斎藤真理子の作品一覧
「斎藤真理子」の「ギリシャ語の時間」「アヒル命名会議」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
言葉を失った女性と視力を失いつつある男。古代ギリシャ語の生徒と教師として出会った二人の過去や喪失が繊細な文体で静かに描かれる。
物語は劇的には進まない。二人の過去も断片的に語られるだけですべてが明らかになることはない。語られない部分を読者は想像する。
終盤、二人の人生が一瞬だけ交差する。言葉を持たない二人は社会的な役割や属性を離れ、ただ人間同士として出会う。それまでの物語がこの一瞬に集約されるように感じる。
誰かとつながることは怖い。失うこと、傷つけること、傷つきやすさと誰かを求めることは切り離せない。その矛盾が悲しく美しいと思えた一冊。
Posted by ブクログ
日本の詩や小説を韓国語に翻訳するチョン・スユンと、韓国文学を日本語に翻訳する斎藤真理子。暮らしや考え方について互いに質問を投げかけ、答え合う往復書簡。お互いの仕事への敬意と人柄への信頼が伝わってくる。質問と回答を通して、似ているところだけでなく、異なる文化や考え方も見えてくるのが興味深い。
国籍や風習の違いを理由に壁を作り、分断を広げようとする国家間の関係がある一方で、こうした個人と個人のつながりこそが大切なのだと実感する。世界が分断に向かっている現代、対話すること、本を通して相手を知ることこそが未来への希望であると、あらためて感じさせてくれる一冊。