ハン・ガンのレビュー一覧

  • すべての、白いものたちの

    Posted by ブクログ

    複数の視点から語られるので同じ景色でも違って見える。
    とても静かで白くて美しい物語でした。
    誰かと語れば色がついてしまいそうで、自分の中にそっと隠しておきたい気持ちになる。

    0
    2025年11月07日
  • すべての、白いものたちの

    Posted by ブクログ

    多くを語らず、読者に深い思考を促す小説。
    詩のようであり、エッセイのようでもある。
    生後2時間で亡くなった姉への追悼、そして、自らの生を亡き姉に貸し与える。

    平野啓一郎さんの解説を読んで、こういう意図だったのかと思い知る。
    再読することで、作品の深みがよりいっそう伝わってくる。

    0
    2025年10月31日
  • すべての、白いものたちの

    Posted by ブクログ

    【これは散文なのか、小説なのか】感情の底の底にある、目に見えないなにかまでを自分の外に吐き出して、そのまま読み手の心を掴んでしまうのがハンガン。彼女には狂気的に美しい彼女だけの文体があり、わたしは構成だけを真似して同じように世界を描こうと試みるのだけれど、光と陰のコントランスはあんな風に絶妙にならないし、不均衡なのにエモーショナルな世界なんてまったく真似できない。死ぬまでにいつかこんな文章書けるといいな、と思いつつ、今日も本を開いてはため息と共に閉じる。

    0
    2025年10月10日
  • ギリシャ語の時間

    Posted by ブクログ

    詩の素晴らしさに出逢わせてもらい星5。
    この本を通して教えてもらったこと。↓


    詩においては“美しい”とは、そのものの(あるものや事柄)について良さを表さない。台無しにする言葉でもある。
    “美しい”と言う一言はかけがえのなさを表せる。唯一無二のそのものの様子やあらゆるどんな比喩を失うほどの完璧さを表すのだけれど。それ故にディテールや本来持つ個性を表現しないが故に大切な物を同時に失わせてる。

    そこにこの言葉の素晴らしさと残酷さと完璧さが表現できる。とても深い想いを巡らせられている言葉だと感じました。

    光に彩色色彩が。その様な表現の様。
    ですが、私は“美しい”を知っています。

    とても大切な

    0
    2025年10月09日
  • すべての、白いものたちの

    Posted by ブクログ

    死んだ姉と兄、今生きている自分。作者自身の過去をもとにした死と再生の散文小説。
    ----------
    ノーベル文学賞をとったハン・ガンさんの本、初めて読みましたが、これには胸を打たれました。
    もう初っ端からどくどく血が流れるような傷を見せてくる。
    死と破壊、生と再生を、ものすごく澄み切った筆致で、針のように鋭い言葉で、詩のような文章で、読者の心を刺して刺して刺しまくる。
    読んでいて胸に迫る内容と美しい文章が暴れ回って大変でした。ハン・ガンさんの本はほかにも読んでみようと思っているのですが、ちょっと次に手を伸ばすのを躊躇するような切れ味と重さでした。

    0
    2025年10月06日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    背中がゾゾゾとなるほどの、すごい読書体験だった。

    雪国出身なのと、著者の描写の巧みさで、雪景色が手に取るように想像できた。

    思いが強ければ、同時に遠くにも存在できる……認知できていないだけで、確かにそうなのかもしれない。

    0
    2025年09月30日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    冒頭では、これが済州四・三事件につながるなんて思いもしなかった。
    とかエラそうに書いてるけど、済州四三事件とかまったく知らなかったし。こんなに近い国なのに。
    小説本編にも注意書きは多いが、「訳者あとがき」はほぼこの事件の経緯、解説。
    本編より細かい字でみっしり。情報量とその内容の深刻さ、残酷さに圧倒された。
    となるとウィキペディアとか見ちゃうよね。でまたドシッとくる。
    タイトル「別れを告げない」は、作品中では映画のタイトルとして出てくるけど、「哀悼を終わらせない」という意味だと著者がはっきり述べているそう。
    幻想的な場面展開も詩人ならではかな。
    さすがノーベル文学賞受賞されただけある。
    斎藤真

    0
    2025年09月14日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    舞い散る雪が、死者たちの頬にうっすらと積もり、白く覆ってゆく。
    等しく生者の頬にも降る雪は、刺すような痛みの感覚を残して、溶け去ってゆく。

