斎藤真理子のレビュー一覧

  • すべての、白いものたちの

    Posted by ブクログ

    読後に皆さんの感想を眺めていくと文庫本の後書きがいいらしい。読みたいがハードカバーで読んだため無念、確認出来ない。

    でも手に取った時にビックリしたのは、違う質の紙がいくつも混ざっていた事。文庫本もそうなのか?最初は何かの間違いなのかと思った。でもそんなはずはない。途中でハッとする。
    そうか、

    白いものたちの

    だから同じ白でも違う白の紙を意図的に使ってるんだと気付く。
    途中フォントが違う作品もあった。

    静謐な雰囲気に細やかな仕掛け、モノクロ写真の挿入と本そのものが。全てが。白いものたちのだった。

    詩のような散文のような。
    訴えてくるテーマは重いけどそれが白というフィルターを通って透き通

    0
    2026年02月16日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    済州島での虐殺を小説にしたものであるが、虐殺そのものではなく、主人公とその友人の現在の大雪の風景を背景として考えるものである。あとがきでは33ページで朝鮮戦争から済州島での虐殺が説明されている。なかなか日本では詳細を理解することが難しいので、この小説は済州島虐殺を知っている人が前提であるが、日本人にとっては地図があるほうが助かる。

    0
    2026年02月06日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    今ではすっかりリゾート観光地として有名な済州島。80年弱前のその島で、怖ろしい虐殺事件が起こっていたことをうかがわせる影はまるで無いように見えてしまう。

    けれどそうではなく、実際に今もなお数知れないほどの遺体が土の下や海の底に埋もれたままで、縁者を探す人、真実を求める人たちがいる。そのことを、この本を通じて、そしていくらか調べることで、きっとほんのわずかにすぎないだろうけれど知った。知れて、良かったと思った。

    私小説に近い体裁で綴られる二人の女性の物語の現在では、しんしんと重苦しく雪が降り続ける。あらゆる生命の活動を抑えつけるような圧迫感のある静かな雪は、一方であたたかな命を持つ頬では他愛

    0
    2026年02月03日
  • 翼~李箱作品集~

    Posted by ブクログ

     母国である観光ではその名を冠する賞も樹立されているほどの評価を受けている李箱さんの作品集。全体的に厭世的で無気力な雰囲気が漂っている作風で、この世を俯瞰しているかのような達観した思考を持った主人公が多かったです。
     話の流れはどれも不明瞭かつ難解だと感じましたが、左記も登場人物の各々が、自己の殻に閉じこもって一人この世の実質を思考し続けた末の結果なのかなと考えました。
     表題にもなっている「翼」においては収録作の中では最も理解しやすい話だと感じており、また相当な感動を受けました。左記作品を読むためだけに買ってもおつりが来ると私は思いました。
     本作の約1/3ほどは作者である李箱さんの解説に費

    0
    2026年01月31日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

    Posted by ブクログ

    なかなかの地獄一家のお生まれ。でも冷静に自分の感情を分析して、飲み込まれないようにサバイブする能力に長けていると思った。命のやりとりをあまりにも身近に経験しているからこそ研ぎ澄まされていく芯みたいなものを感じる。

    0
    2026年01月31日
  • 光と糸

    Posted by ブクログ

    この本は、訳者あとがきに書かれているとおり、ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」を含む受賞関連の文章三つと、単行本未収録の詩と散文、そして庭仕事を通しての暮らしと心境を綴った「北向きの庭」と「庭の日記」から成っています。

    韓国のつらい歴史に対しての疑問と葛藤、そして愛についても考え、悩み、自分と向き合いながら小説が完成するまでの葛藤の日々がこの本に綴られていました。

    彼女が八歳のときに書いた一編の詩の始まりで、感性豊かな子どもだったこともわかりました。かわいいハングルの直筆の写真もありました。

    「庭の日記」では彼女が庭の木々を慈しむ日々が書かれていました。表紙の写真も、ハン・ガンさん自身

    0
    2026年01月28日
  • 光と糸

    Posted by ブクログ

    ハン・ガンはずっと何かに苦しんでいる。世界をより良くするため、世界から苦しみを取り除くため、自分も血を垂れ流しながら戦っている。だからなのか、彼女が書く文章はどこか寂しい感じがする。世界を諦めたいけれど、諦めきれていない。どうして世界はこんなにも美しい。そう問い続けている。8歳の時に書いたという詩に心打たれた。その年齢だからこそ書ける詩。その年齢の子が書いたからこそ大人の心を揺さぶる。

