ハン・ガンのレビュー一覧

  • 私の女の実

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    ネタバレ

    ハン・ガン・コレクション
    私の女の実

    著者:ハン・ガン
    訳者:斎藤真理子
    発行:2026年6月15日
    白水社
    初出:
    「私の女の実」 創造と批評(1997春号)
    「日暮れどきに犬たちはどんな気持ちだろう」 創造と批評(1999年夏号)
    「赤ちゃん仏」 文学と社会(1999年夏号) 第25階韓国小説文学賞大賞受賞
    「ある日彼は」 世界の文学(1998年夏号)
    「赤い花の中で」 作家世界(2000年春号)
    「九つの物語」 文学トンネ(1999年冬号)
    「白い花」 ハイテル文学館(1996年夏、インターネット)
    「線路を流れる川」1996年春号

    著者がノーベル文学賞に選ばれたのは2024年。本書

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    2026年08月18日
  • すべての、白いものたちの

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    なんとなくわかるようでむずかしい、後書きがあったことで理解ができた部分もあり助かった。
    読み終わりは確実に残る余韻に不安と安心がまざってざわりとするが、祈りによるものか、あたたかく血の通った希望みたいなものも私の中に置いていった。

    うつくしいものほどこわい。
    美術館に置かれたそれぞれの白い展示を次々に見て歩く、名残惜しいけど歩みを進める、そんな感覚でページを進め、すぐに読み終わった。
    においや感触すらも伝わってくるような言葉選びと作者の柔らかでやさしい思考がつまっている。

    自分がこの世に生きていること、そんな偶々の出来事、わかっていても生活に注目して見落としている祈りや問いかけ。
    日々のあ

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    2026年08月14日
  • 私の女の実

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    詩人の言葉で綴られた短篇集は、その一篇一篇が「九つの物語」だけでなく、長めの詩のよう。
    哀しみの通奏低音はあるものの、必ずしも哀しいわけではなく、色のない痛みみたいなものがある。
    同じ経験など一つとしてないのに、読み終えて自分自身が身を削ぐような経験をしたように思う。
    「誰がどうしてどうなった」という物語には収まらない展開は形自体も詩のよう。
    比較的初期の中・短篇集ということで、「菜食主義者」を出すまでもなく、のちのハン・ガン作品の萌芽を感じられて、それも嬉しい。
    最初のあいさつやあとがきに作者の謙虚で控えめな人柄がうかがわれて、親しみを感じるし、桜庭一樹の解説も斎藤真理子による訳者あとがきも

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    2026年08月14日
  • 別れを告げない

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    何か不思議な小説だなと思った。勿論、この小説を貫く骨格は1948年の「済州島4・3事件」とそれに伴う南側の警察、軍、右翼組織による多数の一般市民無差別虐殺。
    最初は、キョンハが見た悪夢から「済州島4・3事件」の真相、真実を描き、人間の愚かさ、残虐性をこれでもか言うぐらい強調するのかと思って読んでいたが、第1部は親友のインソンの頼みで吹雪の済州島へ行って小さなインコを助けようとする話。そこでは、「済州島4・3事件」に関わる虐殺の話は重要ではあるが、主要な話ではない。しかしキョンハの猛烈な吹雪の中でインソンの家を目指す描写は、キョンハの思い出と悪夢、インソンの治療と思い、そして吹雪の中でバスを待つ

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    2026年08月13日
  • すべての、白いものたちの

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    一度目読んだときは物語なのか、詩の連作なのか混乱もありつつ、表現の美しさに、そして読み続ける中で、言葉で表現できない死と生の深みを文章に惹き込まれた。
    作者のあとがきを読んで再読すると、物語として見える世界が確立され、それぞれの章での主人公での視覚で物語を味わえる。
    いやはや深い。他の作品も読みたくなりました。

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    2026年08月08日
  • すべての、白いものたちの

