斎藤真理子のレビュー一覧

  • 回復する人間

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    ネタバレ

    「回復する人間」というタイトルがぴったりの、7つの短編集。
    さまざまな種類の痛みが描かれていた。
    私の経験にかなり近い感覚を登場人物たちの中に見たり、語られる言葉によって気付かされることもあり、興味深いながら苦しい読書でもあった。まるで自分の抱えた問題のようにも感じられてくる。他人事と切り捨てることはできない。
    折り合いをつけて生きようとする女性たちの、揺れている心が魅力的に見える瞬間もあった。真剣に向き合いながら傷ついている姿は痛ましいはずなのに。
    この中では「左手」という作品の印象が強い。自らを追い詰めていく主人公に、ひとつの救いも用意されていなかったからかもしれない。ひとつ間違えば、自分

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    2025年10月27日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    出張で行った高松市の素晴らしい書店、ルヌガンガで購入。

    血縁との葛藤の苦しみや寂しさを知っているつもりだったけれど、著者の家族の苦しさを読むと、自分は甘えてるのだろうかと思う。

    猫のジュンイチとの二十年間の愛を誇らしいというランさんを羨ましく思った。

    子どもとの関係は、自分が人間として欠けている部分、未熟な部分に向き合う辛さもあるし、親にしてもらえなかったことを、見よう見まねで親として子どもにしてあげるときに、苦しい気持ちになることがある。相手が別個の人間だから、ずっと触れていられる時間は赤ちゃんから幼児期くらいまで、その分言葉で話し合って、分かち合えることも多いのかもしれないけれど。

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    2025年10月27日
  • 82年生まれ、キム・ジヨン

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    意外な終わり方をしていて声もでなかった
    ページをめくったら終わっていた⋯
    日本にもあるけどそれ以上かもしれないテーマの深遠さ⋯

    キム・ジヨン
    三十三歳 三年前に結婚し、昨年、女の子を出産。三歳年上の夫とともに暮らしているが、自分に向かって吐きかけた他人の言葉をきっかけに異常行動が表れる。夫に連れられて精神科を受診 その担当医が書いたカウンセリングの記録という形の小説

    韓国社会における、過去から現在に繋がる女性差別の実態が表現されていて、キム・ジヨンの人生を振り返る形で話が進むフェミニズム小説

    訳者あとがきにもあるように、文芸とジャーナリズムの両方の側面があり、キム・ジヨンが体験してきた悩

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    2025年10月24日
  • ギリシャ語の時間

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    いつか読みたいと思って積んでいた1冊。カバーの白と淡いグリーンが素敵です。わかりやすく楽しいストーリーというよりも、文学的な雰囲気を味わうといった感じですかね。詩のようなパートもあり、これがハン・ガンの世界観なのか…!と。他の作品も味わってみたいです。

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    2025年10月19日
  • 別れを告げない

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    ネタバレ

    ノーベル文学賞で話題になったハン・ガンの作品を2025年最初に読んでみました…

    とにかく…すごかった←

    #別れを告げない
    幻想的で静謐な語り口で、一九四八年に済州島で起きた虐殺事件について掘り下げていく。人が人にたいしてなし得るもっとも残酷なことを、語り手の女性と、その友人は、生死の境があいまいな空間で話し続ける。
    すごく不思議な世界観の中で残虐的な歴史が解説されていくのが…少し読みにくいと感じたりもしたけど…一回読んだだけではこの本の半分も理解出来なかったんだと思うけど…訳文がものすごく美しく…そして悲しくてせつなくて…こんな歴史があったんだなと…読めてよかったと思いました。

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    2025年10月17日
  • 回復する人間

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    短編なので読みやすいと思ったが、内容が余りにも濃すぎてくたびれてくる。

    歳のせいかふと感じる恐怖や不安と言った物を言葉として表現されると少し心が重たくなる。

    それだけ重厚な内容なんだろう。

    決して嫌いではないがだんだん疲れてくる。

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    2025年10月17日
  • 韓国文学の中心にあるもの

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    ネタバレ

    セウォル号のところ読んで知らなかった事実が知れて…
    亡くなった子供たちが可哀想でならない。

    歴史の勉強にもなりました。韓国では戦争がまだ終わってないから6.25 韓国戦争と言って戦争が始まった日のことを言うのですね。1950年に戦争が始まったけど、1945年から既に分断していたとも。

    沢山本の紹介があって読んでみたい本も増えました。

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    2025年09月26日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    50人の主人公が韓国の郊外の大病院をハブにして、それぞれの人生を繰り広げる。

    一人ずつの人生が、各10ページ前後の章にわけて展開される。登場人物たちは、他人の章にちょくちょく顔を出し、一つの病院をハブにして、たくさんの人達の人間関係の繋がりが感じられるところが面白い。

    また本の中に、韓国で起きている様々な社会問題が取り上げられているところも、現代の若手小説家っぽさを感じられて良かった。

    シンクホールなど、最近の日本でも大きく取り上げられている問題もあるが、韓国の医師の労働環境の劣悪さは衝撃的だった。

    週100時間労働は平均値で、今は制度が変わってきてはいるものの、週88時間までは合法ら

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    2025年09月21日
  • 優しい暴力の時代

