斎藤真理子のレビュー一覧

  • すべての、白いものたちの

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    すきだった。
    出産直後の話と死産の話で号泣してしまった。
    散文的だけど心にずしっとくる。
    読み返したい大切な本になった。

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    2026年01月24日
  • 未来散歩練習

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    民主化した韓国の現在が80年に起きた光州事件に対する高神大学の学生ムン・ブシクが中心として起こしたアメリカ文化院放火事件が契機となっていることの示唆とその緩やかな接点を「私」と「スミ」という二人の人物を通して描かれている。

    一つの作品の中に「私」と「スミ」の時間を曖昧な形で共存するように描くことは、小説でよくあるストーリーインストーリーのような入れ子構造でもなく、パノラマ写真のような異なる時間を並列に収める構造も独特で面白い。

    ユンミ姉さん、キム・ウンスクといったアメリカ文化院放火事件の実行犯も未来練習した人であり、本作の登場人物たちも未来散歩練習をしながら過去に未来散歩練習をした現在にい

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    2026年01月24日
  • すべての、白いものたちの

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    ノーベル文学賞を受賞した作家の本という事で読んでみる事に。喪失と寂しさを抱えた一人の女性が静謐な筆致で姉の事を想像しながら心の隙間をそっと埋めようとするとても優しい文章だった。
    冒頭の母が最初に産んだ子供、つまり私の姉が生後たったの数時間で亡くなる描写に涙が止まらなかった。

    「一人で子供を産んで産着を着せる。か細い声で泣くその手のひら程の赤ん坊を抱いて何度となくそうささやきかけた。初めは閉じていた赤ん坊のまぶたが1時間で嘘のようにぱっちりと開いた。その黒い瞳を見つめてまた呼びかけた。
    「死なないでお願い」さらに1時間して赤ん坊は死んだ。死んだ子供を胸に抱いて横たわり、その体が次第に冷えていく

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    2026年01月20日
  • 光と糸

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    8歳にしてあれほど胸を打つ詩を書けるとは。
    本の出版前に、ネット記事で偶然出会ったこの詩を、紙の本の上で眺められることが純粋に嬉しい。

    近頃はディストピア小説の話かと疑うほど、悲惨なニュースを目にすることの多い世の中だが、せめて平和を求める皆さんと金の糸で繋がっていたい。

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    2026年01月16日
  • すべての、白いものたちの

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    ハン・ガンの「すべての、白いものたちの」。
    とても良かった。
    生まれて2時間で亡くなった姉を思いながら書いた物語。

    美しく、心に沁み入るような詩的な文章で、ひとつひとつの言葉が雪の結晶のように繊細ではかなげで、読んでいると心が静かに張り詰める感覚になる。

    余白が多く、読み手に多くを委ねられているので、一文一文をどういう感情なのか、何を語っているのかを丁寧に心に落とし込み、沁み込ませながら読まなければならないのは少し労力がいるけれど。

    第二章「彼女」を読んでいる途中で迷子になりそうで、一旦はじめから読み返してみて、それでなんとか物語の世界観をぼんやりとつかめたような気がした。

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    2026年01月16日
  • 年年歳歳

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    “ハン・ヨンジンは赤ん坊との間隔がちょっと開いて初めて、相手と関係を結ぶことができた。子供をじっと見ていたい気持ち、次の表情や次の行動を不思議に思い、知りたくなる気持ち、子供のしかめっつらをかわいそうだな、かわいいなと思って見ていられる気持ち、寛大に対応してやりたい気持ち、忍耐力・・・・・・すべてはその間隔の後に来た。自分の母性にはそれを呼ぶもっと適切な名前が必要だとあるときハン・ヨンジンは思ったが、それは生まれつきのものではなく、その間隔と関係から学習され、形成されたものだった。”(p.64)

