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Posted by ブクログ
登場人物すべてが、ずっとフルネームで書かれていたので、家族の物語が個人の物語のように思えました。最後の作者の言葉で、家族の物語としては書いていないことがわかり、納得しました。
韓国は夫婦別姓で、子どもは父親の名字を継ぐのがほとんどです。登場人物を把握するのにとまどいましたが、人物図があったので助かりました。私は、一人一人が胸に秘めた思いを吐露する文章を読み進めていくうちに、だんだんこの物語に惹かれていきました。
まだ数多くの韓国の小説を読んでいないし、歴史も詳しくないので、訳者のあとがきで理解が深まりました。現代の韓国人の典型的な人生や朝鮮戦争前後のことを知ることもできました。『年年歳歳』は、著者の疑問、「世の中にはなぜこんなに順子(スンジャ)という名前の人が多いのだろう?」ということからスタートした小説でした。家族が家族に話さなかったこと、言えなかったことが社会や歴史によるもので、そのことに静かに耐えて生きてきたことがわかった物語でした。
Posted by ブクログ
イ・スンイルには二人の娘と一人の息子がいる。下の娘のハン・セジンはイ・スンイルを待っていた。今日はイ・スンイルの母方の祖父の墓参りに行く。その墓は、軍事境界線の近くの山にある。朝鮮戦争の時に両親と親戚の多くが死んでしまい、残った祖父がイ・スンイルを引き取ったという。十四歳になった時、遠い親戚だという者が住む金浦へやって、そこでイ・スンイルは市場の仕事を手伝い、そのうち商店主の仲介でハン・ジュンオンと結婚した。今年が祖父の墓参りが最後になる。足が悪く、もう山にまで登ることが出来なくなるから、廃墓することにしたという。墓参りにはハン・セジンだけが付いてきた。長女のヨンジンも末っ子のマンスも行ったことがない。ましてや夫であるハン・ジュンオンも…。イ・スンイルは子供のころ、順子(スンジャ)と言われていた。スンイルと言う名は、後に戸籍を取って分かったのだ。素直な子であると言う名の順子。戦争と戦後の動乱の中で振り回された順子。その娘たちも今の世を懸命に生きている。
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