ハン・ガンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「愛」についてのお話。
翻訳者の力もあるのだろうけど、表現が独特で文章が美しかった。
こちらでありあちらでもあり、この世でありあの世でもあり、現実であり夢でもあり、今であり過去でもある。象徴的に使われている(あとがきより)鳥や雪のように、寄るべなくふわりふわりと行きつ戻りつしながら話は進む。
私は映画で光州事件や軍事政権をちらりと知るだけだったので、済州島四・三事件はもちろん知らず、あまりの惨事に驚いたけれど、韓国人ならみんな知っているはずなので、事件の衝撃性はこのお話のメインではないんだよね。
兄の遺骨は見つからず、鳥も死んでたし、物語はちっともうまく進まないんだけれど、いろんな人が語る -
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…
読書備忘録。
小説成分を摂取するために
詳細な前情報なしに購入した本、その2。
とは言え、
最近このタイトルをよく目に、耳にしていた。
著者のハン・ガンさんのことは、
「ああ、最近ノーベル文学賞を獲った人だ!」と、この本の帯を見て思い出した。
ちなみに私が韓国の作家さんの翻訳本を読むのは「アーモンド」以来の2作目。
結論から言うと、
「私が思っていた小説とは全然テイストが違っていたよ、その2」
…ということになった。
まず、作品の冒頭でタイトル通りおもむろにいろいろな「白いもの」が挙げられていく。
最初はいわゆる「主人公」が著者自身だということにも確信がもてなかったので、
変わった -
Posted by ブクログ
長いこと韓国語学習書のデザインしていたにも関わらず、済州島四・三事件を詳しく知らなかったので、恥ずかしくもあり、かなり勉強にもなりました。
友人インソンさんが制作した1948済州島モノクロドキュメント映画のシーンがかなり衝撃的なのか、トラウマのように回想する、主人公のキョンハ。
かなり高度な文学書だと思います。
現在と回想シーンを、いったりきたり、
現実と夢の中を、いったりきたり、
喋り言葉と心の言葉の境目がなく、
とにかく読み慣れるまで時間かかりましたが、キョンハの心の中と読み手側の心の中が少しずつ近づいていきます。
大事に飼われていた二匹の鳥、アミとアマ。
途中でアミが死んでしまった -
Posted by ブクログ
この本を手に取るまで、済州島四・三事件についてひとつも知らなかった。知らなかったことにショックを受けるような衝撃的な事件だった。
何も知らずに「済州島旅行行きたいなあ」なんて行っていた過去の自分が恥ずかしくなった。
第二次世界大戦で日本が負けた後、朝鮮の人々としては「やっと朝鮮半島でも独立国家をつくれる…!」と考えていた矢先に、ソ連とアメリカがやってきて、朝鮮半島を勝手に北と南の2つに分割して、社会主義と民主主義の国をつくった。
済州島の人々は、朝鮮半島の人々よりも独立の意思が強く、初めての南側だけでの選挙が行われることに反対して、350人程度が武装蜂起して警官たちを襲ったり、選挙をボイコ -
Posted by ブクログ
恥ずかしながら、本作を読むまで、済州島4.3事件のことは知りませんでした。夢なのか現実なのか分からない状態の中でのキョンハとインソンの語らいは淡々としているようでいて、心に深く染み入って来ます。作中で丁寧に描写されている雪の様子や、キョンハが思い浮かべる深海の様子とも深く重なるように感じました。読み進めるのは辛い内容であったけれど、この本を通じて事件のことを知れたことをありがたく思います。またこの事件に限らず、歴史上人が人に行ってきた残虐な行いを忘れないこと、過去のことにせず考え続けること(別れを告げないこと)の大切さを改めて感じることができました。