ハン・ガンのレビュー一覧

  • ギリシャ語の時間

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    読んでいる最中は少しとっつきづらく、難しいと感じる場面もあった。しかし、読み進めるうちに、いつの間にか静謐な世界に引き込まれていく不思議な作品だった。

    ハン・ガンさんの文章は非常に練り上げられており、一つひとつの表現に深い思索が感じられる。その繊細な言葉の積み重ねが、この作品ならではの魅力だと思った。

    派手な展開を楽しむというよりも、言葉や登場人物の心の動きを静かに味わう作品だと感じた。

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    2026年06月06日
  • ギリシャ語の時間

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    本作のテーマは「言葉」。わたしたちは何気なく言葉を発したり文字を打ったりするが、言葉というものの重みがずっしりと感じられた。

    物語は視力を失いつつある古典ギリシャ語の先生と、言葉を失ってしまった受講生の女性が軸になる。人生で傷ついた人たちが、冷たい雨が降りしきる中、そっと肩を寄せ合うような様子が浮かぶ。ハッピーエンドではない。ただバッドエンドでもない。わからないもの、わかりあえないもの、わかりたくないものが曖昧かつ混沌に混じり合うこの世界を包み、読者に提示している。

    前編を通して静かな詩のような文章で構成されており、訳者の斎藤真理子さんの力も相まって、プロットをを一字一句しっかりと味わいた

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    2026年06月01日
  • すべての、白いものたちの

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    著者の生に関する人々。両親、姉、弟、自身との関係について。生後すぐに亡くなった姉についての物語が描かれています。姉が生まれたときの両親、その死に対しての両親。異国の地を歩きながら、姉がその地で生きた場合について思いを巡らせ、そして姉が生きていたら自分は生まれていなかっただろう不思議ともいえる確率について考え、読者もまた考えさせられるものがあります。それらを考えるのに、白いものにまつわる話から、一つ一つの話を結びつけていって、その独特の解へと辿り着くようになっています。エッセイのようにバラバラに感じる文章になっているので取っ付きにくいのかと読み始めると、ちゃんと全てがつながっていて、そしてそれぞ

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    2026年05月24日
  • 別れを告げない

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    太平洋戦争後に韓国のチェジュ島で発生した虐殺事件をテーマに、サバイバーとなった女性の娘インソンとその友人キョンハ(本書の主人公)が島の過酷な歴史と被害に遭った家族の痛みを辿る物語。
    これまで読んだものの中で、こんなにも寒くて痛くて、深い悲しみを感じた小説は他にない。本当に。

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    2026年05月10日
  • すべての、白いものたちの

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    ネタバレ

    2026/04/16 - 2026/04/17

    柔らかな綿でキュッと心を締め付けられるような苦しさと、まだ誰も踏み入れていない新雪のような静謐さがずっと交互にやってきて、ページを進める手を止めることができなかった。

    ハン・ガンの本はこれが初めてで、正直、このご時世にノーベル賞を獲った人が女性であり、アジア人であった、ということが読むきっかけだった。受賞で話題になった際に、すぐに購入したが、「韓国文学について知ってからのほうがいい」などの情報が多く、勝手に億劫になり、今まで読んでいなかった。

    しかし、読んでみたら、私にはとてもすんなり、まるで水が染み込むように心の中に文章や物語が溶けていっ

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    2026年04月27日
  • 光と糸

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    ノーベル賞の文学賞を得た韓国の韓江(한강)さんのエッセイ。光と糸はノーベル賞の受賞記念講演だそうだ。「菜食主義者」、「風が吹いている、行け」、「ギリシャ語の時間」、「少年が来る」、「別れを告げない」。のそれぞれを書きだした時の動機のような背景が書かれている。この本を読むことで韓江さんの思いを少しだけ感じられるのではないだろうか。

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    2026年04月21日
  • すべての、白いものたちの

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    初めてハン・ガン氏の本を読みました。綺麗な文章と静謐な世界に引き込まれていきました。姉と兄を亡くし、母の悲しみを背負って生きている主人公。その母も亡くし、孤独感と優しさが淡々と語られる文章の中から伝わって切なくなりました。他の作品も読んでみたいと思いました。

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    2026年04月11日
  • ギリシャ語の時間

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    文字が美しかった。言葉が洗練されていた。だからこそ、ちょっと難しかったし、それが美しさを際立たせてると思ったし、面白かった。
    人と言葉をまぜまぜしてる2人が可愛かった。じぶんでも何言ってんのかわからん。

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    2026年04月10日
  • すべての、白いものたちの

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    決して読むのが難しい本では無い。ただ、小説というには詩的すぎるし、詩というには小説的で、何かまだ名前のついていないジャンルの文学を読んでいる不思議な感覚。そして、だからこそ新しいのだと思いました。それは作者のレンズ(といえば良いのか分からないが)のピントもそうで、具体的とも抽象的とも言えない、ぼんやりとした写真のような描写が続く。そしてそのボケ感というのが景色に対しても心情に対しても効いていて、結果、テーマとも接着しているという妙技。読み終わって思わずははぁと唸ってしまいました。

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    2026年04月07日
  • ギリシャ語の時間

