ハン・ガンのレビュー一覧

  • 別れを告げない

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    恥ずかしながら、本作を読むまで、済州島4.3事件のことは知りませんでした。夢なのか現実なのか分からない状態の中でのキョンハとインソンの語らいは淡々としているようでいて、心に深く染み入って来ます。作中で丁寧に描写されている雪の様子や、キョンハが思い浮かべる深海の様子とも深く重なるように感じました。読み進めるのは辛い内容であったけれど、この本を通じて事件のことを知れたことをありがたく思います。またこの事件に限らず、歴史上人が人に行ってきた残虐な行いを忘れないこと、過去のことにせず考え続けること(別れを告げないこと)の大切さを改めて感じることができました。

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    2025年09月13日
  • ギリシャ語の時間

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    上白石萌音ちゃんが、紹介していて、今まで読んだ事のない本に出会いました。中動態については、あまり理解出来ておらず、ギリシャ語も無知なので、すらすらと頭には入ってこなかったのですが、愛する人を想う、心の表現がとても美しかったです。難聴の友達が、どんな景色を見て、どんな心境だったか想像する事が出来ました。もっとじっくり、読んでみます。

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    2025年09月11日
  • 別れを告げない

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    済州島の虐殺について恥ずかしながらこの本で初めて知った 人間が大人や子供関係なく殺していくシーンが目に浮かんだ インソンの母が語る父の話 インソンが調べた事実 友達のキョンハがみた現実と過去が溶け合う不思議な光景に救いがあるのか

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    2025年08月25日
  • 別れを告げない

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    恐るべき作品に出合った。まぎれもない世界文学。そして、現代的でもある。
    全体を理解したとはとても思えないけれども、心に残る。
    雪や鳥、痛み、悲しみ。
    味わい深い名作。

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    2025年08月05日
  • 回復する人間

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    「明るくなる前に」と「火とかげ」が好きだった。
    ハン・ガンが書く物語には結婚生活が破綻している人しか出てこないが、本人も離婚しているので何か自身の経験に基づくものがあるのだろうと考えた。

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    2025年08月02日
  • 回復する人間

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    もっと韓国という国、韓国人という独自性を全面に打ち出した内容かと思っていたが、日本人作家が書いたと言われても全く違和感がない現代性、普遍性。生きづらさに直面して足掻く人たちの物語で、どれも心をざわつかせて落ち着かない心持ちにさせた。

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    2025年07月04日
  • 回復する人間

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    ハン・ガン氏の小説は少し曇天の澄んだ空気を持つ初冬の朝をイメージさせる。不安定で漠然とした「何らかのものたち」を柔和で静謐な文章で書き表していく。人と人とが織り成す関係を丁寧に解きほぐして再構築する文体が印象的。失ったものもしくは失いつつあるものからの回復。記述的ではないけど抽象的でもない。「回復する人間」と「火とかげ」が個人的好み。

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    2025年06月24日
  • 別れを告げない

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    韓国の第二次世界大戦後の歴史を感じることのできる本
    訳者あとがきがとても良い

    ゆくゆくの映像化を意識したのかな?と思われる小説
     

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    2025年06月25日
  • 回復する人間

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    登場人物たちはみな生きることに大層疲れている。生きていくことはなんて困難なことだろうと思った。それでも人間は回復する力がある。静かだが確かな力が。きっと自分にもあるんだと信じたい。自信はないけど。
    最後まで燃える心臓、フンザ、「黄色い模様のヨンウォン」など、主人公たちに力を与えるものがみな印象的で美しくとても素敵だった。ハン・ガンの文章はいつも映像が頭に浮かぶ。静寂で美しい時間だった。

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    2025年05月30日
  • 回復する人間

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    短編集。
    明るくなる前に
    回復する人間
    エウロパ
    フンザ
    青い石
    左手
    人とかげ

    危うさと脆さ、ギリギリのラインに立つ人、どの作品にも痛みがあり苦しい。でも、なんだろうか。生への思いが強く静かに届いてくる。

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    2025年05月02日
  • 回復する人間

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    ネタバレ

    初めての韓国文学で、初めてのハン・ガン。
    静謐な文体。読むうちに心が沈黙して、無我の境地になる。喪失からの静かな、みずからはそれと気づかないほどの細い細い糸のような回復。希望がほんのりと差し込んでくる。
    「時間とは流れるものではないのかもしれない」(p.141「青い石」)
    「私たちももともとはああだったけど、そのあとにいろいろプログラムされて、本来の状態を忘れて暮らしてるんじゃないかと思うわ」(p.261「火とかげ」)
    失ったものは取り戻せないけれど、それを置いてきた時間にいつでも戻れる。そこから回復の一歩を踏み出す。

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    2025年04月09日
  • ギリシャ語の時間

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    一読しただけでは理解が及ばず、ユリイカの特集を読み再読。でもやっぱり難しかった。
    二人の主人公はそれぞれ、言葉を失い、視力を失いつつある。私には本の最後、二人の物理的な距離は重なり合ったものの、心の距離が縮まることがないのではと感じられた。ギリシャ語講師は言葉を失った女を理解しないままだし、女はやっと言葉を取り戻したばかり。今後女が言葉を尽くしたとして、ギリシャ語講師は女を視力を失ったその目で見ようとするだろうか。私はそうは思わない。初恋の相手に綴った手紙のように想いが一方的で、簡単に過去を美化してしまうから。
    どうしてこの物語がハン・ガンにとって「生きていくということに対する、私の最も明るい