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    2026年01月11日
  • 光と糸

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    ハン・ガンの言葉は、純度の高い結晶のような透明感があるように感じる。文学に誠実に向き合い、文学、言葉の力を信じ、人間への信頼を模索し、人間の二面性について考え続けてきた、ハン・ガンの誠実さをこの一冊を通して感じることができる。
    暴力によって、人間の尊厳が破壊されてきた歴史を描きながら、同時に、「愛とは」という問いを絶えず読者にも語りかけてきた。
    私は、ハンガンの文学を通して、愛を与えられてきたんだとこの一冊を通して思った。ハンガンの誠実さ、人と人が繋がることができることを信じる強さ、文学によってそれを実現しようとする力を、ハンガンは文学を通して伝えてくれるように感じる。
    「北向きの庭」「庭日記

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    2026年01月07日
  • 回復する人間

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    よしもとばななの「キッチン」は喪失をシェアすることで慰めをくれるけれど、ハンガンは違う。彼女は、ほら見て私もここに傷があるの、でも美しいでしょ、と静かに目を見つめて言ってくる。

    痛々しい。でもなぜか目を離せない。
    先を読むのが怖い。でも読まずにはいられない。

    傷は放っておいてもいい。でも、看過ごせない傷はじわじわと"私"を侵食し、やがて自分の一部になる。

    時間が解決する、とは本当だろうか。この世界には自然治癒力が働く場所と、そうでない場所がある。勝手に治る傷ばかりではない。自ら回復に向かっていくことで、人はしなやかに強くなっていく。

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    2026年01月05日
  • 光と糸

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    読み終えるのが惜しくて好きな箇所は何度も反復して文章を噛み締めた。特に「いちばん暗い夜にも」が好き。ガーデンニング日記は文章で森林浴しているみたいな気持ちになった。鏡を使って北側の庭に光を当てるということは目から鱗。

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    2026年01月05日
  • すべての、白いものたちの

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    ノーベル文学賞を受賞した筆者の本の中で読みやすそうだったため、購入しました。この本の中では、当時22歳だったお母さんが家でいきなり破水し、連絡しようにも村に1台しかない電話があるお店まで歩いて20分もあるため、筆者のお姉さんになる方を一人で産んだが、2時間後に亡くなったというくだりが印象に残っています。お母さんは「しなないでおねがい。かぼそい声で泣く手のひらほどの赤ん坊を抱いて、何度となくそうささやきかけた。」とあります。私も生きていて欲しかったと思っています。(22P)
    この本はどのページも文章が透明感に溢れています。スッキリとした気持ちになりたい方にお薦めします。

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    2026年01月03日
  • 光と糸

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    ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」全文のほか、創作についてのエッセイ、5編の詩、光を求めて枝葉を伸ばす植物をめぐる庭の日記で構成される。

    創作のため、常に自問自答するための問いを立てていたというが、それよりもずっと昔の少女が愛についての詩を残していたということと、その問いは少女の詩に帰結するという気付きがいまのハン・ガンを作り上げたという。その気付きと庭仕事はどこか生命の営みとしてつながるように思う。美しい本だった。

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    2026年01月03日
  • 光と糸

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    過去が現在を助けることはできるか?
    死者が生者を救うことはできるのか?(P19)
     

    『光と糸』ハン・ガン

    ハン・ガンさんの紡ぐ言葉は、
    心を捻じ切られるような痛みに満ちていながら、
    なぜか最後には、すべてが包み込まれるような静けさを残す。

    暴力と涙が当たり前のように繰り返されるこの世界で、
    彼女の描く世界だけは、どこまでも白く、静謐だ。



    国があり、人種があり、過去と未来がある。
    そこには必ず境界が生まれ、諍いが生まれ、
    そして虐殺が繰り返されてきた。

    けれど本書を読んでいると、
    「言葉」と「知ること」が、
    その境界線を静かに滲ませていくように感じられる。

    断絶の向こう側に、

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    2026年01月01日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    半分くらいまで読み進めた時、もうしんどくて読むのをやめてしまおうかと思った。久しぶりにこんなに辛い小説に出会った。心が折れそうになっても、何とか結末まで頑張って読んでほしいです。