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    白いものをめぐる短い文章の連なりが、生と死、喪失、祈りへと静かにつながっていく。はっきりとした物語ではないのに、一つひとつの言葉が胸の奥に沈み、読み終えてもしばらく余韻が消えなかった。多くを語らないからこそ、読む人自身の記憶や感情が入り込む余白がある。

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    2026年07月29日
  • ギリシャ語の時間

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    話すことができない女性と、視力を失いつつある男性。二人はギリシャ語教室で、生徒と教師として出会う。

    二人は身体的な喪失だけでなく、それぞれの人生で大切な人を失った痛みも抱えている。

    ボルヘスやギリシャ哲学に詳しければ、この作品の構造やモチーフをもっと深く読み解けたのだろう。例えば古典ギリシャ語の「中動態」は、二人と彼らを取り巻く世界との関係性を考える上で重要な鍵になっているように思えた。残念ながら私にはそこまでの知識はなく、その奥行きを十分に味わい切れたとは言えない。まるでアトリビュートを知らずに西洋絵画を鑑賞しているような、もどかしさも残った。

    最終章の番号は「0」。そこには、喪失を抱

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    2026年07月25日
  • 私の女の実

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    95年から00年にかかれたというハンガンの短編集。

    後の長編につながるのかな、と思わせるものもないではないけども、それぞれの短編単体で、悲鳴や痛みにに似た輝きを秘めている。

    あのとき辛かったな、苦しかったな。
    そんなことを思い出しながら読み終えた時、桜庭一樹のあとがきの一文がこころに残る。

    “傘をさしていないハンガンは今日もまた誰かの傍らで共に雨に濡れている”
    日本の雨も冷たいが、私達にはハンガンの本がある。

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    2026年07月18日
  • すべての、白いものたちの

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    はっきりした言葉が書かれているわけではないけれど、読み始めから終わりまで、ずっと白い、冷たい、部屋の中にいる気持ちになる。
    作者自身もずっとこのような気持ちだったのだろうか。自分が生まれなかったかもしれないとか、姉と比べてしまうこととか。
    私は姉の立場なので余りピンとこないが、お姉ちゃんがいることが羨ましくもあったり(実際にいたのだから)、想像することもあるのかと思う。
    22歳で一人で出産したと言っていた。私と同じような歳で、そんな壮絶な出来事を味わっていることに自分の弱さを感じる。私の悩みがちっぽけに思えた。息を吸って、吐いて、好きなことをして、本を読んで、人と話せること。それだけで十分生き

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    2026年07月06日
  • ギリシャ語の時間

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    理解しようとすると難しい。
    長い長い詩と思って読んだ。
    最後に彼らが交わし合うなにかがとても美しかった。

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    2026年06月29日
  • 回復する人間

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    絶望の淵で、わずかな光が見えるような見えないような。

    今作で完全に彼女の虜になった。
    翻訳もやはり素晴らしい。

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    2026年06月21日
  • 別れを告げない

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    ハンガン自身がこの作品を「究極の愛の小説」とし、「光がなければ光を作り出してでも進んでいくのが、書くという行為」と語っていて、歴史の闇から目を逸らさず、そこに生きた死者の姿を描き、光を照らし出そうとする彼女の覚悟に胸を打たれる。
    痛みを引き受け、光を作り出す、それは確かに彼女の作品に共通するものであり、ノーベル文学賞受賞にふさわしい。

    彼女と同じ時代に生きて、彼女の作品に触れられること、本当に嬉しく思う。

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    2026年06月21日
  • ギリシャ語の時間

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    ノーベル文学賞受賞のハン・ガン氏による長編小説。言葉を失った女性と視力を失いつつある男性との魂の物語。ハン・ガン氏の根底のテーマであるトラウマと蘇生。そこに社会性を反映させ、詩的な物語を紡ぐ。とにかく言葉の表現が凄い。普段組み合わせない動詞と名詞を配置し、横たわる情景や感情を的確に表現する。物語のあらすじや意味するところは難解だが、不思議と心に迫ってくる作品。

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    2026年06月04日
  • ギリシャ語の時間