    0
    2026年01月17日
  • 光と糸

    Posted by ブクログ

    ハン・ガンさんの著書を読むと強く感じることがある。
    言葉が生きていて、自分の身体の内部に浸透すると。
    言葉を読まされているのではなく、読み進めたいと欲する感覚はなかなか味わえない。

    エッセイや詩、ノーベル文学賞受賞記念講演事の言葉達。
    冒頭からの過去作への制作過程や心情を知ると、間違いなく全部読みたくなります。
    ハン・ガンさんが人に対する愚かさや残酷さを考え絶望すると同時に、それでも美しさや愛を考え希望を探して生きていることに心うたれました。

    過去を想い知ることで、今を生きる喜びや意味を見つけたくなりました。
    ハン・ガンさんの綴る言葉には温かさと冷たさが混じっていて、闇がないと光もないのだ

    0
    2026年01月09日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    現実と非現実が入り混じり、景色や空間、人の仕草が美しく描かれると同時に、済州島の悲惨な事件の残酷な様子が細かく書かれ、独特の静謐な世界観を味わいました。
    この作家さんの本はクセになります。

    0
    2025年12月31日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    ノーベル文学賞受賞作家のハン・ガン氏による済州島四・三事件をテーマにした作品。
    ハン・ガン氏の文章は静謐で無機質な広い空間に置かれた美術館のオブジェのような印象を受ける。現実と幻想の境界線を曖昧にし、共感による痛みにより自己をバラバラにし昇華し再生し物語を紡ぐ。
    愚かさと哀しみに満ちた済州島四・三事件を決して忘れず哀悼を終わらせず語り継ぐという強い意志とともに、本作品の物語の本質は女性ふたりの繊細な感性の重ね合わせにあると思う。

    0
    2025年12月22日
  • 光と糸

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ハン・ガンのノーベル賞講演スピーチ、詩と日記をまとめたもの。

    ノーベル賞受賞時の講演のスピーチは、これまでの作品に触れ、その時々で何と向き合ってきたかが明らかになるもの。若干、ストーリーのラストに触れている作品もあるのでネタバレ注意。

    あとはガーデニング日記。それすらも美しい文章笑。

    ボリュームの割には…と思わなくもないが、未訳の初期作品の邦訳なども予定されているとのことで、非常に楽しみ。

    0
    2025年12月21日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

    Posted by ブクログ

    全人類に読んでほしい、特に男性に。
    最初から最後までしんどくて、生きてくのがうんざりする内容。この主人公でマシな方らしいので、もっと大変な目に合っている女性がかなりいるのかと思うと言葉が出ない。
    出てくる女性が皆かっこいい。

    0
    2026年01月24日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    やっと読めたノーベル賞作家。とはいえ、最初に気になったのは受賞前のフリスタで、そこから読みたいとは思っていた作品。煽り調子の訳でなし、目まぐるしい展開があるのでもないんだけど、なんだかページを繰る手が止まらず、どんどん先を読まされる。題材選定やら、それに合う文体やら、諸要素が重なってのことだと思うんだけど、なかなかその正体が見えない。そんなちょっとしたモヤモヤも含めての文学なのかもしれないけど、言語化しにくいものだけに、得意とか好きになりにくいのかもしれない。文学を味わうにおいての自身の課題。