    痛みと熱が生の証というならば、死は痛みの喪失と引き換えに、無限の沈黙の中に消えるということなのか。
    いや、例え肉体が凍りつき、もはや唇は閉ざされたままだとしても、死者には消えぬ痛みの記憶が残っている。
    死者には、語るべき言葉がある。

    だから、別れを告げない。
    雪は溶けて海へと流れ、空に昇って雲となり再び一ひらの雪片として地上へ戻ってくる。
    過去と未来は循環し、死と生は共にある。
    そんな地点ををつなぐのは、悲しみと嘆きの言葉だけじゃない。
    あなたにはわた

    0
    2025年09月13日
  • ギリシャ語の時間

    Posted by ブクログ

    一度読んだだけでは到底理解は出来ない。
    視力を失っていくギリシャ語講師(男)の回想と
    ある時から言葉を発することが出来なくなったギリシャ語受講生(女)の回想が続いて行く。
    冒頭と結末が同じなので二人がいかに交わっていくのかという話ではあるのだが、恋愛模様とは全く違う。
    哲学論と詩のような文体が入ることにより、物語より深い不思議な体験を味わえる。
    始めはそれが、読みにくいし、全く理解出来ず苦痛だったのが、慣れとともに心地良くなり次第には独特な言葉の禅体験をしたような晴れやかな気持ちになっていた。
    傷を抱えた者が世の中に馴染めず、かといって落としどころを見つけて合わせて生きていくのも苦しい。
    二分

    0
    2025年09月12日
  • 回復する人間

    Posted by ブクログ

    読みながら少したじろぐ。なぜハン•ガンさんは、異郷のゆかりもない僕に対して、抱え込んだ孤独を、疼き続ける痛みを告白するのかと。
    僕には、受け止めるだけの度量も、分かち合う優しさもないというのに。

    だが、彼女は決して弱音を吐いて、己の傷や悲しみを嘆き訴えているのではなかった。
    むしろ、誰からも助けの手が差し伸べられなく、独りで耐えるしかない痛みに押し潰されたときでさえも、消え去ることのない強さが人の内には秘められている、そう静かに告げていたのだ。


    人は自らの意志で、身体や生活を律して前へ進んでいるいると思い込んでいるけれど、果たしてそうだろうか。
    心がたとえ悲しみを求めていても、
    理性が抑

    0
    2025年09月04日
  • ギリシャ語の時間

    Posted by ブクログ

    中動態。プラトンのイデア論。使われていない言葉のギリシャ語(言葉の古層の比喩か)。目が見えなくなる男性。言葉を失った女性。若き日の初恋の破綻(男性)。裁判で負け子どもを手放す(女性)。ドイツから韓国に、母親と妹との別離、距離を隔てた地での親友(男性を愛している?)の死(男性)。ドイツでは異物としての視線にさらされる(男性)。その二人はソウルのカルチャースクールのギリシャ語講座で教え・教えられる関係にある。

    なんという複雑に錯綜した構造の小説だろう。執筆に2年間かかったのも頷ける。

    離別を経験し、見えなくなり、発声ができなくなっているからこその出会い(溶け合い)。

    そして、この二人を描写し

    0
    2025年08月05日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    ページを開いた瞬間、まるで自分自身が壮絶な主人公の人生を生きることになったかのような錯覚に陥った。

    韓国現代史の中でも語られることを避けられてきた過去——済州四・三事件の痛ましい記憶である。ハン・ガンはその闇を見つめることを選び、真摯な眼差しで記憶の底から言葉を掬い上げた。その勇気と誠実な筆致に、深い敬意を表したい。

    0
    2025年07月26日
  • 回復する人間

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    肉体に受ける血の流れる傷の他に、罪悪感や後悔や喪失感も紛れもない傷。
    この本に収録されている七編の主人公や登場人物たちほどでなくとも、それらの傷は多くの人にあると思う。
    もちろん、私にも。
    読んでいて、登場人物たちの傷と共に自分の古い傷を改めて意識する。
    登場人物たちはたとえば表題となっている「回復する人間」ではタイトルどおり傷から回復するのだろうか?
    どうやって?
    目が離せなくなる。
    だが、彼らは必ずしも回復するわけではない、と私は思う。

    ただ、登場人物たちは自らの傷との向き合い方、折り合い方を通して私たちがそれぞれ持つ傷に寄り添う。
    傷を抱えたわたしに寄り添う。
    それは同じような痛みを感

