ハン・ガンのレビュー一覧

  • 別れを告げない

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    やっと読めたノーベル賞作家。とはいえ、最初に気になったのは受賞前のフリスタで、そこから読みたいとは思っていた作品。煽り調子の訳でなし、目まぐるしい展開があるのでもないんだけど、なんだかページを繰る手が止まらず、どんどん先を読まされる。題材選定やら、それに合う文体やら、諸要素が重なってのことだと思うんだけど、なかなかその正体が見えない。そんなちょっとしたモヤモヤも含めての文学なのかもしれないけど、言語化しにくいものだけに、得意とか好きになりにくいのかもしれない。文学を味わうにおいての自身の課題。

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    2025年12月19日
  • 別れを告げない

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    韓国済州島というと観光地としてのイメージしかありませんでした。韓国の歴史、済州の歴史を知ってこそこの作品を理解出来るのだろうと思います。この作品の底流に流れるもの、シンシンと降り積もりつづく雪は単に空から降り積もっているのみならず、心の中にも積もり続けているんだろう。

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    2025年11月21日
  • ギリシャ語の時間

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    言葉を話せなくなった彼女とギリシャ語講師以外の登場人物や、物語の中での「私」や「彼女」が誰のことなのか、誰が語っているのか、その場面ごとになかなか把握できなかったこともあり、感想を書けるほど読み深めることはできなかったけれど、ハン・ガン氏の抒情的な世界の一端に触れる良い経験になった。

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    2025年11月15日
  • ギリシャ語の時間

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    今まであまり読んだことのないスタイルの本で、小説であるものの詩的な表現に溢れており、現実と夢を行ったり来たりして、静謐で多層的な世界観を堪能しました。
    何日かに分けて読みましたが、一気に読むともっとこの世界に浸れそうな気がします。

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    2025年11月07日
  • ギリシャ語の時間

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    何か問題を抱える人たちの心情が表されており、イメージしやすい本であった。
    当たり前のように生きれている自分には想像することはできるものの、本当の意味での理解は難しいのではないかと感じた。

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    2025年11月06日
  • 別れを告げない

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    ネタバレ

    「愛」についてのお話。
    翻訳者の力もあるのだろうけど、表現が独特で文章が美しかった。
    こちらでありあちらでもあり、この世でありあの世でもあり、現実であり夢でもあり、今であり過去でもある。象徴的に使われている(あとがきより)鳥や雪のように、寄るべなくふわりふわりと行きつ戻りつしながら話は進む。

    私は映画で光州事件や軍事政権をちらりと知るだけだったので、済州島四・三事件はもちろん知らず、あまりの惨事に驚いたけれど、韓国人ならみんな知っているはずなので、事件の衝撃性はこのお話のメインではないんだよね。

    兄の遺骨は見つからず、鳥も死んでたし、物語はちっともうまく進まないんだけれど、いろんな人が語るその語りの中に相手への深い深い愛情を感じる。
    読み終わってみれば、(一度も明言されてないんだけれども、)愛してるよ、愛してるよ、愛してるよ、そればかりが後に残った。
    ※書いた後に他の人の感想も読んだら、私の受け取り方っておかしいみたいだ。仕方ない…

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    2025年11月10日
  • 回復する人間

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    「明るくなる前に」と「火とかげ」が好きだった。
    ハン・ガンが書く物語には結婚生活が破綻している人しか出てこないが、本人も離婚しているので何か自身の経験に基づくものがあるのだろうと考えた。

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    2025年08月02日
  • 回復する人間

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    もっと韓国という国、韓国人という独自性を全面に打ち出した内容かと思っていたが、日本人作家が書いたと言われても全く違和感がない現代性、普遍性。生きづらさに直面して足掻く人たちの物語で、どれも心をざわつかせて落ち着かない心持ちにさせた。

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    2025年07月04日
  • 回復する人間

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    ハン・ガン氏の小説は少し曇天の澄んだ空気を持つ初冬の朝をイメージさせる。不安定で漠然とした「何らかのものたち」を柔和で静謐な文章で書き表していく。人と人とが織り成す関係を丁寧に解きほぐして再構築する文体が印象的。失ったものもしくは失いつつあるものからの回復。記述的ではないけど抽象的でもない。「回復する人間」と「火とかげ」が個人的好み。

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    2025年06月24日
  • 回復する人間

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    登場人物たちはみな生きることに大層疲れている。生きていくことはなんて困難なことだろうと思った。それでも人間は回復する力がある。静かだが確かな力が。きっと自分にもあるんだと信じたい。自信はないけど。
    最後まで燃える心臓、フンザ、「黄色い模様のヨンウォン」など、主人公たちに力を与えるものがみな印象的で美しくとても素敵だった。ハン・ガンの文章はいつも映像が頭に浮かぶ。静寂で美しい時間だった。

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    2025年05月30日
  • 回復する人間

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    短編集。
    明るくなる前に
    回復する人間
    エウロパ
    フンザ
    青い石
    左手
    人とかげ

