斎藤真理子のレビュー一覧

  • ディディの傘

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    2021 #3

    私の知らない韓国を知った
    とても丁寧に翻訳されているのが伝わってきて
    日本語で読ませてもらってありがたかった
    日本の読者へのメッセージと訳者解説まで
    おいおい泣きながら読んだ


    ---メモ---


    P192 彼はキム・ソリに大人であれと要求したが、彼自身もキム・ソリに対しては大人なのに、彼はキム・ソリに対して何も、キム・ソリが大人になることについて何も、何らの責任も負わず、非難するだけして行っちゃったんだ。彼の大人らしさはキム・ソリを観察し、判断を下し、ことが終わった後に寄っていって非難するときだけ有効に働いたが、大人らしさがそんなものならあまりに御都合主義で下品じゃない

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    2021年01月23日
  • ディディの傘

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    "まっ昼間から、恨めしくて、恥ずかしくて、涙が出たよ。そのとき私、たいがい驚いて、気がついたのさ、私が泣いてる、恥ずかしいのがわかるんだ、ああ生きてるなあと。そしたらこんどはそれが嬉しくて、涙が出て出てきりがなくて。生きなくちゃ、せっかくここまで生きたんだから最後まで生きてみようって確かに覚悟を決めたんだ……そうやってしっかりはっきり心が決まったのはあの恥ずかしさのおかげで、あれが私を生かしたの。"(p.22)



    "私は自分の答え方や考え方が子どもに及ぼす影響が怖い。"(p. 183)

    "大人になることは、恥ずかしさの後に来るんだよとキム

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    2020年12月20日
  • ディディの傘

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    個人は個人で様々な考えや思い、問題を抱えて生きてる。
    それは大切な人を亡くしたことだったり、両親との隔たりだったり、性差、同性愛だったり、過去の運動や争いだったり。

    そういうものを胸に抱く個人にも、世の中の大きな流れは影響を与え、またその個人が、各々の抱えたものを持ち寄ってより大きな流れに響きあい、新しい流れを作っていく。時に後退しながら、時に迂回しながらも。

    韓国の現代、「セウォル号事故」「キャンドル革命」を背景に語られる、個人の「小さな記憶」と人々の歴史としての「大きな記憶」。
    今は過去となり、語られながら「記憶」は紡がれる。

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    2020年11月04日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    「チェ・ミジンはどこへ」:フリマ・サイトに自分が書いた本が出ていた。それも著者サイン本。他の本を五冊購入したら無料進呈と。どうしても誰がフリマに登録したのかを知りたい著者のイ・ギホは、出品者に直接取引を持ち掛けるが…。「ナ・ジョンマン氏のちょっぴり下に曲がったブーム」、「クォン・スンチャンと善良な人々」、「私を嫌悪することになるパク・チャンスへ」、「ずっと前に、キム・スッキは」、「誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ」、「ハン・ジョンヒと僕」。イ・ギホの短編集。どれも羞恥がテーマに。

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    2020年10月12日
  • ディディの傘

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    「d」と「何も言う必要がない」という2つの中編小説からなる。それぞれ独立はしているが、根底ではつながりあっている。
    これについては「あとがき」等で触れられている。

    「d」は「ディディの傘」という短編小説がもとで、その後幾度かの加筆、改変を経て本書に収録。
    「何も言う必要がない」は「d」執筆後に、筆者が社会情勢を前にある種の使命感をもって書いたものだという。

    韓国現代社会で次々に噴出する社会的不合理を前で、戦い、無力感に苛まれ、生活し、悩む人間の心境小説的な作品だ。
    読み通すのにけっこう体力が必要な小説だった。
    通常の小説の半分くらいのペースで読んだと思う。

    言葉一つ一つの意味、エピソード

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    2020年09月29日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    "ときどき僕は考える。侮辱されているかもと思ったたけで屈辱を感じ、侮辱し返すという、そういう人生について。"(p.32)


    "それぞれの罪があり、それぞれの罰があるのだ。ひっくるめて眺めていれば、何もかも平べったく見えてくるばかりだ。罪はそのとき、くり返される。"(p.149)

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    2020年04月03日
  • 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ

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    短編小説7編+あとがき
    心の奥底を覗いて目の前に表す,その心の動きが巧みに物語の中で展開する.お見事です.「恥」と言う概念,読みながら自分の中にも確かにるあると共感した.特に「チェ・ミジンはどこへ」と「あとがき」が良かったです.

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    2020年03月14日
  • すべての、白いものたちの

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    ハン・ガンさんの本を初めて読んだ。
    解説を読んでもまだちょっとよくわからなかった。
    他の本も読んでから、また読んで理解したい。

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    2026年04月26日
  • 影犬は時間の約束を破らない

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    “考えることを減らし、毎日やるべきことを決めておいてそれをやろう。それが私の小さな目標だった。”(p.10)

    “こういう冗談は冗談でしかないのに、なぜ、口の外へ出してみるといい気分になるのだろう? 完全に冗談だとわかっていても、ほんのちょっと、三秒ぐらい、誰かが私にこのマンションをあげると言ってくれるところを脳のどこかが想定するのだろう。言葉は怖くて、言葉は楽しい。脳はすばらしく、私は脳がほんとに好きだ。”(p.58)

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    2026年04月25日
  • 波の子どもたち

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    著者は13年間に百人以上もの脱北者に会って、話を聞き、一緒に旅行をし、食事も共にして話をした。そこで出会った青年たちからこの小説のモデルになる三人の人物を創造した。それがミン・ソル(16歳、女子)、ハン・クァンミン(16歳、男子、サッカー好き)、キム・ヨルム(16歳、女子)である。三人ともそれぞれの道で河を渡っていった。それは、豆満江だったり、鴨緑江だったりする。そして中国に入りブローカーだったり援助者だったりを頼りに、ラオス経由でタイの収容所に行く。それから韓国に行くのだ。

