ハン・ガンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
彼女の著作は何冊か読んできたけれど、今回がもっとも理解しやすかった。このぐらい余白があって文字組みがゆったりしているとちょうどよい。
とはいえやっぱり抽象的な表現が多いので、気を緩めるとすぐに置いていかれてしまうのだけど。
「いちばん暗い夜にも」と題されたノーベル文学賞受賞所感がやけに胸に残った。
〈降りしきる雨脚を眺め、腕やふくらはぎを包む湿気を感じながら待っていたその一瞬、突然気づいたのです。私と肩をくっつけ合って立っている仲間たちも、向かいのビルの前にいるあの人たちも、その全員が全く同じように、「私」として生きているのだという事実を。私が雨を見ているのと同じように、あの人たち一人一人も -
Posted by ブクログ
ネタバレ「回復する人間」というタイトルがぴったりの、7つの短編集。
さまざまな種類の痛みが描かれていた。
私の経験にかなり近い感覚を登場人物たちの中に見たり、語られる言葉によって気付かされることもあり、興味深いながら苦しい読書でもあった。まるで自分の抱えた問題のようにも感じられてくる。他人事と切り捨てることはできない。
折り合いをつけて生きようとする女性たちの、揺れている心が魅力的に見える瞬間もあった。真剣に向き合いながら傷ついている姿は痛ましいはずなのに。
この中では「左手」という作品の印象が強い。自らを追い詰めていく主人公に、ひとつの救いも用意されていなかったからかもしれない。ひとつ間違えば、自分