ハン・ガンのレビュー一覧

  • 回復する人間

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    肉体や心が傷ついた人たちが、そこから回復する過程が描かれている短編集。

    西佳奈子さんの「くもをさがす」に出てきた作品だったので手に取ってみた。

    家族関係、夫婦関係などで傷ついた人、社会から受け入れてもらえないマイノリティの辛さなど様々な傷を抱えた人達がどう生きて行くのかが描かれている。
    特に印象的だったのが、夫婦の関係と子どもへの関わり方への描写だ。夫の子育てへの非協力、夫婦としてのコミュニケーションの欠乏がリアル感を持って描かれていた。
    心や体に傷を抱えている人が読むと、気持ちが救われる作品。

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    2026年03月26日
  • ギリシャ語の時間

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    多少の難解さがあり、通読する根性が必要かもしれないが、文章の綺麗さ、表現の美しさで読み通せた。

    訳者さんが後書きで述べられている通り、複雑な構造(哲学や他の文学作品の知識があるほうが理解が深まる)を持ってはいるけれど、すべて理解できなくとも楽しむことはできる。

    個人的には、今まで出会ったことのない新たな文学作品に出会えてよかったな、と思うし、また著者の別の作品にも触れてみたいと思う。

    ただひとつ希望を付け加えるとしたら、原書の著者後書きも引用ではなく、丸ごと訳して欲しかったな…と残念な気持ちが残る。著者がどういう気持ちで記したのかを知りたかったな…。

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    2026年03月26日
  • 光と糸

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    人間の持つ愛と暴力に、書くという行為で立ち向かった際の苦しみが綴られている。『庭の日記』がよかった。途中に挟まれる写真も美しく、植物を愛していたことが伝わってきた。

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    2026年03月26日
  • 光と糸

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    文章から血が滴り落ちるようだった。
    暖かく生臭く、それでいて赤く美しい。

    こんな感性を持ち合わせて、突き詰めるように文章を書いていたらいつか彼岸に行ってしまいそうで怖くなった。
    さぞやこの世は生き辛かろうなぁ

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    2026年03月24日
  • すべての、白いものたちの

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    ネタバレ

    「作者の言葉」がある版を読めて良かった。
    「魂」の後半、「だから、彼女にはいくつかの仕事が残されている」の前後がすごく好き。
    各章、白を通してきらめきも哀愁も、いろんな感覚を刺激される文章があって、全体を通してみると私と姉との存在と関わりが移り変わっていて良い。

    面白かった、けど、私が内容を理解して享受できてるかはかなり怪しい。この内容を心に染み渡らせられる繊細な感覚の持ち主になってみたい

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    2026年03月17日
  • すべての、白いものたちの

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    表紙に惹かれて、いわゆる「ジャケ買い」をした本。
    エッセイとも詩ともとれる不思議な手触りの文章に、初めて触れました。
    理屈抜きに、ただそこにある「言葉」が美しくて。読み終えた今、言葉の魔法にかけられたような心地よい余韻に浸っています。

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    2026年03月17日
  • 光と糸

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    ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞記念講演や創作のことなど綴った書籍。とても辛い歴史を軸とした作品が多いのでご本人も精神的にとても辛いと思う。それでも、作品を世に出す意味、重要性を知っていらっしゃるから書かれるし、私たちもそれを読んで考えることができる。一つの作品に数年かかると書かれていた。それだけの思いが詰まった作品をこれからもずっと読み続けていきたい。

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    2026年03月13日
  • すべての、白いものたちの

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    生と死、時間、記憶、のような人間の根源的なテーマに関する圧倒的な不条理・不確定的な出来事を乗り越えようとするための小説、散文、詩歌あるいは写真という装置

    選択的な不透明さ

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    2026年03月09日
  • 回復する人間

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    自分には、何とも救いの無い話ばかりのように思えた。
    作者が提示する再生への希望を受け取ることができなかった。淡々と壊れていく登場人物たち。もうちょっと分かりやすい救いの手が欲しかったな。

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    2026年03月05日
  • 光と糸

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    ハン・ガンが何度が読んだという「朝のピアノ 或る美学者の『愛と生の日記』」に雰囲気が似ている。
    是非これも機会があれば手に取って欲しい。

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    2026年03月01日
  • 光と糸

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    ネタバレ

    ハンガンの文章、好きだなあ〜

    「光と糸」が一番印象に残ったかも
    過去が現在を助けることはできるか?
    死者が生者を救うことはできるのか?(p.20)

    …私たちはどこまで愛することができるのか?どこまでが私たちの限界なのか?どれだけ愛したら、私たちは最後まで人間でいつづけることができるのか?(p.26)

    図らずも、この後に『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を読んだ

    次のハンガン作品を読む日を楽しみにしている。

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    2026年02月28日
  • すべての、白いものたちの