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    2026年04月20日
  • 影犬は時間の約束を破らない

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    2026.25

    静かで、穏やか




    ===


    P161 散らばった思いはどこかに全部あるよ
    P191 カンヘリム/装丁家
    二つの世界は分離されているにもかかわらず触れ合っている、という確かな感覚は、ある瞬間の連続とは何かに到達するのを待つ過程ではなく、ある意味ではもう完成しているのだという認識をもたらし、私は冬眠とガイドと影犬が存在する世界にいながらにして自分の世界も大切にできる力を手に入れた。パク・ソルメを読む前は、そんな時間があることを知らなかった。しかし確実に言えるのは、何を食べようが、どこへ行こうが、夢を見ていようが目覚めていようが、持続させることであれ抜け出すことであれ、苦し

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    2026年04月19日
  • 別れを告げない

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    ハンガン3冊目だが、やはり私には合わないかもしれない……
    事件の振り返りが始まる前の前半はだれてしまった。悪夢に囚われてここまでなるのか?あと家族はどうなったのか?読み逃してしまった。
    後半は壮絶な描写が当事者の目線で続いていくので圧巻だった。
    自分がこのチェジュ島での惨劇のことを、まずあったことすら全く知らなかったせいで、最初は混乱してしまった。解説を先に読んでも良かったかもしれない。
    うちなーぐちで語られるところはリアリティがあるのだが、逆によく分からなかった……

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    2026年04月19日
  • ギリシャ語の時間

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    垂れ下がった沢山の糸のなかを歩いているような気持ちがする。呼吸の音も感じないくらい静かな世界。
    詩的な彼女の言葉が好きだ。翻訳もうまいのだろう。ハン・ガンの作品には繰り返し読みたくなる言葉がいつも詰まっている。

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    2026年04月15日
  • すべての、白いものたちの

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    言葉の選び方だとか心動かされるものに対する目の付けどころだとか、そういうところに余韻を感じつつ、
    全てを読み終わって、あとがきも、解説も読み終わると「え、そういうこと!?」となり、もう一度最初から読まざるを得ない。

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    2026年03月31日
  • すべての、白いものたちの

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    字数少なく余白を贅沢に使った本書は詩集のようでもあり、1章3章の主体「私」は著者であり、2章の主体「彼女」は著者の姉の設定であることからも、私小説もしくはエッセイのようでもあった。解説を寄せた平野啓一郎氏が語るように、抽象的な世界と現実社会を織り交ぜた不思議な世界観が広がっていた。白い産着のモノクロ写真を写した表紙には、亡き姉への愛を感じる。タイトル『すべての、白いものたちの』と並んで表記されてあるハングル語「ヒン」は、生と死の寂しさを交々たたえた白色のことであり、本書で書きたかった想いを示しているという。冒頭の目録に記された白いものたちに順じて綴られた散文から、家族同行のワルシャワ滞在中に訪

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    2026年03月26日
  • ギリシャ語の時間

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    上白石萌音ちゃんがオススメしていて、美しい文章ということで読んでみた。
    確かに、描写や文章の間、章の長さも考えられていて、男性の視点と女性の視点が入れ替わりながら、静けさと心の機微を感じながら物語が淡々と進んでいく。
    誰が語っているのかはわかるけど、誰のことを語っているのかが時々わからなくなる。
    最後、2人が近づいていく様に、いつのまに、とそれほど感情移入できなかった

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    2026年03月22日
  • 回復する人間

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    ノーベル文学賞のハン・ガンによる7つの短編集。
    『左手』が印象深かった。左手が意思を持ってしまった男の二重属性化の話。『火とかげ』ではClapton のTears In Heaven がいい味を醸し出してた。

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    2026年03月21日
  • 光と糸

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    ネタバレ

    ハン・ガンの小説はいつも大きな問いで、その問いは誠実で真摯、そして切実。
    歴史の果てに生きるわたしたちの生きることと密接に関わった問いだ。

    本書で、小説が生まれたときの様子やその時々の心情が詩や散文を通して明かされるが、身を削るようにして書かれたそれは魂で書いているかのよう。

    “庭の日記”は、短い記録の中にも彼女ならではの視線と詩のスピリットが感じられる。

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    2026年03月16日
  • 光と糸

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    ノーベル文学賞の受賞記念講演「光と糸」のほか、詩と散文、日記で構成される。
    済州島事件、光州事件など厳しい内容も含むが、なんだか癒された。

    ハン・ガンが8歳のとき作った詩、
    『愛ってどこにあるのかな?
    とくとく鳴ってる私の胸の中だよね。
    愛って何なのかな?
    私たちの胸と胸をつないでくれる金の糸よね。』
    栴檀は双葉より芳し、とはこのことか。

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    2026年03月11日
  • 影犬は時間の約束を破らない

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    韓国の手芸ポシャギを連想するような淡い色彩の表紙が印象的な本作は、身体的・精神的回復を目的とした医療の一環として長期の休暇で冬眠をする患者と、その様子を終始見守る冬眠ガイドとの共同生活を描いている話の連作になっているが、実際には冬眠ガイドという職業は存在しないのでSF的短編集と言えよう。人間も古の時代では、食料のない季節に冬眠していただろうという説はあるようだが、絶望と疲弊に満ち溢れた日常生活を送っている現代人にも長期の休養は必要だ。でも、薬による長期間の睡眠は体に良くないのでは?と心配になったが、寒い季節が苦手な自分は冬眠願望はあるので、一度経験してみたい。巻末の訳者あとがきで触れているよう

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    2026年03月07日