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    2025年12月30日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    恵まれすぎもしない悲惨すぎもしない、最大公約数的な韓国人女性の物語。日本人女性にも通じるものがあり、そして描かれ方がより私たちに諦念を感じさせるものだった。
    私は幸いに仕事でジェンダー差別を受けたことは無いが、日常生活の中で他人事とは思えない要素がたくさんあって胸が苦しくなった。
    この作品の中で抱いた諦念をそのまま現実に定着させないために、ひとりひとりが男や女であるよりも前に人間であるということを多くの人がこの作品を感じると良いなと思った。

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    2025年12月27日
  • すべての、白いものたちの

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    「文学」を読んだ。
    今までの人生の中で読んだものと、違うもの。

    閉じた瞬間に読み返したのは、初めてかもしれない。

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    2025年12月24日
  • 回復する人間

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    一つ一つの文が、とにかく美しい。なのに、ヒリヒリとして、切なくもなる。
    ハン・ガンの作品は、私を全く違う場所へと連れて行ってくれる。
    喪失感が襲ってきた時、きっとこの本で描かれていた人達を思い浮かべ、また歩き出すのだろう。

    青い石と火とかげが特に好き。

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    2025年12月21日
  • すべての、白いものたちの

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    白いもの〜とても儚く優しいものだったり、強烈なものだったり。詩的な美しい文章で綴られていたかと思いきやズドンと悲しみが押しよせたり。ふとした時に何度も目を通したくなる一冊となった。

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    2025年12月17日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    「お姉ちゃんの長女病」が心に残った。
    全編を通して出てくる家族という呪いに力尽き果てた姉が印象的だった。
    姉にはどうしても大好きな家族が必要だったけど、必死に守ってきたその家族は姉のことを搾取することしか考えていなかった。
    本当に誰も正しく愛する術を学ばなかったし、持たなかったんだなと思う。

    著者の素直な言葉から、これまでつけられた無数の傷から回復しようともがく思いがよく伝わってきた。愛すべき友人たちがどんどん失われていく箇所も壮絶だった。
    著者の人生に穏やかな日が1日でも多く訪れてくれることを願ってしまうような、祈ってしまうような本だった。

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    2025年12月15日
  • 別れを告げない

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    1948年済州島の4・3事件をモチーフに、作家と事件のサバイバーの娘との友情を超えた愛の物語

    歴史を乗り越えて今、を生きる2人の結びつきに感嘆してしまいました…

    そして事件の哀悼を終わらせないメッセージをじっくりと受け止めました

    主人公キョンハの片頭痛の発作の痛みと娘インソンの切断された指の医療措置に呼応する、不思議なあらすじの枠組みも印象的でしたし、

    雪の描写が択一で、あくまで静かなのに、哀悼がしんしんと迫るような感じがやはり素晴らしかったです

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    2025年12月05日
  • すべての、白いものたちの

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     色褪せて錆びた傷だらけの白いドア、塗り
    重ねた白いペンキ、しんしんと降る雪。雪の
    ように真っ白なおくるみ、白いきれで縫われ
    た産着、タルトックのように真っ白な赤ん坊。
    「私」は、「白いもの」について書くことだ
    けを決めて、祖国から遠く離れた都市に滞在
    する。理解できない言葉が飛び交う街で、孤
    独が深まるにつれて思いもよらない記憶が生
    々しく蘇り、自らの内面へと逃げ込んでいく。

     私が踏みしめているその街は、七十年前に
    作り直された街だった。ナチスによって完璧
    に破壊され、瓦礫の砂に包まれた白い街に、
    二時間だけ生きた姉の姿を重ねる。夜明けの
    霧の中で、姉である「彼女」に私の生を差し
    出し、

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    2025年12月04日