    0
    2025年12月19日
  • 光と糸

    Posted by ブクログ

    ハンガンのノーベル文学賞受賞スピーチ他、詩や庭にまつわるエッセイ等まとめた一冊。

    「過去が現在を助けることはできるか? 
    死者が生者を救うことはできるのか?」

    いつか答えは出るのかな。

    この美しい本を書店で手に取った時、通りかかった親子が「ギリシャ語の時間」を買って行くのを目にした。

    糸は繋がってる。

    0
    2025年12月19日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    韓国の小説にはいつも出会ったことがない言葉が書いてあって驚かされる

    本文より
    「〜子供をを産む母親には、痛みもしんどさも死ぬほどの恐怖も喜んで受け入れて勝ち抜けというのである。それが母性愛であるかのように。母性愛は宗教なんだろうか。天国は母性愛を信じる者のそばにあるのか。」

    あとがきより
    「キム・ジヨンさんは今も、ましにもならず悪くなりもせず、何かを選択することもそこを去ることもせず、問いかけもしないし答えもしません。答えを探すのは、小説の外を生きていく私たちの役目であるようです。」
    これ、どの小説に対しても同じこと言えるじゃんって、慄いた

    0
    2025年11月25日
  • 別れを告げない

    Posted by ブクログ

    韓国済州島というと観光地としてのイメージしかありませんでした。韓国の歴史、済州の歴史を知ってこそこの作品を理解出来るのだろうと思います。この作品の底流に流れるもの、シンシンと降り積もりつづく雪は単に空から降り積もっているのみならず、心の中にも積もり続けているんだろう。

    0
    2025年11月21日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

    Posted by ブクログ

    キム・ジヨンさんの半生を通して、韓国における女性への差別が表現されています。共感してしまえるのが、悲しかったです。そして、終わり方のあっけなさ、無関心さといったら。。

    出産前に退職する時のキム・ジヨンさんは、身近すぎて読んでいて苦しかったです。自分は、命を落とす可能性すらある出産で体がぼろぼろになり、慣れ親しんだ仕事も失う。男であるあなたは、と私も問い詰めてしまいそうです。

    相手は、そんな事を言うなら産まなければいい、と思うかもしれません。他人事なら私もそう思います。だから、そうは考えないパートナーと人生を歩みたいです。

    0
    2025年11月19日
  • フィフティ・ピープル[新版]

    Posted by ブクログ

    韓国の物語だからそんなに感情移入できないと勝手に思っていたが、読み終わってからその認識がいかに甘かったか考えさせられた。
    背景に持っている国や文化が違っても、私たちが直面している問題や考えにはさほど差がないことに驚かされたとともに、力強さ、そして非力さも感じた。
    私ごとだが、最近母親になったばかりで、今まで見たことがある作品を改めて見返した際、感情移入する登場人物が子供から母親に変わったことに自分自身困惑したことがあった。この本もきっと、私とともに成長してくれるのだろう、と感じた。

    0
    2025年11月17日
  • ギリシャ語の時間

    Posted by ブクログ

    言葉を話せなくなった彼女とギリシャ語講師以外の登場人物や、物語の中での「私」や「彼女」が誰のことなのか、誰が語っているのか、その場面ごとになかなか把握できなかったこともあり、感想を書けるほど読み深めることはできなかったけれど、ハン・ガン氏の抒情的な世界の一端に触れる良い経験になった。

    0
    2025年11月15日
  • 誰でもない

    Posted by ブクログ

    短編集の題名「誰でもない」という短編は収録されていません。冒頭に「誰でもない、をなんでもない、と読み違える」と書かれています。「誰でもないから、みんなのことでもある」って意味合いでしょうか。

    『上京』
    語り手の女性は、恋人のオジェとその母といっしょに田舎の唐辛子畑に行った。値上がりする都会の生活費、何でも安いけれど人がいない田舎。韓国経済の悪循環。
    オジェはソウル暮らしに疲れ、田舎に移住しようかと考えていたが、田舎でしっかり根を下ろすほどの確固たる決意もない。

    『ヤンの未来』
    語り手の女性は、就職難から契約職員として何度か転職し、その時はビルの地下の書店で働いていた。ある時店に来た女子高生

    0
    2025年11月14日