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    初めは短編集のように一貫性のある物語だと気付かずによんでいました。解説を読んだ後に、自分の読み方が全く違ったことに気づかされました。
    生と死についての新しい着想。表現の仕方がとても美しいです。ただ1回で理解するのは難しい本でした。

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    2026年02月26日
  • すべての、白いものたちの

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    初めて著者の本を読みました。途中で私のイメージが追いつかなくて迷いながら読み進めました(訳者の補足のおかげで理解することができました)。白く静かな空間に著者の私的な感情が溢れていて、著者の姿になのか自分自身の何かになのか、はっきりと区別ができませんが胸を打つものがありました。著者の他の作品を読んだ後に、もう一度この本を読もうと思います。

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    2026年02月24日
  • 別れを告げない

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    読みながら、こんなに寒さを感じたのは初めてかも。静かで暗くて雪の降り積もる音しか聞こえないのに、何かいる感覚。
    ジェノサイドのあった場で、時空を超えて生と死の境も超えて、愛する人への思いが交錯する。大丈夫、鎮まって、忘れないから、一緒にいるから。
    読むのに時間はかかったけど、ハンガンの祈りに少し触れられて、心地よかった。

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    2026年02月24日
  • 光と糸

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    ネタバレ

    人の重厚さを語っている。そして世界の不均衡さを嘆いている。たくさんを感じ、たくさんの理解を本の中に認めている。

    "世界はなぜこれほど暴力的で苦痛に満ちている?
    と同時に、世界はなぜこれほど美しいのか?"

    私が感じ、見ているすべてを生き抜くのだから あなたが考え、愛するすべてを生き抜くのだから 私たちは自分の身長と体重だけに閉じ込められてはいないから

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    2026年02月22日
  • 光と糸

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    今までの作品の総ざらいのような一冊。最後まで静かで美しい佇まい。紙質も和紙のようであたたかい手ざわり。

    エンタメも大事だけど、たまにこうした文章も補給しないと魂がカラカラになる。

    ” 割れてしまったガラスを溶かして、再び、無傷のひとかたまりのガラスにする”

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    2026年02月21日
  • すべての、白いものたちの

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    ネタバレ

    すごく良かった。
    序盤はなかなかその世界観についていけなくて、途中から物語として読むことを半ば諦め詩集として読んだ。
    解説を読んでからもう一周、今度は物語的に読んでみた。
    でもやっぱり言葉にとても感動した。
    好きな章段がいっぱいあった。
    いいタイミングで読めたと思う。

    白く笑う
    白く笑う、という表現は(おそらく)彼女の母国語だけにあるものだ。途方に暮れたように、寂しげに、こわれやすい清らかさをたたえて笑む顔。または、そのような笑み。

    あなたは白く笑っていたね。
    例えばこう書くなら、それは静かに耐えながら、笑っていようと努めていた誰かだ。

    その人は白く笑ってた。
    こう書くなら、(おそらく)

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    2026年02月18日
  • すべての、白いものたちの

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    読後に皆さんの感想を眺めていくと文庫本の後書きがいいらしい。読みたいがハードカバーで読んだため無念、確認出来ない。

    でも手に取った時にビックリしたのは、違う質の紙がいくつも混ざっていた事。文庫本もそうなのか?最初は何かの間違いなのかと思った。でもそんなはずはない。途中でハッとする。
    そうか、

    白いものたちの

    だから同じ白でも違う白の紙を意図的に使ってるんだと気付く。
    途中フォントが違う作品もあった。

    静謐な雰囲気に細やかな仕掛け、モノクロ写真の挿入と本そのものが。全てが。白いものたちのだった。

    詩のような散文のような。
    訴えてくるテーマは重いけどそれが白というフィルターを通って透き通

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    2026年02月16日
  • 別れを告げない

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    済州島での虐殺を小説にしたものであるが、虐殺そのものではなく、主人公とその友人の現在の大雪の風景を背景として考えるものである。あとがきでは33ページで朝鮮戦争から済州島での虐殺が説明されている。なかなか日本では詳細を理解することが難しいので、この小説は済州島虐殺を知っている人が前提であるが、日本人にとっては地図があるほうが助かる。

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    2026年02月06日
  • 別れを告げない

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    今ではすっかりリゾート観光地として有名な済州島。80年弱前のその島で、怖ろしい虐殺事件が起こっていたことをうかがわせる影はまるで無いように見えてしまう。

    けれどそうではなく、実際に今もなお数知れないほどの遺体が土の下や海の底に埋もれたままで、縁者を探す人、真実を求める人たちがいる。そのことを、この本を通じて、そしていくらか調べることで、きっとほんのわずかにすぎないだろうけれど知った。知れて、良かったと思った。

    私小説に近い体裁で綴られる二人の女性の物語の現在では、しんしんと重苦しく雪が降り続ける。あらゆる生命の活動を抑えつけるような圧迫感のある静かな雪は、一方であたたかな命を持つ頬では他愛

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    2026年02月03日