっとずつ読んでいきたい

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    2026年03月22日
  • 別れを告げない

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    今年読んだ中で一番濃い読書体験になりました
    現実の世界から、異世界に誘われ、彷徨いました
    全ての音も、姿も消される恐怖を越えた無の雪世界。
    そこから、青い海、真っ赤な血に塗られた砂浜、全てを消し去った波。
    銃口とマッチの火など、最後までモチーフを繋げることで、人の思いを灯影している。
    記憶が繋ぐ凄惨な歴史がそこにはあり、消そうとしても消せない形とならない記憶がある。
    一文一文が詩的でした。
    とても曖昧な表現が続き、分かりにくいところもあったけど、それは作者の意図であるようですが、もう一度読んだらより深く心に入ってくるかもしれないです

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    2026年02月28日
  • 光と糸

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    淡々とした語り口のエッセイみたいな詩集みたいな、画集のような。
    とても作者さんの人となりを感じさせてくれる素敵な本でした。
    とくに、「本が出たあと」と「庭の日記」がとても好き。
    読みやすいからとかではなくハン.ガンさんの生き方が垣間見られて。
    世界のなかで叫びたいこと、この方にはまだまだあるでしょう。今後も手に取ってみたい作家さんでした。

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    2026年02月20日
  • 光と糸

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    〜世界はなぜこれほど暴力的で苦痛に満ちている?
    と同時に、世界はなぜこれほど美しいのか?〜

    人間の暴力性に真っ向から向き合って、文章で戦うハンガンさん。
    世界が平和と反対方向に向かっているような気がしてならない今、読めてよかった。
    最初の方は2024年にノーベル文学賞を受賞したときの講演の全文。
    彼女がこれまで世に出した書籍がどういうプロセスで書かれたのかがわかって、またいろんな本を再読したくなった。
    中盤はエッセイ、そして後半は日記。
    庭木にアブラムシやハダニがついて、殺虫剤を噴霧したら全部枯れてしまったり、何匹もいたはずの虫が消えていて悲しんだり、花が咲いて喜んだり、花が咲かずに残念がっ

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    2026年02月09日
  • 別れを告げない

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    物語の根底に、1948年4月3日に発生した済州島四・三事件がある。
    李承晩政権下の軍・警察、そして駐韓米軍が、1954年までの6年間で約3万人の島民を虐殺した凄惨な事件だ。
    朝鮮半島が南北に分断されることに反対する民衆が、済州島で武装蜂起したことが事件の発端だった。
    その後、韓国が本格的な民主化を迎える1987年6月の民主化宣言までは、済州島四・三事件を語ることはタブーとされている。

    主人公の作家キョンハは虐殺に関する本を出版した後、原因不明の酷い目の痛みと胃痙攣に悩まされていて、精神的にも疲れていた。
    そんな時に友人の映像作家インソンは、キョンハが提案した木製オブジェを製作中に指を切断する

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    2026年02月06日