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    優しい暴力の時代というタイトルのインパクト

    手抜き工事によるデパート崩落事故の「三豊百貨店」北朝鮮と韓国の少女たちが異国で出会う「ずうっと夏」
    が印象に残った

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    2025年08月24日
  • 誰でもない

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    金、階級、貧富、親族、環境、などの様々な理由による壁やどうしようもなさが詰まっている。
    国が違うので同じ感覚とならないところもあるが、それでも大きく人というくくりでみれば「あぁ、わかる」や「どうにかならないか」のオンパレードで閉塞感や息苦しさでつらくもなるが、実際の人生と同じくとまることはできない。

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    2025年08月11日
  • フィフティ・ピープル[新版]

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    ネタバレ

    韓国文学。
    50人の物語は登場人物を把握するだけで大変。カタカナの名前が覚え難くて、似た名前も多いから、前にでてきた人なのか新たな人なのか、気になって物語に集中できませんでした。

    50人の物語をそれぞれ考えるのは大変だろうなあと思いました。

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    2025年07月20日
  • 翼~李箱作品集~

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    植民地時代の朝鮮にも
    モダニズム文化は日本から流入した
    そしてやはり古い文化との軋轢が生じたんだ
    李箱という人は新旧文化の…
    別の言い方をすれば日本と朝鮮のはざまで
    一足早くポストモダン的なものに目覚めたらしい
    将来の家父長たるべき若旦那として
    消費社会の恩恵もいっぺんに受けたいという
    ぼんくらの願いそのもの、と僕には見えるんだけど
    でもまあそれが人の本音というものですよね
    ドストエフスキーなんか捨てちゃって
    マルメラードフのように生きたいね

    「烏瞰図 詩第一号」
    群衆のなかに「私」は存在しない
    透明な存在として溶け込んでいる

    「翼」
    妻に飼われて生きてる亭主
    飯を出してもらった上に寝てば

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    2025年06月30日
  • タワー

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    巨大タワーを独立国家として物語が展開されるというシチュエーションが斬新。収録作の「タクラマカン配達事故」が特に良かった。コミカルに描きつつ、社会風刺の緩急が絶妙だった。ただ、抽象化されている部分が多く、物語への没入のしづらさも感じた。

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    2025年06月19日
  • 影犬は時間の約束を破らない

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    淡々と話が進んでいく物語。冬眠する人と観察し世話をする仕事をする人との出会いや繋がり、日常をふんわりとした雰囲気でしかも生活感を感じさせないので疲労している時や心穏やかになりたい時に何も考えずに読むことで浄化できる気がする。
    冬眠を見守る仕事はある程度の期間1人の人と接触し、しかもほとんど話す事もない、そして孤独感もないと思うのであったらやってみたいなぁ。

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    2025年06月03日
  • サハマンション

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    これは面白くなかった〜。これもチョ・ナムジュの作品なんだけど、近未来の架空の都市国家舞台にした連作短編なんだけど、設定も展開もやたら意味深で思わせぶりで、最後までほとんど何も語られない。そもそも物語として喜びを感じられるシーンが皆無だった。読んでて苦痛だったな。めちゃくちゃ時間かけてしまった。ボストンに持って行ったのにほとんど読み進められなかった。つまらなかった。

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    2025年05月30日
  • 優しい暴力の時代

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    暴力の連鎖は止まらない__
    絶望的な世界で生きる痛みを記録した短編集。
    生きているから傷つき、傷つける。被害者意識が強くなりがちだが加害者でもあることを忘れてはいけない。優しいと暴力の組み合わせに違和感を感じたがあとがきを読んで納得した。

    すっと入ってくる内容ではなかったので、読み進めるのに時間がかかりました。

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    2025年05月24日
  • ギリシャ語の時間

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    中動態。能動態と受動態、そのどちらでもない行為。
    和解のできなさと明確に分類されない態とともにたゆたう2人がゆっくりと出会う。
    やはり今作も静かに物語は進むのだが、心の奥底にじんわりと炎立つ力強さも携えている。

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    2025年05月16日
  • 誰でもない

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    情景は、リアルに感じられるのに、そこと、ストーリーの繋がりを、汲み取るのが、私には、難しかった

    それでも、読み終わった後のなんとあわらしていいかわからない、気味の悪い感じ、虚無感?胸が、締め付けられるような痛みが、忘れられない

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    2025年05月07日
  • 優しい暴力の時代

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    故意ではなく誰かを傷つけたり、傷つけられたりする日常を切り取った短編集。
    物語を読み進めていくと、この『傷』を『優しい暴力』と表現されていることに納得がいきました。『何でもないこと』という作品で、10代の妊娠と出産に直面した母親が大きなショックを受けつつも、自分たちの日常を止めることが出来ず、産まれた未熟児の生をなかったことにする様子がとても生々しい痛みに感じました。
    誰にでも起こり得て、自分も加害者になっていることに気付かされる作品でした。

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    2025年03月20日
  • 回復する人間

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    韓国語は会話文に括弧を使わないのかなと思っていたら、ごく稀に出てくる。どういう基準なんだろう。
    「左手」がこの並びだとちょっと浮いてるし、なんか怖かった。それ以外は静謐で、ひたすら生きるとは、死ぬとはに向き合おうとしているような作品群。

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    2024年11月10日