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新しい世界を信じて夢見た
彼らが練習した未来へ
著者は、社会問題に独創的な想像力で対峙する、韓国で最も注目される新鋭作家である。 光州事件、釜山アメリカ文化院放火事件からの時間を、歩きながら思索し、つながりあう五人の女性たち。今を生きる・過去を理解する・未来を思うことを重層的に描く物語。
スミと幼馴染のジョンスンはホテルで会って話している。東京の大学院に留学し、仕事に追われる自分に不安になるスミ。ジョンスンは東京で結婚し離婚して、育児の悩みや経済的な苦労を抱える。スミはこの日の朝まで、親戚のユンミ姉さんと一緒にいた。ユンミ姉さんのことをしっかり記憶にとどめておきたいとスミは強く思う。
1980年代、釜山に住む中学生のスミの家に、刑務所を出た大学生のユンミ姉さんが突然やってきた。彼女がアメリカ文化院放火事件の実行犯の一人だと教えてくれたのはジョンスンだった。ある日、ユンミ姉さんがバスで光州へ行くと言い、スミが同行することになる……。
ソウルに住む作家の「私」は釜山を訪れた際、不動産を所有しながら一人で暮らす六十代の女性、チェ・ミョンファンと出会い、その生き方に刺激を受ける。そして、ずっと興味を持っていた釜山アメリカ文化院放火事件に、チェ・ミョンファンも遭遇していたと知り……。
釜山アメリカ文化院放火事件に関わる人々は「来たるべき未来を練習した人」とされ、「私」は現地周辺を歩きながら、当時の人々が何を思い、記憶し、来たるべき未来の練習をしていたか、息をするような等身大の感覚で肉薄していく。
「私」は『チボー家の人々』を心の拠り所にし、ジャックの存在を自身の内にあたたかく感じ取る。人々が練習した未来は今日に続き、悩みながら懸命に生きる読者一人一人と強い信頼を結ぶ。
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Posted by ブクログ
民主化した韓国の現在が80年に起きた光州事件に対する高神大学の学生ムン・ブシクが中心として起こしたアメリカ文化院放火事件が契機となっていることの示唆とその緩やかな接点を「私」と「スミ」という二人の人物を通して描かれている。
一つの作品の中に「私」と「スミ」の時間を曖昧な形で共存するように描くことは、小説でよくあるストーリーインストーリーのような入れ子構造でもなく、パノラマ写真のような異なる時間を並列に収める構造も独特で面白い。
ユンミ姉さん、キム・ウンスクといったアメリカ文化院放火事件の実行犯も未来練習した人であり、本作の登場人物たちも未来散歩練習をしながら過去に未来散歩練習をした現在にいる。
高神大学の学生が起こしたこと、聖堂や教会や十字架といったキリスト教に関しての描写は読者に殉教者へのまなざしを喚起する。
Posted by ブクログ
終始不思議な本だったけど、この本にしかない不思議な時間が心地よくて、時々何を言っているのかわからない(わかるけど、意味するところがわからない)こともあったけど、それすらもフワフワと心地よかった。読んでいる時間に自分の心をそのままにしておけるような丁寧さがあって、自分も自分の心に無理せず素直にいられるような気がした。
手繰り寄せたい未来のためにどんな今を反復すべきかという問いの意味は私にはまだしっくりと分からなくて、未来なんて来なければわからないし、きっとここでいう未来は、想像した先の未来のことも含んでのことだと思うんだけど、それがどうも自分にはカラダで理解できてる感覚じゃなかった。
もしかしてその感覚を私は知っているけど、書かれていることとこれが同じだ、ってまだ気づいていないだけなのかもしれない。
私もチボー家の人々読みたいなーとか、英語の勉強しようかなーとか他愛もないことを思った。
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