    0
    2025年07月26日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    1948年、韓国のリゾート済州島で島民10万人以上が虐殺された。一種の赤狩り?
    朝鮮戦争前の混乱期なのだろうが、この事実を初めて知った。
    この小説は、この事件?をベースに、現代に生きる女性たちが描かれている。
    ストーリーを描いてもピンと来ない。
    木工で指を怪我し入院した女性のために、自死を考えていた友人が
    雪深いアトリエに鳥にエサをやりに行くはめに。
    しかし鳥は死んでいて、彼女は母の幻影を見る、、、、
    母親は済州島虐殺の生き残りなのだ。
    先入観か、文章から韓国の「恨」を感じた。何かある。
    よくわからなかったが、なんだか心に残った。

    0
    2025年07月19日
  • ギリシャ語の時間

    Posted by ブクログ

    視力を失いつつあるギリシャ語講師と言葉を話すことができなくなってしまった女性。
    どちらもコミュニケーションにあってほしい機能が損なわれつつあったり、損なわれている。
    だが、目が見え、言葉を話すことができるからといって、わたしたちは互いを本当に理解し合えているのだろうか。
    その意味で、ギリシャ語講師もギリシャ語を学ぶ女性も他人ではない。
    繊細で美しくたおやかなハン・ガンの詩人の言葉で描かれるそれぞれの置かれている状況や胸のうち。
    それをたどりつつストーリーを追えるのはどこか贅沢なことに思える。
    問題は何一つ解決したわけではないし、二人もやはり分かり合えているわけではない、たぶん。
    にもかかわらず

    0
    2025年07月17日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公がたどり着いたインソンの家にインソンは確かに現れて、小鳥もいたのだと思う。
    インソンが語った島や母親たちの歴史にときに眉をしかめ、身震いした。
    激しく表現される怒りより静かな怒りの方が深いことはままあるが、作者の筆を動かしたのはその静かな怒りと忘却を拒む強い意志に違いない。
    ハン・ガンが描き出す美しく繊細で静謐な世界に浸るのはこの上ない喜びだが、詩のような美しい描写を続ける彼女の目は歴史の傷から逸らされることはない。
    じゃあ、自分に何ができるのかというと、事実を知り悼むこと。
    何処の国のできごとなのかとか、自分は何処の国の人間なのかなど関係ない。
    わたしたちは同じ血の通った人間なのだ。

    0
    2025年07月01日
  • 回復する人間

    Posted by ブクログ

    どれもこれもリアルな傷を抱える女性たちが(ひとりだけ、普通の男性が出てくる)でてきて、それぞれの回復の過程が描かれている。
    回復仕切らない人もいるし、回復を拒む人もいる。
    だけど、人は自然状態で回復していく生き物なのだと感じる。
    生きることは痛いことなのだろう。

    短編「回復する人間」の文章が好きでした。
    文字で遊んでるというような、軽いのに重く静かで、圧巻でした。
    「火とかげ」の痛みと鮮やかな色を感じさせる物語も良かった。
    復活に色がないという着地も見事。

    0
    2025年06月24日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    構成が面白い
    初めて読む形態

    夢なのか現実なのか死んでいるのか
    後半辺りがよくわからなかったけれど
    そんなことはどうでもいいくらい静かに衝撃を受ける
    文体がとても美しい

    『菜食主義者』は少し気持ち悪かった
    次は『少年が来る』を読みたい

    0
    2025年06月22日
  • 回復する人間

    Posted by ブクログ

    静かで落ち着いた美しい文章なのに鋭利な刃物を突きつけられているよう。読みながら心のどこかがヒリヒリした。「左手」はとても怖かった。印象に残る短編が詰まっている。

    0
    2025年06月01日
  • ギリシャ語の時間

    Posted by ブクログ

    美しい痛みに満ちた物語。狂おしい寂寥に満ちた物語。言葉を失った女と視力を失い続ける男。ギリシャ語の授業で出会った二人の喪失を通してこの世界の闇を炙り出す。彼の彼女の数々の記憶から見出される孤独と悲しみ。生きていく上で欠かせない存在の消失。哲学的でありながら詩的な散文。ハン・ガンの見る世界は優しい儚さと繊細な苦痛に満ちている。生きることはあがくことかもしれない。生きることは辛いことかもしれない。それでも生を選択し続ける。神なんて存在しない。ただ、他者を求める狂気に似た感情と愛が存在するだけ。全てを許す愛が。

    0
    2025年05月23日