斎藤真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作のテーマは「言葉」。わたしたちは何気なく言葉を発したり文字を打ったりするが、言葉というものの重みがずっしりと感じられた。
物語は視力を失いつつある古典ギリシャ語の先生と、言葉を失ってしまった受講生の女性が軸になる。人生で傷ついた人たちが、冷たい雨が降りしきる中、そっと肩を寄せ合うような様子が浮かぶ。ハッピーエンドではない。ただバッドエンドでもない。わからないもの、わかりあえないもの、わかりたくないものが曖昧かつ混沌に混じり合うこの世界を包み、読者に提示している。
前編を通して静かな詩のような文章で構成されており、訳者の斎藤真理子さんの力も相まって、プロットをを一字一句しっかりと味わいた -
Posted by ブクログ
初めて韓国に行ったので、旅行のお供に連れて行った。とても良いお供だった。
改めて朝鮮半島の近現代の壮絶な歴史に触れ、それを下地にして成り立っている韓国文学の底力みたいなものを感じた。
考えてみると韓国の民主化は80年代でつい最近のこと。それまで植民地時代、朝鮮戦争、軍事独裁政権…と苦難が続いた。日本に主権を奪われた植民地時代だけでなく、同じ民族同士で殺し合った朝鮮戦争、国が市民に銃を向けた独裁時代があった。
私はいつも中国の近現代をみるとその凄まじさに圧倒されそれを乗り切ってきた人民たちに敬意を持ってひれ伏したくなるのだけれど、そしてそんな中国の陰に隠れてきたかもしれないけど、朝鮮半島もかな -
Posted by ブクログ
82年生まれ、キム・ジヨン
著者:チョ・ナムジュ
子育て中に異常行動が表れた1人の女性患者のカウンセリング記録という形で進行していく小説。
過去から現在に至るまでの韓国社会における女性差別の実態を告発するかのような内容で、フェミニズム本のような読み味だった。
出生、進学、就職、所得、結婚、育児
様々な点においての男女格差を極めて普遍的に描いており、その普遍さが薄い膜のように作品を纏い、とても不気味で恐ろしいものに感じた。
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「でもさ、ジヨン、失うもののことばかり考えないで、得るものについて考えてごらんよ。親になる事がどんなに意味のある、感動的なことかをさ。それ -
Posted by ブクログ
斎藤真理子さん曰く「編集は世界を作ること、翻訳は世界を歩くこと」。他人の世界を丁寧に歩いてこられたお二人だからこそ、言葉の扱い方/拾い上げ方、お互いの書簡の読み取り方が、とんでもなく細やかで心地よい。
「塩食いの会」「ヴィーヴァ!藤本和子ルネサンス、ヴィーヴァ!」などのパワーワードが頻出する、藤本和子とリチャード・ブローティガン(わたしは文字のタトゥーを入れるとしたら、『アメリカの鱒釣り』の一節にしようと思っているので)の話を筆頭に、各々が担当された作家やお二人の育児話など、読み応えがありすぎる。
あと、わかってはいたけれど、読みたくなる本の話題がドカドカ出てきて、リストがパンクしそう。 -
Posted by ブクログ
海外文学、翻訳作品に縁遠く、シドニィ・シェルダンの超訳ものまで遡らないと読んだ記憶がないです。
翻訳作品は日本語が硬く感じてしまいリズムで読めないので苦手意識があります。
ところが、この作品はその日本語の硬さが登場人物の孤独を際立ててとても冷たく感じマッチしているように感じました。
最後二人の体温を感じる場面へのグラデーションの美しさと速度に映画を観ているような気持ちになりました。
韓国ドラマはたまに観ますが文学は初めて触れたかもしれません。
なんと美しい文章なんでしょう。
少し難解なところもありますが「これぞ文学」という作品のひとつかもしれません。
海外文学といえば欧米が舞台の作品を多く目に