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    読んでいる最中は少しとっつきづらく、難しいと感じる場面もあった。しかし、読み進めるうちに、いつの間にか静謐な世界に引き込まれていく不思議な作品だった。

    ハン・ガンさんの文章は非常に練り上げられており、一つひとつの表現に深い思索が感じられる。その繊細な言葉の積み重ねが、この作品ならではの魅力だと思った。

    派手な展開を楽しむというよりも、言葉や登場人物の心の動きを静かに味わう作品だと感じた。

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    2026年06月06日
  • ギリシャ語の時間

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    本作のテーマは「言葉」。わたしたちは何気なく言葉を発したり文字を打ったりするが、言葉というものの重みがずっしりと感じられた。

    物語は視力を失いつつある古典ギリシャ語の先生と、言葉を失ってしまった受講生の女性が軸になる。人生で傷ついた人たちが、冷たい雨が降りしきる中、そっと肩を寄せ合うような様子が浮かぶ。ハッピーエンドではない。ただバッドエンドでもない。わからないもの、わかりあえないもの、わかりたくないものが曖昧かつ混沌に混じり合うこの世界を包み、読者に提示している。

    前編を通して静かな詩のような文章で構成されており、訳者の斎藤真理子さんの力も相まって、プロットをを一字一句しっかりと味わいた

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    2026年06月01日
  • 別れを告げない

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    太平洋戦争後に韓国のチェジュ島で発生した虐殺事件をテーマに、サバイバーとなった女性の娘インソンとその友人キョンハ(本書の主人公)が島の過酷な歴史と被害に遭った家族の痛みを辿る物語。
    これまで読んだものの中で、こんなにも寒くて痛くて、深い悲しみを感じた小説は他にない。本当に。

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    2026年05月10日
  • 光と糸

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    ノーベル賞の文学賞を得た韓国の韓江(한강)さんのエッセイ。光と糸はノーベル賞の受賞記念講演だそうだ。「菜食主義者」、「風が吹いている、行け」、「ギリシャ語の時間」、「少年が来る」、「別れを告げない」。のそれぞれを書きだした時の動機のような背景が書かれている。この本を読むことで韓江さんの思いを少しだけ感じられるのではないだろうか。

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    2026年04月21日
  • ギリシャ語の時間

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    文字が美しかった。言葉が洗練されていた。だからこそ、ちょっと難しかったし、それが美しさを際立たせてると思ったし、面白かった。
    人と言葉をまぜまぜしてる2人が可愛かった。じぶんでも何言ってんのかわからん。

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    2026年04月10日
  • ギリシャ語の時間

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    海外文学、翻訳作品に縁遠く、シドニィ・シェルダンの超訳ものまで遡らないと読んだ記憶がないです。
    翻訳作品は日本語が硬く感じてしまいリズムで読めないので苦手意識があります。
    ところが、この作品はその日本語の硬さが登場人物の孤独を際立ててとても冷たく感じマッチしているように感じました。
    最後二人の体温を感じる場面へのグラデーションの美しさと速度に映画を観ているような気持ちになりました。
    韓国ドラマはたまに観ますが文学は初めて触れたかもしれません。
    なんと美しい文章なんでしょう。
    少し難解なところもありますが「これぞ文学」という作品のひとつかもしれません。
    海外文学といえば欧米が舞台の作品を多く目に

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    2026年03月29日
  • 回復する人間

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    肉体や心が傷ついた人たちが、そこから回復する過程が描かれている短編集。

    西佳奈子さんの「くもをさがす」に出てきた作品だったので手に取ってみた。

    家族関係、夫婦関係などで傷ついた人、社会から受け入れてもらえないマイノリティの辛さなど様々な傷を抱えた人達がどう生きて行くのかが描かれている。
    特に印象的だったのが、夫婦の関係と子どもへの関わり方への描写だ。夫の子育てへの非協力、夫婦としてのコミュニケーションの欠乏がリアル感を持って描かれていた。
    心や体に傷を抱えている人が読むと、気持ちが救われる作品。

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    2026年03月26日