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    海外文学、翻訳作品に縁遠く、シドニィ・シェルダンの超訳ものまで遡らないと読んだ記憶がないです。
    翻訳作品は日本語が硬く感じてしまいリズムで読めないので苦手意識があります。
    ところが、この作品はその日本語の硬さが登場人物の孤独を際立ててとても冷たく感じマッチしているように感じました。
    最後二人の体温を感じる場面へのグラデーションの美しさと速度に映画を観ているような気持ちになりました。
    韓国ドラマはたまに観ますが文学は初めて触れたかもしれません。
    なんと美しい文章なんでしょう。
    少し難解なところもありますが「これぞ文学」という作品のひとつかもしれません。
    海外文学といえば欧米が舞台の作品を多く目に

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    2026年03月29日
  • すべての、白いものたちの

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    生まれて2時間で亡くなってしまった姉、誰も助けが来ない状況で、独りで姉を出産し看取った母。
    死と生が混在する、冷たく、美しく繊細な、詩のような一冊。
    共感して読むには鋭すぎて、一定の距離を保ったまま読んだ。
    「死なないで」「死なないで」
    何度も出てくるこの言葉が昇華される時は来るのだろうか。
    この小説はレクイエムなんだろうなあ。
    ポカめいた春に読む本ではなかったな。
    静かな、雪の降る音しかしない、寒い冬の日に読むべき本だった。

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    2026年03月28日
  • すべての、白いものたちの

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    詩集のようでありながら、全体を貫く生と死というテーマによって一つの物語として読むことができる。
    白いものを描写した美しく、かつ寂しくもある文章がしっとりと胸に沁み込んでくる一冊。

    読んでる最中の違和感については訳者の補足でヒントが与えられたので、それを踏まえてもう一度読み直してみたい。

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    2026年03月28日
  • 回復する人間

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    肉体や心が傷ついた人たちが、そこから回復する過程が描かれている短編集。

    西佳奈子さんの「くもをさがす」に出てきた作品だったので手に取ってみた。

    家族関係、夫婦関係などで傷ついた人、社会から受け入れてもらえないマイノリティの辛さなど様々な傷を抱えた人達がどう生きて行くのかが描かれている。
    特に印象的だったのが、夫婦の関係と子どもへの関わり方への描写だ。夫の子育てへの非協力、夫婦としてのコミュニケーションの欠乏がリアル感を持って描かれていた。
    心や体に傷を抱えている人が読むと、気持ちが救われる作品。

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    2026年03月26日
  • ギリシャ語の時間

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    多少の難解さがあり、通読する根性が必要かもしれないが、文章の綺麗さ、表現の美しさで読み通せた。

    訳者さんが後書きで述べられている通り、複雑な構造(哲学や他の文学作品の知識があるほうが理解が深まる)を持ってはいるけれど、すべて理解できなくとも楽しむことはできる。

    個人的には、今まで出会ったことのない新たな文学作品に出会えてよかったな、と思うし、また著者の別の作品にも触れてみたいと思う。

    ただひとつ希望を付け加えるとしたら、原書の著者後書きも引用ではなく、丸ごと訳して欲しかったな…と残念な気持ちが残る。著者がどういう気持ちで記したのかを知りたかったな…。

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    2026年03月26日
  • 光と糸

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    人間の持つ愛と暴力に、書くという行為で立ち向かった際の苦しみが綴られている。『庭の日記』がよかった。途中に挟まれる写真も美しく、植物を愛していたことが伝わってきた。

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    2026年03月26日
  • 光と糸

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    文章から血が滴り落ちるようだった。
    暖かく生臭く、それでいて赤く美しい。

    こんな感性を持ち合わせて、突き詰めるように文章を書いていたらいつか彼岸に行ってしまいそうで怖くなった。
    さぞやこの世は生き辛かろうなぁ

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    2026年03月24日
  • すべての、白いものたちの

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    ネタバレ

    「作者の言葉」がある版を読めて良かった。
    「魂」の後半、「だから、彼女にはいくつかの仕事が残されている」の前後がすごく好き。
    各章、白を通してきらめきも哀愁も、いろんな感覚を刺激される文章があって、全体を通してみると私と姉との存在と関わりが移り変わっていて良い。

    面白かった、けど、私が内容を理解して享受できてるかはかなり怪しい。この内容を心に染み渡らせられる繊細な感覚の持ち主になってみたい

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    2026年03月17日
  • すべての、白いものたちの

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    表紙に惹かれて、いわゆる「ジャケ買い」をした本。
    エッセイとも詩ともとれる不思議な手触りの文章に、初めて触れました。
    理屈抜きに、ただそこにある「言葉」が美しくて。読み終えた今、言葉の魔法にかけられたような心地よい余韻に浸っています。

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    2026年03月17日
  • 光と糸

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    ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞記念講演や創作のことなど綴った書籍。とても辛い歴史を軸とした作品が多いのでご本人も精神的にとても辛いと思う。それでも、作品を世に出す意味、重要性を知っていらっしゃるから書かれるし、私たちもそれを読んで考えることができる。一つの作品に数年かかると書かれていた。それだけの思いが詰まった作品をこれからもずっと読み続けていきたい。

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    2026年03月13日
  • 回復する人間

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    自分には、何とも救いの無い話ばかりのように思えた。
    作者が提示する再生への希望を受け取ることができなかった。淡々と壊れていく登場人物たち。もうちょっと分かりやすい救いの手が欲しかったな。

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    2026年03月05日