    危うさと脆さ、ギリギリのラインに立つ人、どの作品にも痛みがあり苦しい。でも、なんだろうか。生への思いが強く静かに届いてくる。

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    2025年05月02日
  • 回復する人間

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    ネタバレ

    初めての韓国文学で、初めてのハン・ガン。
    静謐な文体。読むうちに心が沈黙して、無我の境地になる。喪失からの静かな、みずからはそれと気づかないほどの細い細い糸のような回復。希望がほんのりと差し込んでくる。
    「時間とは流れるものではないのかもしれない」(p.141「青い石」)
    「私たちももともとはああだったけど、そのあとにいろいろプログラムされて、本来の状態を忘れて暮らしてるんじゃないかと思うわ」(p.261「火とかげ」)
    失ったものは取り戻せないけれど、それを置いてきた時間にいつでも戻れる。そこから回復の一歩を踏み出す。

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    2025年04月09日
  • 回復する人間

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    「火とかげ」に圧倒された。途中出てくるTears In Heavenのエピソード知らなかったので、改めて聴いて心に沁みた。「左手」だけ他の作品と違った作風だったが、先が気になりグングン読んだ。どの作品も人が傷つき回復する様が丁寧に描かれていた。自分が辛い時に読んだらきっと、もっとハマると思う。そんな時、この本を思い出して、また読みたいと思う

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    2025年01月25日
  • 回復する人間

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    繊細だけれどとても鋭い、傷ついたり傷つけたりしてしまいそうな文章。そんな文章でしか書けない傷や悲しみ苦しさ、人生がある。それらの殆どの人生、物語には最後に光がさす、希望が垣間見える。前に進めるように開いた小説たち。それらは回復を促すように書かれたのかもしれない。
    だけれど、ある短編の登場人物が「私を回復させないで欲しい」と願うように、残しておきたい傷や忘れるべきではない悲しみ苦しさもある。回復とは忘却にも近い。傷や悲しみ苦しさを忘れないために書き残された、そんな風にも思えた。
    回復も忘却も、時間を使って人生が行使する必要な力だ。だけど、それに抗うように傷を悲しみや苦しさを持ち続けることも必要なことがあるのが人生だ。相反するようにも思えるけれど、どちらも必要なことがこの短編集には同時に書かれていた、そう読んでいた。
    最後の一編を読み終わって、知らずに強張っていた身体が解れてため息が出た。消えることのなかった傷や忘れていなかった悲しみ苦しさを思う。もう一度ため息が出た。その意味を考えている。

    そうだということを意識させない、元々あった繊細さや鋭さも失っていないように思える翻訳もやはり凄かった。

    この短編集のなかでは異質な一編、勝手に動き出す左手に翻弄され、生活を狂わされ、自らも狂っていく、不可解で悲しくて希望もない話。三人称で書かれているから書き方はまた違うものなのだけど、その短編で感じる、不可解だけれどない話ではない、自分にも降りかかることがあるかもしれないという怖さは、実話怪談に感じる怖さとも同じようなものだった、ということも書いておきたい。

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    2025年01月11日
  • ギリシャ語の時間

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    ハン・ガンの小説を何冊か読んできたけど、難解だった。言葉を話せなくなった女性と、少しずつ視力を失っていく男性。体の一部の機能が部分的に失われても、明るく生きていくことはできるのか?哲学的で静謐で、やはり孤独で。正直1度読んだだけでは咀嚼できなかった。

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    2026年10月25日
  • 光と糸

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    暴力的なこの世界で自我を保ったままどうやって生き抜いていくかを常に考えている方。深くまで潜り過ぎて浮上できなくなりそうな中でも、愛情を失わずにギリギリ生きているのは不安定な日常を今生きている皆がそうなのかもしれない。テマリカンボクが気になって調べたら、可愛いミニサイズの紫陽花みたいだった。

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    2026年10月18日
  • ギリシャ語の時間

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    ハンガンさんの作品を読むと、物語を楽しむというより、芸術鑑賞に近いと感じる。
    確かにあるのに見えない、感覚の世界。言葉で表し切れない曖昧なもの。それが言葉を尽くして表現されるとこんなに幻想的になる。美しいなと思う。

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    2026年10月18日
  • すべての、白いものたちの

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    連作散文詩。本文の味わいを理解できなかったとしても、平野啓一郎の解説が素晴らしいので、解説まで読んだほうがよい。

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    2026年10月17日
  • すべての、白いものたちの

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    終始生と死の静かな気配が漂ってる
    まだ身近な生にも死にも触れてないので私にはわからないところが大きいのかな。
    でももし自分の母が私の前に死産した子の話をずっとしていたらと想像すると辛いな。
    私の生はその死の上に存在しているのだから、その子に生きていてほしかったと言われるたび自分の生を否定されている気持ちになるかもしれない。

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    2026年10月11日
  • すべての、白いものたちの

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    詩的な表現が多く、自分の中にある風景と時々重なったりして、読んでいて広がりを感じられた。
    「息」という文章が、この本のストーリー全体を引き締めているように感じた。「私」と「彼女」という表現でいくつかの読み方を並行して保持しながら読み進めていたが、「私たち」となったことで、そこだけ1つのストーリーとなったと私には感じられた。それが、最後に繋がっているような…人によって読み方や感じ方が違うので読んだ後の感想を話しあったりするのも楽しかった。

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    2026年09月29日