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    2025年03月14日
  • ギリシャ語の時間

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    喪失とは。
    失って得るものがあり、気付くこともある。また、生きていくとは同時に失っていくことでもある。

    夜の森を歩けば目は役に立たず、視覚以外の全てを研ぎ澄ますだろう。
    愛が失われていくなら、より繊細にそれを伝えるだろう。

    突然奪われ失うこともある。そこでは何が得られ何を気付くことごできるのか? その喪失には、回復と再生が必要になるはずだ。まずは手探りでその糸口を探さなければならないのだろう。

    それは時間、時だったり、熱だったり…

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    2025年02月08日
  • 回復する人間

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    筆者の作品に触れた2冊目。
    韓国作家は 老若男女問わず 芸術面でとてつもない激しさを感じさせられる・・文学・絵画・音楽・・知らない他のジャンルでもあるのかもしれない。

    ハン・ガンが持つ 内に秘めたパッションは孤独・絶望・喪失など 心の痛みを抱きしめ、抱え込み、それをばねとして再生への飛翔に連なって行く時にとてつもない光彩を見せる。
    それを回復と作品として昇華させた短編の数々が収められている。

    一回読んだだけでは、自分の中に 未消化に終わるもどかしさがあり、2回読んだ。
    「左手」だけ激しさが圧倒的  韓国風激情の迸る不条理と言えそう。

    他作品、どれも優劣つけ難い・・「痛みがあってこその回復

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    2025年02月08日
  • 回復する人間

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    「火とかげ」に圧倒された。途中出てくるTears In Heavenのエピソード知らなかったので、改めて聴いて心に沁みた。「左手」だけ他の作品と違った作風だったが、先が気になりグングン読んだ。どの作品も人が傷つき回復する様が丁寧に描かれていた。自分が辛い時に読んだらきっと、もっとハマると思う。そんな時、この本を思い出して、また読みたいと思う

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    2025年01月25日
  • 回復する人間

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    繊細だけれどとても鋭い、傷ついたり傷つけたりしてしまいそうな文章。そんな文章でしか書けない傷や悲しみ苦しさ、人生がある。それらの殆どの人生、物語には最後に光がさす、希望が垣間見える。前に進めるように開いた小説たち。それらは回復を促すように書かれたのかもしれない。
    だけれど、ある短編の登場人物が「私を回復させないで欲しい」と願うように、残しておきたい傷や忘れるべきではない悲しみ苦しさもある。回復とは忘却にも近い。傷や悲しみ苦しさを忘れないために書き残された、そんな風にも思えた。
    回復も忘却も、時間を使って人生が行使する必要な力だ。だけど、それに抗うように傷を悲し

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    2025年01月11日
  • ギリシャ語の時間

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    目が見えないこと、言葉が話せないこと。
    それは死に半分くらい足を浸しているようなものだろう。
    深い深い森の中にひとり生きているようなものだろう。

    決して他人が理解できるものではない。
    ("そんなに簡単なことではありません")
    闇の深さを、底に何かが横たわっていることを
    かすかに伺い知れるのみ。

    出会いとはすれ違いのことなのかもしれない。
    面と向かってすれ違うことが出会うということなのかもしれない。
    あなたは私の過去を知らない。私もあなたの過去を知らない。
    ぼんやりとした暗闇の輪郭をなぞる。
    触れ合うとは理解し合うことではないのだと初めて思った。
    輪郭に触れる、輪郭を形成

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    2025年01月05日
  • ギリシャ語の時間

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    訳者あとがきにあった「和解のできなさ」という言葉がしっくりきた。世界と和解できないまま生きていくことの苦しみが、とても美しい文章で描かれている。引用される古代ギリシャ語、哲学などのエピソードも作品にうまく融和していて、特に「かすかな光でも存在しないところにイデアはない」という部分が好きだった。
    「和解のできなさ」を抱えたままでも光はある。そう信じたい。

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    2024年12月30日
  • ギリシャ語の時間

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    言葉を話せなくなった女と視力を失いつつある男の話し。

    社会の矛盾や歪みを一手に引き受けたような2人が出会い、言葉や論理以前の世界を直接的に経験をする。再生への希望をほんのりと感じるラストが素敵でした。

    とても内省的で瞑想的な思考で進んでいき、詩的で哲学的で幻想的な、とても静かな小説。

    マイノリティなんて生優しい話しではなく、もはや点になってしまった人の再生の話し。

    設定は全然違うけど「菜食主義者」の続編と言っても良いような流れを感じる。

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    2024年12月04日
  • ギリシャ語の時間

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    「誰もが必ず自分の体の分だけ物理的な空間を占有するが、声はそれよりもはるかに広がる。彼女はただ、声で場所を取るのが嫌いだった」母親を亡くし、息子の親権も失い失語症になったギリシャ語受講生の女性。「目の炎症が目を破壊して見えなくさせ、錆が鉄を破壊して完全に粉々にしてしまう。そうであれば人間の魂はなぜ、内なる愚かな、悪しき属性によって破壊されないのでしょうか?」遺伝性の疾患により視力を失いつつある講師の男性。二人は互いに抱える苦しみにより近づき、それぞれの傷付いたフラジャイルな魂に手を差し伸べる。他の作品と同じように、物語の中に散りばめられた詩や比喩や悪夢が二人の心象風景を仄暗く浮かび上がらせる。

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    2024年12月02日