ハン・ガンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
海外文学、翻訳作品に縁遠く、シドニィ・シェルダンの超訳ものまで遡らないと読んだ記憶がないです。
翻訳作品は日本語が硬く感じてしまいリズムで読めないので苦手意識があります。
ところが、この作品はその日本語の硬さが登場人物の孤独を際立ててとても冷たく感じマッチしているように感じました。
最後二人の体温を感じる場面へのグラデーションの美しさと速度に映画を観ているような気持ちになりました。
韓国ドラマはたまに観ますが文学は初めて触れたかもしれません。
なんと美しい文章なんでしょう。
少し難解なところもありますが「これぞ文学」という作品のひとつかもしれません。
海外文学といえば欧米が舞台の作品を多く目にしますが、アジアの文学は舞台の湿度や温度も自然に想像できて読みやすいかもしれないと思いました。
ハン・ガンさんの他の作品も読みたくなりました。 -
Posted by ブクログ
多少の難解さがあり、通読する根性が必要かもしれないが、文章の綺麗さ、表現の美しさで読み通せた。
訳者さんが後書きで述べられている通り、複雑な構造(哲学や他の文学作品の知識があるほうが理解が深まる)を持ってはいるけれど、すべて理解できなくとも楽しむことはできる。
個人的には、今まで出会ったことのない新たな文学作品に出会えてよかったな、と思うし、また著者の別の作品にも触れてみたいと思う。
ただひとつ希望を付け加えるとしたら、原書の著者後書きも引用ではなく、丸ごと訳して欲しかったな…と残念な気持ちが残る。著者がどういう気持ちで記したのかを知りたかったな…。
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Posted by ブクログ
今ではすっかりリゾート観光地として有名な済州島。80年弱前のその島で、怖ろしい虐殺事件が起こっていたことをうかがわせる影はまるで無いように見えてしまう。
けれどそうではなく、実際に今もなお数知れないほどの遺体が土の下や海の底に埋もれたままで、縁者を探す人、真実を求める人たちがいる。そのことを、この本を通じて、そしていくらか調べることで、きっとほんのわずかにすぎないだろうけれど知った。知れて、良かったと思った。
私小説に近い体裁で綴られる二人の女性の物語の現在では、しんしんと重苦しく雪が降り続ける。あらゆる生命の活動を抑えつけるような圧迫感のある静かな雪は、一方であたたかな命を持つ頬では他愛なくほどけていのちをつなぐ水と化す。
冷たく沈んだおびただしい数の生命の苦悩を鎮め、春が来れば自ずから溶けて生物たちに恵みを与える、そんな雪のひそやかな祈りと鎮魂が込められた、細やかな筆致のさえわたった作品だった。 -
Posted by ブクログ
この本は、訳者あとがきに書かれているとおり、ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」を含む受賞関連の文章三つと、単行本未収録の詩と散文、そして庭仕事を通しての暮らしと心境を綴った「北向きの庭」と「庭の日記」から成っています。
韓国のつらい歴史に対しての疑問と葛藤、そして愛についても考え、悩み、自分と向き合いながら小説が完成するまでの葛藤の日々がこの本に綴られていました。
彼女が八歳のときに書いた一編の詩の始まりで、感性豊かな子どもだったこともわかりました。かわいいハングルの直筆の写真もありました。
「庭の日記」では彼女が庭の木々を慈しむ日々が書かれていました。表紙の写真も、ハン・ガンさん自身が撮られたものだそうです。光が当たっている部分に、木々を慈しむ気持ちが表れています。
訳者によると、この本のキーワードは「つながり」だそうです。過去に目を向け、また同じ過ちを繰り返さないようにというハン・ガンさんの思いが、彼女の文章で多くの人をつなげるひとつになるような気がしました。
小説とは違ってすぐに読めてしまいますが、大切に読んでいきたくなる本でした。ハン・ガンさんがこれまでに書いた長編小説を読んでみたくなる本でもありました。
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Posted by ブクログ
ハン・ガンさんの著書を読むと強く感じることがある。
言葉が生きていて、自分の身体の内部に浸透すると。
言葉を読まされているのではなく、読み進めたいと欲する感覚はなかなか味わえない。
エッセイや詩、ノーベル文学賞受賞記念講演事の言葉達。
冒頭からの過去作への制作過程や心情を知ると、間違いなく全部読みたくなります。
ハン・ガンさんが人に対する愚かさや残酷さを考え絶望すると同時に、それでも美しさや愛を考え希望を探して生きていることに心うたれました。
過去を想い知ることで、今を生きる喜びや意味を見つけたくなりました。
ハン・ガンさんの綴る言葉には温かさと冷たさが混じっていて、闇がないと光もないのだろうと感じた。